2020年エリザベス女王杯 全頭評価。その2。

下線は加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、下線の部分だけお読みください。

<エスポワール>・心肺機能は低い、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

・掛かりやすいので内枠か道悪が良い。

”未勝利戦”ではほぼ平均バランスを中段やや後ろから、3,4コーナー最内を回して直線馬群を捌いて伸びクビ差1着、3F戦で持続力とゴール前馬体を合わせてからの差しで勝負根性を見せた。”500万条件”ではスローバランスを中段からやや掛かり気味、4コーナー外を回して直線ジリジリバテ差しで2着まで。”2019年6月1勝クラス”では稍重でスローバランスを出遅れ中段の後方から、3,4コーナー外を回して直線外からL2で10.6くらいを出して差し切り、トップスピードの質は下り坂なのでまぁまぁ、持続力は見せた。”2019年シンガポールTC”では重馬場でスローバランスを2番手ポケットで折り合って直線スムースに中目から抜け出し圧勝、重馬場適性を見せた。”2019年秋華賞”ではハイペースバランスを中段のやや後ろから、自身もややハイペースバランスくらいで4コーナー外を回して直線伸びずに凡走、心肺機能の低さを見せた。”2019年修学院S”ではスローバランスを3番手先行、直線スムースに抜け出して1着。”2019年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段やや前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに抜け出し2着、マイルではやや短い感じ。”2020年中山牝馬S”では不良馬場で平均バランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースに伸びて3着。”2020年福島牝馬S”では平均バランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年新潟牝馬S”では重馬場でスローバランスを3番手先行、3,4コーナー中段まで下げて中目を回して直線スムースに伸びて2着。

「エリザベス女王杯へ向けて」好材料:距離適性、コース適性、休み明け2走目、騎手強化。 悪材料:クラス負けの危険。

オルフェーヴル産駒で掛かりやすい面がある、それが出てしまったのが500万条件2着の時で外枠だったこともあり掛かって末脚が鈍ってしまった。心肺機能は未勝利戦で平均バランスを馬群を捌いてから、合わせ馬になって競り落とす勝負根性も見せた、タイム的には大したことはなかったので心肺機能が高いとは言えないと思う、この時は内目の枠から終始最内を通したことで折り合えた。道悪で良さを見せたのが1勝クラスと2勝クラスで、道悪になり折り合えたこともあり後半しっかりと走れている。1勝クラスではL2で10.6くらいのトップスピードの質を見せていて、コース形態を考えれば高いとまでは言えないが、まぁまぁの物を見せている。良かったのが2勝クラスで古馬相手に圧勝してきた、重馬場でスローバランスだが中盤で緩まない流れを3番手で追いかけないことで、一定ペースにしながら直線ではレベル違いの脚を見せた。

秋華賞と修学院Sを比較すると同じ京都コースで外回りと内回りの違いはあるが、距離は1Fしか違わない。大きく違うのは前半のペースで秋華賞ではかなりのハイペースバランスになっているのに対して、修学院Sではスローバランスを先行している。このことから心肺機能が低い可能性が出てきた、修学院Sで末脚をしっかり引き出し押し切ったように、スローバランスで良さを出すんだと思う。2019年ターコイズSではハイペースバランスを中段やや前から進めて、終始スムースだったがL2でコントラチェックに出し抜かれて2着、瞬発力で見劣っているが坂でも粘っているのでパワーと持続力は見せている。マイルは短い印象。

2020年中山牝馬Sでは中段からでL1グ~ンときて3着、4コーナーでウラヌスチャームを外から捲り切っているし、直線で並んで伸びたのがデンコウアンジュなので高評価で良いと思う。2020年福島牝馬Sで凡走した、このレースは平均バランスで中段からで4F戦、3,4コーナー外を回して凡走しているので、持続力の低さを見せてしまった。中山牝馬Sではウラヌスチャームが先に動いて、この馬は4コーナーから仕掛けているので、恐らく自身はL2最速戦になっているはずで、瞬発力を生かして出し抜いた方が良さそう。修学院Sでも3F戦でL2最速戦だったので、持続力は期待しない方が良いかもしれない。2020年新潟牝馬Sで面白い展開が見られた、2,3番手で先行していたが、3,4コーナーで中段まで下げて直線になってから差し返す格好で2着だった。意図的にやっているとは思えないが、結果的に自身L2最速戦にしている。

