2022年鳴尾記念 回顧。高速馬場で地力の差がモロに出た。

走破時計1:57.7    前半1000m60.1   上がり3F 34.3

まずは馬場状態ですが良馬場でした、土曜日に散水したので朝の段階では含水率が高目でした。クッション値は10.0に上がっていましたね。10Rの中京スポニチ賞が2勝クラスのマイル戦で1:33.6、クラスを考えればまぁまぁのタイムが出ているので、やや高速馬場という感じですね。鳴尾記念でも走破時計が1:57.7で、後半の4F45.7ですから、スピードを持っていない馬には苦しいレースでした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。1枚目の青は今回、赤は2021年中日新聞杯、緑は2021年鳴尾記念。2枚目の青は今回、赤は2022年金鯱賞、緑は2021年天皇賞(秋)のグラフです。

まず1枚目ですが中京2000mで行われた3レースです、2021年中日新聞杯は含水率が14.0と13.1%、クッション値は9.9でした。2021年鳴尾記念では含水率が15.7と14.5%、クッション値は8.5でした。タイムからもこの2レースは時計の掛かる重い馬場で、しかも前半ゆったり入っています。この2レースで好走したのがショウナンバルディで、いずれも逃げ・先行でした。2021年のL1は11.9ですが、これは勝ったユニコーンライオンの物で自身は12秒台に入っているはずなので、今回のラップからはスピードの限界を超えたことが敗因ではないでしょうか。特にL2のレースラップ11.1に対応できなかったことからも、前半が速く一杯になってしまった感じが伺えます。

2枚目は今年の金鯱賞と昨年の天皇賞(秋)で、この2レースは前半の1000mが1.2秒違います。サンレイポケットは金鯱賞で凡走、天皇賞(秋)では4着に好走と真逆の結果でした。今回と似ているのは天皇賞(秋)で、この馬にとっては前半ゆったり入っていますね。これで後半やや高いトップスピードの質をしっかりⅬ1まで持続しているので、前半無理をしないことが好走条件ですね。

逃げたのはキングオブドラゴン、2番手にショウナンバルディ、2馬身程空いて中段の前からギベオン、ヤシャマル、中段にヴェルトライゼンデ、カイザーバローズ。中段のやや後ろからサンレイポケット、ジェラルディーナ、中段の後ろからアドマイヤジャスタ、後方からパトリックという並びでした。

逃げたのはキングオブドラゴンで、並びかけるようにショウナンバルディが先行、この2頭から2馬身程離れてギベオンが中段の前からでした。上位のヴェルトライゼンテ、ジェラルディーナ、サンレイポケットは中段辺りからで、前半61秒くらいですね。このレースの後半1000mは57.6なので、レコードタイムが出た今年の金鯱賞の後半1000m57.9よりも速い、なので今回上位に来た馬はスピードの持続力が高いタイプですね。

4コーナーです、キングオブドラゴン、ショウナンバルディが先頭、ヤシャマルが外目から差を詰めてきました。この辺りで全体的に馬群が凝縮していて、ヴェルトライゼンデは詰りそうな位置取りでした。ジェラルディーナは外からスムース。

直線L1標識付近です、直線入り口でヴェルトライゼンデがスムースに中目に出しました、ヤシャマルが4コーナー出口から外へ流れたことで、その内にわずかなスペースが出来ました。このスペースを見逃さなかったレーン騎手はさすがですが、ヴェルトライゼンデも狭いスペースに躊躇なく突っ込んでいきました。L2標識から一気にスピードアップ、このレースのL2は11.1なので、ヴェルトライゼンデのL2は当然10秒台です。何度も書きますがこのレースの後半1000mは57.6です、これで自身のL2で10秒台を踏んでくるのは、相当なトップスピードの質を持っていますね。何しろⅬ2標識ではすぐ後ろにサンレイポケットが居ましたが、付いて行けませんでしたからね。

ジェラルディーナとサンレイポケットは互角の末脚、一緒に伸びてきて上がり3Fは同じ33.6でした。L2では共にヴェルトライゼンデに見劣りましたが、L1までしっかりトップスピードの質を維持しました。瞬間的なトップスピードの質ではヴェルトライゼンデに見劣ったので、ヴェルトライゼンデよりも前に居ないと先着できないでしょうね。カイザーバローズはL1で見劣っているので、持続力で若干見劣った感じですね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はヴェルトライゼンテ、レースの内容は非常に強かったですね。高速馬場ですが後半57.6で走破した上に、L2で自身推定10秒台を踏んでいますから、トップスピードの質も高いものを見せました。ワールドプレミアの弟ですが、むしろワールドエースに近い感じですね。ワールドプレミアはトップスピードの質が高くなかったですが、ワールドエースはマイラーズCの走破時計1:31.4でⅬ2が10.9、これで上がり3F33.2なのでこちらに近い特性ですね。屈腱炎明けですから様子を見ながらということになると思いますが、これなら中距離GⅠで通用しそうです。

2着はジェラルディーナ、スタートと二の足がどうしても少し遅いので、前半ポジションが取れませんね。この展開でしっかり2着は確保したので力は見せましたが、ヴェルトライゼンデには力負け。L2で切れ負けしたので、もう少し前に位置しないと今後も勝ち切れないと思います。

3着はサンレイポケット、昨年の天皇賞(秋)でも4着と同じような展開で好走してきました。前半が速くなると危ないと思うので、今後も鮫島駿騎手が乗るようだと、その判断が出来るかどうか。宝塚記念へ向けて100%の仕上げではなかったようですが、100%の状態でもこの特性は変わらないでしょうね。

4着はギベオン、休み明けはピリッとしないタイプですが、先行したことでよく粘れましたね。この馬はむしろ次でしょう。

5着はキングオブドラゴン、逃げの手に出たのは良いのですが、この馬のトップスピードの質を考えるとペースが遅い。もちろん前半59秒くらいで行っても、残る可能性は未知数ですが、この馬の適性を考えると上がり勝負は悪手ですから、岩田望騎手の乗り方は褒められないと思います。距離も足りなかった感じだし、高速馬場も良くないですね。

馬券の方はハズレ、軸にした2頭が適性外の馬場状態になってしまいお手上げでした。