みやや競馬

2020年ヴィクトリアM 全頭評価。その4。

<ディメンシオン>・心肺機能は高い、パワーはある、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高くはない、持続力は高い。

”2018年三面川特別”ではスローバランスを中段から直線前が壁になりL2まで我慢、L2最速戦になり抜け出したがウラヌスチャームに急襲されハナ差の辛勝。”2018年トルマリンS”ではハイペースバランスを離れた追走集団の中段から、自身ややハイペースバランスくらいを直線バテ差しで1着、心肺機能の高さを見せた。”2018年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段やや前から外を回して伸び掛けたが坂で失速。”2019年米子S”では稍重でスローバランスをやや離れた追走集団の先頭から、直線は坂で失速して凡走、この時は休み明け。”2019年関屋記念”ではややスローバランスをやや離れた追走集団の中段やや後ろから、直線は持続力を生かしてジリジリ伸びたが4着、ミッキーグローリーには明確にトップスピードの質で見劣った。”2019年京成杯オータムH”ではハイペースバランスを離れた追走集団の前から、直線スムースに粘って2着、マイルの日本レコードが出る馬場で坂を克服してきた。”2019年府中牝馬S”では稍重で平均バランスを中段から、直線はトップスピードの質で見劣り6着、この時はコンスタントに使われて3走目で疲労の可能性がある。”2019年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー大外を回して直線伸びずに凡走。”2020年京都牝馬S”では重馬場でスローバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースだったが伸びずに凡走、この時が休み明け。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを2,3番手先行、3,4コーナー最内を回して直線スムースに抜け出し3着。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:クラス負けの危険。

2018年三面川特別でまぁまぁのトップスピードの質と高い持続力を見せた、この時の2着がウラヌスチャームでハナ差だったが退けたのは良かった。心肺機能の高さはトルマリンSで見せたし、ターコイズSでもL1の坂までは良いレースをしていた。そのターコイズSと米子SでL1の坂で明確に減速している、恐らく急坂でパワー不足が露呈したんだと思う。坂上ゴールの中山、阪神では勝ち鞍が無く、未勝利戦の2着が精一杯の成績。2019年関屋記念でもトップスピードの質で見劣った、サラキアやソーグリッタリングと同じくらいだと思う。2019年京成杯AHでは超超高速馬場でマイルの日本レコードが出たレースを、離れた追走集団の前から、直線は粘って2着まで、心肺機能の高さを見せた。軽い高速馬場で坂を克服できたのは大きな収穫だと思う。

2019年府中牝馬Sでは稍重だがいつもの府中の馬場、中段からになりトップスピードの質で見劣り6着、この時は関屋記念前に2カ月弱の間隔を取ってから3走目になり疲労の影響もあったと思う。平均バランスを中段からなのでもう少しL1でバテ差してきても良かったはずなので、疲労の影響だと思うのだが。2019年ターコイズSではハイペースバランスを中段やや後ろから進めてしまい凡走、マーフィー騎手で先行しなかったことが敗因だと思う、ヨーロッパを主戦にしている騎手は逃げ・先行を嫌う傾向があり乗り替り時には注意。2020年京都牝馬Sでは中段からになり凡走、休み明けもあったが先行しないことで勝負にならなかった。2020年阪神牝馬Sでは平均バランスを先行したことで粘って3着、休み明け2走目で平均バランスを先行と好走条件がそろっての3着激走だった。

この馬は非ノーザンF生産馬なので間隔空けてしまうとピリッとしない、間隔空けると3-1-0-6と条件戦以外では関屋記念の4着が最高。休み明け良くなく疲れやすい傾向が見られる。

好材料は距離適性で前走の阪神牝馬Sで3着と先行して良さを見せてきた、元々京成杯AHで1:30.9で2着している程で、この時は離れた追走集団の前からだった。その後なぜか先行せずに凡走していたが、前走の先行で再度良さを見せたので馬場状態次第では期待できる。関屋記念でも持続力では良いものを見せていたし、マイルは好相性。前走しっかりと馬体を作ってきた印象があるし、状態が維持できていれば面白いかな。悪材料はクラス負けの危険で、GⅠは初めてになる、前走もサウンドキララに0.3秒離されているので、このクラスで勝負になるかは未知数。非ノーザンF生産馬なので中1か月強は良いと思う。

<トーセンブレス>・心肺機能は不明、パワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力はやや高い。

”阪神JF”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びたが4着まで。”フラワーC”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線外からスムースに伸びて2着まで。”桜花賞”では平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースだったが4着まで。”2020年節分賞”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー最内を回して直線スムースだったが4着まで。”2020年うずしおS”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線入り口でやや待たされてしまい2着まで。”2020年武庫川S”では稍重でスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー最内を回して直線内からスムースに差し切り。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:クラス負けの危険。

