みやや競馬

2019年鳴尾記念 全頭評価。その1。

<レース傾向>

過去5年複数回3着以内に来ている種牡馬はディープインパクト3回、ステイゴールド2回、ブラックタイド2回です。夏競馬が始まる直前なので、メンバーは手薄になりますね。ディープ産駒は3頭が連絡み、スマートレイアー、サトノノブレス、ステファノスと持続力が高く、トップスピードの質はまぁまぁ、瞬発力は低いタイプですね。この傾向は他の種牡馬にも言えて瞬発力やトップスピードの質は重要ではないですね、阪神コースは勝負所のL3,L2が下り坂でなので、トップスピードの質と瞬発力は誤魔化せるという事でしょう。

開幕週で当然のように高速馬場になるので、後方からの追い込みは届かないことが多いですね。過去5年で追い込んで3着以内に来たのはマジェスティハーツ2着、フラガラッハ3着だけで、いずれも少頭数で何とか届いたという感じ。上がり33秒台で3着以内に来たのもスマートレイアーだけ、トップスピードの質は問われないのでしょう。逃げ馬も良くなくて3着以内に来たのは2年前のステイインシアトルの1着だけ、この時は豊騎手がドスローバランスにして、走破時計1:59.4だった、ちなみにこの時の10R三木特別1000万条件のハンデ戦1800mで1:45.8だったので、いかに豊騎手のペースに翻弄されたか分かりますね。今年も逃げそうな豊騎手がどんなペースを作るのかがポイントになりそう。

では1頭ずつ見ていきます。

<ギベオン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く持続力の高い先行粘り込みタイプ。

・良馬場で2000mまで、渋れば1800まで。

”2018年NHKマイルC”では平均バランスのハイペースを中段の前から直線L2で抜け出したところをトップスピードの差でケイアイノーテックに差される。”2018年セントライト記念”では大きく離れた追走集団の3番手で実質スローバランス、L3から仕掛けてしまいL1で息切れ大敗。”2018年中日新聞杯”では離れた追走集団の中段から実質スローバランスをL2手前から仕掛けて、一旦ショウナンバッハに前に出られるも差し返して辛勝、トップスピードの質では見劣ったが、2Fの持続力で勝ち切った感じ。”2019年金鯱賞”ではスローバランスを先行したが稍重の影響かL1で失速、休み明けだったがL1まで踏ん張っていたので休み明けも走るが・・・。”2019年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを先行集団の5番手から、L1の坂で苦しくなって5着、斤量が57.5㎏でハイペースを追走してしまい力尽きた。

「鳴尾記念へ向けて」まず前走のダービー卿CTは57.5㎏で前半800m45.1というハイペースバランスを、先行集団に取り付いていた。L2までは踏ん張っていたがさすがにバテて、後方からも差されているが、差してきたプリモシーンは54㎏、ダイアトニックは55㎏、同じ位置に居て3着のマイスタイルは55㎏、前に居て勝ち切ったのが55㎏のフィアーノロマノだから、斤量を考えれば大健闘かもしれない。NHKマイルCを見ても分かるようにトップスピードの質は高くないし瞬発力も低い、しかし持続力は高いので平均バランスを先行すれば垂れない。

金鯱賞ではスローバランスを先行してL1で失速、これは休み明けと稍重馬場で1F長かったのかも。中日新聞杯でも平均バランスを中段からバテ差す格好で伸びた、ショウナンバッハにあわやの所まで詰め寄られてしまったのは、おそらく休み明けの影響でしょうね。で、今回も2カ月強の間隔を空けてしまったのが不安材料、ただメンバー構成を見ても強敵らしい強敵は居ない。中日新聞杯くらいの仕上げでも勝負になると思うが、鞍上が福永騎手なんだよね~、どうしても溜め差しのイメージがある騎手で、この馬みたいに早目に全力でもがい粘り込むタイプとは手が合わない。

不安な点も多いけどメンバーは手薄だし、得意の阪神コースというのは好材料。阪神は1-1-0-0、これはL3、L2が下り坂で動き出しの瞬発力をごまかせるからでしょうね、似たような馬だとラッキーライラックが居て、ラッキーも瞬発力がやや足りないが阪神は異常に好成績だからね~。もう一つはタニノフランケルが豊騎手なので、後半は緩めないはず。スローからのロンスパこそこの馬の得意な展開なので、豊騎手の直後を取れれば勝ち切る可能性十分でしょう。

<サンデーウィザード>・心肺機能は高い、パワーはまぁまぁ、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。