この馬はオルフェーヴル産駒で当然ステゴ系、オルフェーヴルが道悪を得意としていたし、母系も母父がシンボリクリスエスで重馬場のジャパンC3着があるし、母母はグレースアドマイヤで重の府中牝馬Sをメジロドーベルと同タイム2着がある、血統的に道悪は得意の可能性が高い。1勝クラスで休み明けを勝っているように休み明けでも走るタイプ、ノーザンF生産なので全く不安はない。むしろステゴ系なので疲労の方が心配かな。

好材料は距離適性で前走の新潟牝馬Sで2着、お兄ちゃんのアドミラブルが青葉賞1着、ダービー3着だし、お姉ちゃんのイサベルが三田特別で同じコースを勝っているので、距離適性は良いはずだしコース適性も期待できる。中山での好走歴があることもコース適性が期待できる。今回は休み明け2走目、ノーザンF生産馬で休み明けを苦にしない馬だが、上積みは期待できる。もちろん豊騎手への乗り替りも好材料。悪材料はクラス負けの危険で、秋華賞では展開合わずで9着だが、その他の重賞で勝ち切れていないんだよね。前走もウラヌスチャームに千切られてしまったし、GⅠで勝負になるかどうか。

<サトノガーネット>・心肺機能は不明、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや高く、持続力も高い。

”2018年近江特別”ではスローバランスを後方から、3,4コーナーで外を回して直線はスムースだったが3着まで、軽い高速馬場で前が止まらなかったがトップスピードの質と持続力の高さを見せた。”2018年フォーチュンC”ではスローバランスを最後方の最内から、直線自分から壁に突っ込み凡走、これは度外視。”2019年糺の森特別”ではハイペースバランスを大きく離れた追走集団の中段から、追い出しのタイミングが遅く、直線も狭いところに突っ込み届かず凡走。”2019年オーストラリアT”ではスローバランスを最後方から、ここでも追い出しが遅く前が止まらずに2着まで。”2019年三田特別”ではややハイペースバランスを離れた追走集団の中段から、4コーナーで外に出して直線スムースに伸びて差し切り、持続力を見せた。”2019年五稜郭S”ではスローバランスを中段から、直線は外からスムースに伸びてハナ差1着、2着がすぐ前に居たカリビアンゴールド。”2019年クイーンS”ではスローバランスを後方から、L2で待たされてすぐ前に居たスカーレットカラーに瞬発力で見劣り6着。”2019年府中牝馬S”ではややスローバランスを最後方から、追走一杯で凡走、高速馬場で道中付いて行けなかった。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを中段やや後ろから、直線ジリジリまでで上り33.2だが前半がドスローなので届かない。”2019年中日新聞杯”ではスローバランスを中段やや後ろから、直線外からスムースに伸びて差し切り。”2020年日経新春杯”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸び酢に凡走。”2020年金鯱賞”ではスローバランスを後方から、超スローバランスになり全く届かず凡走。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年ヴィクトリアMではややスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線伸びずに凡走。”2020年エプソムCでは不良馬場でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年小倉記念”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて2着。”2020年新潟記念”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースに伸びたが4着まで。

「エリザベス女王杯へ向けて」好材料:なし。 悪材料:クラス負けの危険。

ディープ産駒らしく高いトップスピードの質と持続力が武器で、直線で進路変更すると再加速に手間取っているので瞬発力は低い。フォーチュンCと糺の森特別は騎手で負けたレースで馬に責任はない、ここで馬群に詰まってからの瞬発力の無さを見せた。トップスピードと持続力の高さは近江特別やオーストラリアTで見せていて、2019年三田特別、五稜郭Sでも外からスムースに差す競馬で良さを見せた。最後方からでは余程前が止まる展開でないと差し切れないことは、オーストラリアT で見せたので、中段からの競馬になっているのは、成績の安定感としては良いことだと思う。初の重賞となったクイーンSでは出遅れてしまい後方から、L2で待たされてしまい瞬発力で見劣った、ただ0.4差の6着と初重賞にしては格好を付けてきたかな、この時は使い詰めだったので、出遅れは精神的な疲労の可能性が高い。

