2019年安田記念 回顧。アーモンドアイはやはり怪物です。

走破時計 1:30.9   800m 45.8   上り3F 33.9

まず馬場状態は超高速馬場でいいでしょう、ヴィクトリアMで記録されたレコードタイムこそ更新されませんでしたが、1:30.9はレースレコードですからね~。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は今年のヴィクトリアMのラップです。

ヴィクトリアMとの比較で顕著なのは前半の遅さ、800m通過が安田記念45.8、ヴィクトリアM44.8と1秒も遅いんですよね、グァンチャーレが4着に残れたのはこれが理由ですね。逃げたのがアエロリットではなくグァンチャーレだったらグァンチャーレが2,3着に残っていたでしょうね、両者の上り3Fは全く同じ33.9なので、位置取りの差だけでした。

面白いのはアエロリットのタイムで、今回もヴィクトリアMも全く同じ1:30.9、このタイムがどうもアエロリットの限界タイムなのかもしれません、前後半のバランスが逆になっても同じタイムですからね。アエロリットの特性からするともう少し前半速くてもいい気がします、45.5で行けば勝っていたかもと思いますが。前半が遅くなったことで上がりのトップスピードが問われたレースでした、もちろんこの馬場ですから位置取りも重要になりましたね。

逃げたのは想定通りアエロリットでした、2番手からグァンチャーレ、内からインディチャンプ、外からロジクライが切り込んできましたね、これについては後程画像出します。サングレーザー、モズアスコット、外からロードクエストとエントシャイデンが中段に、フィアーノロマノはやや遅れましたね、サクラアンプルールが中段の最内。中段の後方にケイアイノーテック、アーモンドアイ、ダノンプレミアム。後方からステルヴィオ、スマートオーディン、ペルシアンナイトという並びでした。

まずスタートの混乱から見ます。

実は一番いいスタートを切ったのはロジクライでした、これに驚いたのか内側に逃避してしまうんですね。ダノンプレミアムもスタートはイマイチだったのでロジクライが内に切れ込んできた時にブレーキ、左に寄れてアーモンドアイ、ペルシアンナイト、ロードクエストまで影響があったようです。ダノンプレミアムはこのことが原因なのかゴール後川田騎手は下馬しています、大事無いと良いのですが。豊騎手によるとスタート直後に物見をして内に切れ込んでしまったようです、今までこんな風に切れ込むことはなかったので、疲労の影響もあったのかもしれませんね。

パトロールビデオでは豊騎手も制御しようとしているように見えますが、馬の体勢が完全に内に向いてしまっているのでどうしようもないですね。この件でロジクライにはゲート再審査、豊騎手は6月8日に騎乗停止の制裁です、1日だけなので悪質性が無いと判断したんでしょうね。大外からの制裁事案ではメジロマックイーンの天皇賞(秋)を思い出しますね~。

ついでにスタートを見直すとステルヴィオが出遅れ、自分で躓いたような―スタートでした、昨秋以降はスタートが良くなっていたので安心していたのですが、ここ一番で出遅れてしまうとはね~。アエロリットも前走はイマイチでしたが、今回は5分に出ましたね。アーモンドアイがやや遅れてペルシアンナイトもいつも通りやや遅れました、結果的にこの遅れがロジクライの内への逃避を受ける要因になりましたね。スタートは大事ですね。

レースに戻りますね、インディチャンプの位置取りは非常に良かったですね、外から来たロジクライを前に入れて、外にロードクエストを置いたことで掛かりやすいインディチャンプが完璧に折り合っていました。逆に直後に居たサングレーザーが掛かり気味で、この折り合い面の悪さが直線でイマイチ伸びなかった原因でしょうね。モズアスコット、6枠の2頭は良いポジションを取れました、ただエントシャイデンもロードクエストも末脚を生かした方が良いタイプなので、ここで流れに乗ってしまったことで、後半の余力がなくなりました。

モズアスコットは調教が凄く良かったのですが、その成果なのかポジションだけは良いところを取れました。凄く勿体ないと思ったのがグァンチャーレ、冒頭にも書きましたがこのペースならアエロリットの前に居たかった、ポジション逆なら十分馬券内だったでしょうね。

直線入り口です、アエロリットが2馬身程離して直線に入ってきます、結局この差が埋まらずにグァンチャーレは4着なんですよね~。アーモンドアイは馬群の中に入ってしまってコースが無いんですね、この辺り騎乗停止明けのルメール騎手のリズムと言うか、レース勘みたいなものが微妙に狂ったのかもしれませんね。いつものルメール騎手なら、4コーナー出口から直線の進路を確保しますからね~。