・2017年新潟大賞典後に屈腱炎、2年弱の休養。

”2017年関門橋S”ではスローバランスを最後方から、直線スムースに加速して纏めて差し切り。”2017年福島民報杯”では離れた追走集団の後方からで実質スローバランス、L4から捲って大外を回し直線バテ差しで3着まで、L1はさすがに落としたが持続力を見せた。”2017年新潟大賞典”では平均バランスを中段のやや前から、中緩みから3F戦になりL2最速戦を差し切り、心肺機能の高さと持続力を見せた。”2019年新潟大賞典”ではスローバランスを中段やや前から、L2までは踏ん張れたがL1で失速、この時が浅屈腱炎で長期休養明け2走目。

「鳴尾記念へ向けて」屈腱炎で2年弱の休養があり、近2走は凡走。ノーザンF生産馬で外厩でしっかり仕上げてきたはずですが、レースの負荷はまた別なのでしょうね。かなり長い時間休養していたので、筋肉だけでなく心肺機能は顕著に落ちているはずで、レースで負荷を掛けられたことで変わってくる可能性はある。

2年も前のレース内容になるが新潟大賞典は非常に強い内容で、平均バランスを中段やや前から、直線は持続力を見せつけて勝ち切った、2着はマイネルフロストだがこの時は絶好調時で次走の鳴尾記念も3着になったほどの馬。3着のメートルダールは2馬身離しているから内容は良い。このレースで心肺機能の高さと持続力を見せているし、幸い豊騎手のペースなら持続力勝負になる可能性が高く、復調していればここで復活してもおかしくはない。

<ステイフーリッシュ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低くロンスパ向き。・休み明けでも走るが疲れやすい。

”2017年ホープフルS”では平均バランスを後方で折り合い直線バテ差しで3着。”2018年共同通信杯”ではドスローから質の高いトップスピードを問われて凡走。”2018年京都新聞杯”は休み明けだが初コース、初めての先行策で刺激が入って1着。”2018年神戸新聞杯”でもトップスピードの質で見劣り5着。”2018年チャレンジC”では離れた追走集団の中段から、L3から追い出して持続力勝負を粘って3着。”2019年中山金杯”ではややスローバランスを序盤後方から、向正面で緩んだところを押し上げて3番手へ、4F戦になり持続力を生かして2着、この時の1着がウィンブライトで58㎏を背負っていたので、2㎏貰っていて差し切られてしまったのは印象悪い。”2019年京都記念”ではスローバランスを中段のやや前から、4コーナー外から直線スムースに加速してL2最速戦に反応したが2着まで、この時の1着がダンビュライトなので、展開を考えるとこの2頭がL2最速戦に反応している不思議なレースだった、実際のラップでは自身0.6くらいの加速なので、これくらいなら対応できるのだろう。”2019年大阪杯”ではスローバランスを中段のやや後ろから、終始外々を回されて4コーナーで一杯になり凡走、この時は昨秋から使い詰めで疲労の影響だと思う。

「鳴尾記念へ向けて」前走の大阪杯は度外視していいと思う、さすがに昨秋から使い詰めでお釣りが無かったはず、ステゴ産駒で疲れやすいはずなのに、京都記念まで良く走ったな~という印象で、むしろ無理に使い続けた反動が心配。ワントゥワンが昨秋使い過ぎた影響なのか、今年になって全くダメで引退しちゃったからね~。

中山金杯で緩んだ向正面で動けた機動力は良かったし、4F戦で粘った持続力は斤量差を考えても、まぁまぁ良しとしておきましょう。京都記念が不思議なレースになっていて、スローバランスを中段やや前から、L2最速戦に反応したのが意外だった、この時の1着がダンビュライトでこの馬も瞬発力低いのに反応している、字面の上ではL3から11.9-11.1-12.1だけど、L3は先頭のブラックバゴやタイムフライヤーのもので、ステイとダンビュライトは外から加速しているので、2頭のL3は11.7くら、0.6の加速なら出来るという事かな~。

休み明けについてはまぁまぁで、神戸新聞杯こそ5着だが京都新聞杯では勝ち切っているので不安はないと思う。豊騎手のペースになるはずで持続力勝負になれば好走は出来ると思うが、問題は勝ち切れるのかどうか。トップスピードの質は低いので差し切るのは難しい、もちろんタニノフランケルをベタマークしていれば可能性はあるが、スタートも良い方ではないし、内回りで外から勝ちに行けば距離ロスもある。好走は期待できるけど1着までは難しいタイプかな。

<タニノフランケル>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低く、逃げて粘り込みタイプ。

・休み明け2走目で凡走する、もしくは交互タイプかも。

“2019年小倉大賞典“では離れた追走集団の先頭で実質スローバランス、L4から掴まえに行って2着、メンバー構成を考えても低レベルな重賞で、勝ち切れなかったことは印象悪い、この時が休み明け2走目。“2019年中山金杯“ではややスローバランスを逃げて3着、4F戦、53㎏の軽ハンデ、休み明け。“2018年大原S“ではスローバランスを2番手から4F戦になり1着、この時休み明け3走目。“2019年金鯱賞”ではスローバランスを逃げて凡走、序盤で築いたリードを向正面で緩めたことで自ら消す謎騎乗。

