2020年セントウルS 回顧。初距離で覚醒。

走破時計 1:07.9  前半600m 33.0  上り3F 34.9

含水率 ゴール前 12.4%  4コーナー 13.0%

クッション値 10.0

まずは馬場状態ですが良馬場でした、午前中にパラっと降ったようですが馬場に影響はなく、標準的な良馬場でした。クッション値は10.0なのでやや硬め、これに午前中の降雨で若干柔らかくなったと思います。9Rの知多特別でも前に行った2頭で決着していましたし、このレースも中段よりも前に居た馬で決まっているので、前が止まりにくい馬場だったと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2019年高松宮記念、緑は今回のダノンスマッシュの推定ラップです。

今回は前半からセイウンコウセイが飛ばしましたが、3コーナー過ぎでビアンフェが控えて2,3馬身間隔を空けました。ダノンスマッシュもこれに付き合う形でしたね、ダノンスマッシュのL3からの推定ラップは11.2-11.0-11.9です、坂で一応加速はしていますが、0.2なので褒められたものではないですね。2019年高松宮記念でも坂では0.2の加速なので、坂での加速には不安を残しました。ただ坂上では他馬を圧倒していますから、乗り方一つで坂は克服可能です。京王杯SCでもL3から加速して勢いを付けて坂を上がっていますし、2020年オーシャンSでもL1の坂を惰性でクリアしています。

心配な馬が1頭、セイウンコウセイです。前半からハイペースで逃げて中緩みを作らず消耗戦に、本来ここから粘るのがセイウンコウセイですがL1で失速してしまい、なんと殿負けでした。L1で手応えが無くなった時点で幸騎手が止めているので、殿負け自体はどうでもいいのですが、得意パターンでの凡走は力落ちを疑ってしまいますね。一つ可能性があるとすると休み明けであること、この馬は間隔空けると良くないので、その影響だけなら良いのですが。

逃げたのはセイウンコウセイ、外からラブカンプー、中からビアンフェが逃げグループ。中段の前からダノンスマッシュ、ミスターメロディ、中段やや前からトウショウピスト、トゥラヴェスーラ。中段からメイショウグロッケ、中段やや後ろからタイセイアベニール。中段の後ろからラヴィングアンサー、クライムメジャー、ノーワン、メイショウキョウジ。後方からキングハート、クリノガウディ、シヴァージ、フェルトベルクという並び。

逃げたのはセイウンコウセイでした、前半33.0で中緩みを作らないペースで、幸騎手らしからぬレースでしたね。ラブカンプーもこのペースではハナに拘ることなく、外の2番手でした。ダノンスマッシュとミスターメロディは想定通り中段の前から、スタートが良いダノンスマッシュは安定感がありますね。

期待したキングハートは後方から、スタートは出たのですが前に行く意識が全くなかった感じ。これはノーワン、シヴァージも一緒ですね。シヴァージはスタート出ましたが、いつも通りのレースをしました、この辺りは馬場状態を考えて臨機応変な騎乗が必要ですが、若い岩田望騎手には難しかったかも。結局中段よりも前に居た組で決まっているので、スタートで怖がらずに出して行った騎手の勝ちでした。クリノガウディ―はスタートイマイチでリカバリーの意識がなかったので、恐らく中段の後ろくらいからの指示が出ていたかもしれません。

4コーナーです、ここで意外な動きをしたのが逃げグループに居たビアンフェです、3コーナー過ぎから前と間隔を空けて、4コーナーでは中段の前でダノンスマッシュ、ミスターメロディと一塊でした。この動きは大いに疑問でこの位置から直線に入って、ダノンスマッシュのトップスピードの質に勝てると思ったのでしょうか。葵SでもL3で11.2に落してから再加速していませんから、トップスピードの質で勝負するタイプではないことは分かっていたはずですが。

2着に激走したメイショウグロッケですが、ここから直線入り口でコースが空きます。この地点では外にタイセイアベニール張り付かれていますが、タイセイアベニールが直線入り口で外へ出して行くため、メイショウグロッケはタイセイアベニールとトゥラヴェスーラの間を通してきました。この辺りはメイショウグロッケのコースを殺さなかった松山騎手の甘さですね。

