2021年NHKマイルC 回顧。超ハイレベルな1戦で、今後の勢力図が一変しそう。


走破時計1:31.6    前半800m45.3     上り3F34.7  

まずは馬場状態ですが良馬場、土曜日に散水をしましたが朝から晴れて気温も上がったし、風もあったので乾いていました。9Rの湘南Sが3勝クラスのマイル戦で1:32.0、前半の800mは45.5で、上位3頭は中段よりも後ろからのバテ差しでした。クラスを考えれば高速馬場に入っていました。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2021年シンザン記念、緑は2020年NHKマイルC、黒が2019年NHKマイルCのグラフです、クリックで大きくなります。

スタートでバスラットレオンが落馬してしまい、ランドオブリバティがスタート良く前に行きました。これを制して逃げ体勢を築いたのがピクシーナイトで、前半600mは33.7、800mは45.3なのでシンザン記念と比べて丁度1秒速いペースでした。特に2F目が0.7秒も違い高速馬場を考えてもペースが速過ぎましたね。前半が速過ぎただけでなく中盤も中緩みが小さく11.6、2020年と2019年のNHKマイルCでは12.0迄緩んでいるので、今年のラップは非常にハイレベルだと思います。

ソングラインはL1標識で先頭に並んでいたので、レースラップのL1はソングラインの物で11.9です、L3では前との差をあまり詰めていないので、L2のソングラインのラップは11.0くらいのはずです。この区間は上り坂区間でもあるので、瞬発力を見せてきましたね。中段やや前からでギリギリ平均バランスくらいのはず、心肺機能は見せているので、持続力で若干見劣った感じです。

シュネルマイスターは中段からでややスローバランスくらい、この馬が見せたのは強烈な持続力です。L1ではレースラップ11.9を3馬身詰めているので、自身のL1は11.4くらいのはずです。L1まで全く落としていないので、トップスピードの質は高くはないが、まぁまぁのトップスピードの質をどこまでも持続する、そんな能力を見せつけました。

逃げたのはピクシーナイト、内にランドオブリバティ、外にホウオウアマゾンまでが先行。中段の前からルークズネスト、グレイイングリン、中段やや前からグレナディアガーズ、タイムトゥヘヴン、ソングライン。中段から、ショックアクション、シュネルマイスター、アナザーリリック、中段やや後ろからゴールドチャリス、ロードマックス、中段の後ろからリッケンバッカー、ヴェイルネビュラ。後方からシティレインボー、レイモンドバローズという並びでした。

スタートでバスラットレオンが躓き落馬して競走中止、逃げる可能性の馬が1頭居なくなりましたから、通常ならペースは上がらないはずですが、今回は外枠だったからかピクシーナイトはハイペースでした、掛かっていたわけでもなく福永騎手が押して押して促していたわけでもなかったので、馬の行く気に任せた結果があのペースだったのでしょう。福永騎手にしてみればランドオブリバティがハイペースを刻むとは思えなかったはずですし、ホウオウアマゾンが前に来ていたことも、福永騎手のペース認識を狂わせた要因ではないでしょうか。豊騎手は無理なペースで逃げるタイプではないですからね~。

このペースを速いと感じていたと思わせる騎乗をしたのが川田騎手、先行するかと思いましたがスタート抜群から下げていきました。その後ろに居たのがソングラインで、池添騎手なのでペースを確認してこの位置になったのか、スタートが良かったので川田騎手をマークする形をとったのかはっきりしませんが、良い位置取りでしたね。もう一人最高と言うか神懸った位置取りをしたのがルメール騎手です、中段で前と2馬身程間隔を空けて自身はややスローでしょう、結果的にハナ差ですからギリギリ届く、なおかつ無理をしない位置を取ったんですね。シュネルマイスターの勝因は2つほどあると思いますが、1つは間違いなく初手の位置取りですね。

4コーナーです、ピクシーナイトが最内で先頭、その外にホウオウアマゾン、グレイイングリンで、更に1頭分間を空けて一番外からグレナディアガーズでした。内から6頭目あたりを回したグレナディアガーズは、距離ロスが大きかった感じです。その後ろ内から4頭目あたりをソングライン、タイムトゥヘブンがやや内に居て、その後ろにシュネルマイスターでした。

ピクシーナイトはコーナーでも11.6を連発しているので、中段から外を回してジワっと上がったグレナディアガーズ、ソングライン、シュネルマイスターは11.4くらいを連発したはずですね。リッケンバッカーは最内をロスなく回していました。

