2020年スワンS 全頭評価 その3。

赤いアンダーラインは加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、赤いアンダーラインの部分だけお読みください。

<ステルヴィオ>・心肺機能はやや低く、パワーは有る、瞬発力はやや低い。

・トップスピードの質は高い、持続力もある。

・休み明けでも走る。

”2017年朝日杯FS”ではややスローバランスを後方から直線で追い込み2着。”2018年スプリングS”では離れた追走集団の中段やや後ろから、L3からのロンスパに乗りトップスピード持続で競り勝ち1着。”2018年ダービー”では距離が持たずに凡走、休み明け3走目も良くなかった可能性あり。”2018年毎日王冠”ではスローバランスからの5Fロンスパ戦を中段からトップスピード持続で2着まで、この時が休み明け。”2018年マイルCS”ではややスローバランスからL2最速戦を瞬発力を生かして内から差し切り。”2019年中山記念”ではバラケた中段から実質平均バランス、3,4コーナーで外を回して直線は3着まで、ウィンブライトには喰らい付くまでで、ラッキーライラックを差せず。”2019年大阪杯”ではスローバランスを中段やや前から、キセキの直後で直線を迎えたがL1で一杯になり殿負け。”2019年安田記念”ではスローバランスを出遅れ後方から、直線はアーモンドアイの後ろからだが、瞬発力で見劣り8着まで。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線内から外に出すのに手間取り5着まで。”2020年高松宮記念”では重馬場で平均バランスを中段のやや前から、3,4コーナー最内を回して直線スムースだったがジリジリで9着まで。”2020年京王杯SC”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて2着。

「スワンSへ向けて」好材料:距離適性、コース適性。 悪材料:特になし。

まず2019年の大阪杯はL1で明確に落としてしまったので、距離の可能性が高いと思う、皐月賞では4着だったが最後方からだったし、心肺機能的に楽だったのかもしれない、ダービーでも直線伸びてはきたけど8着だから、質の高い走りをするにはマイルから1800までだと思う。

2019年中山記念では自身スローバランスを長くいい脚を使ってきた、ウィンブライトに対してやや外を回して脚色は見劣らなかったのは立派だと思う。この時は丸山騎手でコース取が甘い、3,4コーナーでウィンブライトを内に閉じ込めるようなコース取なら勝っていたかもしれない。2018年マイルCSでは中段の最内からコースロスなく進めて、L2最速戦に反応して1着だった、外目は伸びない馬場だったので馬場の恩恵はあったが、前に居たアルアインを差し切っているし、後ろに居たペルシアンナイトはしっかり押さえ切った。

ダノンプレイミアムが勝ったサウジアラビアRCはハイペースバランスだが中段の後ろからで自身はスローバランス、これを直線バテ差しでダノンに0.3差まで迫った、この感じからもあまりハイペースバランスは良くないと思う、平均バランスくらいで後方からゆったり入った方が良いのは2018年毎日王冠でも見せたし、マイルCSもややスローバランスでコースロスなく進めたので、ハイペースバランスに巻き込まれない方が良い。

2019年安田記念ではスタートで遅れ後方からになってしまい8着までだった、直線入り口ではすぐ前に居たアーモンドアイにL2で一気に引き離されているが、上り3Fは32.6で0.2秒しか違わないので、トップスピードの質と持続力の高さは見せた。2020年阪急杯では中段の最内から進めたが、直線で1着ベストアクターに外から張り付かれて追い出しが遅れて5着、コースが空いてからの差し込みは良かったので、ベストアクターとの位置が逆なら勝っていたのはこちらだったと思う。この辺りが騎手の能力の限界で、1流騎手は直線入り口で自分のコースを確保するから、騎手次第の面が出てしまった。2020年高松宮記念では平均バランスを中段のやや前からで、初めての1200mだったがスピードには対応できていた。直線はスムースだったがジリジリまでしか伸びず9着だった、上り3F34.1なので1200で上がり勝負になっては苦しい。2020年京王杯SCでは稍重でスローバランスを中段の前から、トップスピードの質を生かす形になり2着。

この馬はノーザンF生産馬なので休み明けは苦にしない、2018年毎日王冠で2着、2019年中山記念で3着だった。ロードカナロア産駒なので激走後の反動は注意。ロードカナロア産駒だが5歳になっても蓄積疲労は見られない。