2019年府中牝馬Sでは道中のペースに付いて行けずにレースにならなかった、高速府中で前半から追走一杯になっていたので、このクラスになるとスピード負けしてしまう。2019年三田特別の800m通過が48.7で1着、五稜郭Sの800m通過が49.6で1着、2019年クイーンSの800m通過が48.4で6着、2019年府中牝馬Sの800m通過が46.7で8着。クイーンSは騎手で負けたレースなので度外視したいが、800m通過が速くなってしまうと苦しくなるんだと思う。2019年エリザベス女王杯でまさにこの前半が遅いパターンになって上がり2位の33.2を出したが、このクラスでは前が止まるはずもなく凡走した。2019年中日新聞杯ではスローバランスを直線外からスムースに伸びて1着、この時は斤量53㎏のハンデ戦で上り33.3で届いてしまった。この時の前半800mが48.5なので、追走も楽だったはず。2020年日経新春杯ではスローバランスを中段の後ろから、スタートの悪さが改善されていない。3,4コーナー外目からスムースだったが伸びずに凡走、この時はハンデ戦で55㎏、1~3着が自身よりも軽ハンデの牡馬だった。この時は休み明け4走目で疲労の影響が大きかった可能性がある。

2020年金鯱賞では後方から進めたが、超スローバランスになり届かず凡走、この時は調教でもパートナーに見劣っていたので体調の問題もあったかもしれない。2020年阪神牝馬Sでは後方から進めたが、3,4コーナーで先に動いてしまい直線伸びなかった、3,4コーナーで我慢していたスカーレットカラーが2着に来ているので、騎手の差が出た1戦だった。2020年ヴィクトリアMでは後方から届かず、超高速馬場で前が止まらず出番なし、調教も良くなかった。加えて府中牝馬Sでも凡走しているので、輸送が苦手な可能性も出てきた。府中牝馬Sが2カ月強の間隔開けだったがプラス10㎏、ヴィクトリアMがマイナス12㎏だったので、輸送で体調を崩している可能性もあるので、今後の見極めが必要。2020年エプソムCでは不良馬場でハイペースバランスを後方から、直線全く伸びずなので不良馬場では全くレースにならないんだと思う。

2020年小倉記念ではハイペースバランスを後方から、完全なバテ差しレースになっていて、持続力の高さを見せた。GⅢでは安定していて牡馬混合で55㎏も良かったのかも。2020年新潟記念では後方から、直線スムースに大外に出して伸びたが4着、上がり31.9だが外ラチ沿いだったし、自身は超スローなので末脚を評価するわけにはいかない。

この馬はディープインパクト産駒で、GⅠではやや足りないがGⅢでは安定して活躍する可能性がある。ディープインパクト産駒にはこういうタイプが結構居て、サトノノブレスやステファノスが代表格。

好材料はなし、阪神では外回りの三田特別を勝っているが、内回りで後方からだと届かない可能性が高い。悪材料はクラス負けの危険で、昨年のエリザベス女王杯で9着だし、2020年ヴィクトリアMでも13着と牝馬限定GⅠで結果が出ていなし。GⅡでも好走歴がない、牡馬混合のGⅢで斤量に恵まれないと苦しい感じ。

<サムシングジャスト>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は不明。

・トップスピードの質はやや高く、持続力はまぁまぁ。

”2019年君子蘭賞”ではややハイペースバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが2着まで。”2019年阪神1勝クラス”ではスローバランスを中段のやや後ろから、3,4コーナー最内を回して直線は狭いところを割って4着まで。”2019年京都1勝クラス”では稍重で平均バランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線内からスムースに伸びて差し切り。”2019年宝ヶ池特別”ではスローバランスを中段のやや後ろから、3,4コーナー中目を回して直線馬群の中から差し切り。”2020年新春S”ではスローバランスを中段の後ろから、3コーナー手前で3番手まで上がり、4コーナー中目を回して直線スムースだったが3着まで。”2020年初音S”では稍重でスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー最内を回して直線スムースに差し切り。”2020年クイーンS”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線ジリジリまでで凡走。”2020年府中牝馬S”では重馬場でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線内からスムースだったが3着まで。

