2020年マイルCS 回顧。慌てず騒がずルメール騎手の貫禄勝ち。

走破時計1:32.0    800m46.9  46.9-45.1スローバランス

良馬場  含水率 ゴール前 9.8%  4コーナー 12.2%(5:00)

クッション値 9.8 標準(7:30)

まずは馬場状態ですが良馬場でした。9Rの甲東特別が2勝クラスのマイル戦で1:33.6で、上がり最速33.3です。スローバランスですから速い上がりも当然ですが、馬場は明らかの高速でした。マイルCSでも上がり最速がサリオスで33.1、前に居たグランアレグリアとインディチャンプが33.2ですから、後方からでは届かない馬場でした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2020年チューリップ賞、緑は2019年阪神JFのグラフです。

結論から書くと北村友騎手のペース認識の悪さ、これに尽きますね。チューリップ賞でやらかしたミスを再度ここでやってきました、これをどう考えたものかちょっと悩みました。なにしろ北村友騎手を含めて素人のファンですらスローバランスは絶対ダメ、これは分かっていたはずです。にもかかわらずなぜこのペースなのか。私の結論は北村友騎手のペース認識の悪さです、恐らく今回も北村友騎手はスローの認識が無いと思います。上がってきてタイムを見たらスローだった、そんなところでしょうか。

逆に抜群のペース認識を見せたのがルメール騎手ですね、スタートが良かったこともありポジションの自由度がありました、その上でスローと判断して”ステイ”、もしもレシステンシアがハイペースに上げて行けば、ルメール騎手は下げて行ったでしょうね。

もう一点気になったのが豊騎手がスローを容認したことですね、ここはどう考えていいのか難しいのですが、まずスローを認識して上がって行けばレシステンシアに併される、3流騎手が捲りに行けば無視して行かせるでしょうが、豊騎手が上がってくれば自分のペースが遅いと気付いてペースアップしますからね。あとはラウダシオンの脚質を考えて逃げたくなかったのかもしれませんね。ラウダシオンからすると、豊騎手が乗っていたことが今回は仇になったかもしれません。

逃げたのはレシステンシア、ラウダシオンが2番手で内にベステンダンク。3番手にアドマイヤマーズ、グランアレグリアがその後ろ。中段やや前からカツジ、インディチャンプ、中段からメイケイダイハード、スカーレットカラー、タイセイビジョン。中段のやや後ろからヴァンドギャルド、サウンドキアラ。中段の後ろからアウィルアウェイ、サリオス。後方からブラックムーン、ペルシアンナイト、ケイアイノーテックという並びでした。

まずはレシステンシアのペースですね、前後半46.9-45.1というスローバランス、一番やってはいけないレースでした。スタート不安の有ったラウダシオンとグランアレグリアが好スタート、アドマイヤマーズも良かったですね。インディチャンプ、メイケイダイハードがスタート良く中段のやや前を取れました。スタートは良かったのですが下げてしまったのがサウンドキアラ、外枠ですから仕方ないと思いますが、ペースを考えると下げずに前に行った方が良かったですね。

スタートが良くなかったのはサリオスです、ミルコのスタートの悪さは再三言われているように、今回もイマイチでリカバリーしませんでした。スタート五分に出て内へ切り込んだのがスカーレットカラーで、岩田騎手は一発狙っていましたね。

全体ではスタートが遅いんですよね、なにがなんでも出して行くという馬が居ませんでしたし、レシステンシア以外は逃げたくないという感じがありありとしていました、これは先週のエリザベス女王杯と一緒でした。カツジが楽に中段やや前を取っているの、前半、特にスタートから2F目までの遅さが際立っていました。

4コーナーです、レシステンシアがジワっと引き上げていますが、この区間は11.6なので当然馬群は凝縮しています。ここでもルメール騎手の上手さが見て取れます、前のラウダシオンに1頭分スペースを空けているんですね。加速のためのスペースを空けているので、詰まる心配が無い、これがレースの上手さだと思います。前が空けば負けないというルメール騎手の自信を感じさせる位置取りです。

サリオス、サウンドキアラはスローバランスにも拘わらず押し上げずに、この地点でも中段やや後ろ辺り。ここからの押上は無理ですね、前がペースを上げてしまうからです。スカーレットカラーの岩田騎手の位置取りも光っています、前のベステンダンクがトップスピードの質で見劣ることを見越したように、1頭分外に出しています。この位置取りは次のL2部分で大きく生かされます。

