2019年エプソムC 全頭評価。その1。

過去5年複数回3着以内に来ている種牡馬はディープインパクト6回(5頭)だけです。非根幹距離なのでディープインパクトが少ないかと思ったら、長い直線では距離に関係なくディープインパクトの優位性が目立ちますね。良馬場での話ですが、3着以内に来ている馬を4コーナー通過順で見ると、10番手以下からはほとんど届いていません。2016年のフルーキーと2014年のダークシャドウだけで、どちらも強烈なトップスピードの質と持続力を持っていた馬でした。

1番人気は3回連絡み、連を外した2回は4コーナー通過順二桁順位だったので、1番人気だからと言って追い込み脚質の馬は疑った方が良いかも。現在の予想オッズだとミッキースワローが1番人気ですが、まさに追い込み脚質でジャパンC5着の実績馬ですが疑ってかかりたいですね~。追い込み脚質が苦戦傾向の反面逃げ馬は絶好調で、2017年マイネルハニー3着、2016年マイネルミラノ3着、2015年エイシンヒカリ1着と3頭が連絡み、マイネル軍団とも相性が良く、上記2頭に加えて2014年マイネルラクリマが2着と5年で3回の連絡み、今年はアンノールトがマイネル軍団の所有馬です。

では1頭ずつ見ていきます。

<アップクォーク>・心肺機能は高い、パワーはまぁまぁ、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

・右回りは苦手。

”むらさき賞”ではスローバランスをやや出負けして後方から、直線は外からスムースに加速して2着、この時の1着がエアウィンザーでL2まで前が壁、そこからアップクォークと同じ位置から伸びたので、エアに対しては瞬発力で見劣り、トップスピードの質と持続力では互角。”ムーンライトハンデ”ではやや出負けして離れた追走集団の後方から自身はスローバランス、直線はスムースだが後方から伸びず、稍重馬場だったことや追走集団の前で決まっていることなどポジションの影響かも。”ウェルカムS”ではやや出負けしたが少頭数でスローバランスを中段から、直線は馬群の中に居たがL4から流れたので詰まらずに差し切り、トップスピードの質と持続力を見せた。”白富士S”ではスローバランスを先行、スタート5分に出て外からポジションを取れた、直線はL2まで踏ん張っていたがL1で落としてトリコロールブルーに差され3着まで、1F長かった感じ。”六甲S”ではスローバランスをやや出負けしたがリカバリーして先行、直線は特に不利もなかったがL1で一杯になり凡走、右回りが良くない可能性が高い。

「エプソムCへ向けて」まず左回りに替わることは条件好転、右回り左回りの比較では右0-2-05、左4-2-1-1と全く成績が違う。輸送は関係なくて中山や福島でも好走できないので、左利きなのでしょう。ノーザンF生産馬なので2か月半の休み明けも問題ないし。

その上で2走前の白富士Sでは珍しくスタート出て2番手先行、L1まで踏ん張っていたがここから落としてしまい3着、1F長いかな~という印象と、先行してしまうと末脚を生かせないということ見せた。1着がブラックスピネルで先週の鳴尾記念でも2着に好走している馬、2着のトリコロールブルーも昨年の鳴尾記念で3着の馬だし、4着のダイワキャグニーは寄せ付けなかったことを考えても十分評価に値する。

昨年になるがむらさき賞がなかなか良かった、いつも通り出負けして後方から、直線スムースに加速して上がり最速32.9で2着、この時の1着がエアウィンザーでエアがL2まで詰まっていたので瞬発力では見劣った、ただタイム差無しの首差は相手を考えれば立派だと思う。とにかく東京の1800はベスト条件で2-1-0-1、着外の1回は新馬戦なので目を瞑っていいと思います。不安要素は出遅れ癖でしょうね、今の東京は中段より前に居ないと届かない可能性が高い、アーモンドアイですら届かなかったことを考えると、いくらトップスピードと持続力が高いと言っても厳しくなる。白富士Sでは先行してL1バテているのであまり前に行ってしまうのも良くない、中段が取れればいいんだけど。