シヴァージは内を回して距離ロスを嫌った感じ、このコース取りは陣営から指示があったのか、それとも騎手の判断か分かりませんが、直線スムースな方が良いこの馬には良くなかったと思います。

直線L2標識付近です、ラブカンプーがセイウンコウセイに付いて行けなくなります、ここでダノンスマッシュがラブカンプーのすぐ横を通したために、ミスターメロディのコースが無くなり一瞬待たされます。クリノガウディ―が外からスムースに中段のやや後ろまで上がり、メイショウグロッケとタイセイアベニールはスムースに外に出します。

直線L1標識付近です、ここまでビアンフェとダノンスマッシュは1馬身位しか差が付いていません、坂加速が苦手なダノンスマッシュの特性が良く出ていますね。本来の調子ならばL2の坂加速が得意なミスターメロディですが、休み明けでピリッとしなかったことと、L2標識付近でダノンスマッシュに締められた影響で追走まででした。メイショウグロッケはここから伸びて2着、直線入り口ではタイセイアベニールと同じ位置からですから、この距離ではタイセイアベニールよりも上の評価をしないといけませんね。

直線内から中目を選択したシヴァージはここでも騎手不安が出ました。まずラブカンプが下がってくるところで、内から抜くのか外から抜くのか迷っています。更にセイウンコウエイが下がってきたことでノーワンが外に進路変更して、2度ほど接触してバランスを崩しています。4コーナーでコースロスを嫌って内へ行くとこういうリスクがあるんですよね、この辺りは未熟と言わざるを得ません。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はダノンスマッシュ、今日はこの馬の日でしたね。休み明けでフレッシュでしたし、得意の1200mで外から先行してスムース、坂での加速を求められましたが、ここで休み明けのミスターメロディがピリッとしなかったことで、勝負ありでした。この馬の場合は今回よりも次ですね、反動が出やすいロードカナロア産駒なので、本番でも高いパフォーマンスを見せられるかどうか。

2着はメイショウグロッケ、初めての1200mで高い適性を見せてきました。初距離は不安材料と思い無印にしてしまいましたが、改めて血統を見ると母系は短距離系でしたね。距離短縮の京都牝馬Sで好走して中山牝馬Sで凡走と、運動時間の短いタイプで短距離型でしたか。タイセイアベニールにコースを空けてもらった分もありますが、末脚では上回っていますから、この激走はまぐれではないと思います。

3着はミスターメロディ、休み明けでしょうね。それでもコース適性の良さと地力の違いで3着は確保したので及第点でしょう。唯一気になったのは直線でラブカンプーに詰まった点ですね、これは馬ではなく騎手の汚点だと思います。

4着がタイセイアベニール、中段から進めて直線もスムース、これで4着ですからこのクラスではちょっと足りませんね。特にメイショウグロッケに見劣ったのは印象が悪いので、今後も坂の有るコースでは評価を下げた方が良いでしょう。

5着がビアンフェ、L2の坂でもしっかりとダノンスマッシュに食い下がっていましたから、3コーナー過ぎから前と間隔を空けてしまった騎乗はいただけませんね。それでも0.4差5着なので、乗り方一つでこのクラスでも十分やれるところは見せました。

6着トゥラヴェスーラはタイセイアベニールと0.2差ですから、同じ評価で良いでしょう。クリノガウディ―は後方からになり7着まで、0.6差なので騎手と前残りの馬場を考えれば、改めて力のある所は見せましたね。10着シヴァージは馬場が合わずとコース取りの不備、この辺り騎手不安もありましたね。ノーワン、キングハートは出して行く素振りもなかったので、今後も後方からになりそうで買いにくくなりました。

馬券の方はメイショウグロッケが無印で外れ、馬場読みも合わなかったのですが・・・。メイショウグロッケは1400以下で良さを見せてくる馬でしたね、初距離を不安要素と考えましたが、むしろプラス材料でしたから見立て違いでした。次回はセントライト記念の予定です。