みやや競馬

2021年マイルCS 全頭評価。その4。

下線は加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、下線の部分だけお読みください。

<サトノウィザード>・心肺機能は低い、パワーは有る、瞬発力は不明。

・トップスピードの質はやや高い、持続力は高い。

”2020年月岡温泉特別”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー内目を回して直線スムースに差し切り圧勝。”2020年長岡S”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが届かず2着。”2020年大原S”では稍重でややスローバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが2着まで。”2020年ノベンバーS”ではスローバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが5着まで。”2020年立雲峡S”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに差し切り。”2021年ニューイヤーS”では平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが4着まで。”2021年東京新聞杯”ではややスローバランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2021年関越S”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線外からスムースに伸びて差し切り。”2021年富士S”ではややスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて2着。

「マイルCSへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:クラス負けの危険、届くかどうか。

<心肺機能について>2歳時だがつばき賞でハイペースバランスを先行して凡走、同じ位置に居たワールドプレミアが1着だったので、心肺機能は低い。

<パワーについて>立雲峡Sで阪神のL1しっかり伸びているし、ニューイヤーSでもL1の坂で失速はしていないので、パワーは十分にある。

<瞬発力について>現状では不明。

<トップスピードの質について>月岡温泉特別と長岡Sでは10秒台の脚を使っているが、新潟なのであまり評価できない。大原SではL2で11.4の区間で差を詰めていない、ノベンバーSでもスローからの3F戦になり、L3~L2では差を詰められていない。立雲峡Sでは4F戦になり差し切っているが、この時は11頭立てで4コーナーでは先頭から5,6馬身の位置だったので届いた感じ。ニューイヤーSでは平均バランスを後方からで、L2最速戦に持ち込まれてしまい届かずだった。これを踏まえるとトップスピードの質はやや高いというレベルで、4コーナーで前を捉えられる位置に居ないと届かない。特にスローバランスや平均バランスで中緩みがない時は、縦長の状態で直線に入ってしまうので、届かない可能性が高くなる。この中緩みの無い展開が2021年東京新聞杯で、スタート出遅れて後方から届かなかった。2021年富士Sでは後方から上がり最速で2着、東京新聞杯よりも重い馬場だったので、キレッキレのトップスピードの質を見せたわけではない。

<持続力について>大原Sでは4F戦で2着に好走している、立雲峡Sでも4F戦でL1でも自身は11.5くらいは出しているので、持続力はかなり高い。2021年関越Sでは後方から、スローバランスだったが4F戦になり、外から差し切ったので持続力の高さを見せた。2021年富士Sで後方から、中緩みのない展開で2着まで持ってきたので、持続力は高いものを見せた。

<その他について>スタートが良くないのでどうしても後方からになってしまう、多頭数になると直線入り口で前を捉えきれない位置になってしまうことがある。中緩みで中段に取り付ければ、差し切れるだけの破壊力は持っている。

この馬は非ノーザンF生産馬だが、隠れノーザン。

好材料はコース適性で立雲峡S1着、シンガポールTC賞3着なので好相性。前走の富士Sで2着に好走しているのでマイルは好相性ですね。悪材料はクラス負けの危険で、初めてのGⅠなので対応できるかどうか、前走はGⅡで2着に好走したが相手がイマイチ評価しにくいので、メンバーが揃うGⅠでは不安がある。この馬はスタートが良くない上に、今回はミルコに乗り替りなのでスタートは期待できない。末脚は確かだがこのクラスで届くかどうかは大きな不安材料。

適性:竹

<サリオス>・心肺機能は高い、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は高く、持続力も高い。

”新馬戦”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回して直線は持ったまま圧勝。”サウジアラビアRC”ではスローバランスを中段から、直線はL1の持続力でクラヴァシュドールを突き放して1着、この時が休み明け。”2019年朝日杯FS”ではハイペースバランスを3,4番手先行、直線中目からスムースに抜け出し圧勝、心肺機能と持続力の高さを見せた。”皐月賞”ではハイペースバランスをやや離れた追走集団の中段やや前から、3,4コーナー内目を回して直線馬群を割って伸びたが2着。”ダービー”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが2着まで。”2020年毎日王冠”では稍重でハイペースバランスを中段のやや前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースに伸びて圧勝。”2020年マイルCS(阪神)”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが5着まで。”2021年大阪杯”では重馬場でハイペースバランスを3番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに5着まで。”2021年安田記念”ではスローバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。

「マイルCSへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:近走の不振。

新馬戦では持ったまま圧勝してしまったのであまり参考にならないが、トップスピードの質と持続力の高さは見せてる。サウジアラビアRCではスローバランスを3番手から、直線ですぐ後ろに居たクラヴァシュドールに並ばれたがL1で突き放して快勝、トップスピードに乗るのにもたもたした感じに見えるが、ラップを見るとL3で11.2、L2で10.8とシッカリと加速しているのでこれはクラヴァシュドールが強い。その上でL1だけで1馬身半程突き放したのは持続力が勝っていたから、L1で11.5なのでクラヴァシュドールは11.7のはず。走破時計も1:32.7とレコードタイムだが当日は超高速馬場で、1勝クラスの1400mで1:20.4が出ている程なのでそこは考慮すべき。

2019年朝日杯FSではかなりのハイペースバランスを3,4番手で先行して押し切った、2着タイセイビジョンに2馬身半の差を付けていることからも圧勝と言ってよい、心肺機能と持続力の高さを見せた。この時は初輸送だったが堀厩舎は外厩がノーザンFしがらきなので関西圏への輸送は慣れていたし、大型馬で時期的に絞れない分を1往復半の輸送で絞るという工夫をしてきた。皐月賞では中段のやや前から進め、直線中目から先頭に立ったが、馬場の良い外を通したコントレイルの捲り追い込みに屈して2着だった、高い持続力を見せたので高評価。ダービーではスタート五分だったが枠が悪く内に切り込めず中段の外から、直線では前に居たコントレイルに圧倒されて2着まで、それでも3着のヴェルトライゼンデは相手にしなかった。

2020年毎日王冠ではL2で11秒台前半のラップを叩き出して圧勝、変にスローに落とすよりも総合力が問われた方が良さが出る感じ。2020年マイルCS(阪神)ではスローバランスを中段の後ろから、前残りのレースの中で上がり最速を叩き出しているので能力は見せている。2021年大阪杯では重馬場で馬場の悪い最内を進んだ、これの影響か全く伸びずに凡走した。ハーツクライだけでなくジャスタウェイの産駒も含めて、2,3歳の早い時期に活躍してしまうと、古馬になって伸び悩んでしまう。ヴェロックスが苦しんでいるし、古馬になって活躍するハーツ系の馬は、2,3歳時には目立った活躍をしなかった馬が大半なので、朝日杯FSを勝ち皐月賞・ダービーで2着したことで、古馬になっての成長に懸念がある。2021年安田記念ではスムースだったが伸びずに凡走、早熟説が真実味を持ってきた。

好材料はコース適性で、朝日FSでこのコースを快勝しているので好相性。悪材料は近走の不振で、昨年のマイルCSが0.4差5着、今年の大阪杯5着と安田記念が8着なので、3歳春までの勢いが全くない。ハーツクライ産駒なので早熟の可能性があると思う。

適性:梅

<シュネルマイスター>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。 

・トップスピードの質はやや高く、持続力は驚異的に高い。

レース名 着順 内容
新馬戦 1着 スローバランスを中段やや前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに抜け出し押し切り。スローバランスだがL2で0.8の加速をしているので、まぁまぁの瞬発力を見せた。
ひいらぎ賞 1着 ややハイペースバランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線スムースに抜け出し圧勝。4コーナーでやや狭くなったが、しっかり自分のコースを主張した闘志を見せたし、L2最速戦を持ったまま先頭に並びかけたので、やや高いトップスピードの質、やや高い瞬発力を見せたし、パワーも見せた。
弥生賞 2着 スローバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが2着まで。前半が遅過ぎて良さが出なかった。
NHKマイルC 1着 ハイペースバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて差し切り。前半の位置取りだけでなく、直線でソングラインを風除けにしたコース取りも完璧、持続力は驚異的。
2021年安田記念 3着 スローバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びたが3着まで。持続力の高さは見せたが、トップスピードの質で若干見劣った。
2021年毎日王冠 1着 平均バランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線スムースに差し切り。エアレーションの影響でパンパンの良馬場でなかったことがマッチした感じ。
総評
ひいらぎ賞がややハイペースバランスで自身も平均には入っていたはず、これで中緩みがあたっとはいえ圧勝したので、心肺機能も見せている。パワーと持続力にまぁまぁのトップスピードの質も見せているので、レースレベルが上がった方が良さが出そう。NHKマイルCではハイペースを確認して中段から、収支ソングラインを見る位置で進め、風除けにしながら差し切り、自身は11秒台の半ばを連発しているので驚異的な持続力を見せた。

