みやや競馬

2020年金鯱賞 回顧。左回りもなんのその。


走破時計 2:01.6  前半1000m 63.6  上り3F 33.8 

含水率 ゴール前 13.9%  4コーナー 15.0%

まずは馬場状態ですが良馬場まで回復していました、含水率を見るとゴール前13.9%、4コーナー15.0%ととても良馬場とは思えない数値ですが、この数値は午前5時の計測なのでここから急速に乾いた可能性があります、中京芝コースの排水性がとても高いことを表していますね。  昨年は稍重で含水率はゴール前で11.6%、4コーナーで13.9%でした、雨が降り続いていたのでほとんど変化のない含水率でレースが行われたはずです。

今年は急速に乾いてやや高速馬場にまで入っていた可能性があります、かなりのスローバランスですがレース全体の上がり3Fが33.8とかなり速く、目視手動計測ですがサートゥルナーリアはL3、L2と10秒台を連発しているはずです。騎手の意識以上に馬場は急速に回復していたたのだと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青が今回、赤がサートゥルナーリアの目視手動計測のラップ、緑が2019年中日新聞杯のグラフです。

前半1000mが63.6とかなりのスローバランスで、後半L4から11秒台に入っています、このレースラップはほぼダイワキャグニーのもので、L1だけサートゥルナーリアのものです。逃げたダイワキャグニーや、3番手あたりを追走したサトノソルタスにとってはとても楽な流れだったことがわかります。 ここまで前半が遅ければ通常は誰かしら向こう正面で捲りを打つなり、ペースを引き上げる動きがあるのですが、今回はそのような動きをする馬が全くいませんでした。昨日かなり雨が降ったことで馬場の回復に自信がなかったこと、そもそもまくりを打つような脚質の馬がいなかったこと。絶対的な本命であるサートルナーリアが中段やや前でどっしりと構えていたので、後方から動いてもサートルナーリアの援護になるだけで何もメリットがないと考えたのではないかと思います。 

動けるとしたらロードマイウェイですが、スタートでタイミングが合わなかったことで後方からになってしまった時点で、距離ロスを抑えるために最内にコースを取っていました。川田騎手もさすがにここまでペースが落ちるとは思わなかったのでしょう、 外から上がって行こうにも外に出せない位置取りになっていました。

昨年の中日新聞杯との比較ではやはり前半がかなり遅く、中日新聞杯で勝ったサトノガーネットの上り3Fは33.3でした、 サートルナーリアの上りが3F33.2ですから、 仮にサトノガーネットが中日新聞杯と同じ末脚を使ったとしてもサートルナーリアには届きませんし、ダイワキャグニーにも届かなかったでしょう。 中日新聞杯当日の馬場状態は今日と同じ良馬場でしたが おそらく含水率は今日よりも低かったと思います、これで上り3F33.2を出し、L3,L2で10秒台を連発してきたサートゥルナーリアのトップスピードの質はここでは一枚どころか2枚も3枚も抜けていました。

今回のレースのL1部分を見てください、L1標識でサートゥルナーリアはダイワキャグニーに並んでいたので、L1部分のラップは丸丸々サートゥルナーリアのものです。ここでダイワキャグニーは11.9まで減速しています、当然サートルナーリアも減速しますがサートゥルナーリアは11.5で纏めています、実はスローからの後半4F戦というのはサートゥルナーリアにとってはあまり良い展開ではないと思っています、皐月賞の時も3F戦でL1やや苦しくなったのか、ヴェロックスの方に寄れる仕草がありました。今回L1でやや減速しましたがそれでも勝ち切れたのは、相手関係が楽だったからだと思います。サートゥルナーリアはどうしても持続力に関してはアーモンドアイに一歩引けを取りますね。

逃げたのはダイワキャグニー、マイネルファンロンが2番手から、サトノソルタスとギベオンが並んで中段の前から、中段のやや前からサートルナーリア、ケイデンスコール、ラストドラフトが中段から。ニシノデイジーとジュンヴァルカンが中段の後ろからで、後方からロードマイウェイ、ブレスジャーニー離れた最後方からサトノガーネットでした。

逃げたのはダイワキャグニーでした、スタートから内田騎手も出して行って逃げを主張しました、これでマイネルファンロンは2番手を追走、外からサトノソルタスとギベオンが中段の前のポジションを楽に確保できました。サートルナーリアは中段のやや前で馬群の外側でした、いつでも外に出せるポジションでルメール騎手の自信がうかがえるポジションでした。ラストドラフトはスタート良かったのですが中段のやや後ろあたり、ニシノデイジーはやや掛かり気味でしたが中段の後ろの位置から動きませんでした。ニシノデイジーを買っている身としては、このスローペースで全く動く気配を見せなかったのは正直落胆しました。

スタートが悪かったのがロードマイウェイで、ゲートの中で暴れていてスタートのタイミングがズレてしまいました。 距離ロスを抑えるために最内に入れたことが仇となり、スローペースにもかかわらず捲りを打てない位置に嵌ってしまった、というのがロードマイウェイの誤算だったと思います。

前半のポジション取りを見て特に気になるのは、サートゥルナーリアよりも後ろにいる騎手の心理です、サートゥルナーリアのこれまでの実績を考えれば、サートゥルナーリアよりも後ろにいては勝負になるはずがありません。もちろん各馬にはそれぞれ脚質があるので無理にサートゥルナーリアよりも前で競馬をしろとは言いませんが、それでもサートルナーリアから離れた位置からでは勝負にならないはずです。 

