2019年府中牝馬S 全頭評価 その3。54㎏のフロンティアクイーンは巻き返せる。

<ダノングレース>・心肺機能は低く、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はやや低く、持続力は高い。

”アルテミスS”では平均バランスを中段から、直線スムースだったがトップスピードの質で見劣り凡走。”アネモネS”ではややスローバランスを中段の後ろから、全く勝負に行かない騎乗で凡走、この時が休み明け。”デイジー賞”ではスローバランスを最後方から、L3で外から押し上げてL1でバテ差し、少頭数でL1が12.2掛かる展開が良かった、持続力とパワーは見せた。”2018年西郷特別”ではほぼ平均バランスを中段やや後ろから、L3で外から押し上げてL2で先頭に立ち押し切り、L3で12.5だったので楽に捲れたのが大きい。”2018年ノエル賞”ではスローバランスを中段から、L3で外から捲りに行くも11.9のラップを踏まれて捲り切れずに4着まで、L2でもトップスピードの質で見劣っている。”2019年1月中山1000万条件”ではスローバランスを中段から、3,4コーナーは中目を回してコースロスを抑えて直線外からスムースに伸びて1着、L2最速11.0の流れで無理に動かなかったことでL1のバテ差しが決まった。”2019年初音S”ではスローバランスを中段から、直線馬群に包まれてL2で前が壁になったのを外に進路変更、L1で伸びてスムースだったフィニフティを差し切っている、L2は11.5でレースラップ通りだがL1では自身11.3位に加速しているのでまぁまぁの瞬発力を持っている。”2019年福島牝馬S”ではスローバランスを最後方から、L3で11.5を踏んでいる中外から上がって行き3着、道中すぐ前に居たデンコウアンジュは、L3で待って直線で差し切り。”2019年クイーンS”ではスローバランスを中段からやや掛かり気味、直線進路が狭くなり急ブレーキ、騎手が・・・。

「府中牝馬Sへ向けて」好材料:コース適正、間隔空け。悪材料:騎手。

アルテミスSを見ても平均バランスになると後半苦しくなるようで、心肺機能は低いと思う。西郷特別も平均バランスで勝ち切っているが、この時は前半が47.9とかなり遅かった、レースレベルで見ても相手も弱かったし、L3で12.5と言うラップを楽に捲れる展開だったから、決して心肺機能で勝ち切ったレースではないと思う。トップスピードの質はやや低い、初音Sで意外とやれたが前半が48.1とかなりのスローだったし、2着のフィニフティは未だに3勝クラスで苦しんでいる馬なので、レースレベルとしてもそこまで評価はできない。ただL2で進路変更後に見せた再加速は意外に良かった。中山の1000万条件でもL3の12.0からL2で11.1に加速する流れをしっかり反応したので、瞬発力はまぁまぁのものを持っていると思う。持続力は同じ中山1000万条件でL1までしっかり伸びたし、初音Sでも恐らく自身のL1は11.3位は出ているはずなので高いと思う。2019年クイーンSが酷い騎乗で、直線狭い最内に入って行って急ブレーキ、すぐ後ろに居たスカーレットカラーが2着なので騎手で負けたレース。

好材料はコース適正で初音Sを快勝したコース、この時も直線詰まって追い出しが遅れたがL3が11.2と流れていたのでブレーキせずに済んだ、これで再加速をする必要がなかったので、瞬発力は問われていない。外からスムースな方が良いのは1000万条件を勝った時も同じ。今回は2か月半の間隔空けになるがノーザンF生産馬なので不安はない、西郷特別でも2か月半の間隔空けで1着の実績がある。悪材料は騎手で三浦騎手、もちろん蛯名騎手からなのでマイナスではないがプラスでないことは確か。この馬は前走もやや掛かっていたように折り合いを欠くことがあるので、内枠で折り合いを付けたいが、そうなると前走や初音Sのように直線で詰まる危険がある、これを三浦騎手が裁けるかどうか。

<ディメンシオン>・心肺機能は高い、パワーが低い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高くはない、持続力は高い。

