2019年天皇賞(春) 全頭評価、天皇賞(春)と菊花賞の関係。

過去5年3着以内に複数回来ている種牡馬はハーツクライ7回(4頭)、ステイゴールド3回、ブラックタイド2回(1頭)です。ディープインパクト産駒はサトノダイヤモンドの1回だけですが、全兄のブラックタイド産駒キタサンブラックが2勝しているのでまずまずでしょうか。反対に厳しいのがキングカメハメハ産駒で、過去5年で1度も連絡みがありませんでした、更に遡って過去10年(キンカメ産駒が天皇賞出走可能年)で見ても0、キングカメハメハの父キングマンボ系で見ても過去10年でエイシンフラッシュの1頭、更に遡ってもトウカイトリックくらいで相性は良くないですね。キンカメ産駒は前向きな気性の馬が多いので、長距離戦の出走数が少ないことも原因かもしれません。キンカメ産駒の距離別出走数で見ると1400までは2182回、1800までが3935回、2200までが2440回、2600までが769回、2601以上が60回と長距離戦は出走数が少ないことが分かります。2601m以上の全成績は2-5-3-50で1,2,3着の1回ずつはユーキャンスマイルのもなので、ユーキャンスマイルが突然変異の子かもしれませんね。

3200mという特殊な距離ですから当然リピーターレースで、シュヴァルグランが3回、カレンミロテックが2回、キタサンブラックが2回です。更に遡ればフェノーメノ、ウィンヴァリアシオン、マイネルキッツ、メイショウサムソン、テイエムオペラオー、ナリタトップロード3回。今年はクリンチャーに資格がありますね。

菊花賞との関係は

菊花賞で4着以下もしくは3番人気以内に支持されなかった馬は、天皇賞(春)では苦しいという事です。菊花賞未出走の馬はバンバン連絡みしています(シュヴァルグランとかカレンミロテックとか)、しかし菊花賞を凡走してしまうと天皇賞(春)では連絡みしないんですね。過去10年で2頭が菊花賞4着以下から天皇賞(春)で連対しました、それがヒルノダムールとドリームジャーニーです。この2頭はそれぞれ7着と5着でしたが共に2番人気でした。3歳の時点で菊花賞を好走して長距離適正を見せた馬、もしくは長距離適正を見込まれて人気になっていた馬ではないと苦しいようです。

2012年に145万馬券をたたき出した14番人気のビートブラックは菊花賞3着でした、2011年も参戦していますが稍重馬場が合わなかったようで7着に凡走、この時の走破時計は3:21.3も掛かっていましたから、パワー不足での凡走だったのでしょう。今年面白そうなのはカフジプリンス、菊花賞は8着でしたが3番人気に支持されています、もちろん昨年の菊花賞好走馬がそのまま出走していますので評価は1~3着馬の方が上でしょう一昨年2着のクリンチャーにも好データですが、特殊な馬場だっただけに今回はどうでしょうか。他にはメイショウテッコンが5番人気14着、グローリーヴェイズが12番人気5着なのでこちらは嫌なデータですね。

では1頭ずつ見ていきます。

<チェスナットコート>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや高く持続力も高い。・ロンスパでは息が持たない。

・ハーツ産駒らしく疲れやすいが、間隔空けても走る。  

”2018年目黒記念”ではスローバランスを中段から、直線は失速、この時が休み明け4走目。”2018年天皇賞春”ではスローバランスを離れた追走集団の中段から、直線外をスムースに回して5着。”2018年日経賞”ではスローバランスを中段の後ろから、L3から追い出して2着まで、持続力を見せてバテ差し。”2019年日経賞”ではスローバランスを中段のやや後ろ、後半のロンスパに対応できずに凡走。

<エタリオウ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は高くない。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。・休み明けでも走る。  

”菊花賞”ではスローバランスを出遅れ後方から中緩みで押し上げ、4コーナー外から早目に追い出して抜け出したがフィエールマンに瞬発力で見劣り2着。”神戸新聞杯”ではスローバランスを後方から、エンジンの掛かりが遅く2着まで、トップスピードと持続力は見せる。”2019年日経賞”ではスローバランスを中段から、向正面で押し上げて2番手へ上がり直線はそのまま。スローから勝ちに行く展開で価値のある2着、後半のロンスパには目途を立てた。

<リッジマン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。

・完全なステイヤーで長ければ長いほど良く、前半に11秒台に入れると息切れしてしまう。

・休み明けでも走る。   

2018年有馬記念”では平均バランスを後方から、全く伸びずに凡走、前半に11秒台に入っていた。”2018年ステイヤーズS”ではスローバランスを中段やや前から、3,4コーナーで取り付き直線バテ差しで1着。”2018年丹頂S”ではハイペースバランスを中段のやや後ろから早目に押し上げて押し切り。”2019年阪神大賞典”では前半11秒台に入る流れで凡走。

<ヴォ―ジュ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。・距離は3000mまで。   

”2019年万葉S”では平均バランスを逃げて1着、中緩みで大きく緩めて息が入った。”2018年ステイヤーズS”ではスローバランスを逃げて凡走、3200m辺りから顕著に落とす。”2019年万葉S”では中緩みを作って逃げて、後半はロンスパに持ち込み逃げ切り、この時の2着がユーキャンスマイル。”2019年阪神大賞典”では前半のハイペースで後半まで持たずに凡走。

