みやや競馬

2022年高松宮記念 回顧。微妙な馬場状態を味方に出来た馬。

走破時計1:08.3    前半600m33.4   上がり3F 34.9


まずは馬場状態ですが重馬場でした、土曜日に23.5㎜降ったこと、雨が上がったのが日付が変わったころだったので、乾く時間がなく予想とは逆に重馬場でした。ただ重馬場の割に1:08.3、上がり最速はエイティーンガールの33.8なので、実質稍重位と見た方が良いかもしれませんね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2021年高松宮記念、緑は2020年高松宮記念、黒は2022年オーシャンSのグラフです。

今年を含めて過去2年も重馬場で昨年は1分9秒台、今年と2020年は1分8秒台です。2020年と比べても今年は前半の3Fがやたら速かった、33.4ですから前に行った馬は苦しくなりましたね。その中でもキルロードはよく粘りました。キルロードの前半3Fは33.6くらい、福島テレビOPで前半32.8を先行して押し切ったので、心肺機能の高さは見せていましたね。今年はL1が12.4迄落ちていますから、いかに前半が苦しい展開だったか分かります。2021年の方が馬場は悪かったはずですが、それでもⅬ1が12.0なので、ペースが速過ぎでした。

L1が12秒台に入ったことで台頭してきたのが、ナランフレグ1着とロータスランド2着ですね。ナランフレグは前走のオーシャンSで後方から2着、今回は内でロスなくバテ差しを決められました。ロータスランドは元々L1が12秒台に落ちると好走する馬ですから、この2着は驚けないですね。オーシャンSで中段やや前からだったジャンダルム、今回はレシステンシアのすぐ後ろで2番手先行、オーシャンSは良馬場ですから、重馬場で同じようなペースで先行して心肺機能で足りなくなりましたね。なのでジャンダルムは後ろからだったら好走していたかもしれませんね。

高松宮記念は内枠優位のレースで有名ですが、昨年は8,7,5枠の決着でした。過去の傾向を見てみると・・・。

2021年は4コーナー内から5頭目を回したダノンスマッシュ、レシステンシア、内から2頭目のインディチャンプ。

2020年は4コーナー逃げて最内のモズスーパーフレア、最内のダイアトニック、内から3頭目のグランアレグリア、1着入線のクリノガウディ―も内から3頭目。

2019年は最内のミスターメロディ、内から2頭目のセイウンコウセイとショウナンアンセム。

2018年は内から3頭目のファインニードル、内から2頭目のナックビーナス、最内のレッツゴードンキ。

2017年は内から2頭目のセイウンコウセイ、最内のレッツゴードンキとレッドファルクス。

2016年は内から3頭目のビッグアーサー、ミッキーアイル、アルビアーノ。

2015年は内から2頭目のエアロヴェロシティ、内から4頭目のハクサンムーン、ミッキーアイル。

纏めると1分8秒台ならば内から3頭目以内、2015年はレース中も雨が降っていて内がかなり荒れていたので、多くの馬が内を空けていましたから、ハクサンムーンとミッキーアイルも実質内から3頭目でした。2021年のダノンスマッシュとレシステンシアは内から5頭目なので、本格的な重馬場で走破時計が1分9秒以上かかるようなら、外を通しても勝負になるということですね。

逃げたのはレシステンシア、2番手にジャンダルム3番手がライトオンキュー、キルロードでここまでが先行勢。中段の前からレイハリア、ロータスランド、ファストフォース。中断のやや前からサリオス、クリノガウディー、メイケイエール、中段からシャインガーネット、中段のやや後ろからトゥラヴェスーラ、ダイメイフジ、中段の後ろからナランフレグ、サンライズオネスト、グレナディアガーズ。後方からエイティーンガール、ダイアトニックという並びでした。

スタートが良かったレシステンシアが逃げ体勢、ジャンダルムが続き、その外にキルロードでした。意外だったのはレイハリアで、スタートは良かったのですがすぐに控えてしまいました。前走の京阪杯で馬群に揉まれると良くないことは分かっていたはずですが、あっさり控えてしまう謎騎乗でした。ライトオンキューが内から先行して、サリオスもスタートが良かったですね。ファストフォースはスタート五分でしたが、いつも通り二の足が遅く中段の前までが精一杯でした。

スタートが遅かったのがダイアトニック、馬場入り時に観客の大声に驚いたようで、平常心を保てなかったのでしょうね。メイケイエールもやや遅れていました、前走は出ましたが不安定ですよね。グレナディアガーズもやや遅れて、リカバリーしませんでしたね。ナランフレグは中段の後ろで、最内を通して距離ロスなしでした。

