みやや競馬

2020年鳴尾記念 回顧。馬場は想像以上に重かった。


走破時計 2:00.1  前半1000m 60.0  上り3F 36.3

含水率 ゴール前 10.1%  4コーナー 12.1%

まずは馬場状態ですが良馬場で行われましたが意外に時計がかかったなという印象があります。午前中に雨が降ったようですがアメダスには記録されていないので、雨量は1ミリ以下だったことになります。 9Rの三木特別が3歳以上2勝クラスで1:47.7、3着ヒルノダカールの上り3Fが34.2で一番時計なので、標準的な良馬場だったと思います。もちろん9Rは外回りなので、内回りで行われた鳴尾記念の方が後半時計がかかった印象です。


上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2019年の鳴尾記念のグラフです。

前後半が60秒で平均バランスでした、後半はかなりの消耗戦の度合いを見せていて、L2、L1では112秒台まで減速しています。三木特別の場合はL2で11.2なので、内回りと外回りでかなり馬場状態が違う感じがします、前回の開催後に向こう正面と外回りの3コーナー部分の芝を張り替えたことで、内周りの方がやや時計がかかるようになった可能性が高いと思います。加えて開幕週で通常ならば速い上がりが期待できるのですが、エアレーションの影響で馬場がかなり柔らかくなっていたのではないかと思います、この影響で上がりタイムもかなりかかっていました。

鳴尾記念に限った話では馬場の外よりも内に行くほど軽い印象で、特に3、4コーナーで中目よりも外を回してしまった馬はかなり苦しくなりました。比較的内目を回したように見えたレッドガランも、ブラックスピネルを交わすまでは中目を回していました、ラヴズオンリーユーはレッドガランの後ろから直線入り口で外に出してきました。さらに外を回したのがドミナートゥスで、この馬は全く伸びませんでした。逆に内を回したパフォーマプロミスが1着、3着に入ったレッドジェニアルも3、4コーナーは内目を回していましたし、4着に入る激走を見せたサイモンラムセスも後方から3、4コーナーは最内を回していました。この馬場状態が結果に大きな違いを生み出しました、開幕週ということもあり騎手もどのコースが伸びるのか、見極めがついていなかったようで、松山君や川田君も外を回していました。

逃げたのはサトノフェイバー、ブラックスピネルが続き、中段の前からトリコロールブルー、レッドガラン、アメリカズカップ。中段のやや前からラヴズオンリーユー、中段の最内からパフォーマプロミス、テリトーリアルが馬群の中目から上がり、その外にドミナートゥスが居ました。中段のやや後ろからアドマイヤジャスタ、ジェシー。中段の後ろからエアウィンザー、キメラヴェリテ、後方からになったのがサトノルークス、サイモンラムセス、レッドジェニアルという並びでした。

引退レースで何が何でも逃げるかと思われたサイモンラムセスですが、スタートがイマイチだったこともあり後方待機を選択しました。いつも通りゲート内で暴れ出遅れたのがレッドジェニアルで、 ジェシーも先行できずに中段の後ろからになりました。 もう一頭逃げが予想されたのがキメラヴェリテですが、こちらもスタート直後に伸び上がるような仕草を見せて、出遅れ中段の後ろからでした。

結局逃げたのはサトノフェイバーでブラックスピネルがそれに続きました、ペースは全くの平均で逃げ争いがなかったことから、レッドガランやトリコロールブルーも追走していきました。 馬群は縦長になることなくかなり凝縮した形でレースが進みました、この形で割を食ったのがドミナートゥスで、終始内から4頭目の外をは走らされてしまいました。前走と違い意外にスタートが良かったのがラヴズオンリーユーで中段のやま前を確保、その内にパフォーマプロミスが居て結果的にこの位置取りが今回のレースの鍵を握っていました。

4コーナーから直線入り口です、サトノフェイバーが先頭で直線に入ってくるところ、ブラックスピネルをレッドガランが外から交わしに行きます、この地点ではレッドガランはかなり外を回されていたのと対照的に、パフォーマプロミスは終始最内をロスなく回っていました。ラヴズオンリーユーもレッドガランの後ろからで外目を回していましたし、ドミナートゥスに至っては下がってきたアメリカズカップを交わすために、さらに外を回してしまいました。 

3着に入ったレッドジェニアルもアドマイヤジャスタの後ろで内目を回し、4着に激走したサイモンラムセスは最内でした。外を回してしまったエアウィンザー、サトノルークスあたりも全く伸びなかったので、内外で馬場の差がかなりあったはずです。

