みやや競馬

2020年大阪杯 回顧。一番強いレースをしたクロノ、上手いレースをしたミルコ。


走破時計 1:58.4  前半1000m 60.4  上り3F 34.2 

含水率 ゴール前 9.7%  4コーナー 9.2%

まずは馬場状態ですが良馬場で行われました。10Rの難波Sが3勝クラスの1800mで1:45.3、勝ち馬の上り3F33.7なのでやや高速馬場という感じでしょう。このレースを勝ったラッキーライラックの上がり3Fが33.9、クラスを考えるとやや物足りない感じがしますが、これは内回りと外回りの違いです、スワーヴリチャードが買った時の上がり3Fも34.1、2着ペルシアンナイトが33.7なので特に遅いということはありません。 

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2019年のグラフです。

逃げたのはダノンキングリーでした、前半1000m60.4と馬場を考えればややスローだったと思います、前後半のバランスで見ても60.4-58.0ですからスローバランス、例年通りの大阪杯のラップ推移になっています。阪神内回り2000mというのは、昨日の明石特別も前半スローから後半のロンスパ戦というラップ推移だったので、このラップ推移が定着している感があります。

L4から11秒台に入る4F戦に持ち込んだダノンキングリーを撃破してきた、ラッキーライラックの完成度の高さは驚きました。ラッキーライラックはエリザベス女王杯で強烈な瞬発力を見せていますが、過去のレースでは持続力でやや甘くなる点があったので、今回それを克服して勝ち切ってしまったことで完全に覚醒したと思います。 

昨年と非常によく似たラップ推移で凡走してしまったのがブラストワンピースで、昨年と全く同じように3、4コーナーで11秒台のラップを連発される中で、外を回してしまいました。 11秒台を連発される中で距離ロスまで背負わされてしまえば当然苦しくなるはずで、今回の負けは当然の結果だと思います。 

大阪杯と言うか阪神内回り2000mは前半がスローで後半5F、もしくは4Fのロンスパ戦になってしまうので、中段よりも後ろから行く馬には厳しいレースです、加えて内回りであるために直線が短くコーナーもきついため、3、4コーナーで11秒台のラップの中で外から捲り追い込みに行くというのは、ほぼ不可能なレースと言うことができると思います。 

逃げたのはダノンキングリー二番手にジナンボーが付けました、やや離れてラッキーライラックが追走集団の先頭、その外にクロノジェネシスが居ました。 ワグネリアンが中段やや前で 外にレッドジェニアル、ステイフーリッシュ、やや間隔を空けてサトノソルタス、マカヒキが続き、ブラストワンピースが中段の後ろから、後方からカデナ、ロードマイウェイという並びでした。

スタートで出遅れてしまったのがロードマイウェイで、ゲートの中でソワソワしていてゲートが開いてからもバランスを崩し、最後方からになってしまいました。ステイフーリッシュもスタートが良くなく、岩田騎手が押して促していましたが前に進んで行かない感じでした、ゲート内で隣のレッドジェニアルがかなり暴れていた影響もあったのかもしれません。逆にスタートが良かったのがラッキーライラックとダノンキングリーで、ダノンキングリーはそのまま先頭に立ち、ラッキーライラックは控えて追走集団の先頭でレースを進めました。

ブラストワンピースもスタート自体は五分に出ていますが、二の足が 遅く川田騎手も促していましたが全くスピードに乗れず、中段の後ろまで下げることになります。 クロノジェネシスがスタート良くラッキーライラックの隣でマークする形、ワグネリアンもスタートは良かったのですが、ラッキーライラックに前を譲る形でその後ろからになりました。返し馬からやや掛かり気味だったので、福永騎手も前に馬を置きたかったのだと思います。結果的にこのポジションがラッキーライラックを一着に、ワグネリアンを着外にしてしまった要因かもしれません。

4コーナーから直線入り口です、ダノンキングリーが最内、その外にジナンボーが並びかけたために、クロノジェネシスは2頭分外を回すことになりました。さらに1頭分外になってしまったのがブラストワンピースで、ブラストワンピースの場合は3コーナーから外を回していたために、かなり大きなロスになってしまいました。 3、4コーナーで外を回したサトノソルタス、マカヒキも凡走しているので、このコースで外を回してしまえばノーチャンスになるということがはっきりしました。