4コーナーです、レシステンシアが緩めることなく進めて、ジャンダルムが追走。キルロードが内から3頭目で、そこから1頭置いてロータスランドがスムースでしたね。メイケイエールは内から4頭目、ちょっと外を回されてしまった感じ。トゥラヴェスーラが最内を回して、その後ろからナランフレグがスムースでした。グレナディアガーズも内から4頭目を回していました。

直線L2標識付近です、L3で11.0が出ているので、ここではナランフレグも待たされていませんね。この辺りではまだレシステンシアもジャンダルムも先頭、ライトオンキューも追走できていました。サリオスがレイハリアを外に張りながらコース確保。そのおかげでロータスランドのコースが出来ました。外へ行ったメイケイエール、クリノガウディ―、グレナディアガーズはこの辺りでも伸びがイマイチでした。

直線L1標識付近です、L2区間でレシステンシアとジャンダルムにキルロードが並びかけます。ナランフレグは前のトゥラヴェスーラとのコース争い、ここからジャンダルムが1頭分外に寄れたことでスペースが出来て、トゥラヴェスーラとレシステンシアの間を抉じ開けて、ナランフレグが伸び差し切り。L2区間でレイハリアを外に張ったサリオスは、勢い余ってキルロードとの間に1頭分の間隔が空き、このスペースをロータスランドが使ってジリジリ伸びて2着。この区間でも外へ行った全く伸びませんでした。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はナランフレグ、最内をスムースに回して直線バテ差し、ゴールドアリュールに母父ブライアンズタイムですから、なぜ芝を使っているのかと言いたくなる血統。この血統も今日の馬場にはドンピシャでしたね。元々トップスピードの質は高くはないので、バテ差しの展開待ちでコースが空くかどうかという馬。それが大一番でバテ差しの展開になり、直線も内が空いてくれ、馬場状態もドンピシャと全てが噛み合いましたね。前走のオーシャンSでもパワーアップは確認できたし、6歳にして本格化した感じ。ただ自力で勝ち切ったという感じではなく、外的要因が全て噛み合った感じなので、次走人気になってあっさり凡走しそうな気もします。

2着はロータスランド、この馬の好走は驚けませんね。元々L1で12秒台に入ると好走する馬ですから、今日の馬場とハイペースバランスは好条件でした。直線でサリオスがコースを空けてくれたので、スムースに伸びました。この馬の場合はマイルCSのように、トップスピードの質が問われるとボロ負けするので、自分で逃げて展開を作れるようになればいいのですが。

3着はキルロード、ロードカナロアに母父サクラバクシンオーですから、1200mでこその馬ですね。距離適性を見せたのが2走前の信越Sで、重馬場の1400mでL1失速ですから、良馬場なら1400mまでですね。前走のオーシャンSでは出遅れてしまったので、敗因はハッキリしていましたし、福島テレビOPで前半32.8を先行して押し切ったので、心肺機能は見せたいましたね。

4着はトゥラヴェスーラ、2年連続4着ですね~。直線L1標識まではスムースでしたが、ジャンダルムの前に出てから右に寄れて行きました。苦しくなって寄れた感じではなく、手前を替えたところで急激に右に寄れて行ったので、この距離ロスが勿体なかった。まっすぐ走っていれば着差が少ないだけに1着もあったかも。左回りが悪い訳ではないことは今まで見せていますが、今日の寄れ方を見ると右回りの方が更に良い走りをしそうなので、スプリンターズSでは要注意の1頭ですね。

5着はメイケイエール、4コーナーで内から3.5頭目くらいですね、ギリギリのコースですが直線伸びなかったので、外枠が仇となりましたね。スタートもちょっと遅れたので、まだまだ信用が置けるわけではないと思います。0.1差5着ですが重馬場だったので、着差を額面通り受け取れないと思います。パンパンの良馬場でもう一回見てみたいですね。

ダイアトニックは14着、返し馬で観客の大声に驚いて大きくバランスを崩し、その後もハミを噛んでいまった感じでしたね。これで気分を損ねたようで出遅れてしまいました。スタートは良い馬なので残念なアクシデントでした。こういうこともあるので、出来るだけ観客から離れた位置で本馬場入場させた方が良いですね、JRAには改善して欲しいです。

レシステンシアは6着、当日はプラス18㎏で調教後のプラス30㎏からは絞れていましたが、この馬体重はいくらなんでも重過ぎ。これで0.3差6着は立派ですね。馬の問題ではなく、助手のコメントで「今の状態なら負ける要素は見当たらないなんて嫌なコメントも出ていたし、前日日経賞の横山武騎手の騎乗ぶりもリズムの悪さに繋がった感じですね。万全の状態ならこのペースでも問題はなかったと思いますが・・・。

馬券の方はハズレ、馬場状態の予想が外れましたが、例え馬場状態をドンピシャに予想していても、この3頭を上位には評価できませんでした。来週は大阪杯の予定です。