4コーナーから直線入り口です、ダイワキャグニーが先頭で直線に入ってきますが、その後ろでマイネルファンロンがギベオンの進路を塞ぐ形で並走しています、サトノソルタスは早めにマイネルファンロンの外に出し、その後ろからサートゥルナーリアが続きました、サトノソルタスがマイネルファンロンの外に出してできたスペースにケイデンスコールが入ってきます、ニシノデイジーはケイデンスコールが外に出したスペースをついて中段の前まで上がってきました。ロードマイウェイは終始最内を回して中段馬群に取り付き、ブレスジャーニーとサトノガーネットが外を回して上がって来ようとします。

丸で囲った部分を見てください、ギベオンの福永騎手がいつものように詰まっています、マイネルファンロンに外から張り付かれてしまいコースがなくなってしまいました、向正面の直線部分でサトノソルタスに対して、1頭分外に主張するような動きがあれば、3、4コーナーで1頭分外を回すことになりますがコースは確保できたはずです。福永騎手はたびたびこういうどん詰まりを見せていますが、今回に関して言うと、前に居るマイネルファンロンが下がってくる可能性を全く考えずに乗っているからこのような事態になるのだと思います。福永騎手が内枠で好走する時はたまたまインコースが空いてしまった時というのが多い気がします、昨年の高松宮記念がまさにこのパターンでした。内枠に入った時の福永騎手はまだ信用できません。

直線L1標識付近です、ダイワキャグニー、サトノソルタスに外からサートルナーリアがスムースに並びかけてきます、マイネルファンロンが下がってできたスペースをギベオンが使って前に出ようとしますが、ギベオンは瞬発力が低いためにここでダイワキャグニーを交わすことができませんでした、結局ここでダイワキャグニーを交わせなかったことでギベオンはハナ届かず4着になってしまいます。

ニシノデイジーはサートゥルナーリアの後ろに進路変更してからスムーズでしたが、サートゥルナーリアに一気に引き離されてしまい6着でした、サートルナーリアの後ろまで進路変更したのは良かったのですが、そこからが反応が悪かったので古馬になってあまり成長していないのかもしれません。外からラストドラフトにも交わされているので、現状ではニシノデイジーをこのクラスで買うのは難しくなりました。

中日新聞杯で鮮やかに差し切ったサトノガーネットは11着、上り3F33.9は馬場を考えれば悪くないタイムですが、前が止まらない展開ではどうしようもありませんでした。ロードマイウェイは懸念通り休み明けの影響だと思います。 

では1頭ずつ見ていきます。

1着はサートゥルナーリア、スタートもよくすんなりと中段やや前のポジションが取れました、いつでも外に出せる位置を確保したあたり、ルメール騎手の余裕が感じられる騎乗でした。過去2走凡走している左回り、初めての58㎏と色々と不安材料を挙げられていましたが、終わってみれば圧勝ということでやはり役者が違った印象です。 相手が弱かったのであまり得意としない展開になりましたが、8分力でねじ伏せたと言っていいと思います。これで左回りを不安視する声は消えると思いますが、今回の好走でむしろ次に予定されている大阪杯に若干の不安が出てきました。 

2着はサトノソルタス、昨年の中日新聞杯では5着でしたが、今回はその時よりもポジションを前にしたことが好走できた要因でしょう。元々トップスピードの質で勝負するタイプではなく持続力で勝負するタイプだったので、スローからの4F戦になった事は幸運でした。3番手で先行しましたが折り合いもついていたので、今後は怖がらずに先行させることができるはずです。心肺機能に関してはまだ不明ですが、前半ゆったり入ってのロンスパなら今後も重賞で活躍できそうな気がします。 

3着はダイワキャグニーでした、休み明け2走目でスローバランスの逃げに持ち込みしっかりと粘り込みました、初めてのコースでしたが左回りは東京で実績がありますし、距離も全く問題ありませんからこの好走は驚くものではありません。さすがに前半1000m63.6までスローになるとは思いませんでしたが、そこからしっかりと4F戦に持ち込んだのは、乗り慣れた内田騎手ならではだと思います。

4着はギベオン、良馬場まで回復したことで2000mでもしっかりとしたレースができたと思います、4コーナーから直線入り口にかけてのコース取りさえ上手くいっていれば 、3着は十分にあったと思うので残念な結果ではあります。この馬はずっと馬券に絡めていなかったので、今回のハナ差4着は大きなハナ差になってしまいました。

5着がラストドラフト、 道中サートゥルナーリアよりも後ろに居た時点で1着はありませんでしたが、最後の直線でニシノデイジーを交わしたのは驚きました、前半ゆったり入ればまあまあのトップスピードの質を見せられることを証明しましたし、もう少し前で競馬をしていればもっと着順が良かったのではないかと思わせるそんなレースになりました。先行できれば 今後もこのクラスで活躍できそうな気がします。

ニシノデイジーは6着でした、直線でサートルナーリアの後ろまで進路変更したのは良かったと思いますが、その後伸びを欠いてしまったのはスローの展開だけでなく、自身の能力不足を露呈した格好です。後ろからラストドラフトにも交わされているので、 ホープフルSや東スポ杯で見せた瞬発力やトップスピードの質が落ちてしまった、そんな印象を抱きました。ケイデンスコールは中段から進めることができましたが、こちらも伸びを欠いて7着でした、前半ゆったり入っているので息切れしたということはないはず、これで伸びないということは3歳時からトップスピードの質が上がっていない、成長していないということなのかなと思いました。2番人気で10着になってしまったロードマイウェイですが、懸念した通り休み明けの影響ではないかと思います、次走の巻き返しに期待したいと思います。 

馬券の方はニシノデイジーが6着に沈んでしまい外れてしまいました、左回りや58㎏を懸念されていたサートゥルナーリアには自信の◎を打てたのですが、サトノソルタスには重い印を回せませんでした、まだ噛み合っていないなという感じがしますが、また来週頑張ります。