直線L2標識付近です、ここではピクシーナイトが頑張っていて先頭、ホウオウアマゾンも踏ん張っていました。外からグレナディアガーズが並びかけ、その2馬身程後ろにソングラインで、その1馬身程後ろからシュネルマイスター。この並びを見るとルメール騎手はソングラインを風除けに使っていますね。ルメール騎手はソングラインで紅梅Sを勝ち切っていますから、ここからソングラインが失速しないこと、息の長い所続力を見せることを分かっていたのでしょうね。この位置取りが2つ目の勝因だと思います、しかも1馬身程間隔を空けたことで、追いつく勢いで抜け出す目論見がよく分かるコース取りでした。

勿体なかったのがタイムトゥヘヴンで、ここからグレナディアガーズとソングラインが馬体を併せたことで、外から内に進路変更を強いられやや失速していました。スムースならと思わせる動きでしたが、L2標識を過ぎた直後の動きは、ソングラインの方が俊敏だったので、これは瞬発力の差でしょうね。逆に言えばソングラインはこのペースで、更にもう一足使ってきたということですから素晴らしいですね。

直線L1標識付近です、ピクシーナイトがここまで踏ん張りました。1400m通過は1:19.7ですから、ピクシーナイトは1400mならば古馬相手でも重賞を勝てるレベルですね。もちろんこの地点ではグレナディアガーズとソングラインが半馬身程出ていましたから、この3頭とシュネルマイスターは古馬相手の重賞でも通用するはず。L2の坂区間でソングラインはグレナディアガーズとの2馬身差を詰めたので、瞬発力は相当なものですね。しかもこのペースで加速していますから、桜花賞でもスムースなら馬券になっていたでしょう。

で、シュネルマイスターがここから追いつく勢いで外に出して、ゴール前で計ったようにハナ差だけ差し切りました。L1ではソングラインにはっきりと持続力勝っていたので、この馬の持続力の高さは異常ですね。L2でソングラインに若干離されているので、トップスピードの質と瞬発力では見劣りましたが、持続力ではこちらが上ですね。ロードマックスはL1手前で減速が大きくなり、リッケンバッカーに後ろから差されてしまったので、1400mベストなのでしょう。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はシュネルマイスター、馬の能力としては持続力特化型で、トップスピードの質はそれ程高くないと思います。その上で今回はハイペースバランスで中緩みが小さく、トップスピードの質が問われない展開でした。この展開になったということが運と言うか、持っているということなんでしょう。それ以上にルメール騎手の位置取りは神懸っていました、このコースでルメール騎手を無印にした時点で、勝負に負けていました。ただスローからの瞬発力勝負になると、脚を余して負けそうですね。

2着はソングライン、紅梅Sで前半3F33.5を中段の前から、自身もハイペースバランスを圧勝しているので、心肺機能は見せていました。今回さらにL2でもう一足使って瞬発力も見せているので、普通ならここでも圧勝していてもおかしくなかったです。紅梅Sでは後半が減速戦になっていますから、瞬発力は見せていませんでしたが、ここまでのものを見せられて驚きでした。叔母さんにジューヌエコールが居るので、マイルでちょっと足りなくなってしまったのかな~、1400mでは相当強そうです。

3着はグレナディアガーズ、初手の位置取りは良かったと思います、川田騎手がペースをしっかりと把握して下げて折り合い重視、ただ4コーナーが少し膨らみ過ぎましたかね~。ファルコンSが前半3F33.7、4F45.1で、自身の上り3F34.9なんですよね。今回は自身の上り3F35.1なので、大きく変わらないということはこの馬は力を出し切っていますね。先着された2頭は未対戦だったので、これは力負けでしょうね。

4着はリッケンバッカー、スタートは五分でしたが最初の1F目で勢いが付きませんでした、これは精神的に使い詰めが堪えたのかも。上がり最速で追い込んできたし、距離適性だけでなくトップスピードの質と持続力も見せましたね。返し馬から汗が目立っていたので、使い詰めで少し入れ込んでいた感じでした。

5着がロードマックス、L1標識手前で減速率が大きくなった感じで、これが距離適性だと思います。距離を考えて前走よりも後ろから行った判断は良かったと思うし、結果論ですがハイペースに巻き込まれなかったことも掲示板に乗れた要因だと思います。

タイムトゥヘヴンは7着、L2で進路変更したことが勿体なかったですね、お母さんがキストゥヘヴンなので距離適性の幅は広そうですが、現状ではもう一つ何かが足りない感じですね。ホウオウアマゾンは反動が出た感じの負け方でした。ルークズネストは前半このペースだと1400mまでなんでしょうね、L1標識までは踏ん張っていましたがそこで一杯になった感じ。ピクシーナイトは汗も目立っていたので、もう少し絞った方が良いかもしれませんね。

馬券の方は大外れ、このコースでルメール騎手を無印にしたことを、激しく後悔することになりました。来週は京王杯SCとヴィクトリアMの予定です、本命はグランアレグリアを予定していますが不安もあるんですよね~。それでも今日の失敗を繰り返さないためにもルメール騎手に本命を打ちます。