”2018年三面川特別”ではスローバランスを中段から直線前が壁になりL2まで我慢、L2最速戦になり抜け出したがウラヌスチャームに急襲されハナ差の辛勝。”2018年トルマリンS”ではハイペースバランスを離れた追走集団の中段から、自身ややハイペースバランスくらいを直線バテ差しで1着、心肺機能の高さを見せた。”2018年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段やや前から外を回して伸び掛けたが坂で失速。”2019年米子S”では稍重でスローバランスをやや離れた追走集団の先頭から、直線は坂で失速して凡走、この時は休み明け。”2019年関屋記念”ではややスローバランスをやや離れた追走集団の中段やや後ろから、直線は持続力を生かしてジリジリ伸びたが4着、ミッキーグローリーには明確にトップスピードの質で見劣った。”2019年京成杯オータムH”ではハイペースバランスを離れた追走集団の前から、直線スムースに粘って2着、マイルの日本レコードが出る馬場で坂を克服してきた。

「府中牝馬Sへ向けて」好材料:高速馬場適性。悪材料:休み明け3走目。

2018年三面川特別でまぁまぁのトップスピードの質と高い持続力を見せた、この時の2着がウラヌスチャームでハナ差だったが退けたのは良かった。心肺機能の高さはトルマリンSで見せたし、ターコイズSでもL1の坂までは良いレースをしていた。そのターコイズSと米子SでL1の坂で明確に減速している、恐らく急坂でパワー不足が露呈したんだと思う。坂上ゴールの中山、阪神では勝ち鞍が無く、未勝利戦の2着が精一杯の成績。2019年関屋記念でもトップスピードの質で見劣った、サラキアやソーグリッタリングと同じくらいだと思う。2019年京成杯AHでは超超高速馬場でマイルの日本レコードが出たレースを、離れた追走集団の前から、直線は粘って2着まで、心肺機能の高さを見せた。軽い高速馬場で坂を克服できたのは大きな収穫だと思う。

好材料は高速馬場適性で新潟でも好走しているし、前走マイルの日本レコードが出る馬場で2着と相性は良い。心肺機能を生かして前で進めれば止まらない可能性はある。悪材料は休み明け3走目の疲労で、2017年11月の1000万条件が休み明け3走目で凡走している、ディープ産駒は疲れやすいので大きな不安材料。

<フロンテアクイーン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

”2017年ターコイズS”ではスローバランスを先行、直線の瞬発力でミスパンテールに見劣り2着。”2018年クイーンS”では離れた追走集団の中段やや後ろから、L3から大外を捲くったが、1着ディアドラのトップスピードに見劣り2着。”2018年府中牝馬S”では離れた追走集団の中段から、4F戦を粘って3着。”2018年エリ女”ではスローバランスを中段から、直線詰まって凡走。”2018年ターコイズS”ではハイペースバランスを先行して息切れ4着。”2019年中山牝馬S”ではややスローバランスを中段から、L3から追い出してL1バテ差し、持続力を見せた。”2019年ヴィクトリアM”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、終始外を回した影響か直線伸びずに凡走。”2019年クイーンS”ではスローバランスを中段のやや前から、L1から全く伸びずに凡走。

「府中牝馬Sへ向けて」好材料:コース適正、2か月半の間隔空け、斤量54㎏。悪材料:近走の着順の悪さ。

2着が多い馬で一度降格した1600万条件も結局勝ち切れないまま卒業した、再度のOP入りでも重賞で3走続けて2着、中山牝馬Sこそ勝ち切ったが先頭に立って甘くなったのか、ウラヌスチャームにハナ差まで迫られている。これは性格的なものなのかもしれないので、簡単には治らない可能性が高い、先頭に立ちたがらない馬って居ますからね。この馬のいい面はトップスピードの質と持続力、2018年の府中牝馬Sは3着だが上位2頭はディアドラとリスグラシューで互角とは言わないが、着差はわずかで好評価をしていいと思う。この良さを騎手がダメにしてしまったのが2018年エリ女で、直線わざわざ馬群に突っ込んで7着だったのは残念な結果だった。

2019年ヴィクトリアMが15着と大敗してしまったが、この馬にとってはスピードの限界値を超えてしまったんだと思う。ターコイズSとヴィクトリアMを比較すると、ターコイズSは45.5-47.2で92.7、ヴィクトリアMが44.8-45.7で90.5になっていて、ヴィクトリアMでの自身の走破時計は92.2だった。ターコイズSに近いタイムなので、マイルの高速馬場でもこの辺りが限界値なのかもしれない。クイーンSでは中段やや前からL1で全く伸びなかったのは意外だった、前走の反動の可能性もあるが年齢的な衰えも感じたレースだった、ただ斤量が56㎏だった点は言い訳に出来るのでまだ見限るのは危険かもしれない。

