走破時計 2:24.1 前半1000m 61.7 上り3F 34.3
含水率 ゴール前 12.6% 4コーナー 13.5%
まずは馬場状態ですが良馬場で行われましたが、意外に時計がかかったなという印象があります。というのも土曜日のレース終了後に、芝の育成のため散水が行われました、湿度が高かったこともあり散水の影響が残った印象です。10Rのむらさき賞が3勝クラスの1800mで1:46.0でした、昨年のむらさき賞は1:44.4なので今年はかなり馬場が重かった可能性があります。
上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2020年オークスのグラフです。
馬場状態の所でも触れたように今年は昨年よりも力のいる馬場になっていたと思います、加えて青のグラフを見てわかるように大きな中緩みがなく、一貫して12秒台前半のラップを淡々と踏んでいます。勝ち馬コントレイルの上り3Fも34.0と決して速い上がりを使えているわけではありません。息の入らない消耗戦になっている、それを証明するようにブラックホールが後方からバテ差しで7着、同じく中段やや後ろに居たサトノインプレッサが4着に来ています。この2頭ははっきりとトップスピードの質が低いので、前に居た組はかなり消耗していたのではないでしょうか。
今回のレースは後半の1000mを58.4で走っています、L4からの4F戦になっていて、上り3F33秒台を記録した馬はいませんでした、上り3F1番時計はコントレイルの34.0、サリオスがこれに続いて34.1で2位タイでした。サトノインプレッサが34.3、ブラックホールが34.1で他は軒並み35秒台でした。サトノインプレッサとブラックホールは中団より後ろで脚を溜めていたので、 ラップ推移以上に馬場が重くて消耗したレースだったと思います。さらにもう一点付け加えるとすれば3着のヴェルトライゼンデはワールドプレミアの半弟です、ワールドプレミアは菊花賞を勝ち有馬記念でも消耗戦を3着に突っ込んできたほどパワーと持続力に秀でた馬です。お父さんはオルフェーヴルでお母さんはドイツ血統のマンデラ、どちらもパワーと持続力を伝える血統で、決して速い上がりに対応できる組み合わせではありません。ヴェルトライゼンデはデビューから上り3F33秒台の切れる脚を使ったことは一度もない馬です、こういった馬が3着に来ていることもかなり重たい馬場状態だったことの証明だと思います。明らかに昨年とは別物の馬場状態だったはずです。
オークスとの大きな違いが中緩みの有無で、ダービーの方が全体的に厳しい流れになっているのが見て取れます。この流れで先行しながら圧勝したコントレイルの強さは本物です、2着のサリオスも中段馬群の外を回していたので、 かなりの距離ロスがあったにも関わらず3着ヴェルトライゼンデに0.3秒の差をつけています。予想の段階で書いた通りこの2頭がこの世代ではかなり抜けています。オークスを圧勝したデアリングタクトは、グラフが示す通りラップ推移はかなり楽だったはずです、ダービーのような厳しい流れになった時に、あの瞬発力とトップスピードの質を発揮できるのかは未知数です。
逃げたのはウインカーネリアン、コルテジアが2番手に続き3番手のインコースにコントレイル、その外にディープボンド。ヴェルトライゼンデが中段の前から進め、その外にガロアクリークとヴァルコスが続きました。中段からアルジャンナ、ワーケア、サリオス、サトノインプレッサ、ビターエンダー、ダーリントンホール。中段の後ろになったのがマイラブソディとサトノフラッグ。 後方からブラックホール、レクセランス、マンオブスピリットという並びでした。
スタートが良かったウインカーネリアンが大外からすんなりと先頭に立ちます、1コーナーの入口から大きくタイムを落としてスローペースにしてしまいました。 それがスタートから3F目、4F目の12.9と12.6の地点です。
この緩みを見逃さなかったのが横山典騎手です、中段の後ろからになったマイラプソディを向正面で押し上げ、3コーナー入り口では先頭に立っていました。お手本のような捲りで3、4コーナーを最内でロスなく回っています。 青葉賞で捲りに行きながら3,4コーナーで外を回してしまった三浦騎手とは大違いです。横山騎手の捲りにスイッチが入ったようにペースが上がり、ここから1400mは12秒台前半から11秒8のラップを刻み続けます。
