過去5年複数回3着以内に来ている種牡馬はディープインパクト6回(5頭)、フジキセキ3回(1頭)、スズカマンボ2回です。古馬牝馬限定マイルG1はこのレースだけで、当然リピーターも多く居ます。ジュールポレール、ストレイトガール、ヴィルシーナ、ホエールキャプチャ、ブエナビスタ、ウォッカ、特にストレイトガールは2勝3着1回と大活躍。
ヴィクトリアMといえば2015年の3連単2,000万馬券ですね、ストレイトガール、ケイアイエレガント、ミナレットはニジンスキーの血を持っていました。2014年のメイショウマンボ、2017年アドマイヤリード、デンコウアンジュもニジンスキーを持っていました。今年注目はノームコア、ニジンスキーだけでなく東京マイルで好相性のフレンチデピュティも持っています。
では1頭ずつ見ていきます。
<アエロリット>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。
・トップスピードの質は低く持続力は高い。
・休み明けでも走る、輸送はダメ。
”クイーンC”ではややスローバランスを出負けして中段から、4コーナーで押し上げて直線はトップスピードの差でアドマイヤミヤビに見劣り2着。”桜花賞”では稍重でハイペースバランス、スタートで大きく後れて5着まで、この時が関西輸送。”NHKマイルC”ではハイペースバランスを4番手で先行、直線はやや外目から抜け出し1着。”クイーンS”ではハイペースバランスを逃げて1着、古馬相手に斤量の恩恵はあったが圧勝、この時は滞在競馬。”秋華賞”ではハイペースバランスを2番手から、直線失速して7着、この時も輸送。”2018年中山記念”ではマルターズアポジーの⒉馬身後ろで先行、後続を大きく離して直線粘り込み2着、この時は休み明けで1着がウィンブライト。”2018年ヴィクトリアM”ではスローバランスを2番手から、直線はトップスピードの質で見劣り4着、直前の雨で稍重表記になったが実質良馬場、戸崎騎手が馬場を読めずにスローバランスで折り合ったことで、負けるはずのないレースを落とした。”2018年安田記念”では平均バランスを⒉馬身後ろから先行、直線は粘って2着、この時も戸崎騎手で前半がやや遅い。”2018年毎日王冠”ではスローバランスを逃げ切り、L3で10.9に入れる瞬発力を見せたのは驚き、かなりの高速馬場と2着ステルヴィオ、3着キセキが休み明けだったことも逃げ切れた要因。”2018年マイルCS”ではスローバランスを逃げて凡走、苦手なL2最速戦になっただけでなく、輸送の影響が大きい。
「今回へ向けて」最も得意とする舞台で騎手もこの馬をよく分かっている横山騎手、総合的に見て不安よりも期待の方が大きい。昨年の中山記念の騎乗がこの馬の良さを最大限に引き出すもので、スタートが安定しているのでポツンの心配もない。唯一の懸念材料は海外帰りの体調で、この辺りは天栄で勝負できると判断したからこその出走で不安は少ない。前半で心肺機能の高さを最大限発揮する展開になれば、後続は相当苦しくなり、最後方で別の競馬をする組以外には負ける要素は少ない。
<アマルフィコースト>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は少ない。
・トップスピードの質は低く前半から飛ばして消耗戦に持ち込むのが好走条件。
”2019年石清水S”ではスタート良く3番手追走から、稍重でかなり馬場が重く前半800m46.4のペースで直線失速、逃げ・先行勢が総崩れなのでペースが速過ぎ。”2018年渡月橋S”では3番手から前半800m46.9でスローバランス、直線ではトップっスピードの質で見劣り2着まで。”2018年みちのくS”では3番手追走から前半600mを33.3で入って後半34.4で纏めたところをカルヴァリオに33.2で差し切られる。”2019年京都牝馬S”では平均バランスのスローペースを先行して、L2最速戦を粘り込んで3着、L3が緩むL2最速戦で先行して上手く出し抜けた。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを2番手から、直線も楽をして粘り込み、超高速馬場のスローバランスという幸運で。
「今回へ向けて」OP入りしていきなり重賞で3着、2着と人気薄で激走してきたのは正直ビックリ、ダイワメジャー産駒に合う競馬をしているな~というのが印象で、展開的に恵まれた感じもあるんだよね~。阪神牝馬Sの騎乗を見てもL4,L3で緩めてしまうのは良くないので、騎手が上手く乗っているというよりも展開がかみ合ったと考える方がしっくりきます、京都牝馬SではL3からの持続力勝負に持ち込めたが、これは展開を作ったのが豊騎手なので坂井騎手が同じことを出来るわけではない。平均バランスの京都牝馬Sで粘っているが上記したように中緩みのものでヴィクトリアMに繋がるのかは未知数ですね、もちろんダイワメジャー産駒と東京マイルは好相性ですから嫌な1頭ではあります。良馬場なら前半800m45秒台も考えられるので、今までとは次元の違う前半のスピードを求められる、京都牝馬Sが中緩みがあって上り34.7だとアエロリットの緩めないペースで、直線勝負できるかは大きな不安材料ですね。
<カンタービレ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。
・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。