好材料はコース適正で昨年3着、1着がディアドラ、2着がリスグラシューとどちらもGⅠ馬なので3着でも好評価、ヴィクトリアMこそ時計が速過ぎて凡走したが、1800mなら対応できる可能性がある。というのもヴィクトリアMのフロンティアクイーンの走破時計は1:32.2、単純に12秒をプラスすると1:44.2と2018年府中牝馬Sの走破時計に近くなる、つまりこの時計がこの馬の限界の可能性があるので、1分44秒台の決着なら十分チャンスがあると思う。2か月半の間隔空けも昨年と同じローテなので問題はないはず。更に54㎏の斤量も昨年と一緒、56㎏で走ったのは前走とエリザベス女王杯で共に7着に凡走、54㎏では好走実績が多いのも好材料。悪材料は近2走の着順の悪さだが、前走は斤量56㎏、ヴィクトリアMはタイムが限界を超えていたとなれば言い訳は効くので、巻き返しは可能ではないかな~。

<プリモシーン>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。・休み明けでも走る。

”フェアリーS”ではスローバランスを中段から、4F戦になる展開を外から押し切って1着、L4から11.6に入る持続力を問われた。”NHKマイルC”では平均バランスを後方から、直線は詰って外に出す大きなロスで5着まで、スタートが悪く後方からになってしまうのは治らないかも。”2018年関屋記念”では平均バランスをスタート決めて中段から、直線は外目からスムースに加速して押し切った、51㎏の軽ハンデだったが前に居たロードクエストをあっさり交わした高いトップスピードと、早目に抜け出してからの持続力見せた。”秋華賞”ではややスローバランスを出遅れ後方から、直線は高いトップスピードの質で良く伸びたがエンジンの掛かりが遅く、瞬発力の無さを見せた。この時の1着がアーモンドアイで上がり3Fは0.2秒遅かっただけなのでトップスピードの質は高い。”2018年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段から、直線は狭くなって追い出せず8着、コースが空いてからのバテ差しもイマイチで坂の途中からの反応は良くなかった。”2019年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを中段から、4コーナースムースに外を回してから追い出しがやや遅く、坂ではややスピードが鈍った感じ、それでもクビ差の2着までジリジリ伸びた、この時の1着がフィアーノロマーノで斤量が同じ55㎏だったことを考えれば高評価。2019年ヴィクトリアMではハイペースバランスを中段やや後ろから、直線はスムースに中目に出してしっかり伸びて2着、ハイペースバランスの消耗戦で持続力を発揮。”2019年中京記念”では稍重でほぼ平均バランスを中段やや前から、直線は外からスムースに加速して3着、軽ハンデの3歳馬に差される。

「府中牝馬Sへ向けて」好材料:コース適正、斤量54㎏。悪材料:距離不安。

近走スタートが安定してきたことで中段が取れている、トップスピードの質、持続力は2歳時から高い物を見せている。ターコイズSこそ直線狭くなって8着だが、着以上にレースは出来ていたし、心肺機能の高さを見せた。ダービー卿CTでも福永騎手らしく直線まで溜めてしまったために坂への勢いが足りない感じで、伸びはジリジリも斤量を考えれば高評価、そしてヴィクトリアMでも持続力を発揮して2着に好走した。いわゆる出し切って良さが出るタイプで、心肺機能、トップスピードの質、そして持続力を高いレベルで出せる展開なら、牡馬混合の重賞でも十分好走できるだけの能力はある。

瞬発力の無さは再三見せていて、桜花賞では直線内に詰まって凡走しているし、秋華賞でもすぐ前に居たアーモンドアイに4コーナーで置き去りにされてしまい7着、内枠を引いてコースロスなく乗ろうとすると、詰まって再加速に手間取り凡走してしまう危険はあると思う。休み明けでも走るのはノーザンF生産馬ならではで、2019年ダービー卿CTを好走している。

好材料はコース適正で、ヴィクトリアM2着の実績がある、当時は日本レコードが出たレースでタイム差無しだったのは高評価、次の中京記念でも反動が無かったので、休み明けの今回も不安はないと思う。前走は55.5㎏と牡馬換算で57.5㎏を背負わされてことで、軽ハンデの3歳馬に差されてしまったが、稍重馬場で中段やや前から押し切りに行った横綱相撲でこれは高評価で良いと思う。今回は54㎏なので一気に楽になる。悪材料という程ではないが1800mは一度も走ったことが無く、2000mの秋華賞は7着と距離に一抹の不安がある程度かな。