<アンノートル>・心肺機能とパワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く、持続力も高い。

・休み明けは良くない。

”鞍ヶ池特別”ではスローバランスを中段のやや前から、L3でジワっと先団に取り付き直線ジリジリ伸びて1着、馬場が超高速という程ではなかったがジリッぽい感じで、瞬発力は高そうにない。”中山1000万条件”では重馬場で平均バランスを中段の外から、L3からジワっと先団に取り付きL1で突き放した、心肺機能とパワーの高さを見せた。”春興S”ではスローバランを中段馬群の中から、直線も馬群の中で流れ込むだけ。”湘南S”ではスローバランスを中段の後ろから、直線は前に居たサンラモンバレーに付いて行く形で差し切り、トップスピードの質と持続力の高さを見せた。

「エプソムCへ向けて」前走の湘南Sで後方からになったが、直線で前の馬が加速してくれたのでそれに乗る形で伸びてきた、サンラモンバレーに引っ張ってもらったとはいえここまでのトップスピードを持っているとは意外だった。同日のNHKマイルCとはペースバランスが違うので比較しにくいが、トップスピードの質だけなら2着のケイデンスコールと遜色ない。高速馬場での適性を見せてきたので軽視できないと思うが、不安材料もある。まず距離、好走しているのはマイルで、1800以上では顕著に成績を落としてします。超高速馬場の場合は適性距離よりも1Fくらいは誤魔化せることが多い、東京新聞杯のロードクエストみたいに。なのでこなせてしまう可能性はあるがベストではないことは確かだと思う。もう一つは今年5走目の疲労、年明け初戦が2カ月間隔を取っての出走だったが、その後はコンスタントに使われているのは不安要素。

<カラビナ>・心肺期のとパワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

・疲れやすい。

”2017年グレイトフルS”では離れた追走集団の前で実質スローバランス、L4から前を掴まえに行って直線は粘って2着、この時の1着がパフォーマプロミスで、パフォーマプロミスに目標にされて差された、1㎏軽かったことはあるが0.1差なら好評価。”2018年日経新春杯”ではスローバランスを外から先行、3,4コーナー外々を回されて直線入り口で一杯になり凡走、この時の1着がパフォーマプロミスで道中すぐ内に居た、斤量は2㎏軽かったので休み明け4走目の疲労の可能性が高い。”サンシャインS”では稍重でスローバランスを逃げて1着、後半5Fのロンスパに持ち込み持続力を見せた、この時が2カ月の間隔空け。”2018年札幌日経OP”では離れた追走集団の前目からスローバランス、L5から前を追って一旦取り付くがL2でヴォ―ジュに出し抜かれて3着、この時の2着がアドマイヤエイカンで半馬身差、瞬発力は低い。”2019年メイS”ではスローバランスを中段から、直線はインコースからスムースに加速して2着、この時の1着がダイワキャグニー57㎏で⒉馬身離された、3着は同じ54㎏のショウナンバッハで直線狭くなってバランス崩しているのでクビ差は高くは評価しにくいが、この時は9カ月ぶりだった。

「エプソムCへ向けて」前走は9カ月ぶりの割に意外にやれたな~と思いました、もちろん54㎏でダイワキャグニーに対して3㎏貰っているので、高く評価はできませんね。今回は2㎏増えて56㎏になるし、本当に1800が合うのかどうかは未知数。函館の未勝利戦で平均バランスを後方から捲って1着があるので、心肺機能は高そうですね。

休み明け2走目は好条件、先週もマイルとは言えステゴ産駒のインディチャンプが安田記念を勝つなど、適正は合うかもしれない。雨が降っても問題ないので、むしろ重馬場になった方が良いかも。高速馬場でトップスピードの質を問われても、東京の2000m1000万条件で32.9で勝ち切っている、この時は超スローバランスだったので参考になるかどうかは微妙だけど、一応トップスピードの質もまぁまぁの評価。問題はある程度流れてしまった時に、直線でもう一足使えるのかということ、距離は違うが札幌日経OPでL5から前を掴まえに行って、一旦取り付くもヴォ―ジュに出し抜かれてしまったので、平均バランスでもう一足を要求されてしまうと不安もありそう。

