クリノガウディ―の斜行について訂正があります、和田騎手が右ムチでと書きましたが、和田騎手は終始左手に鞭を持っていました。訂正いたします。
走破時計 1:08.7 前半600m 34.2 上り3F 34.5
含水率 ゴール前 14.5% 4コーナー 14.8%
まずは馬場状態ですが重馬場で行われましたが、9R1勝クラス1200mで1:09.4とかなり速いタイムが出ています。勝ったカーサデルシエロの上り3Fは33.9ですから、とても重馬場とは言えませんね。このレースでも3着に入線し2着に繰り上がったグランアレグリアの上り3Fが33.1なので、限りなく稍重に近い重馬場というイメージで良いかと思います。
上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2017年、緑は2018年のグラフです。
2020年重馬場 セイウンコウセイ7着 34.7-34.4 1:09.1 <1:08.7> ナックビーナス10着 35.0-35.3 1:10.3
2017年稍重 セイウンコウセイ1着 34.2-34.5 1:08.7 <1:08.7> ナックビーナス8着 34.6-34.9 1:09.5
2018年良馬場 セイウンコウセイ6着 33.3-35.5 1:08.8 <1:08.8> ナックビーナス3着 33.9-34.7 1:08.6
上のグラフと2020年2017年2018年のセイウンコウセイとナックビーナスの前後半のラップを見ると、幸騎手と田辺騎手の馬場読みとペース判断の悪さが顕著に現れています。 モズスーパーフレアが2着入線しているように、前半3F34.2は決して速いペースではなかったのです、にもかかわらずこの二人は前半かなり抑えて入ってしまったために、後半トップスピードの質で見劣り凡走してしまいました。
まずはセイウンコウセイから、2017年に勝った時は34.2で入り34.5でまとめています、セイウンコウセイという馬は瞬発力やトップスピードの質は低いので、ある程度の心肺機能を生かして前半のうちにリードを築き、後半は持続力で粘り込むというのが好走パターンです。2018年凡走しているのは前半33.3で入ってしまい、完全に有酸素運動の領域から外れてしまい後半失速したためだと思います。今年は34.7で入ってしまい当然後半で勝負できるタイプではないので伸びずに凡走してしまいました、モズスーパーフレアの上がり3Fが34.5なので、後半はほとんど同じペースで走り切ったことになります。前半でつけられてしまったリードがそのまま残った形です。
ナックビーナスも同じようなタイプで今年は前半が遅すぎたために凡走してしまいました、ただしナックビーナスの場合後半も35.3だったので、前走激走の反動が出た可能性もあります。前半ここまで遅く入れば後半33秒台の脚が使える馬なので、疲労やストレスの可能性が高いと思います。昨年のラピスラズリSで前半35.1で入り後半33.4の末脚を出しているので、単純にペースが合わなかっただけではないと思います。もちろん前に行って勝負したほうが可能性は高い馬なので、田辺騎手の馬場読みとベース認識が悪いことは間違いないと思います。
想定通りモズアスコットが逃げ態勢を築きましたが、ここでセイウンコウセイの幸騎手がモズスーパーフレアを追いかけずにペースを落としてしまいます、結果的にこの判断が最悪の結果を招きセイウンコウセイワ凡走してしまいます。スタートが良かったダイアトニックが中段の前から、中段あたりから進めると思っていたクリノガウディが中段の前に位置取りました、結果的にこの判断が正しくてクリノガウディーは前半34.9で入ることができました、前走の阪急杯でも書きましたが、この馬は前半が速くなってしまうと息切れしてしまうので、前のポジションを取れた上に自身はややスローバランスの競馬ができたことが一着に入線できた要因だと思います。
アイラブテーラーはスタートこそ五分に出ましたが、全く行き足が付かず馬群について行くことができませんでした、同じようにモズアスコットも追走に苦労していました。逆にティーハーフが好スタートから中団やや後ろのポジションを取れたことも、前半のペースが遅かったことの証明だと思います。グランアレグリアは中段の後ろからタワーオブロンドンを見る位置でした、馬場の悪い内を避けて末脚にかける大胆な騎乗だったと思います。
外からスムーズに直線に入ってきたグランアレグリアがここから猛然と伸びてきます、上り3F33.1は1番時計タイで中身は目視手動計測ですが、L3から11.4-10.9-10.8くらいでした。L3のレースラップは11.2ですがこの馬は4コーナー外目を回していたので、その分の距離ロスでL3はレースラップよりも時計がかかっています、ここからエンジンがかかったように猛然と伸びてきてL2では10.9、 L1ではさらに加速して10.8ぐらいで追い込んできました。この馬自身は前半3F35.6で入っているので、前半ゆったり入って余力を残していたものを、後半爆発させたような末脚を発揮してきました、特にL2部分で強烈なトップスピードの質を見せてきたので、これまでは坂に対してやや不安な面がありましたが、その心配は全くなくなりました。今回はプラス12キロと過去最高の馬体重だったのですが、筋肉量が増えてパワーアップした分だったのでしょう。
