2020年NHKマイルC 全頭評価。その3。

<ゼンノジャスタ>・心肺機能は高い、パワーは有る、瞬発力は高い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力はやや高い。

”新馬戦”では重馬場でハイペースバランスを2,3番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースに伸びて差し切り。”フェニックス賞”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが2着まで。”小倉2歳S”では重馬場でハイペースバランスを中段から、3,4コーナー外を回して直線スムースだったが4着まで。”2歳1勝クラス”では平均バランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線中目からスムースに差し切り。”東スポ杯2歳S”ではハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”ジュニアC”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー外目を回して直線バテ差しで4着まで。”クロッカスS”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに3着まで。”ファルコンS”では重馬場でハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:なし。 悪材料:使い詰め、クラス負けの危険。

<心肺機能について>新馬戦からハイペースバランスを先行して押し切っていて、フェニックス賞、小倉2歳Sでも1200mでハイペースバランスを好走している。2歳1勝クラスでも平均バランスで差し切っているし、ジュニアCでも4着だが中段から差し脚を伸ばしている。この感じから心肺機能は高いと思う、もちろんマイルで前半45秒台を先行した場合は未知数だが、1400mまでを先行した場合はかなりの粘りを発揮しそう。

<パワーについて>ジュニアCで中山の急坂を克服しているし、クロッカスSでもL2の坂で失速しなかったのでパワーは十分ある。

<瞬発力について>ジュニアCでL2の11.3に対応しているし、新馬戦でもL2最速戦を差し切っているので、高く評価していいと思う。

<トップスピードの質について>東スポ杯2歳Sでハッキリ見劣っているので、トップスピードの質はやや低い。もちろんスローバランスのクロッカスSで11.0を出していて、この時はほぼ自身もこのラップを踏んでいるので、悪くはないが流れた中で武器になる程ではない。

<持続力について>ジュニアCでもハイペースバランスをじりじりと伸びたし、クロッカスSでも3Fは11秒台を連発しているので、低い事はないが4F以上の持続力は未知数。

<その他について>この馬は非ノーザンF生産で休み明けは不安がある、それ以上に目につくのが酷い使い方で、デビューから中1か月で5走も使い、2カ月弱の間隔を挟んで中1か月で3走も使っている。浅見厩舎は決して1流厩舎ではないし、ジャスタウェイ産駒ということを考えれば疲労には弱いはず。この使い方では成長が阻害されてしまう可能性すら危惧しなければならないし、故障すら心配になるほど。クロッカスSで0.5差だったラウダシオンとの差が、ファルコンSで.9に開いたのは疲労の可能性が高いと思う。

好材料はなし、悪材料は使い詰めで2カ月弱の間隔を空けて4走目になる、今回は2カ月間隔を空けるが疲労が抜けるかどうかは大きな不安材料。クラス負けの危険も大いにあって東スポ杯2歳Sでコントレイルどころかラインベックにも大きく見劣ったし、ラウダシオンにも連敗しているので、このクラスでは苦しいと思う。

<ソウルトレイン>・心肺機能はまぁまぁ、パワーはある、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力はまぁまぁ。

”新馬戦”ではスローバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが差されて4着。”未勝利戦”ではスローバランスを離れた追走集団の中段から、3,4コーナー最内を回して直線スムースに差し切り。”紫菊賞”では稍重でスローバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”東スポ杯2歳S”ではスローバランスをやや離れた追走集団の前から、直線スムースだったが伸びずに凡走。”千両賞”ではスローバランスを中段から、3、4コーナー最内を回して直線内からスムースに伸びて2着。”白梅賞”ではスローバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースに伸びて差し切り。”ニュージーランドT”ではハイペースバランスを中段のやや前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが5着まで。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:休み明け2走目。 悪材料:クラス負けの危険。

<心肺機能について>ニュージランドTでハイペースバランスを中段やや前から進め、5着まで粘っている。この時はなぜか4コーナーで外から早目に上がる謎騎乗で、直線で後続に差されているので、仕掛のタイミングが悪い事により着を相当落した感じ。

<パワーについて>千両賞で阪神の急坂を克服しているし、ニュージランドTでも坂では踏ん張っていたので、パワーは十分にある。

<瞬発力について>紫菊賞で2番手先行したが、L2ですぐ前に居たロールオブサンダーに出し抜かれて凡走した、スローバランスでL3が12.0から11.3への加速で大きく見劣ったので瞬発力は低い。白梅賞でもL2でやや出し抜かれているので、瞬発力の低さを見せた。

<トップスピードの質について>東スポ杯2歳Sではっきり見劣ったのがトップスピードの質で、10秒台を要求されてしまうと対応できない。紫菊賞でもL2の11.3には対応できなかったので、トップスピードの質が問われると苦しくなると思う。

<その他について>お父さんがレッドスパーダで母父チチカステナンゴという珍しい血統なので、なかなか特徴は推測しにくい。

好材料は休み明け2走目くらいで、この馬は非ノーザンF生産馬なので休み明け2走目の上積みは期待できる。マイルで勝っているので距離適正は良いが、高評価するほどレースレベルは高くない。悪材料はクラス負けの危険で東スポ杯の負け方を見ると、このクラスでどうこうなるとは思えない。