<キョウヘイ>・心肺期のは低く、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力は高い。

・重馬場大好き。

”シンザン記念”では重馬場でハイペースバランスを後方から、直線外からバテ差しで1着、アルアインやペルシアンナイトが直線で不利もあったが、重馬場適性を見せた。”2017年アンドロメダS”では重馬場でややスローバランスを後方から、L3手前から仕掛けて勝ったブラックバゴに付いて行けずに、直線で馬群に突っ込んでしまい5着まで、反応の悪さを見せた。”2017年垂水S”では重馬場でスローバランスを最内から先行、直線は外から前に出られるもL1で差し返し1着、持続力の高さを見せた。”2018年小倉日経OP”ではスローバランスを後方から、4F戦をバテ差しで3着、トップスピードを問われない展開で持続力を生かせた。”2018年リゲルS”ではスローバランスを最内の後方から、直線はバテ差しで3着、直線入り口ですぐ前に居たパクスアメリカーナにはトップスピードの質と瞬発力で明確に見劣ったが、L1でもバテずに差してくる持続力は見せた。”2019年谷川岳S”ではスローバランスを後方から、直線はジリジリと持続力を生かして伸びたが7着まで、上がり3F2位の32.7だったが、最後方からインコースを回したもので評価できない、反面持続力の高さは見せた。

「エプソムCへ向けて」まずこの馬は成績が示すっとり重馬場では異様に好走する、稍重以上では2-1-0-2、良馬場では1-0-3-16とかなり差がある。これはトップスピードの質が低いのでどうしても届かない展開になってしまうから、かといってスタートも良くないのでなかなか先行もできない。前走の谷川岳Sで上がり32.7を出しているが、最後方から最内を通したもので評価はできないと思う。

シンザン記念でハイペースバランスを勝っているが、重馬場でハイペースバランスとは言え道中のラップは低いので、心肺機能の高くはないと思う。いわゆるAT値(無酸素性作業閾値)が低いタイプなんでしょうね、道中速くなると無酸素領域に入ってしまうのでしょう。ということは今の高速府中は合うはずもなく、ここでは期待できませんね。もちろん重馬場になれば問答無用で買っておくべき馬ですが。

<サラキア>・心肺機能は高いと思う。パワーはまぁまぁ、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”チューリップ賞”ではスローバランスを離れた追走集団の後方から、直線は外に出せるのにわざわざ狭い内へ行ってスムースに加速できずに4着まで。”白百合S”では離れた追走集団の中段から実質スローバラン、直線は外からスムースに加速してL1でバテ差し2着、この時の1着がメイショウテッコン。”ローズS”ではスローバランスを中段から、直線は外からスムースに加速して2着、この時の1着がカンタービレ。”秋華賞”ではやや離れた追走集団の中段最内から、4コーナーではスムースの外に出せたがL2まで追い出しを待ってしまい、アーモンドアイだけでなくカンタービレにも差され、瞬発力の無さを見せる。”2019年京都金杯”では平均バランスを中段馬群の中から、直線では包まれて全く追えずに凡走、脚を余しているので心肺機能は高そう。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを中段最内から、直線は前に詰まって凡走。

「エプソムCへ向けて」近2走が特に酷い騎乗で乗り替りになるようです、前走も前々走も直線前に詰まって全くレースになっていないので、枠は重要ですね。ローズSでは直線スムースに外に出したがカンタービレは捕まえられなかった、直線まで待ってしまい瞬発力の無いこの馬は、トップスピードに乗るのに時間が掛かってしまった感じ。持続力は高いのでL1で一気に伸びては来ているが、秋華賞も含めて騎手とは手が合っていなかった。東京コースで言えばフローラSなんだけど、後方の最内から直線L2で一瞬待たされている、これで前の2頭を捕まえられす、外からサトノワルキューレに差されている。広いコースで馬群がばらけてくれればいいけど、内枠を引いてまた詰まるようだと凡走のリスクはある。もちろんなぜ乗り替りなのかを丸山騎手が理解していれば問題ないんだけど・・・。2か月ぶりはノーザンF生産馬で問題なし、真ん中より外の枠なら重い印を打ちたい馬です。