直線L1標識付近です、サトノフェイバーが粘るところスムースに外に出したパフォーマプロミスと、4コーナーから中目を回していたラヴズオンリーユーが伸びてきます。 レッドガランが一杯になり、その後ろからレッドジェニアルがジリジリと足を伸ばしてきます。さらにサイモンラムセスも内から伸びてきて4着と、馬場の良い部分を通った馬が上位に来ています。そういう意味では3、4コーナーで中目を回したラヴズオンリーユーが、ハナ差の2着を確保したのはとても立派だったと思います。 

では1頭ずつ見ていきます。

1着はパフォーマプロミス、一年三ヶ月の骨折休養明けでしたが調教を見る限りかなり仕上がっていました、1枠を生かして終始最内をロスなく回し、直線入り口から中目に出してスムースな競馬が出来ました。予想の段階でも書いた通り体調万全ならば、この馬には展開が最も合うと思っていたので、この1着は何ら不思議ではありません。L4から11.6-11.7-12.1-12.5と11秒台の半ばを連発する展開は得意です、L2から12秒台に減速してしまいましたが、それでも周りも鋭い足が使えるような馬場状態ではなかったために、しっかりと粘り切りました。アルゼンチン共和国杯1着、天皇賞(春)3着の実績は伊達ではありません、体調万全ならばこれぐらいは当然の結果だと思います。この感じからも宝塚記念に出てきて内枠を引くようならば怖い存在になりました。

2着はラヴズオンリーユー、忘れな草賞を勝っているコース適性の高さを如何なく発揮して2着を確保しました、 馬場状態を考えれば3、4コーナーで中目を回してのハナ差2着は立派な成績だと思います。スタートが良くなっているので今後も安定した成績が望めそうです。

3着がレッドジェニアル、今回もゲートの中で大暴れしてしまい出遅れてしまいました、結果的に平均バランスに巻き込まれずに後方で脚を溜められたことで、バテ差しの3着でした。中段あたりからレースをしていた場合、3、4コーナーで外を回してしまう可能性が高いので、今回は出遅れたことが逆に良い方に作用しました。キレッキレのトップスピードの質を持っているわけではないので、出遅れてしまえばバテ差しの展開にならないと届かないというのは、今後もついて回ると思います。

4着が驚きのサイモンラムセスでした、この馬もスタートがイマイチでポジションを諦め後方からレースを進めました。3、4コーナーも最内を回してロスなく進めたこともあり、馬場状態も味方して引退レースで4着と、掲示板を確保しました、 十歳であることを考えれば勝ちに等しい4着だと思います。もちろんこの馬もキレッキレのトップスピードの質を持っていないので、バテ差しの展開になったとしても後方からの時点で届かず勝負には参加できません、今回は引退レースということで何か見えない力が後押ししたのかもしれません。

5着がレッドガラン、3、4コーナーで中目を回したことで最後力尽きてしまいました、ブラックスピネルを交わしに行くタイミングが、もしかしたら早かったかもしれません。直線まで待ってからブラックスピネルを交わしていれば、3着はあったのではないかと思います。先行馬の中では唯一掲示板に残っているので、馬場状態と通ったコースを考えれば改めて力のあるところは見せたと思います。

ドミナートゥスは11着でした、序盤から外を回されてしまったことで早々に力尽きてしまいました、馬場と展開に泣かされてしまったと思います。テリトーリアルは向う正面でなぜか外から上がっていくという意味不明な動きがありました、スタート後に一旦アドマイヤジャスタの後ろまで下げ、2コーナーから向う正面辺りで再度アドマイヤジャスタの前まで押し上げていくという謎騎乗でした、かなりちぐはぐなベースになっているのでこの部分で馬はかなり消耗したはずです、アドマイヤジャスタの後ろからジェシーの位置が取れれば違った結果になっていたのではないでしょうか。

2番人気のサトノルークスは8着、こちらも骨折休養明けでプラス10㎏、その上終始外を回す不利もあり、今回は可哀そうなレースになってしまいました。 キメラヴェリテはスタートが悪く後方からになった時点で勝負権がなく、エアウィンザーも直線全く伸びなかったところを見ると、キンカメ産駒の蓄積疲労が出たのだと思います。

馬券の方は馬連が的中できて、配当も3000円超えと意外に高くついたのでよかったです。