みやや競馬

2019年スワンS 回顧。休み明けのロードカナロア産駒は能力全開。


走破時計 1:21.5  前半600m 34.6  上り3F 35.0

馬場状態は稍重でした、直線でダイアトニックが上がり33.6を出しているので、あまり重い馬場ではなかったと思いますが、騎手の意識としてはハイペースでは持たないと思ったんでしょうね。特に松若騎手と福永騎手がこのペースを容認してしまったのは、最近の好騎乗を台無しにするペース認識でしたね。これで0.4のハイペースバランスでほぼ平均の範疇ですから、トップスピードの質で見劣る馬には出番のなかった展開でした。マイスタイルはトップスピードの質がまぁまぁの物を見せてきました、ここは修正しておかないといけませんね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2018年スワンS、緑が2019年ダービー卿CT、黒が2019年石清水Sのレースラップです。

2018年は良馬場でしたが34.7-35.5のややハイペースバランスでした、前半は今回と0.1しか違わないので、馬場状態に拘わらずこのコースでは前半がスローになりやすいのかもしれませんね。2019年安土城Sで33.9-34.3なので馬場を考えると、意外に流れないコースと覚えておいた方が良いかもしれません。

3F目で11.7に落とした後は一定ペースのレースで、これはイエローマリンバが刻んだラップなので引き上げられませんでした、マルターズアポジーとトゥザクラウンも似た脚質ですが、前半抑えたからと言って後半で速い上がりが使えるわけではないんですよね、このペースでは中段のダイアトニックやモズアスコットにとっては楽な展開だったでしょうね。

マイスタイルにとっても良い展開で、緑のグラフがダービー卿CT3着時のものです。前が引き上げないラップ推移で持続力と、L2の瞬発力を生かすに最適な展開でした。今回も前が引き上げられないラップだったので、L2までしっかりと脚が溜まった感じで、まぁまぁのトップスピードの質と瞬発力で出し抜いたところまでは良かったのですが、さすがに外から勢いを付けてきたダイアトニックにはトップスピードの質で完全に見劣りましたね、これはダービー卿CTでも同じで、トップスピードの質で見劣っています。

逃げたのはイエローマリンバでした、マルターズアポジーはスタートイマイチでリカバリーしましたが3番手の内まで、2番手には外からセイウンコウセイが上がりました。トゥザクラウンが4番手、アマルフィコースト、キングハート、外からマイスタイル、グァンチャーレ、ノーワンまでが中段。中段のやや後ろからカルヴァリオ、モズアスコット、ロードクエスト、ダイアトニック、キャナルストリート。後方からタイムトリップ、モーニン、スマートオーディン、ムーンクエイクという隊列でした。

大外のセイウンコウセイが抜群のスタートを決めましたね、逆にマルターズアポジーはやや遅れてしまいリカバリーしますが3番手まで、トゥザクラウンの内まで上がった段階で手綱を緩めていたので、出負けした時点で行く気が無かったみたいな騎乗でした。トップスピードの質で勝負できる馬ではないので、ここで緩める意図が全く理解できない騎乗でした。同じことがイエローマリンバとトゥザクラウンにも言えて、この2頭もトップスピードの質で勝負できる馬ではないのですが、3F目で11.7まで減速してしまいます。この地点は上り坂の地点で緩みやすいというか自然と減速してしまう地点なんですよね、ここで騎手が意識的に緩めないように誘導するのが大事なんですが、北村友騎手、福永騎手共に逃げではイマイチな騎手ですね。

マイスタイルは5分のスタートからやや手綱を引いて下げて行きました、最初の2F目はほとんどのレースで速くなるので、ここで脚を使わないためには五分に出て下げて行くことです。キーンランドCで抜群のスタートから下げて行ったダノンスマッシュ川田騎手のような騎乗でしたね、田中勝春騎手の好騎乗だったと思います、偶々でしょうけど。同じように下げて行ったのがダイアトニック・スミヨン騎手ですね。

4コーナーから直線入り口です、隊列に大きな変化はなかったのですが、外のモズアスコット、ダイアトニック、スマートオーディンが加速しながら直線に入ってきました。それよりも前に居たマイスタイルはギリギリまで我慢、直線に入ってからL2部分で加速してきましたね。1頭分内を回していたことと前に居たリードでL1標識までモズアスコットの前でした。

L2で前が壁になったのがグァンチャーレでアマルフィコーストとキングハートに進路をふさがれて大きくブレーキしていました。これで一瞬騎手が上体を起こしていたので相当なロスがありましたね、その後内へ行きますが瞬発力が高くないので伸びがイマイチでした。

