走破時計1:57.8 上り3F33.6 60.5-57.3スローバランス
良馬場 含水率 ゴール前 14.7% 4コーナー 13.7%(5:00)
クッション値 9.7 標準(7:00)
まずは馬場状態ですが良馬場でした。
2020年
9R国立特別2勝クラスマイル戦 1:35.2 上り3F最速33.0
11R天皇賞(秋) 1:57.8 上り3F最速32.7
2019年
9R紅葉S 3勝クラスマイル戦 1:32.0 上り3F最速33.0
11R天皇賞(秋) 1:56.2 上り3F最速33.7 前半1000m59.0
良馬場ですが昨年と同じくらいの超高速馬場でしたね、走破時計は昨年よりも1.6秒遅いのですが、前半1000mの分が1.5秒あるので昨年と同じ馬場状態と思って良いと思います。面白いのが7Rの1勝クラス1400mを勝ったのがアカノニジュウイチなのですが、上り3F32.5というかなり速いラップを叩き出しています。実はこのアカノニジュウイチは昨年の10月27日デビューで、新馬戦なのでスローでしたが上り最速32.9で勝ち切っています。この日こそまさに昨年の天皇賞(秋)当日だったので、今日の馬場は昨年と一緒と考えて良いと思います。
まずグラフから見て取れるのは川田騎手は昨年と同じレースを作ったという事ですね、もちろん昨年は逃げたのがアエロリットでしたし、前半1000m59.0でしたからまったく一緒ではありませんが、スローからのロンスパにという意図を感じさせる逃げでした。正直言ってこの展開はダノンプレミアムの脚質とは合っていないと思います、ダノンプレミアムは瞬発力で出し抜き押し切りたいタイプで、ロンスパを押し切る程の持続力はないんですよね。昨年は2着でしたがアーモンドアイに0.5差を付けられました、今年も0.4差つけられているのでこの展開では逆転不可能でしょう。スローバランスを作りだしたまでは良かったと思いますが、昨年と同じL3最速ではなくL2まで待っても良かったような・・・。L3標識付近でアーモンドアイがかなり前に居ましたから、川田騎手も焦ったかもしれませんね。アーモンドアイに前に出られてしまうと逆転は無理ですから、これはアーモンドアイを中段の前に位置させたルメール騎手の上手さでしょうね。
L3からの目視推定のラップです。
アーモンドアイ 10.9-10.8-11.4
フィエールマン 11.5-10.7-10.6
クロノジェネシス 11.5-10.5-10.8
まずアーモンドアイですがトップスピードの質が若干落ちてきたかもしれませんね、L3から10秒台に入れているので長くいい脚を使ってきた、もちろん最高レベルでの話ですが。昨年のアーモンドアイならばL2で勝負を決めてしまい、ここまで詰め寄られることはなかったと思います。
フィエールマンはクロノジェネシスに首差先着しました、L2ではクロノジェネシスの方が速いラップで、L3ではフィエールマンの方が速いラップでした。この2頭は持続力が若干低いのでどこで脚を使うかが難しいところ、L2で使ったクロノジェネシスがL1で若干落としてしまった、フィエールマンは福永騎手がL2標識付近から追っていましたが、反応イマイチで坂を上がってからエンジンがかかった感じでしたね。ゴール前の勢いは明らかにアーモンドアイを上回っていましたが、あと100mあれば逆転で来たかと言われると疑問です、フィエールマンも持続力が高くはないので、あと100mあったら失速すると思います。
逃げたのはダノンプレミアム、2番手にダイワキャグニー、キセキが続いてアーモンドアイ、ダノンキングリー、ウィンブライト、ブラストワンピース、ジナンボーは中段で一塊、その後ろにクロノジェネシス、フィエールマン、後方からスカーレットカラー、カデナという並びでした。
逃げたのはダノンプレミアム、外枠ですしアーモンドアイの後ろからでは勝負にならないと考えたのでしょう、これは非常に良い作戦だと思います。川田騎手は考えて乗ってるなと思うのはこの辺りですね、しかも他馬が来ないことでスローに落とせましたし、4コーナーまでは理想的な展開を作ったと思います。
アーモンドアイはスタート五分に出たことで、ペース次第で前にも後ろにも行ける自由度がありましたね。前が遅いと見て中段の前を確保したのは、ルメール騎手が高いペース認識を持っているからでしょう。逆にダノンキングリーの戸崎騎手はキセキに譲っただけでなく、向正面ではアーモンドアイの後ろまで下げてしまいました。ペースが遅いにもかかわらず下げるのはいただけないし、アーモンドアイよりも後ろからでは勝負にならないのは目に見えていたはず。思慮の浅い騎乗をしているなと言わざるおえませんね。
スタートで狭くなったクロノジェネシスとフィエールマンが中段の後ろから、この2頭は中段に対して2馬身程間隔を空けてゆったり入っていました。後方からはスカーレットカラーとカデナがいつも通り。
