みやや競馬

2020年キーンランドC 回顧。重馬場で適性の差がモロに出た。


走破時計 1:10.6  前半600m 34.8  上り3F 35.8

含水率 ゴール前 12.4%  4コーナー 12.1%

まずは馬場状態ですが重馬場でした、上の含水率は午前4時計測のもので、それ以降かなり雨が降っていました。9Rの小樽特別が1:11.2で外から差しが決まり、内の先行馬は良くなかったですね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

前半600mは9Rの小樽特別よりも0.4遅い34.8でした、これは小樽特別で先行した丹内騎手がクールティアラでペースを落としたためですね。小樽特別では前に行った組は全滅しましたから、ビビリながらという感じでした。2F目に10.9が出ていますが、この地点は内から横山典騎手が上がっていた部分、外からアスタールビーも上がってきてペースが上がるかと思いましたが、横山典騎手が控えるとペースも落ち着いてしまいました。

勝ったエイティーンガールは2020年シルクロードSと同じパターンでした。時計の掛かる馬場で前半ゆったり入って、後半外からスムースに差すという競馬。決してトップスピードの質が高い訳ではないので、こういう馬場状態で上がりが掛かると飛んできますね。函館SSで届かなかった理由がこの辺りですね。

逃げたのはクールティアラ、アスタールビーが2番手、3番手にメイショウショウブ、中段の前からカッパツハッチ、外にヤマカツマーメイド。中段やや前からビリーバー、ダイアトニック、ダイメイフジ、フィアーノロマーノ。中段からライトオンキューで中段や後ろからショウナンアンセム、ダイシンバルカン。中段の後ろからディメンシオン、後方からイベリス、メイショウカズヒメ、エイティーンガールという並びでした。

逃げたのはクールティアラでした、スタート自体はそれ程良くありませんでしたが、他馬が主張しなかったためにやや押して逃げ体勢を築きました。これは9Rで先行勢が全滅したため、普段は逃げている馬の騎手がビビッて消極的になったためですね。このお見合い状態を見てメイショウショウブの横山典騎手が上がって行きます、2F目にペースが上がりましたが、メイショウショウブが控えると再びペースが落ち着いてしまいました。横山典騎手がここで控えてしまった理由は分かりませんが、結果を見ると9着ですから重馬場を苦手にしていて、走り方もおかしかったのかもしれませんね。カッパツハッチの大野騎手、ダイメイフジの菱田騎手も今回は控えて凡走です。

ダイアトニックも前走とは変わって出して行きませんでした、この辺りは次走のスプリンターズSへ向けて、中段からの差しを試す意図を感じます。ヤマカツマーメイドが悪くない位置取りで、この位置で競馬が出来れば今後も安定すると思いますが、今回の着順が5着なので池添騎手がこれを良しとするかどうか。この辺りはレース後のコメントを聞いてみたいですね。

予想の段階で懸念していたライトオンキューとフィアーノロマーノの位置関係、悪い方に出てしまいました。スタート自体はライトオンキューの方が良く、スタート5秒後辺りで内に切り込んでいれば、フィアーノロマーノにリカバリされることはなかったはず、この辺りの位置取りの甘さが騎手の能力ですね。

4コーナーです、クールティアラにアスタールビーが並びかけ、外からヤマカツマーメイド、フィアーノロマーノ、更にその外にライトンキューが並びかけてきます。スタートの位置取りの甘さがここで大きなロスになっていますね。フィアーノロマーノ位置で4コーナーを回ることが出来れば1着もあったはずですが、この1頭分の差がゴール前で効いてきました。昨年と同じようなロスの大きい競馬で、昨年の反省をしていないことがよく分かります。

3着に入ったディメンシオンはフィアーノロマーノのコースですね、その後ろから勝ったエイティーンガールが続きました。結局大外を回したのはライトオンキューだけですから、これで2着は馬の方は高評価でいいでしょ。