<タイセイビジョン>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は高く、持続力も高い。

”新馬戦”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー外を回して直線スムースに伸びて圧勝。”函館2歳S”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー最内を回して直線内目から抜けて2着、脚を余している。”京王杯2歳S”ではややスローバランスを中段からやや掛かり気味、直線は中目から抜け出し圧勝。”2019年朝日杯FS”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回して直線スムースだったが2着まで。”アーリントンC”では稍重でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線内からスムースに伸びて差し切り。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:コース適性、距離適性。 悪材料:特になし。

新馬戦ではハイペースバランスを外から捲り追い込みでねじ伏せてしまい圧勝した、心肺機能と持続力の高さを見せている。函館2歳Sもハイペースバランスで後方からだが自身平均バランスくらいでは入っている、これを終始最内を回して直線入り口でやや待たされてしまい、離された2着までだったが脚を余した印象が強く距離が短かった。京王杯2歳Sではややスローバランスを中段から進めて圧勝、直線でのトップスピードの質と持続力の高さを見せた。特にトップスピードの質はL2で10.9くらいを出しているし、L2標識まで前が壁だったのでまぁまぁの瞬発力も見せている。一点引っ掛かったのがやや掛かっていたことで、1200mからの延長だったのでペースが遅かった可能性がある。2019年朝日杯FSではかなりのハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回した分のロスが大きかったが1着サリオスには完敗、L1でやや減速が大きかったので1400mがベストの可能性が高い。

アーリントンCでは稍重でハイペースバランスを後方からだったが、自身も平均かややハイペースバランスに入っていたはずで、これを差し切っているのは改めて心肺機能の高さを見せた。

好材料はコース適性で、京王杯2歳Sを勝っているので府中は好相性、距離も朝日杯FSで2着なので全く問題ないはず。朝日杯FSでL1やや落としてサリオスに負けているが、良馬場なら府中は超高速馬場になる可能性が高く、持続力を誤魔化せる可能性が高い。悪材料は特になく、前走から石橋騎手に乗り替わったが、しっかりと結果を出してきたし不安はない。休み明け2走目だし初輸送でもないので不安材料は非常に少ない、朝日杯FSで後れを取ったサリオスも出ないようなので、メンバー的にも勝っておきたいところ。

<ハーモニーマゼラン>・心肺機能は高い、パワーは高い、瞬発力は不明。

・トップスピードの質は低く、持続力はまぁまぁ。

”プラタナス賞”では稍重でスローバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”ジュニアC”ではハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー内目を回して直線粘って2着。”クロッカスS”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー内目を回して直線追い出しも遅く2着まで。”3歳1勝クラス”ではハイペースバランスを逃げ切り。”ニュー人ランドT”ではハイペースバランスを3番手先行、3,4コーナー中目を回して直線粘れず6着。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:使い詰め。

<心肺機能について>ジュニアCでハイペースバランスを中段の前から、ほぼ先行したようなレースで2着に粘ったのは、心肺機能の高さを見せた。同じコースでハーペースバランスを先行したのがニュージーランドTだが、こちらは6着、この時は使い詰めの疲労の可能性が高い。

<パワーについて>ジュニアCで中山の急坂をものともしなかったので、高いパワーを見せた。

<瞬発力について>現状では不明。

<トップスピードの質について>クロッカスSでスローバランスを差し損ねているし、ダートだがプラタナス賞でも稍重でスローバランスを凡走、この時は外からタガノビューティーに大きく見劣った。

<持続力について>ここでもジュニアCが良かったが、L1の坂上でサクセッションにやや離されてしまった、中山の3歳1勝クラスでも勝ったがL1で12.まで落としているので、高くは評価できないがまぁまぁの評価は必要。

<その他について>この馬は非ノーザンF生産だからか、使い方がめちゃくちゃで、デビュー2走目からコンスタントに使って2019年は5走、騎手も酷い騎乗でトップスピードの質が低いにもかかわらず差に拘り未勝利脱出に3走を要した。ここで休養に入るかと思いきや、なんとダートに矛先を変えた。プラタナス賞ではまたしてもスローバランスで差しに回って凡走、未勝利を勝った理由が分かっていない騎乗だった。ここでやっと休養に入り3カ月弱休んで再度の芝レースがジュニアC、ここでこの馬の真骨頂が発揮された、ハイペースバランスをほぼ先行して2着に粘って見せた。問題はその後のクロッカスSでまたしてもスローバランスにしてしまう、当然これでは差せずに2着がやっとだった。3歳1勝クラスを快勝するが、レース内容を見るとスタートから競りかけられてのハイペースバランスで、恐らく騎手はこの馬の特直を掴んでいないと思われる。そしてジュニアCと同じコースで行われたニュージーランドTで6着に凡走、3番人気に期待されたが休み明け4走目で疲労の影響が出たんだと思う。同じコースだがジュニアCの時よりも馬場が軽く、自身の走破タイムはほぼ一緒だし、バランスもハイペースバランスで、前半800m45.6と45.9なのでさほど差はない。これで走破タイムがほぼ一緒ということは、馬場を考えるとニュージーランドTは走れていないと考えて良いと思う。

好材料は距離適性でマイルではジュニアCが良い内容だった、府中はクロッカスSで苦手な展開を2着しているので、コース適性も悪くない。悪材料は使い詰めの疲労で、休み明け5走目になるのは大きな悪材料。更に騎手も大野騎手でクロッカスSでスローバランスを容認している時点で、正直話にならない。このレースは流れることが多いので、先行さえしてしまえばハイペースバランスに乗れる可能性が高いので、あまり騎手不安はないが。ジュニアCの内容からもクラス負けの不安は少ないと思う。