直線L2標識付近です、ダノンプレミアムはL3区間で一気にスパートしました、この馬はこれが出来るんですよね。金鯱賞や弥生賞でもこのスパートで勝負を決めていました、しかし今回は1F早かった感じですね。キセキとダイワキャグニーはこれに反応できず、アーモンドアイは反応してキセキとダイワキャグニーに並びかけました。ダノンキングリーは直線入り口でやや外に寄れました、大きな影響はなかったと思いますが、ここから全く反応しませんでしたね。ブラストワンピースもここで一杯になりました。
クロノジェネシスはここでウィンブライトの外に持ち出し加速体勢、フィエールマンはウィンブライトの後ろで空気抵抗を避けていましたね。クロノジェネシスにとっては前に居たのがウィンブライトというのは不運でしたね、休み明けだけでなく府中適性も低いウィンブライトの後ろでは、勝負にならないと考えるのも無理はありません。
直線L1標識付近です、ダノンプレミアムが抜け出しましたが、アーモンドアイが1馬身程まで差を詰めてきました。ダイワキャグニーはここで一杯、キセキはジリジリまでで伸びるという感じではないですね。外からクロノジェネシスがアーモンドアイに追走して、アーモンドアイとクロノジェネシスは2馬身程の差、クロノジェネシスとフィエールマンの差も2馬身程でした。
ここからアーモンドアイがダノンプレミアムを捉えます、ダノンプレミアムのL1は推定12.0なので、ダノンプレミアムの持続力は高いとは言えませんね。アーモンドアイが抜け出したところで、クロノジェネシスが迫りますが、さらに勢いよくフィエールマンが猛追します。フィエールマンは坂上から一気に伸びてきたので、平坦部分での勝負が合っていますね。
では1頭づつ見て行きます。
1着はアーモンドアイ、危なかったな~というのが第一印象ですね。昨年までならこの展開でここまで迫られることはなかったと思うので、やはりアーモンドアイもわずかながら衰えているのでしょう。スタート五分に出たことで、ルメール騎手のポジション取りに自由度がありましたし、抜け出すタイミングもドンピシャでした。8冠達成おめでと~、なんですが今後に不安を残した勝ち方でした。
2着はフィエールマン、福永騎手がこの馬の能力を考えて追い出しを遅らせたのか、いつもの福永競馬が嵌ったのか分かりませんが、坂上からの伸びは凄いものがありましたね。追い詰めた相手がアーモンドアイですから、余計に際立つ末脚でした。が、多分あと100m有っても交わせなかったと思います、この馬自身持続力はそこまで高くないので、アーモンドアイが垂れれば別ですが足の使いどころが難しい馬なんですよね。それと坂での反応よりも坂を上がってからの方が明らかに良かったので、平坦向きと考えていいかもしれません。昨年の有馬記念でもL1標識では先頭に並んでいながら、リスグラシューはともかく、サートゥルナーリアに見劣り、ワールドプレミアにも差されているので、坂は苦手なのかも。
3着はクロノジェネシス、直線入り口で前に居たのがウィンブライトだったのは不運でした、もしアーモンドアイの後ろだったら2着は確保していたと思いますし、1着の可能性もあったかな~。L1で落としているように持続力勝負にはやや不向きですね。
4着がダノンプレミアム、L1で落としているように持続力ではなく、瞬発力で勝負する馬ですからね、これは仕方ないと思います。このレースを見て思ったのは、有馬記念なら勝てるかも。というのも直線が短い方がこの馬の良さが出ると思うんですよね、もちろん逃げもしくは2番手先行からスムースに抜け出した場合ですが。3歳時ですが弥生賞がそういうレースになっていて、ワグネリアンを圧倒して圧勝でしたからね。川田騎手らしい工夫をしてきたなと思いました。
5着はキセキ、トップスピードの質が落ちていますね、毎日王冠で10秒台にラップに反応していましたが、さすがに年齢を重ねて瞬発力共々落ちてきた感じです。これを踏まえて先行してしまえば補えると思うので、高速馬場にならなければまだまだやれそうですね。
ダノンキングリーは最下位でした、直線の途中で戸崎騎手も止めていたので、反応が無くなったのでしょうね。最後まで追えば着差はもっと小さかったと思いますが。マイルCSは初輸送だったので度外視して良いと思いますが、それ以外での凡走は7着だった安田記念、今回と同じ58㎏でL2のラップが11.0の地点で反応が悪くなりました。小柄な馬なので58㎏を背負って、10秒台のラップを要求されると苦しくなってしまうと考えると納得がいくのですが。
ブラストワンピースは11着、前走もレース前に大汗をかいていましたが、今回も汗こそ目立ちませんでしたがプラス8㎏で、過去最高馬体重でした。重いかな、ダイエットした方が良いかもしれませんね。それと意外にも58㎏以上での好走歴がないんですよね、これだけの馬格がありながら斤量負けするとは思えませんが。
馬券の方は馬連だけ、ダノンプレミアムの逃げは想定外でしたし、ここまでの超高速馬場になるとも思いませんでした。次回はエリザベス女王杯の予定です、阪神での開催なので馬場状態をしっかり見極めて、宝塚記念を参考にした予想をして行きたいと思います。