2021年安田記念では中段からでスムース、斤量は恵まれていたが初古馬戦でトップスピードの質では若干見劣った。2021年毎日王冠では平均バランスを後方から、まず出遅れてしまったのでスタートは今後に不安を残した。その上で安田記念で先着されたダノンキングリーに対して斤量差が2㎏縮まったが、逆転した要因は安田記念の時よりもエアレーションの影響があった馬場だと思う。パンパンの良馬場よりも軟らかい馬場の方が力が出せる感じ。

「マイルCSへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:初輸送。

好材料は距離適性で、NHKマイルC1着、安田記念3着とマイルのGⅠでしっかり好走している。毎日王冠でも56㎏背負って勝ち切っているので、当然クラス負けの危険もない。悪材料は初輸送で関西圏への輸送が初めて、牡馬なので神経質になることはないが、当日の気配次第では凡走の危険はあると思う。

適性:松-

<ダノンザキッド>・心肺機能は不明、パワーは有る、瞬発力はやや高い。

・トップスピードの質は高い、持続力はやや高い。

”新馬戦”では稍重でややスローバランスを中段のやや前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに抜け出し圧勝。”東スポ杯2歳S”ではスローバランスをやや離れた追走集団の中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに抜け出し圧勝。”ホープフルS”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー外目を回して直線スムースに抜け出し1着。”弥生賞”ではスローバランスを中段やや前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが3着まで。”皐月賞”では平均バランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線早々に一杯になって凡走。”2021年富士S”ではややスローバランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが4着まで。

「マイルCSへ向けて」好材料:休み明け2走目。 悪材料:クラス負けの危険。

<心肺機能について>現状では不明。

<パワーについて>新馬戦では阪神のL1でもしっかり粘って圧勝したし、東スポ杯2歳SでもL2の坂で恐らく10秒台に入っているので、パワーは十分にある。ホープフルSではL1の坂でしっかり伸びているのでパワーは十分にある。

<瞬発力について>東スポ杯2歳SでL2が10秒台のはず、1秒くらいの加速をしているので瞬発力はやや高い。

<トップスピードの質について>新馬戦でも中段のやや前からで直線圧勝、稍重でL2が自身11.0くらいのはず、かなりのトップスピードの質を見せた。東スポ杯2歳SでもL2は10秒台に入っているはずで、ここでもトップスピードの質は見せた。

<持続力について>新馬戦では稍重で3F戦、L1が12.0だがここでは既に勝負が決まっていて流しているので、まともに追っていれば11秒台は楽に出ていたはず。東スポ杯2歳SでもL1でタイトルホルダーを引き離しているので、やや高いと思う。ホープフルSではL1の坂上でオーソクレースを突き放し、高い持続力を見せた。

<その他について>まず新馬戦で2着に下したワンダフルタウンが、京都2歳Sを快勝したので、新馬戦としてはレベルが高いと思う、これを圧勝しているのでこの馬のポテンシャルは相当だと思う。1点気になったのが直線入り口で内へ切り込んでしまったこと、制裁は受けなかったが内のダンツテリオスが内ラチに激突しているので、これは印象が悪いし右回りの不安は残る。2走目のレース選択が好印象で、東スポ杯2歳Sを選択してきた。当然皐月賞やダービーを見据えての輸送経験が目的で、休み明けプラス24㎏だったが負ける気はなかったはず。この辺りの厩舎の使い方には相当な期待を感じる。弥生賞では休み明けで3着に取りこぼし、この時はゼッケンの下に汗が目立っていたので、前哨戦で仕上げ切っていなかった可能性がある。皐月賞ではパドックでも落ち着きがなく、ゲート裏では汗びっしょりで走れる状態ではなかった。2021年富士Sでは骨折休養明けでプラス22㎏、4着なのでマイル適性は見せたが、さすがに絞り切れていなかった。折り合いはついていたので外枠でも不安はない。

ダービー前に骨折。

好材料は休み明け2走目で、前走は骨折休養明けでプラス22㎏、前哨戦を意識した仕上げで0.5差4着は悪くはないし、さすがに絞ってくるはずなので上積みが見込める。マイルは2戦目だが前走は上記の通り悪くなかったし、血統的にも厩舎的にもマイルは合うはず。悪材料はクラス負けの危険で、古馬のGⅠは初めてだし、前走古馬のGⅡで0.5差4着は休み明けなので参考外。悪材料というよりは未知数。

適性:竹