「鳴尾記念へ向けて」フランケルにウォッカと夢のような配合だが、他の兄弟も含めてどうも成績がパッとしない。前走は酷い逃げ方だったし、度外視していいと思うけど、好走した小倉大賞典も中山金杯も軽ハンデだった、今回は別定56㎏で斤量差なしなので誤魔化しは利かないね。

その小倉大賞典、サイモンラムセスが離して逃げて追走集団の先頭でコントロール、自身はスローバランスでL4から徐々に前を掴まえに行って、L1で落としたところをスティッフェリオにバテ差しを喰らった。トップスピードの質はもともと期待できないけど、このメンバー相手に持続力でも見劣ってしまったのは印象悪い、3着は1.1/2離したとはいえサイモンラムセスが逃げ残ってしまうレースだからね~。中山金杯はウィンブライトとタイム差無しの3着だったが、ウィンは58㎏、タニノは53㎏だから評価はできないね。2着のステイフーリッシュも56㎏だったから、今回は厳しいレースになりそう。

期待できる点としては豊騎手への乗り替り、大原Sでも豊騎手が逃げて勝ち切っている、ただこの時も53㎏だった。他に逃げ馬らしい逃げ馬も居ないのでマイペースで運べるはず。2カ月以上間隔を空けると1-0-2-0で連を外していない、肉体的にも精神的にもフレッシュな状態で走るタイプなのかも。もう1点あげれば開幕週の高速馬場で前が止まらない馬場になりそうな事かな。それでも3着に残れれば上出来というのが、これまでの実績からの評価。

<ノーブルマーズ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。・休み明けは良くない。

”2018年ジャパンC”では高速馬場をハイペースで先行して直線失速。”2018年アルゼンチン共和国杯”では休み明け、高速馬場でトップスピードの質で見劣り。”2018年目黒記念”では前半ややスローから4F戦になりトップスピードの質よりも心肺機能を問われて2着。”2018年宝塚記念”ではややハイペースバランスを中段の最内から、L2最速戦を4コーナーで前のミッキーロケットの後ろからスムースに抜け出し3着、稍重のハイペースバランスでトップスピードの質が問われなかった、持続力は高い物を見せた。”2019年日経新春杯”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、4コーナースムースに回してバテ差したが4着まで、後ろからルックトゥワイスに差されたのは印象悪い。”2019年京都記念”ではスローバランスを中段のやや前から、直線やや前が壁になるシーンがあったが、その影響はほとんどなく凡走してしまった、脚を余して負けたのではなく苦しくなって投げ出した感じなので、昨秋以降4戦目で疲労の影響かも。

「鳴尾記念へ向けて」近走の好走というと2走前の日経新春杯の4着、この時はハイペースバランスを中段の後ろから、4コーナースムースに外を回してバテ差すところを、後ろからルックトゥワイスに差されている。持続力は見せたがルックに差されているのはいただけない。その前になると宝塚記念3着、稍重でハイペースバランスを中段の最内から、4コーナーですぐ前のミッキーロケットが道を作ってくれたので、最短コースでスムースだった。バテ差しの持続力は十分あることは見せているが、トップスピードの質と瞬発力は低い、心肺機能が意外と高いので流れた方が良いタイプですね。今回は宝塚記念と同じ阪神内回りで、これは三田特別でも57.5㎏で圧勝している得意コース、再三書いているL3,L2の下り坂で誤魔化しが効くのが良いんでしょうね。

懸念材料は休み明けですね、2か月以上間隔空けると0-0-1-6で3着だったのは条件戦の古都Sだけ、他は全て凡走です。この馬はノーザンFの馬ではないので仕方ないけど、上手く仕上げて欲しいですね。ただ今回はちょっと事情が異なります、この馬5/4のメトロポリタンSへ出走予定でしたが雹の影響で中止になってしまった、もちろんレースは走っていませんが、一度は仕上げているので通常の休み明けとはやや事情が異なりますね。あくまでレースを走っていないので休み明けと捉えるか、調教で仕上げて関東へ輸送までしているので休み明け2走目と捉えるか、結構大きなファクターになってしまいました。

もう一つこれはオカルトじみたことなので話半分に読んでほしいのですが、この馬は5、6月の成績が異様に良いんだよね~、5、6月(4/30の青葉賞と4/29の烏丸Sを含む←この辺りが怪しさ満点)の成績が”1-4-4-1”、それ以外が”4-2-4-13”という内容、複勝率で言うと90%対43.5%で圧倒的に前者。休み明けを除外した5,6月以外の成績は”4-2-3-7”で複勝率56.3%なので、これでも5,6月優位「信じるか信じないかは、あなた次第です!」。まぁ冗談抜きにここで凡走しても、出てくるようなら宝塚記念では黙って買っておいた方が良いかも。