好材料は距離適性で前走京王杯SCで2着、このレースにしては珍しくスローバランスだったし、他馬もダノンスマッシュ以外はパッとしないメンバーだった。コース適性も良くて京都外回りはマイルCSを勝っているので好相性。悪材料は特になく、休み明けでも走るのは再三見せているし、GⅡ以下で3着以内を外したのは、不味い騎乗だった阪急杯だけなので、普通に乗れば好走するはずだが今のところ騎手未定。ロードカナロア産駒なのでキンカメ系、蓄積疲労は今のところ出ていない感じだが、一応警戒はしておきたい。

<スマートオーディン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はあまりない。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高いが、掛かりやすく自滅している。

”2016年京都新聞杯”ではスローバランスを後方から、4コーナーから楽に捲って圧勝。この時も掛かっていた。”2019年京都金杯”では平均バランスを後方から、掛かっていたが直線では10着だがしっかり伸びて上がり1番時計。マイル以下なら掛かっても持つかもしれない。”2019年阪急杯”では平均バランスを最後方追走から大外一気の差し切り、短縮で折り合えた。2019年京王杯SCでは0.3のややスローバランスを最後方から、直線大外を回して伸びきれず、上がり最速だが前が止まらない馬場で届かず。”2019年安田記念”ではスローバランスを後方から、直線は大外を回して届かず。”2019年スワンS”では平均バランスを後方から、3,4コーナー外を回して直線外からスムースだったが伸びずに凡走、この時休み明け。”2019年阪神C”では平均バランスを後方から、3,4コーナー大外を回して直線も外から、馬場が悪く全く伸びなかった。”2020年淀短距離S”では平均バランスを出遅れ後方から、上がり最速だが前が止まらず凡走。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが4着まで。”2020年コーラルS”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年安土城Sでは平均バランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったがジリジリまでで6着。”2020年パラダイスS”では不良馬場でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが8着まで。

「スワンSへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:届くかどうか。

2019年阪急杯で1400mへの短縮が嵌り1着、掛かりやすい気性で1400の平均バランスが丁度良いペースになった。1400mのペースなら掛かるが心配は低くなって、後方からじっくり構えて乗れたことが大きいと思う。3歳の頃から気性が悪くとにかく掛かる馬、ダービー後は体調が整わず(足元の不安らしい)長期の休養を余儀なくされた。その後はご存知の通り中距離で掛かっては凡走だったが、1400mの阪急杯で後方から折り合って追い込みで1着、トップスピードと持続力を見せた。

2019年京王杯SCはほぼ平均バランスだったが、前が止まらなかった、上位の馬は全て中段より前に居た馬で占められて出番が無かった。届かない危険を回避するために無理に中段を取ろうとすれば掛かる可能性が高くなると思うので、余程ハイペースバランスにならない限り嵌らないんだと思う。2019年安田記念でもややスローバランスを後方から、同じ位置で直線に入ったアーモンドアイにはもちろん、後ろに居たステルヴィオにも交わされているので、このクラスになるとトップスピードの質はまぁまぁのレベルになる。

2019年スワンSでは後方から伸びずに凡走、この時は休み明け。この馬は非ノーザンF生産馬だが、外厩はノーザンFしがらきを使う隠れノーザン、なので休み明けでも走りそうだがどうも良くない。仕上がりが遅いのかもしれない。2019年阪神Cでは平均バランスを後方から、終始大外を回して直線は外が伸びない馬場だった為に凡走。2020年阪急杯では昨年に比べて前半が0.3秒速かったことで、序盤先頭からの位置がやや後ろになった、当然この展開なら昨年よりも早目の仕掛けが求められるが、仕掛けが遅れて上がり最速だったが4着まで。

2020年コーラルSではダートの矛先を替えてきたが、前残りの馬場もあって全く伸びずに凡走した。2020年安土城Sでは平均バランスを後方から、3,4コーナー内目を回してから直線も内を突いた、殆どの馬が馬場の良い外を選ぶ中、なぜか内の悪い部分に行ってしまい伸びを欠いた。2020年パラダイスSでは不良馬場で後方から、ハンデ戦で中段よりも前に居た馬で決まったので届かなかった。

好材料は距離適性で昨年の阪急杯が1着、今年の阪急杯が0.1差4着と好相性。悪材料は届くかどうかで、後方からなので展開次第、馬場次第になる。上がり最速は再三見せているので、タイミング次第では届くはずだが、秋山騎手が乗って安土城Sでも不味いコース取りだったし、騎手不安もあるかな~。