直線L1標識付近です、赤丸の部分から矢印がグァンチャーレのコースで、さすがにこのコース取では苦しいですね。ここではトゥザクラウンがトップスピードの質で見劣り伸びません、替わって外からマイスタイル、モズアスコット、大きく外に進路を取って伸びてきたのがダイアトニックでした。ダイアトニックは手前を替える時のバランスなのか、大きく外に行ってしまいましたね、後ろに居たスマートオーディンとの比較で見ると、4コーナー出口ではスマートオーディンの2頭分内に居るのに、直線入り口のを過ぎた辺りではスマートオーディンの2頭分外にいます。ここでさすがの騎乗を見せたのがスミヨン騎手で、すかさず左鞭に持ち替えて修正、一気に大外を伸びてきました。流石です。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はダイアトニック、初GⅡでしたがあっさり勝ち切ってしまうあたりロードカナロア産駒らしい高い素質を感じますね、ダービー卿CTで出遅れながらも僅差4着に好走していましたから、驚きの結果ではないのですが、改めてロードカナロア産駒は休み明けのフレッシュな状態の方が良いというのを見せましたね。馬場表記が稍重だったこともあり前に行った騎手がビビッて引き上げませんでしたから、追走は楽だったはずですし、外から理想的な位置取りもできたので、厳しいレースではなかった思います。直線入り口で見せた外に膨らむ行動が癖にならないと良いのですが。次はマイルCSでしょうね、休み明け2走目でどうでしょうか。

2着はモズアスコット、今回は中段やや後ろの位置を取れましたし、外からスムースでしたからこの2着は当然の結果でしょうね。上がり33.8なのでややトップスピードの質が落ちてきた感もありますが、持続力は健在ですね。前に居たマイスタイルをしっかり競り落ちしてきましたから、今後も中段からレースが出来ればチャンスはあるでしょう。

3着はマイスタイル、休み明けの評価を完全に間違えてしまい無印に。巴賞こそ直線で大きな不利があったので度外視していましたが、福島民報杯が2着とやや物足りない内容だったし、非ノーザンF生産馬で先入観が先走ってしまいました。

元々逃げたり先行してL2で出し抜くのが得意な馬で、函館記念でも平気バランスに持ち込んでL2で出し抜き1着でした。1400mでL2の瞬発力を出せるのか未知数でしたが、ややペースが遅かったこともありしっかりとL2で出し抜いてきましたね。トップスピードの質もこの距離ならばまぁまぁの物を見せましたし、距離も含めて幅の広い能力を持ているなと思いました。この馬の評価は修正が必要ですね。

4着がタイムトリップでした、16番人気で4着ですから大健闘ですね。ただマイスタイルとは0.6秒差なので、評価を上げるほどではないですね。この馬は馬場表記と展開がドハマりした印象で、2019年石清水Sで同じコース同じ稍重で勝ち切っています。この時の前半3Fが34.8でタイムトリップの上りが3Fが34.3と今回と非常に似ているんですね。グラフの黒線が石清水Sのラップですが、ほとんど一緒。展開も自身後方から差し切るという全く一緒の展開で、全頭評価で書いたとおり前半無理をしないペースになったこと、これで後半まぁまぁのトップスピードの質で4着まで来てしまったんですね。

5着がグァンチャーレ、休み明けはピリッとしない馬ですが、今回はさらに4コーナーから直線入り口で前が壁になる大きなミスがありましたね。松岡騎手は香港でGⅠ勝利を上げましたが、まだまだ安定感がない騎手ですから過信は禁物ですね。次走はマイルCSだと思うので、休み明け2走目の上積みが期待できますし、コース適正も合悪くないので今回以上に期待したいですね。

トゥザクラウンは自身の武器を自ら捨てる謎騎乗で、テン乗りではないだけに福永騎手の能力を疑うしかないですね。結局逃げて結果を出している騎手ではないので、ペース認識と馬の特徴理解が2流なのでしょう。他力本願のレースでは結果を出しますが、自分でレースを作れる騎手ではないですね、この辺りは北村友騎手や、池添騎手と一緒です。

スマートオーディンはプラス12㎏と明らかに太目残しで、次走へ向けての叩き台でしたね。アマルフィコーストはタイムトリップの勝った石清水Sで凡走しているので、この程度の稍重でも走りに影響があるのでしょう。ノーワンは馬場と展開はドンピシャに合っていたはず、フィリーズレビューと似た展開だったにもかかわらずの凡走は、プラス16㎏の影響でしょうね、馬場コンディションを見てノーワンにチャンスな馬場だなと思いましたが、こういう時に限ってきちんと仕上げられないというのは残念ですね。

キャナルストリートは初輸送の影響でしょうね、ロードクエストは懸念した通り美浦での追い切りがダメでした。この2頭は問答無用で切らないといけなかったのですが、ロードクエストは1400ベストと言ってきて、切ってしまってこられると目も当てられないので切れませんでした。この辺りの思い切りの悪さが外れた原因ですね。