走破時計1:31.7 前半800m46.4 上り3F33.9
上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2020年安田記念のグラフです。
まず今回は前後半46.4-45.3でスローバランスでした。2020年安田記念は45.7-45.9で平均バランスでした。走破時計がほぼ一緒なので、今回はより後半のスピードが求められています。最速はL2で11.0ですがこれはレースのラップでダイワキャグニーのもの、インディチャンプ、シュネルマイスター、グランアレグリア、ダノンキングリーとついでにカデナはL2が10秒台のはずです。昨年のL2部分の11.0はほぼグランアレグリアのラップなので、今年はトップスピードの質が問われたし、ダノンキングリーは最後の最後持続力で差し返した感じでした。
昨年はダノンスマッシュが3F目で大きく緩めませんでしたが、今年はダイワキャグニー石橋騎手が一気に減速して11.6、これは逃げが予想されたトーラスジェミニが控えてしまったから。スタートは出ましたが二の足はダイワキャグニーの方が良く、1F目で戸崎騎手は逃げるのを止めましたね。後ろを見て促すのをやめているので、戸崎騎手にしてみれば「しめしめ」ってとこでしょうか。
ダノンプレミアムは7着、前半46秒台だったので過去2回の安田記念の時よりも前半は楽だったはず、これでⅬ1垂れてしまったのは持続力の問題でしょうね。この馬は昨年の天皇賞(秋)で逃げて4着、この時はL4から11秒台に入りⅬ3最速10.9でしたが、L1で垂れてしまいました。ダノンプレミアムはスローからのL2最速戦で、直線の短いコースが良さそうですね。
逃げたのはダイワキャグニー、2番手にトーラスジェミニ、中段の前からダノンプレミアム、ラウダシオン、中段のやや前からギベオン、インディチャンプ、中段からシュネルマイスター。中段やや後ろからダノンキングリー、サリオス、中段の後ろからグランアレグリア、ケイデンスコール。後方からカラテ、カデナ、カテドラルという並びでした。
ダイワキャグニーはスタート出れば逃げる気があったようですね、トーラスジェミニの二の足が遅かったこともあり楽に逃げ体勢を作れました。ただこの馬はキンカメ産駒で7歳なので、蓄積疲労によりトップスピードの質が低くなっている感じです、スローバランスにしてしまったのは良くなかったですね、これならトーラスジェミニに行かせて、ハイペースバランスにしてもらった方が良かったかも。スタート良く二の足も良かったギベオンがなぜか控えてしまいました、トーラスジェミニのハイペース先行を予想したからだと思いますが、西村騎手は乗っている時のペース認識が良くないので、予想外にスローペースになった時に臨機応変な対応が出来ない感じです。
シュネルマイスターはスタートで若干遅れてからリカバリー、中段まで上がったので外枠で良かったですね。ダノンキングリーはスタート良く中段やや後ろで内から2頭目をすんなり取れました。5枠の2頭が前に行ってくれたし、カデナがいつも通り後ろからだったので内がポッカリ空きましたね。グランアレグリアは中段の後ろから、ヴィクトリアMの時は中段からだったので、このポジション取りは疑問があります。
4コーナーです、4F目から加速ラップを踏む展開で捲くり上げてくる馬は居ません、ここでダノンキングリーが外目に進路を伺っていました、ケイデンスコールとシュネルマイスターの間隔が空いていたので、直線入り口で外に膨らむ分を加味して、川田騎手はここを突いてきました。グランアレグリアはステイ、前を見ていました。
直線L2標識付近です、ダイワキャグニーが先頭でトーラスジェミニが続きます。ダノンプレミアムはスムースに内から、ラウダシオンはこの辺りで手応えが悪くなりここから失速しました。インディチャンプが持ったままラウダシオンを交わして、その外にシュネルマイスターが伸び始め、この後ろにダノンキングリーとグランアレグリアがほぼ横並び。内からはカデナの手応えが良かったですね。