<心肺機能について>現状では不明。

<パワーについて>阪神JFや桜花賞でもL1ジリジリだが差を詰めているし、2020年節分賞でもL2の上り坂時点で前との差を詰めているので、かなり高いパワーを有している。フラワーCでもL1差を詰めているし、武庫川Sでも稍重で差し切っているので、武器になるパワーを持っている。

<瞬発力について>阪神JFでL2最速戦を届かず4着、L2で前との差を詰めていないので瞬発力では見劣った。次のフラワーCで2着しているが、この時はスローバランスの3F戦になっている、これで瞬発力を問われずに伸びてきた。桜花賞でもアーモンドアイにはっきり見劣ったし、2020年うずしおSでは直線入り口で待たされてしまい届かなかった。瞬発力は低く勢いを付けた方が良いタイプ。

<トップスピードの質について>桜花賞ではすぐ後ろに居たアーモンドアイにはっきり見劣ったし、久々の1着だった2020年武庫川Sは稍重で、トップスピードの質よりもパワーと持続力を問われている。

<持続力について>フラワーCで3F戦を2着しているし、久々の1着だった武庫川Sでも3F戦で差し切っているように、持続力はまぁまぁ高いものを見せている。4F戦になった時にどうか。

<その他について>この馬はディープ産駒で母系にはFairy Kingがいる、Sadler’s Wellsの全兄弟なので、恐らくトップスピードの質が高くないのはこの辺りが出ているのだろう。武庫川Sでも稍重で勝っているように、パワーと持続力に特化したタイプなのだと思う。

好材料は距離適性で、前走もマイルで久々の1着だったし、阪神JFと桜花賞でも4着と悪くなかった。悪材料はクラス負けの危険で、前走条件戦を勝ったばかりだし、2着に下したヴィッテルスバッハがNHKマイルC15着なので、相手関係も軽かった。道悪なら血統的に面白いけど。

<ノームコア>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”2018年フローラS”ではスローバランスを2番手追走、4F戦に持ち込み粘って3着、この時の1着がサトノワルキューレでトップスピードの質では見劣り。”2019年愛知杯”ではスローバランスを中段やや後ろから、直線伸びたが2着まで、この時が間隔2か月半。”2018年エリ女”ではスローバランスを中段の前から、L2最速戦に反応できずに5着。”2018年紫苑S”ではスローバランスを中段の前から、3F戦を圧勝していてL2で0.5くらいは詰めているので11.0くらいは踏んでいる、一瞬だけいい脚を使うイメージか。”2019年中山牝馬S”ではややスローバランスを中段の後ろから、終始最内を追走して直線でも最内を突いて前が壁、L1だけ追ってバテ差し7着。”2019年ヴィクトリアM”ではハイペースバランスを中段から、直線はスムースに中目に出してしっかり伸びた、ハイペースバランスの消耗戦で持続力を発揮。”2019年富士S”ではスローバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー外目を回して直線外からスムースに伸びて差し切り。”2020年高松宮記念”では重馬場で平均バランスを中段やや後ろから、3,4コーナー外目を回って直線スムースだったが伸びずに凡走。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:レース適性。 悪材料:特になし。

ノーザンファーム生産馬だが競りに出されて個人馬主の所有、デビュー戦は福島で石川騎手と全く期待されていなかった感じだが、そのデビュー戦で能力の片鱗を見せた。前半48.0なので速くはないが前後半で見ると1秒以上のハイペースバランスになっている、これを2頭で競りながら逃げて4コーナーで競り落とし、L3で12.6からバテてしまうかと思わせて、L2で12.2に引き上げてL1も12.2で持続力を見せた、後続には3馬身以上の差をつけて圧勝してる。もちろん相手が弱いんだけど、内容的にはタイム以上に中身があるな~っと感心しました。

勝った愛知杯がスタートで躓いて中段の後ろから、L2から追い出して2着だった、目視だがL2から10.9-11.0くらいは出ているはずでトップスピードも高いじゃんと思ったが、前半1000mが遅過ぎの62.2で超スローバランス、牝馬限定とはいえGⅢのレベルではなかった。翌日の500万条件熱田特別で1:59.8が出る馬場だったことを考えると好評価はできない。2019年ヴィクトリアMが圧巻の内容で、年明け3走目の上積みと母父クロフネの血が覚醒した感じ、ハイペースバランスを中段から進めてスーパーレコードで勝ち切った。これぞフレンチヂュピティの持続力というのをいかんなく発揮してきたし、古馬になって少しずつ適性距離が短くなってきたんだと思う。ベストのマイル戦で最高のパフォーマンスを見せたと思うが、レース後に骨折が判明した。