直線L1標識付近です、アスタールビーが頑張っていますが、外からライトンキューが交わしに掛かります。ヤマカツマーメイドはジリジリまでで、この馬場は良くないのでしょうね。フィアーノロマーノも重馬場適性の悪さでしょうか、スムースな競馬が出来ていましたが、この辺りでズルズル後退します。ディメンシオンとエイティーンガールが一緒に外から上がってきて1,3着。馬場も外の方が良く伸びているのは9Rと一緒ですね。

エイティーンガールは得意パターン、ディメンシオンは前半楽をした分だけ後半伸びましたね、今回がラストレースだそうで無事に引退できて良かったです。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はエイティーンガール、今年のシルクロードSと似たような展開でしたね。力の要る馬場で前半ゆったり入って後半ズドン、しかも後半も馬場状態が悪いために速い上がりを要求されないと、この馬の好走パターンにドンピシャでした。加えて外枠だった為にスムースなコース取りもできたと、何から何までぴったり嵌ったレースでした。今回の1着でスプリンターズSへの優先出走権を取りましたが、当然良馬場では苦しいと思います。

2着がライトオンキュー、前半の位置取りが全てでしたね、フィアーノロマーノよりも前の位置を取りたかったのですが、騎手の甘さが出てしまいました。それでも2着ですから馬の能力は高いですね、もちろん重馬場適性や洋芝適正があってこそなので、高速馬場での時計勝負に対応できるかどうかが最大の課題ですね。この馬自身1分7秒台で走ったことが無く、2020年函館SSが1:08.1でした、ドバイ帰りで本調子ではなかったはずなので、これを目安にどこまで時計を詰められるか。今後も継続騎乗なら騎手不安は付き纏いますね。

3着はディメンシオン、前半は中段の後ろで足を溜められたことで、3着まで来ました、自身の内容としては好走した今年の阪神牝馬Sと同じような感じで、中緩みからの3F戦と見ることができます。この馬は3F戦で良さを見せているので、今回はドハマりした感じですね。重馬場になって前半のペースが上がらない中で、中段の後ろからになり上りも速いタイムを要求されない、非常に恵まれた感じがします。引退レースで3着と好結果が出せて良かったですね。

4着はアスタールビー、持ち時計が良くないのでこのクラスでは苦しいかと思いましたが、重馬場になったことで前半ゆったりでしたし、後半も早い上がりを要求されなかったことで4着と、いい結果でしたね。上位3頭とは差がありますから、馬場状態があったとはいえこのクラスでは苦しいはず、ローカルOPで活躍しそうです。

5着はメイショウショウブ、悪くない位置取りですが直線差せないんですよね、フィリーズレビュー2着の時の後半3Fのラップは、11.5-12.0-12.5と消耗戦になっていますが、今回は前半が遅かったので11.9-11.9-12.0と案外消耗していないんですね。こうなってしまうとこの馬のトップスピードの質では流れ込むのが精一杯でした。前半の位置取りは良かったと思うので、今後も先行出来ればチャンスは有るはずです。重馬場適正は良くないですね。

今回は重馬場適性が如実に出た感じでしたね、まずロードカナロア産駒の4頭ではアスタールビー4着、ヤマカツマーメイド5着ですがこの2頭は上位3頭からかなり離されましたね、なのでこの2頭は重馬場適性があるわけではなく、前半の位置取りで得た貯金で流れ込めたと考えた方が良いと思います。この2頭の競馬ぶりからも重馬場では末が甘くなる感じで、中段からになったダイアトニックも勝負所で全く動けませんでした。イベリスに至っては追走にも苦労する有様で、ロードカナロア産駒の重馬場適性の悪さは覚えておきたいと思います。

フィアーノロマーノも直線までいい感じでしたが、L1で失速しているので重馬場では末脚が極端に鈍るようですね。同じ感じだったのがメイショウショウブで、この馬も良馬場で見直したいですね。

馬券の方は相変わらず馬連だけ的中、エイティーンガールが思いのほか人気していたようで、配当が想像以上に安くて・・・、3連単は相変わらずの外れだったのでトータルでトリガミでした。次回は1週挟んでセントウルSの予定です。