L2標識付近です、まずスカーレットカラーですが4コーナーのところで書いたように、ベステンダンクに対して1頭分外に位置しました、これがこの部分で生きます、スムースにベステンダンクを交わして一気に前から2列目当たり迄伸びてきます。レシステンシアも頑張っていますがここで欲しかったリードが0、すぐ外にラウダシオン、アドマイヤマーズが居て、インディチャンプがその外に並びかけます。ここで福永騎手の勝負勘の悪さが出ましたね、グランアレグリアをギリギリまで閉じ込めておけば、勝っていた可能性は十分あったと思います。インディチャンプは瞬発力も悪くないので、グランアレグリアが自分の後ろまで下げてからスパートしていれば・・・、ここまで求めるのは欲張りでしょうか。

これよりも外の馬場は伸びがイマイチで、終始外を回したカツジは距離ロスで苦しくなった感じですが、サウンドキアラは全く伸びませんでしたね。唯一外から伸びてきたのがサリオスで、展開を考えれば馬の能力は高いものを見せたと思います。

直線L1標識付近です、もう一度グラフを見て欲しいのですが、レシステンシアが勝った阪神JFの時はL1が12.5迄落としています。今回のレシステンシアの上り3Fは34.3、L1は12.5で阪神JFの時と全く一緒です。上がり3Fで見ると今回が34.3で阪神JFが35.2なので、阪神JFの時は前半で脚を使った分だけL3、L2が少し遅かったんですね。L1で12.5が一緒と言う事から坂の影響もあってこのスピード迄落とすので、L1までにリードを取らないと差されてしまうんですね、これはチューリップ賞で見せていますが。

慌てず騒がず自信を持っていたのがルメール騎手で、これはL3から流れていたので瞬発力を問われないことが分かっていたからでしょうね。グランアレグリアのL1は11.4なので、加速はしていません。コースが空いてから他の馬に比べて減速率が低かったので、差し切れたという事ですね。アドマイヤマーズはスピード持続力で見劣った感じですね、L1標識までは先頭列で踏ん張っていましたが、L1で見劣ってしまったので高速馬場が合わなかった感じ。インディチャンプは休み明けでどうかと思いましたが、しっかりL1までスピードを維持して2着確保、グランアレグリアにコースを上げてしまった部分だけですね。スカーレットカラーはL1で減速が目立ちましたね、持続力が足りなかった感じでした。

では1頭づつ見て行きます。

1着はグランアレグリア、前半の位置取りが全てでしたね。スタートを決めたグランアレグリア自身の集中力と、ペースを把握し切ったルメール騎手の位置取り、直線でもL3から11.0に入って流れたので、前が壁に見えますが減速はしていませんし、もちろん待たされてもいません。これでL1からコースが空いて実質バテ差し、他馬とトップスピードの質を維持する能力の差を見せつけましたね。この馬が負ける可能性があるとすれば、内枠で減速戦に巻き込まれた時でしょうね。

2着はインディチャンプ、休み明けがどうかと思いましたが、しっかりと仕上がっていましたね。正攻法のレースで差し切ったかというところで、外からグランアレグリアに差されているので、この差はトップスピードの質を維持する能力の差でしょうね。L1手前でグランアレグリアを閉じ込めておけば、差されなかった可能性もあるので、福永騎手にはもう少し嫌らしいコース取りをして欲しかったですね。この辺りが福永騎手の良さでもあるんでしょうね。

3着はアドマイヤマーズ、トップスピードの質とそれを維持する能力、この両方でわずかに見劣った感じですね。もう少し時計の掛かる馬場であれば、2着もあったと思うので運が無かったですね。展開的にも前半楽なペースになってしまって、他馬の末脚が削がれなかったし、だからと言って自分で動く馬ではないしで、展開も合わなかった。自分で動いてしまっても良いと思いますが、先に動くとどうしても目標にされますからね。

4着はスカーレットカラー、岩田騎手渾身の騎乗でした。最初から内を狙っていたし、4コーナーでベステンダンクを交わす用意をしていたことも含めて、好騎乗だったと思います。まぁ相手が悪かったですね、この馬って持続力がまぁまぁなので、どうしてもL3からになるとL1で減速が大きくなってしまう。内回りだったら馬券になっていた可能性もありますね、それがクイーンSですからね。

5着はサリオス、スタートがね~。ミルコに替わってスタート不安は感じていましたが、ここまで後ろになってスローバランスではレースになりません、リカバリーしなかった時点で勝負にならなかったですね。それでも伸びない大外からただ1頭上がり最速で伸びてきたので、馬の能力は高いものを見せました。

サウンドキアラは10着、サリオスと同じ位置に居ながら大きく見劣ったので、調子が落ちているのでしょう。今年の春の時点まで調子を戻せるか、今後はここがポイントになりますね。15着だったのがラウダシオンで、ここまで負けたのは距離ですかね~。

馬券の方は馬連だけでトリガミ。先週休み明けのラッキーライラックにやられて、今週はインディチャンプに同じ理由でやられました。ちょっと流れが良くないですね。来週は豪華メンバーのジャパンCです、バシッと当てられるよう気を引き締め直して頑張ります。