<メイショウテッコン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く持続威力は高い。

・スタートが良くなく、前に馬がいると追いかける気性。   

”2019年日経新春杯”ではハイペースバランスを出遅れ後方から、向正面で早目に捲り切って直線は先頭も力尽きて凡走。”2018年菊花賞”ではスローバランスを中段の前から、終始前を抑えられてしまい、直線は瞬発力の差で凡走。”2018年神戸新聞杯”ではスローバランスを逃げてL4から11秒台に入れるロンスパ戦にして3着、スタートが良くなく先頭に立つまで掛かっていた。”2018年ラジオ日経賞”ではハイペースバランスを3番手で先行、逃げられずに掛かっていたが4コーナーで外に出してスムースに加速して1着、追い込んだフィエールマンを退ける。”2019年日経賞”ではスローバランスを逃げて、後半ロンスパに持ち込み圧勝。

<カフジプリンス>・休み明け良くなく疲れやすい。

・心肺機能とパワーの両立型でバテ差しタイプ。

・瞬発力はなく、トップスピードの質は低いので追い出しが遅れると届かない。

”2017年新潟記念”では平均ペースを先行して、直線では他馬の瞬発力に屈して一旦下がるもゴール前でバテ差し3着、心肺機能の高さで周りが苦しくなって差し返した。”2017年ダイヤモンドS”でも中段やや前からの粘り込みで3着、とにかくバテない。”2016年グレイトフルS”では中山2500で2度の急坂越えを克服してパワーの豊富さを証明。”2017年日経新春杯”では稍重でややハイペースだがL3で緩んでL2最速戦、中段やや後ろから仕掛けが遅れて届かず。”2019年阪神大賞典”では離れた追走集団の中段から、シャケトラと一緒に追い出すも明確に見劣り3着まで、バテないがスピード負けした感じ。

<グローリーヴェイズ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。・休み明けでも走る。  

”2018年佐渡特別”ではやや離れた中段で実質平均バランスを直線でバテ差し1着。”菊花賞”ではスローバランスを後方から、直線で仕掛けるも瞬発力で見劣り5着まで。”2019年日経新春杯”ではハイペースバランスを中段の最内からバテ差し1着。

<パフォーマプロミス>・心肺機能の上限が低く重い馬場になると道中で息切れする。

・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は少ないが、トップスピードの質は高い。

・休み明けでも走る。  

”2018年アルゼンチン共和国杯”では休み明けでも、高速馬場で3F戦になりトップスピードの質で勝ち切る。”2018年有馬記念”、”宝塚記念”では稍重馬場になり追走一杯。”2017年グレイトフルS”ではドスローペースからL2最速戦を踏ん張って1着。”2019年京都記念”ではスローバランスを先行、L2最速戦に反応しきれず4着。

<ユーキャンスマイル>・心肺機能特化型でパワーはやや少ない。

・瞬発力は低いがトップスピードの質はまぁまぁ。・休み明けでも走る。    

”2018年菊花賞”では中段の後方で折り合い、ドスローのペースでL2最速戦になり瞬発力で劣るもトップスピードの質で上回り3着。”2019年万葉S”では単騎逃げのヴォ―ジュの変則的なペースに嵌りハナ差届かず、トップスピードの質は見せてきたが間隔空けていたことも影響したか。”2018年阿賀野川S”では高速馬場で平均ペースで中段やや前から、L4から11秒台連発のトップスピード持続戦で1着。”2019年万葉S”ではかなりの中緩みを離れた中段から、直線は良く伸びたがハナ差届かず2着、この時が休み明け。”2019年ダイヤモンドS”では中緩み展開を中段の後ろから、3F戦をトップスピードの質を見せつけ差し切り。

<フィエールマン>ディープ産駒、・パワーと心肺機能の両立型に瞬発力も併せ持つ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力はある。

・休み明けでも走る、疲労はディープ産駒通りと予想。ルメール騎手に変わってスタートは改善。菊花賞のような強烈な瞬発力だけでなく、ラジニケ杯のような3Fのトップスピード持続戦もこなせる。坂が苦手な可能性あり。

”2019年AJCC”ではスローバランスを中段から、加速自体は良かったが坂で鈍って2着まで。

<ケントオー>・心肺機能特化型でパワーは少なく瞬発力はない。

・トップスピードの質は低く、持続力はある。休み明けは良くない。

”2019年日経新春杯”では後方で折り合って直線内から伸びた、坂がない事で失速していない。”2018年チャレンジC”では後方から直線の坂で全く伸びず。”2018年京都大賞典”では先行していながら直線で一杯、明らかに休み明けで苦しくなっている。

<クリンチャー>・心肺機能の内、無酸素性作業閾値が低く、前半のハイペースが苦手。

・パワーと持続力が高く、トップスピードの質、瞬発力は低い。

・休み明けは良くないが重なら走る。   

”2018年有馬記念”では稍重で平均バランスを先行して凡走、この時は海外帰りの休み明け。”2018年天皇賞春”では離れた追走集団の中段から実質スローバランス、L2最速戦を3着。”2019年日経賞”ではスローバランスを中段から、L5から11秒台に入る流れで凡走。

<ロードヴァンドール>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力低い。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。・休み明けは良くない。  

”2019年日経新春杯”では超ハイペースバランスを先行して13着、先団が総崩れの展開でレースにならず。”2019年チャレンジC”ではスローバランスを最後方から、ポツンでレースにならず、この時は長休明け。”2018年日経新春杯”ではスローバランスを逃げて2着、スローからの3F戦で粘り込み。”2017年中日新聞杯”ではスローバランスを逃げて3着、ここでもスローからの3F戦で粘り込み。”2019年阪神大賞典”では前半から飛ばして後半は粘り込み3着、稍重馬場で後続も脚を使う特殊なレースだった。

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