直線L1標識付近です、ダイワキャグニーが一杯になり、トーラスジェミニが先頭。外からインディチャンプが先頭に並びかけます、残り300m位まで追い出していないので、余程手応えが良かったのでしょうね。その外からシュネルマイスターとダノンキングリーがスムースに伸びてきて、グランアレグリアはラウダシオンが下がったスペースを使ってインディチャンプの内へ行きました。
グランアレグリアはここから一旦先頭に立ちます、恐らく全馬の中で最も速いトップスピードの質を出していると思います、インディチャンプも同じくらいでしょうか。ダノンキングリーはトップスピードの質では若干見劣りましたが、ゴール前踏ん張ってクビ差先着しました、ダノンキングリーは持続力の高い馬ですから、今回4F目から加速ラップを踏み続けて、L1でも減速率を低く抑えたことが勝因でしょうね。
では1頭づつ見ていきます。
1着はダノンキングリー、小柄な馬で過去に58㎏を背負った時はピリッとしませんでした、斤量負けを危険視して無印にしましたが、まんまと勝たれてしまいお恥ずかしい限り。今回はトップスピードの質と持続力をフルに発揮して、そして発揮しないと勝てない展開にしてもらったので、適性がドンピシャで嵌りましたね。スタート後に内がポッカリ空いて、終始内から2頭目をストレスフリーで回れましたし、4コーナーから直線入り口でのコース取りも完璧でした。川田騎手、テン乗りでもGⅠだとしっかり乗るのね、土曜日もしっかり乗って欲しかったです・・・。
2着はグランアレグリア、マイルで良馬場で2着ですか。力負けしたというよりも、陣営もルメール騎手も油断があったのではないでしょうか、まず最終追い切りがルメール騎手ではなく杉原騎手でした。しかもウッドコースではなく坂路、この馬の最終追い切りが坂路だったのは2020年高松宮記念の時です、そうです2着だったあのレースです。なので今回は陣営としても負けるはずはないと考えていたのでは?もちろん中2週なので疲労を懸念した可能性はありますが、中2週で100%に仕上げられないのなら出走しないはずなので、100%でなくても勝てると考えていたと思います。
ルメール騎手の騎乗からも油断を感じました、それが初手の位置取りです。上の図はヴィクトリアMの初手の位置取りですが、中段をしっかりと確保しています。今回はスローバランスですから、スムースだったとしても際どかったはず。4コーナーで外へ出さなかったのはカテドラルとケイデンスコールが居たこともありますが、道中のペースが遅いことを感じたルメール騎手が、外へ出したら届かないと考えたのかも。L3では待たされていますから瞬発力が高くないこの馬には苦しかったですね、昨年はL3で勢いを付けてL2で勝負を決めてしまいましたからね。最後にダノンキングリーに差し返されたのは、やはり中2週の疲労でしょうか。
3着はシュネルマイスター、Ⅼ2標識ではグランアレグリアとダノンキングリーの前に居ましたから、この2頭にはトップスピードの質で見劣った格好ですね。最後にインディチャンプを競り落としていますが、4㎏貰っているので現状では古馬相手に善戦迄ですね。ここからの成長が順調なら次代のマイル王の資格十分でしょう。
4着はインディチャンプ、L2標識過ぎでは持ったまま先頭に並びました、余程余裕があったのか、それとも昔の福永騎乗が復活してしまったのか、L2で勝負を決めるつもりで追い出していれば3着はあったのではないかと。昨年はグランアレグリアともスムースなレースで0.5秒差、マイルCSではグランアレグリアが待たされて0.1秒差なので、この差はどこまで行っても縮まりそうもないですね。
5着はトーラスジェミニ、昨年のディセンバーSが1800mでスローバランスを逃げ切り、この時は5F戦に持ち込んでいたので持続力を見せていました。今回も心肺機能は問われず持続力で踏ん張りましたが、如何せんL2のトップスピードの質で見劣ってしまいました。雨が強くなりトップスピードの質が問われなければ、あわやということもあったかもしれませんね。
6着がカデナ、3,4コーナーで内目を回していたし、直線無スムースでしたが、いい脚は一瞬でそれがL1まで続かなかった感じですね。8着サリオスは今後買いにくくなりますね、ラウダシオンは15着、直線入り口で早々に一杯になっているので、中2週の疲労でしょうか。
馬券の方は58㎏のダノンキングリーを無印にしてしまい完敗でした。次回はエプソムCと函館SSの予定です。