逆に内からスムーズだったのがラッキーライラックで、3、4コーナーで最内を回しダノンキングリーとの距離をやや取っていました、ダノンキングリーの直後に付けなかったことがクロノジェネシスを差し切った大きな要因だったと思います、 もしもダノンキングリーの直後にいた場合は、ダノンキングリーの外に出してから加速しなければいけなかったはずです、しかしこのレースのミルコはダノンキングリーに追いつく勢いを殺さないまま、ダノンキングリーの横に出ています。 2年前スワンステークスでモズアスコットをロードクエストで差し切った時と同じように、ギリギリまで空気抵抗を抑えて差し切るというレース振りを見せました。 

直線L1標識付近です、ダノンキングリーがトップスピードの質と持続力を生かして先頭で通過します、外からクロノジェネシスが迫ってくる所、ラッキーライラックがダノンキングリーとジナンボーの間を割って差し込んできます。ジナンボーが下がってくれたことでできたスペースをミルコは見逃しませんでした。外を回してしまったブラストワンピースはこの辺りで一杯になり後退、ワグネリアンも伸びずに5着でした、そのワグネリアンに直線入り口で詰まってしまったのがカデナで、スムースに競馬ができていれば3着まであった可能性があるだけに残念なレースになってしまいました。ただしカデナは後方から進めているので、ロスなく最内を通して直線入り口で詰まってはいますが、勝ち負けまでは難しい位置取りだったと思います。 昨年もマカヒキが4着に入っているように、今回のカデナの4着は高くは評価できません。

では一頭ずつ見ていきます。

一着はラッキーライラックでした、前半から前へ行くことを恐れず、しっかりとポジションが取れたことが今回の勝ちに繋がったと思います、 4コーナーでも慌てず騒がずダノンキングリーと間隔を取って直線に入り、スムーズに加速しながらダノンキングリーを風よけに使って差し切ると言うお手本のような騎乗でした。過去のレースぶりからラッキーライラック自身は持続力の面でやや不安がありましたが、このレースは4F戦になっているので、持続力も高めてきたと思います。エリザベス女王杯で見せた瞬発力とトップスピードの質の高さに加えて、持続力でも高いものを見せてきたので隙がなくなってきた感じです。

2着がクロノジェネシス、4コーナーから直線入り口にかけてジナンボーの外を回されてしまったのがかなり痛かったはずです、 一着のラッキーライラックに比べ4コーナーでの仕掛けがやや早かったことと、通ったコースが2頭分外だったために、ラッキーライラックに刺されてしまったのだと思います。この馬も持続力についてはやや不安がありましたが、4F戦でラッキーライラックと互角のレースをしているので持続力についても不安はなくなりました。また戦前の不安材料として外枠だったため掛かってしまうのではないかと懸念していましたが、追走集団の前で折り合いがついていたので、気性面の進境が見られたことが今後のプラス材料だと思います。

3着がダノンキングリー、スタートが良かったために押し出されることになりましたが、それでも元々心肺機能は皐月賞で見せていましたし、持続力の高さは折り紙つきです、この特性を理解していたために横山典騎手は怖がらずに逃げたのだと思います。例年の大阪杯と同じように後半のロンスパ戦に持ち込んだことも、この馬の特性を考えれば最善策だったと思います。これで牝馬2頭に差されてしまったのは逃げて目標にされてしまったためだと思いますし、特にラッキーライラックには直線で風よけとしても使われているので、負けて強しの内容だったと思います。

4着がカデナ、後方で脚を溜めるいつものパターンでした、3、4コーナーも最内をロスなく回して直線入り口ではワグネリアンの後ろでやや待たされましたが、コースが空いてからしっかりと伸びて4着を確保したのは立派だったと思います。ただし3着以内を狙う競馬ではない印象だったので、このクラスになってしまうと後方からでは届かないと思います。

5着がワグネリアン、元々トップスピードの質は高くないので今回もカデナに後ろから差されています。前半ラッキーライラックにポジションを譲ってしまったことが、結果的に5着に負けてしまった大きな要因だと思います、返し馬からやや掛かっていた感じだったので、福永騎手も不安になってラッキーライラックを前に行かせた、そんな感じの騎乗でした。休み明けを苦にしないタイプなので、次走の上積みは期待薄ですが、元々力のある馬なので折り合いに不安がなくなり、前のポジションがとれるようになればもっと成績は良くなる気がします。

穴で期待したステイフーリッシュは二の足がつかずに中団からレースを進めることになりました、これではこの馬の良さが出ないので今回は仕方ありません。昨年の秋からコンスタントに使われていたので、その疲労が抜けていなかった可能性も考えられます、今後はフレッシュな状態で狙ってみたいと思っています。ブラストワンピースはポジションが取れなかったことが全てで、昨年と同じような負け方になってしまいました。

馬券の方は三連複が的中しましたがトリガミでした。年度が変わって最初のレースで的中できたので、来週以降も頑張っていきたいと思います。