<カテドラル>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は現状ではまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力もまぁまぁ。

”野路菊S”ではスローバランスを逃げて押し切り、この時の2着がヴェロックスで坂でもしっかりと伸びている。”東スポ杯”ではスローバランスを中段の前から、後半5Fのロンスパを直線一旦先頭に立つも、L1で落として凡走、距離の可能性が高い。”京成杯”ではスローバランスを逃げて凡走、L2まで先頭も顕著に落としているのでマイルまでの可能性が高い。”アーリントンC”ではややスローバランスを最後方から、L3で取り付きL2では前が壁になったがL1で強烈なトップスピードを見せて2着まで、目視L3から11.5-10.9-10.9くらい。”NHKマイルC”ではハイペースバランスを中段から、直線は内目を狙ってやや待たされたが、コースが空いてからはバテ差しで強襲し3着。”2019年中京記念”では平均バランスを中段から、4コーナー中目を回して直線スムースだったがジリジリとしか伸びず8着、稍重馬場が相当合わなかったようで道中も進んでいかない感じ。”2019年富士S”ではスローバランスをスタート遅れて中段の後ろから、3,4コーナーで最内を回して直線内から伸びたが、L1標識付近で前が壁になり一瞬待たされて5着まで。”2019年マイルCS”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー最内を回して馬群に取り付き直線中目から伸びたが、やや狭くなって伸びきれず6着まで。”2020年京都金杯”では平均バランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが全く伸びずに凡走。”2020年米子S”ではややハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年朱鷺S”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースに伸びて差し切り。

「スワンSへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:クラス負けの危険、届くかどうか。

東スポ杯や京成杯を先行して凡走しているので距離はマイルまでの可能性が高いと思う、中京記念でも稍重のマイル戦になり、マイル以上の適性を求められたことが敗因の一つだと思う。マイル戦で良かったのがアーリントンCとNHKマイルCで、高速マイルなら展開の幅は広いのだろう、その上でアーリントンCは後方から馬群を縫ってバテ差し、NHKマイルCでも直線待たされてからのバテ差しと、ハーツクライ産駒らしい持続力の高さはまだ見せていない。アーリントンCは上記のように速い上がりを使っているが、後方から相当足が溜まっていたし、阪神の下りを利用してのものなので高評価までは出来ないかな。

NHKマイルCについては結構嵌ったなという印象があって、この馬はL1まで馬群に詰まっていたが、ここで前が空くとバテ差して来た、前が空くというのがこのレースのポイントで、人気だったグランアレグリアとダノンチェイサーは前が壁になり大きな不利を受けていた。なのでこのレースの3着以内馬は、展開的にかなり恵まれた印象がある。それもあってか中京記念では初古馬戦で凡走してしまった、理由は稍重馬場もあると思うが、力関係としてもこの世代トップのレベルには居ないと思う。続く2019年富士SではL1標識付近で前が壁になり一瞬待たされた、ただスムースでも4着までだった可能性が高く、このクラスではやや足りないかもしれない。

”2019年マイルCS”ではスローバランスを後方から、直線中目を通して伸び掛けたが、レッドオルガに寄られてしまい伸びを欠いた。2020年京都金杯では平均バランスを後方からで全く伸びなかった、疲労くらいしか理由がない。2020年米子Sでも後方から伸びずに凡走。2020年朱鷺Sで後方から差し切り1着、ここでこの馬の特性がはっきりした感じで、このレースはハイペースバランスで自身上り3F34.8、つまりバテ差しで差し切っている。古馬になったことでトップスピードの質がはっきり落ちた感じで、米子Sでもラセットが上り3F33.1、ミッキーブリランテが33.6の中、この馬は34.2だから届かなくて当然。

ノーザンF生産馬なので休み明けの不安はない、アーリントンCが3カ月の休み明けで高いトップスピードの質を見せたので、むしろフレッシュな方が良いかもしれない。ハーツクライ産駒なので疲労の方が心配ですね。

好材料は距離適性で、前走初めての1400mで差し切り1着、OPだったので高評価ではできないが勝ち切ったのは事実。悪材料はクラス負けの危険で、古馬の重賞では結果が出ていない、マイルCSで6着があるがこの時は3歳だったので、まだトップスピードの質が高かった。前走中段の後ろから差し切っているし、今回も福永騎手の継続騎乗なので同じように乗るはず。これだと届かない可能性が高いと思う。