では1頭ずつ見ていきます。
一着はモズスーパーフレア、スタート決めて逃げ体勢に持ち込み絶妙なペースで逃げ切ってしまいました、もちろん松若騎手が馬場とペースを読み切ったとまでは思えませんが、幸騎手や田辺騎手が控えた中で怖がらずに出していったことは高評価です。左回りで寄れるかと思いましたが、そこもうまく調整できていたようで内ラチを頼りにスムーズに走ることができました。 昨年のスプリンターズステークスで2着の実績がある馬なので、実績通りの結果と言えばそれまでですが 、ゲートが開くまでの混乱や最後の直線走路でのクリノガウディーの斜行など色々あっての1着になりました。松若騎手は初めてのGⅠ勝ちです、これをきっかけにさらに上を目指してもらいたいと思います。
2着がグランアレグリア、 直線外からスムーズな競馬ができましたがあと一歩届かず3着入線で繰り上がり2着でした、前半ポジションがやや後ろだったことで最後の最後に届かなかった可能性が高いと思います。このあたりのポジション取りの差がルメール騎手と池添騎手の差なのかなと思います。この馬自身は最後の直線で目の覚めるような末脚を繰り出していて、特に L 2の坂部分で10秒台の脚を使ってきたことは驚きました、+12kgの馬体重からもパワーアップしていることがはっきりと見て取れましたので、今後はコースを選ばず好走してくると思います。
3着がダイアトニック、 道中は内からスムーズな競馬をしていましたが、最後の直線走路でクリノガウディーに寄られてしまい進路がなくなり大きな不利を受けました、あれがなければ一着だった可能性もあるだけに、なんとももったいないレースになってしまったと思います。中段の前からレースをしていてこれだけの脚を使える馬なので、今後も安定した成績を残せるのではないでしょうか。この馬はロードカナロアの産駒なので連続して好走する可能性は低いと思います、年明けの京都金杯2着阪急杯3着と好走しているように見えますが、ともに負けているため大きなストレスを抱えていなかったのだと思います。今回も3着なので精神的な疲労はないと思うので間隔空けた次走はまた好走が期待できそうです。
4着がクリノガウディーでした、スタートもよく中段の前のポジションが取れたことが非常に大きいのですが、ここで前半のペースが上がらなかったこと、これが一着に入線できた大きな要因だと思います。 前走の阪急杯では前半3F34.1をほぼ同じペースで行ってしまいましたが、今回は前半3F34.9なのでかなりゆったり入れたはずです、 かなり展開に左右されるタイプなので今回と同じように恵まれるようなことはあまりないと思いますが、今後この馬に乗る騎手が前半ゆったり入った方がいいタイプだということを分かって乗れば活躍が期待できます。
5着がシヴァージ、 この馬もグランアレグリアと同じく上がり3F33.1の末脚で追い込んできました、ここまで速い上がりを使えるのは前半がかなり遅かったためだと思います。 前半3Fは35.9では入っているので前半心肺機能を問われず力を温存できれば、後半爆発的に伸びることができるタイプなのでしょう。ただしグランアレグリアほど前半の位置取りに自由度が無いので、33秒台前半の足が使えたとしても G 1では届かない可能性が高いと思います。 京王杯SCに出走してくるようならば狙ってみたい1頭です。
軸にしたタワーオブロンドンは見せ場なく12着でした、グランアレグリアのすぐ前で直線に入ってきましたがそこから全く反応しませんでした、馬場適性の可能性もなくはありませんが、グランアレグリアが33.1の上がりを繰り出していることを考えれば、馬場適性だけということはないと思います。前走のオーシャンステークスは前哨戦の仕上げだと思いましたが、力が衰えてきている可能性も考えなくてはいけないほど、内容の悪い負け方だったと思います。まだ5歳なので衰えを見せるには早いと思いますが、昨年の夏から秋にかけてかなりのレースをこなしたことが蓄積疲労として出ているのかもしれません。 この辺りのケアがノーザンファームとダーレジャパンの外厩の差なのかなと思います。
2番人気のダノンスマッシュも見せ場なく10着でした、この馬は前走のオーシャンステークスが海外帰りの休み明けだったために、反動が出た可能性が高いと思います。モズアスコットは13着でした、オーストラリア行きを急遽取り止めての出走でしたが、これがリズムを崩してしまった原因かもしれません。馬体は非常によく見えたので気持ちの面でピリッとしなかった可能性が高いと思います、モズアスコットの場合一度気持ちが切れてしまうと、凡走を繰り返してしまう前科があるので今後が非常に心配です。
大差の殿負けだったのがアイラブテーラーで、非常に心配なレース映像でしたが特に故障もなく無事だったようです。最終追い切りをしていなかったので不思議に思ったのですが、寝違えて最終追い切りをしなかったという情報が入ってきています。この状態でレースに出走させることは非難されてしかるべきですし、豊騎手が全くレースに参加しなかったことは、馬のために無理をさせなかったのだと思います。 この豊騎手の判断がぜひ今後につながってほしいと思います。
馬券の方は軸にしたタワーオブロンドンが飛んでしまいまたもや外れてしまいました、第1四半期が非常に悪かったので来週から心機一転頑張りたいと思います。この文章何度目でしょうか・・・。