”フラワーC”ではスローバランスを中段の前から、直線スムースに外に出してバテ差し、2着がトーセンブレスでクビ差まで迫られたのはトップスピードの差。”オークス”では実質ややスローバランスを離れた4,5番手追走から2F戦になり、トップスピードの質で見劣り凡走。”ローズS”ではスローバランスを2番手から、L2で出し抜き押し切り。”秋華賞”ではスローバランスを中段の後ろから、直線アーモンドアイの直後から伸びるが、瞬発力で見劣りジリジリ3着まで。”2018年エリ女”ではスローバランスを中段の前から、L2最速戦の瞬発力勝負で見劣って6着、休み明け3走目の疲労も。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを中段のやや前から、L3から3F戦になり噛み合う展開だが直線で前が壁になり、瞬発力の無さで6着まで。
「今回へ向けて」いろいろな能力がまぁまぁというレベルでこれと言った武器が無いな~と言った感じの馬、いわゆる器用貧乏ってやつですかね~。京都未勝利戦2着時のレースがなかなか良くってハイペースバランスを2,3番手で先行、中緩みからL2最速戦に反応して抜け出したところを、すぐ後ろに居たラセットに差されていることから、トップスピードの質が足りないのは明白。ただL2で反応した瞬発力は悪くはない、もちろん一気に突き放せればベストだけどそこまでは無理。ローズSが強かったように見えて実はそうでもない、レースレベルとしては大したことが無いのはその後の成績と、2着以下馬達の成績からもバレてしまった、サラキアこそ重傷を走っているがイマイチかみ合わないし、ラテュロスやゴージャスランチは未だに条件馬、ウラヌスチャームが重賞で好走しているがローズSでは全く展開が合わない中で5着なのでレースレベルには疑問を持った方が良いと思う。レース自体もスローバランスで下りのL3、L2で出し抜いて押し切り、阪神はL3、L2が下りで瞬発力の乏しい馬でもどうにかなってしまう、この辺りはルメール騎手が上手く乗ったとしか言いようがないですね。阪神牝馬Sでは先行して直線で前が壁になり瞬発力の無さは見せた、この感じから同じように先行するのか分からなくなりました、秋華賞のように溜める競馬に徹するようだとバテ差しで飛んでくる可能性はあるかな。
<クロコスミア>・パワーと瞬発力の両立型で心肺機能は低い。
・トップスピードの質は高いが持続力が低い。スローからのL2最速戦が好走条件。
”2018年エリ女”ではスローバランスを逃げてL2最速戦に持ち込み粘り込み。”2018年府中牝馬S”では実質スローバランスを離れた第二先行で4F戦になり凡走。”2017年エリ女”ではスローバランスを2番手からL2最速戦に持ち込み粘って2着。”2019年中山牝馬S”ではほぼ平均バランスを中段の内から、L2最速戦で一瞬反応したがL1で息切れ、休み明けの影響。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを3,4番手のインから、3Fになり直線で伸びきれず。
「今回へ向けて」高速府中ではトップスピードの質と持続力が問われるので、両方の性能が低いクロコスミアにはコース適正が合わない。2018年府中牝馬Sでも先行しながらトップスピードの質で明確に見劣り、スローバランスを離れた第二先行の形からカワキタエンカを掴まえに行って一杯になった。京都外回りでは2着、8着、2着で大敗したのは京都記念、この時は休み明けだったので京都外回りこそベスト。京都外回りはL2最速戦になりやすい、これはL3の4コーナー出口がきつくて全体が減速しやすい、そこから直線に入ってヨーイドンになる展開が非常に多いため。もちろん昨年のリスグラシューのようにL3からエンジンをかけてコーナーを大きく回って伸びることもできるが、コーナーリング性能が問われるのでどの馬にもできることではない、トーセンラーみたいな馬ですね。ヴィクトリアMは例年3F戦になりやすく、この馬とははっきり合わない、もちろん2017年くらい馬場が悪化すればL2最速戦になるが、現状では良馬場想定。2015年のようにノーマークの逃げ馬を放置しての実質的なL2最速戦はなくはないが、今回のメンバー構成では可能性は低いと思います。
<サトノワルキューレ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。
・トップスピードの質は高く持続力も高い。
・直線で前に詰まると再加速に手間取る。・休み明けでも走るが3走目は疲労が出る。
”2018年ローズS”ではスローバランスを最後方から、直線前が壁になってから追い出してバテ差し、伸びたが6着まで。”2018年オークス”では離れた追走集団の中段で実質スローバランスを、直線外から追ったが伸びきれず、この時が休み明け3走目。”2018年フローラS”ではスローバランスを後方から、直線大外をスムースに加速して圧勝。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを後方から、前が止まらない流れで凡走。
「今回へ向けて」コース適正が非常に良くてオークスこそ6着に負けているが、この時は休み明け3走目では疲労の影響、トライアルのフローラSをメイチで仕上げたはずで完全にお釣りが無かった。そのフローラSはいつも通り後方から、自身はL4から仕掛けて纏めて差し切りトップスピードの質と持続力を見せた。ローズSでは後方から直線で詰まって凡走、再加速に手間取るなど瞬発力の無さを見せる。その後腰に疲れが出て半年休養しましたが、これは不安材料ではないはず。復帰後の金鯱賞は稍重馬場で合わず、阪神牝馬Sでは高速馬場のスローバランスで出番なし。今回は休み明け3走目だが近2走が凡走していてまともに走っていない、これで疲労に対する不安は未知数になったと思います。コース適正は良いし、展開もスローにはなりそうもなく、後方で足を溜めれば届く可能性は十分あるのではないでしょうか。