コントレイルはスタートがよく3番手で最内に収まりました、 逆にスタートは五分に出ましたが内の各馬が主張したために、中段からになってしまったのがサリオスです。内に潜り込むこともできずに中団の外目を回していました、コントレイルに対してかなり距離ロスがあったはずで、なおかつコントレイルよりも後ろということでこの時点で逆転は難しくなったと思います。
サトノインプレッサは立ち上がり気味のスタートで若干遅れましたが、内枠を生かしてすぐさまリカバリーして中段のやや後ろあたりを取れました。スタートは5分に出たものの、全く行き足がつかなかったのがビターエンダーで、サトノインプレッサの外中団やや後ろからになってしまいました。同じく二の足がつかなかったのがダーリントンホールでこちらも中段の後ろからと、得意の展開に持ち込めませんでした。 意外に良い位置取りをしたなと思ったのがワ―ケアでした、中段でコントレイルやヴェルトライゼンデを見る位置をうまく確保しました。もう一頭スタートが良かったのがヴァルコスで、中段の前を取れたのですが内に入り込めず、終始外を回していました。
4コーナーから直線入り口です、マイラプソディが先頭で直線に入ってきますが、ここでコルテジアが外にはらみながら馬群をバラけさせます。この動きは当然コントレイルのコース取りを容易にするための動きで、これによってヴェルトライゼンデも外に膨れています。コントレイルはコルデジアの後ろから進めて、直線ではディープボンドの外に進路を取ってきます。コルテージアに進路を作ってもらっておいてディープボンドの後ろに回るという、まさにノースヒルズの連携プレーのような進路取りでした。
ヴェルトライゼンデがコントレイルの外にコースを取ったことで、コントレイルのすぐ後ろにはワーケアが入りました。前走の青葉賞と同じようにヴァルコスはロスの多いコース取りをしています、ここで動かなかったのはサリオスのレーン騎手、コーナーで動かなかったことでロスなく直線に入ってきます。ガロアクリークとビターエンダーは中段で動かず、もしかしたらこの地点では動けなかったのかもしれません。
内ではウインカーネリアンに続いてアルジャンナそしてサトノインプレッサがスムーズでした。後方からになってしまったマンオブスピリット、レクセランス、ダーリントンホール、サトノフラッグ、ブラックホールが前との間隔を詰めてきます。
直線L2標識付近です、マイラプソディが先頭で頑張っているところコルテジアが並びかけます、ディープボンドがやや遅れその外からコントレイルがスムーズに加速体勢に入ります。ワーケアはディープボンドの後ろになったのですが、ここから伸びがイマイチでした。外を選択したヴェルトライゼンデもジリジリとしか伸びませんが、周りも伸びが悪く後退してしまうようなことはありません。大外を選択したのがサリオスでここから加速体勢に入ります。
内ではウインカーネリアンがこの辺りで一杯になり、アルジャンナも手応えが悪かったです。サトノインプレッサが中段に取りつきマンオブスピリットも、4コーナーで最内を回して中段に取り付いてきました。後方に居たダーリントンホールやサトノフラッグ、ブラックホール、レクセランスあたりもジリジリとしか伸びません。
直線L1標識付近です、マイラプソディが頑張っていますがここでコントレイルが並びかけます、並ぶ間もなくかわして先頭に立つとあとは差を広げるだけでした。コントレイルに唯一食い下がったのがサリオスでしたが、0.5秒差で3馬身も離されてしまいました。枠と道中の位置取りの差がモロに出てしまった感じで、着差ほど2頭の力は開いていないと思います。 3着に粘ったのがヴェルトライゼンデで、池添騎手はL3から追いっぱなしでした、トップスピードの質や瞬発力は低いので貯めてしまえば当然切れ負けします、その辺りのことを踏まえて早目に追い出して、諦めずに最後まで追ったということがこの3着に繋がったと思います