ダノンプレミアムはアーモンドアイに差せたかったレース、自身の外に回すレースをすることになってしまいましたね、今の超高速で内優位の馬場では厳しいレースでした。インディチャンプはまだロジクライの後ろで我慢しています、早目に先頭に立つとソラを使うらしく、この辺りの特性を福永騎手が掴んでいたことも勝因でしょう。ペルシアンナイトは最後方でミルコも諦めていますね、スマートオーディンはダノンのさらに外を回してしまいました。

直線L2標識付近です、ここでインディチャンプがモズアスコットをどかしながらロードクエストの外に進路を取ります、かなり強引に外に出してモズアスコットに一発お見舞いしているんですよね~、福永騎手らしからぬ騎乗でちょっと意外でした。モズアスコットの鞍上がルメール騎手でも同じことをしたのかな~…。インディチャンプのL3からのラップは推定11.1-10.7-11.1くらい、L2が坂であることを考えれば瞬発力と持続力の両方を見せてきましたね。

スムースでなかったのがアーモンドアイでした、前にモズアスコットが居てここから外に出します、内の方が優位な馬場にもかかわらず上がり最速32.4は立派を通り越して化け物レベルです。ただここでも馬場の良い内ではなく外を選択したことはルメール騎手のレース勘がイマイチなのかな~、インディチャンプの後ろから行けば差し切っていたかも。

グァンチャーレがL2で前のアエロリットに並ぶんですね、この馬はスローバランスなら一瞬はいい脚を使うんですが、そこから垂れてしまいました。でもこれは勝ちに行った結果なので今期の松岡騎手は、勝負に行くレースを出来ていますね。あそこでスパートせずにL1のバテ差しまで待てばアエロリットは差せたかもしれませんが、勝ちはないでしょうからね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はインディチャンプ、スタートが良かったので最高のポジションが取れましたね、枠順とスタートで9割がた好走は決まったようなものでした。折り合い重視でロジクライを前に入れた判断、直線でモズアスコットに体当たりしながら進路を確保したコース取など、今日の福永騎手はまるで別人でした。今後もこういうアグレッシブなレースをして欲しいし、自分で動くレースも出来るようになってほしいです。インディチャンプはL2で推定10.7の瞬発力は素晴らしいし、L3もさほど落としていないのでマイルCSでも期待が持てます、もちろん気性に関しては不安要素として付き纏いますが、今日の結果からもマイルで内枠なら安心でしょう。

2着はアエロリット、どうでしょうか、もう少し前半が速かった方が良いのか、この馬の限界がこのタイムなのかちょっとはっきりしません。正直に言うと前半であと0.3~0.5速く行ってくれたら勝ちまであったのかなと思っていますが…。グァンチャーレを抑えて逃げたのは良かったし、中緩みを作らないペース配分は素晴らしい騎乗だったと思います。次は毎日王冠かな?東京は良いけど、秋に関西遠征はやめた方が…。

3着はアーモンドアイ、スタートで不利を受けて3,4コーナーも外目を回して、直線入り口では馬群の中で前が壁と最悪な状況でしたね。それでもコースが空いてからの伸びは素晴らしかったです、外よりも内の方が伸びる馬場で、L2から前が空いての32.4は瞬発力とトップスピードの高さ故のものでしょう。海外帰りを心配しましたがレース内容を考えれば全く不安などなかったですね。

4着はグァンチャーレ、再三書きましたが逃げていればね~、この馬は前走もスローバランスでダノンプレミアムの2着でインディチャンプを抑えているので、こういう展開では強いですよね。今後もこうい展開になりそうな時は買っておいた方が良い馬です。

5着がサングレーザー、前半から掛かっていたのが響きました、直線で弾けるかと思ったんですが意外に伸びませんでしたね。今日の感じだと少し適正距離が伸びているかもしれないので、今後様子を見て判断したいと思います。

6着はモズアスコット、調教でびっしり追われた効果なのか体は出来ていたと思います、ただ精神的にはどうでしょう、返し馬でも首を下げていて覇気を感じませんでしたし、展開的にも絶好の位置取りで昨年の出来なら勝っていてもおかしくなかった、これで直線ジリジリとしか伸びないとなると、精神的なものではないでしょうか。他のフランケル産駒も似たような感じなので、この体で復活しないと今後は厳しいかも。

最後に本命にしたステルヴィオは8着でした、アーモンドアイの後ろから上がり32.6で伸びてきましたが、時すでに遅しで勝負にはなりませんでした。スタートが全てでしたね、残念でしたが力があることは分かっているし、今回もアーモンドアイと同じコースで上がり32.6は立派です。秋にマイルCS連覇を期待しておきます。

馬券は縦目、ハイペースとスローバランスの両睨みで馬券を組み立てるなど、姑息な真似をしたのが良くなかった、これではレースの前に勝負に負けていますね。