2019年富士Sでは骨折休養明けで稍重、牡馬混合の重賞と結構厳しい条件だったがあっさり勝ち切った、マイルへの高い距離適性を見せたし、骨折の影響も感じさせない走りだった。2020年高松宮記念では海外帰りの休み明けでプラス11㎏、直線伸びなかったのはこの影響だと思う。

好材料はレース適性で昨年のこのレース1着、富士Sでも同じコースで勝ち切っているので距離、コース共に高い適性を見せている。横山典騎手だがもちろん昨年から見れば騎手弱化、ただ今季好調だし前走も乗っているので大きな不安はないかな~。悪材料は特になく、重馬場以上に悪化した場合は危険だと思う。

<ビーチサンバ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

”アルテミスS”では中段やや後ろから直線早目に仕掛けたが、トップスピードの質で見劣り差される。前半のハイペースにもかかわらずしっかり粘れたのは心肺機能の高さ。”阪神JF”でも中段から上位2頭に並ばれてから仕掛けるが、1,2着馬にはトップスピードの質で見劣り。福永騎手は合わない。”クイーンC”では出遅れ最後方からL3早目に追い出して質の高いトップスピード持続で2着、この時は出遅れて最後方からになり、必然的に追い出しが早かった。 ”桜花賞”ではスローバランスを序盤後方から、中盤にスローペースを見て押し上げて中段で直線、追い出しが遅く5着まで。”オークス”では平均バランスを中段から、直線一杯になり凡走、距離の可能性。”ローズS”ではスローバランスを先行、3コーナー先頭に並び粘って2着、持続力を見せた。”2019年秋華賞”ではハイペースバランスを逃げて5着、心肺機能と持続力、パワーの高さを見せた。”2020年京都牝馬S”では重馬場でスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースにバテ差したが5着まで。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを中段ろから、3,4コーナー最内を回して直線スムースだったが4着まで。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:距離適正、コース適正。 悪材料:クラス負けの危険。

クロフネ産駒で高い持続力を持っているのはクイーンCで見せた、この時は出遅れて最後方からだったことが幸いしてL3から追い出していた、いつもの福永騎手ではありえないタイミングで、出遅れて腹を括った感じ。このレースでは持続力だけでなくトップスピードの質も高いことを示していた。L3から流れてしまえば追い出しのタイミングは、騎手ではなくレース全体の流れに依存できるので展開は重要ですね、間隔を空けつつ走っているのも疲労を考えると好材料で、脚質的に真ん中よりも外目の枠が合いそうですね、瞬発力は高くないのでね~。

クロフネに母父サンデーサイレンスという組み合わせはホエールキャプチャと一緒なので、距離は2000m位が限界だと思う。2019年秋華賞では稍重でハイペースバランスを逃げて5着、1着クロノジェネシスから0.6差は馬場とペースを考えれば高評価でいいと思う。改めて心肺機能と持続力、パワーの高さを見せた。2020年京都牝馬Sでは重馬場でスローバランスを後方から、バテ差しで5着までだったが持続力の高さは見せている。スタートがやや悪く今後に影響しないと良いが。2020年阪神牝馬Sでは平均バランスを中段から、終始最内を回して直線スムースだったが4着まで、トップスピードの質の低さで差せず。

この馬はノーザンF生産馬で休み明けでも走るのは、ローズSで見せている。

好材料はクイーンCでこのコースを2着しているコース適性で、この時は大きく出遅れてしまい後方から早目に追い出し2着だった、この時の1着がクロノジェネシスでタイム差無しは高評価。マイルではアルテミスSでも2着だし、阪神JF3着、桜花賞5着と距離適性は高い。京都牝馬Sでは後方からになったが、阪神牝馬Sではスタート自体は出ていた、福永騎手が控えてしまい中段からになって届かなかったが、出遅れの心配はない。クロフネの血がこのレースと好相性なのは周知の事実で、アルテミスS、クイーンCの好走を見てもプラスの評価でいいと思う。悪材料はクラス負けの危険で古馬になってから3着以内がない事、京都牝馬Sは後方からだったし、前走も前優位だったので展開が悪かった。問題は福永騎手が継続騎乗することで、前走も中段に控えてしまったし、溜め差し職人なので相当なハイペースバランスでバテ差しが効く展開でないと苦しいかも。