「エリザベス女王杯へ向けて」好材料:・・・。 悪材料:クラス負けの危険。

<心肺機能について>君子蘭賞ではややハイペースバランスを中段のやや後ろからだが、自身も平均バランスに入っていたはずで2着まで持ってきた。この時は3コーナーですぐ前に居たフェアリーポルカに0.1差だったが、コーナーで2頭分外を回していたのでその差を考えれば互角と見ても良いと思う。

<パワーについて>阪神の坂を苦にする素振りはないし、初音SでもL2の坂でグイグイ伸びてきたのでパワーは十分にある。

<瞬発力について>現状では不明。阪神1勝クラスではL2で10.8に対応しているし、初音SでもL3で0.8の加速に対応しているので低いということはないと思うが。

<トップスピードの質について>スローバランスだが阪神1勝クラスのL2が10.8と、下り坂を考えても自身は更に速いラップを踏んでいるので、やや高いという評価はできる。ただし初音Sを見てもキレッキレのトップスピードの質を持っているという程ではない。

<持続力について>後方から溜めて溜めて差し切るのが好走パターンなので、3Fの持続力は見せている、ただし4F戦以上では不安がある。これは新春Sで3コーナー手前で3番手に上がりながら、直線いつもの伸びが無く3着に敗れている。これはヴィクトワールピサ産駒らしい部分で、スカーレットカラーも溜めて溜めて爆発させた方が良いタイプ、同じ傾向だと思う。2020年クイーンSで後方から進めたが伸びずに凡走した、このレースはハイペースバランスで展開的には合うはずだが、3,4コーナーで外を回してしまい、爆発力を生かせなかった。L1ではっきり見劣ってしまったし、持続力はまぁまぁの評価まで。2020年府中牝馬Sでは重馬場でハイペースバランスを後方から、直線は馬場の悪い内へ行ってしまい3着までだったが、持続力は見せた。

<その他について>ヴィクトワールピサ産駒ということで、スカーレットカラーとよく似た傾向を示している、まずトップスピードの質はやや高いが3F戦なら持続力を生かして差し切ってしまう。これはトップスピードを3F維持する能力が高いからだと思う。さらに馬群に怯まないどころか、直線狭くなっても全く怯むことなく馬群を割って伸びる闘志も持ち合わせている。上記したが新春Sで早目に動いて良さが出なかった、松山君がこの馬には良く乗っていたので、試したのかもしれないがこのパターンは良くない。2020年クイーンSでは3,4コーナー外を回してしまった、コーナーで速いラップを踏むのが苦手な感じで、直線一瞬伸びたがL1で失速した。この時同じく後方からだったスカーレットカラーが最内で溜めて溜めて、直線だけで3着に持ってきたので、コーナーで動いた分だけ伸びなかった感じ。もちろん休み明けも良くなかった感じだが。2020年府中牝馬Sでは重馬場適性の高さを見せた、馬場の悪い内へ行ってしまったので3着までだったが、ヴィクトワールピサ産駒の1800m適性も見せた。

好材料はなし、悪材料はクラス負けの危険で、前走GⅡの府中牝馬Sで3着しているが、重馬場だったので良馬場の重賞で勝負になるかどうか。コース適性も未知数で阪神内回りはおろか、中山コースも走っていないので、これはやってみないと分からない。展開的には内枠を引いて溜めに溜めればチャンスはあると思う、ヴィクトワールピサ産駒なので、クイーンSのスカーレットカラーのように、内から瞬発力を生かすようなレースなら期待が持てる。松山君の継続騎乗は好材料で、前走も伸びない内へ行ったのは、この馬は内からの方が良いというイメージを持っているからで、正直に乗り過ぎた印象もあるが、狙いはハッキリしている。