最後はバテ差しの展開になりサトノインプレッサ、ガロアクリーク、ブラックホールなどが足を伸ばしてきました、直線入り口ではコントレイルのすぐ後ろに居たワ―ケアはL2で一杯、中段よりも前に居たコルテシア、ヴァルコス、ウインカーネリアンはL2過ぎから失速、 後方から外を回したサトノフラッグ、ダーリントンホール、レクセランスは伸びを欠きました。
では一頭ずつ見ていきます。
一着はコントレイルでした、スタートが非常に良く3番手の最内という絶好のポジションが取れました、しかも斜め前には同じノースヒルズのコルテージアが居たことで、インに詰まる危険性は完全に無くなりました。12番枠から内へ切り込めなかったサリオスが、中段からになった時点でこのレースは勝負がついた感じです。 L1では11.7と他馬がバテるところしっかりと粘ってサリオスに対して3馬身の差をつけました、この馬の位置でも4F戦になっていて高い持続力を見せつけたと思います。L2は自身10秒台に入っていると思うので、馬場状態を考えればトップスピードの質もしっかりと見せてきました。
2着はサリオス、12番枠からのスタートで内に切り込むことができず中段からになってしまいました、コントレイルよりも後ろ、しかも馬群の外目だったことでこの時点で、コントレイルとの勝負はついてしまった感じです。それでも4コーナーで外を回して上がって行かず、直線まで我慢したことでしっかりと2着は確保してきました。この辺りのレース勘はさすがレーン騎手です。 コントレイルと枠の差を考えれば 悲観する内容ではなく、3馬身差をつけられましたがまだ勝負付けは済んでないと思います。
3着はヴェルトライゼンデ、上記したようにワールドプレミアの半弟でトップスピードの質で勝負するタイプではないので、この馬が3着に来ているということはかなりの消耗戦になっているはずです。池添騎手がこの馬の良さを引き出す騎乗をしてきたなというのが第一印象です、直線入り口から早目に追い出したことで持続力勝負に持ち込んで3着を確保したというレースでした。今回は馬場状態と展開に非常に助けられたなという3着で、昨年のような超高速馬場だった場合は掲示板にも載っていなかったのではないかと思います。なので菊花賞は非常に相性が良いのではないかと思います。
4着はサトノインプレッサ、母系にサドラーズウェルズが入っているためにトップスピードの質は期待できません、代わりにパワーと持続力がとても高い馬です。ヴェルトライゼンデが3着に来ているように今日のレースは持続力勝負になっているため、この馬の4着は当然の結果だと思います。予想の段階では雨待ちと書きましたが、まさかの土曜日散水という想定外の馬場状態でした。スタートの悪さが改善されましたが、それが今回に限ったことなのかそれとも今後も良いスタートが切れるのか、このあたりがこの馬の今後を大きく左右しそうです。
5着がディープボンド、3番手の外でコントレイルをガードするような位置取りをしていました、4コーナーから徐々に外に出しヴァルコスを牽制、直線ではコントレールの進路を邪魔しないようかなり気を使っていましたね。L2標識部分で外に寄れそうになったところを和田騎手が左に大きく重心を移動して修正していました、このあたりはコントレールの位置取りを見ての判断だと思います。前走1着だった京都新聞杯もハイペースバランスになっていて消耗戦を粘っているように、トップスピードの質が問われない展開になったことで5着に好走出来たのだと思います。
あと気になったのは7着のブラックホールです、この馬も予想の段階では雨待ちと書きましたが、トップスピードの質が問われない展開になり7着まで突っ込んできました。もちろん前半最後方で脚を溜めていたので、 前に行ってしまえば心肺機能で見劣る可能性が高いので、道悪で前が潰れるような展開の時に今後も台頭してくると思います。
馬券の方はヴェルトライゼンデを無印にしてしまい外れてしまいました、3着を探すレースだということは当たっていたのですが、前走のレース振りとトップスピードの質が低いことから、ダービーでは苦しいのではないかと考え無印にしてしまいました。
6月から騎手の移動制限もなくなるので、こちらも心機一転頑張っていきたいと思います。