2020年ヴィクトリアM 全頭評価。その1。

<アーモンドアイ>・心肺機能、トップスピードの質、持続力、瞬発力が高く、パワーはまぁまぁかも。

・疲れやすい体質だが休み明けでも走る。

”シンザン記念”では稍重スローバランスを最後方から、逃げた馬が3着に残る展開をL2から追い込んで圧勝、瞬発力とトップスピードの高さを見せた。”桜花賞”では平均バランスを最後方から、L5,L4の中緩みで取り付いてL2からの追い込みで圧勝、瞬発力とトップスピードの高さを見せた。”オークス”では実質ややスローバランスを離れた追走集団の中段から、L3から11秒台前半に入る流れでL2は自身10.5くらいを出して圧勝、トップスピードの質、持続力、瞬発力を見せる完ぺきな内容だった。”秋華賞”ではややスローバランスを中段の後ろから、後半ロンスパの厳し流れをL2から追い出して圧勝、この時が休み明け。”2018年ジャパンC”ではスローバランスの後半ロンスパ戦を3番手から先行して、L1バテ差す形で圧勝、強烈な持続力を見せた。”2019年安田記念”ではスローバランス、スタートで大きく不利を受け中段の後ろから、直線でもL2まで前が空かず、コースが空いてから猛然と追い込んできたが3着まで、改めてトップスピードの質と瞬発力の異常な高さを見せた。”2019年天皇賞(秋)”ではスローバランスを中段の前から、直線内からスムースに抜け出して圧勝。”2019年有馬記念”では離れた追走集団の中段から掛かり気味、3,4コーナー外目を回して直線先頭に立ったが垂れて凡走、この時は前走激走後であり香港遠征を熱発で回避した後。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:・・・。

パワーはまだよく分からないが、それ以外の要素は全て最高レベルで非の打ち所がない。休み明けでも初の海外遠征でも問題なく走るし、この馬に関しては負けるイメージが全く沸きませんね。あえて不安を上げるとしたら最内枠を引いてスタートがイマイチになった時に、周りの騎手に囲まれて抜け出せなくなった時でしょう、それ以外はレース中に故障でもしない限りは負けないと思います。

と言いつつ負ける可能性を探ってみると、周りの馬のレベルアップはあるかもしれませんね、ドバイターフでヴィブロスに1・1/4馬身まで詰め寄られた、初の海外遠征で休み明けなので仕方ない面もあるが、やや物足りなかった。これはアーモンドアイの体調というより、周りの馬がアーモンドアイを倒すためにレベルアップしてきた可能性はあると思う、どんな競技でもそうだけど、驚異の新人が出現しても2,3年の内に他の選手も互角に渡り合えるようになる。つまりアーモンドアイを目標にした馬たちの中から、アーモンドアイに近づく馬が出てきたんじゃないかな~。競馬界全体の底上げって意味で、シンボリルドルフやディープインパクトの出現と同じくらいのインパクトを与えていると思う。

オークスが圧巻の内容で強烈な瞬発力でL2を10.5くらいまで一気に引き上げている、当然上り坂地点の10.5くらいでトップスピードの質は最高レベル、それを持続力を生かしてL1でもあまり落としていない。持続力の強烈さを見せたのが2018年ジャパンCで、この時は800m過ぎからの残り1600mのラップがL1以外は全て11秒台という異様なラップだった、これを2,3番手で追走して逃げたキセキに対して0.3秒差を付けて圧勝、3,4着のスワ―ヴリチャードとシュヴァルグラン(次の有馬記念で0.2差3着)を全く相手にしなかった。超ロンスパ戦で心肺機能と持続力の高さを見せたレースで、ちょっと異様と言ってもいい程のレベルだった。どれ程の異様さかというと、この馬は中盤から後半の1600mを1:32.4で走破してしまったこと、前日のキャピタルS1着グァンチャーレの走破タイムが1:32.6なので、ハッキリ言ってレベルが違い過ぎる。

上で負ける可能性を重箱の隅を突いてみたら、2019年安田記念で3着に負けてしまった、スタートで大きな不利を受けて中段の後ろからになり、さらに直線でも狭くなってしまい追い出しが遅れてしまった。さすがのルメール騎手もスタートで不利を受け中段の後ろからになり焦ったのだろう、直線入り口でスムースに外に出せていれば勝ち切ったような勢いはあった。ドバイターフから2カ月の間隔で高いパフォーマンスを見せられたのは、海外帰りも含めて疲労への耐性が徐々に出来てきたのかもしれない。2019年有馬記念では離れた追走集団の中段からで自身ややハイペースバランスくらい、1周目のスタンド前で掛かり気味上がってしまい、3,4コーナーでも外を回して凡走した。この時は天皇賞(秋)激走後でもあり香港遠征を熱発の影響で取りやめているので、肉体的にも精神的にもストレスがあったはず。

好材料はコース適性で昨年の安田記念3着、この時はスタートで大きな不利を受けて後方からになり、直線1頭だけ別次元の末脚で追い込んできた。天皇賞(秋)でも圧勝しているようにこのコースは好相性。もちろん休み明けは全く問題ないし、フレッシュな方が好結果を上げるのは過去の実績からも明らか。悪材料は特にないが強いて上げれば2点、まず本来はここを使う予定ではなかったこと、コロナ問題でドバイが中止になり一旦輸送しているのは、疲れやすいこの馬には不安材料。もう一点はこの馬がロードカナロア産駒でキンカメ系であり5歳になること、キンカメ系の蓄積疲労については結構確信を持っていて、マイラーズCのレッドヴェイロンも5歳だし、昨年はこの時期にレイデオロが失速を始めた。この馬はロードカナロアの第1世代なので不明な点が多いが、同じキンカメ後継種牡馬のルーラーシップ産駒では、6歳になって蓄積疲労と思われる症状が出ている、先週の天皇賞(春)でキセキとダンビュライトが凡走した。なので5歳のこの時期ならまだ大丈夫かもしれないし、そもそもロードカナロア産駒には蓄積疲労による能力落ちが無い可能性もある。ステルヴィオの近走を見ると不安は拭えないが・・・。

<コントラチェック>・心肺機能は高く、パワーはある、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力もまぁまぁ。

”サフラン賞”ではスローバランスを2番手から、上り33.8で届かず2着。”菜の花賞”ではハイペースバランスを逃げて圧勝、1:33.8は超優秀。”フラワーC”ではスローバランスを3馬身程離して逃げ、L2の下りで出し抜いて圧勝、かなり楽をしたレースで好評価までは出来ない。”オークス”では平均バランスを2番手から、ジョディ―の無謀なペースを追いかけてしまい、直線は一杯になってしまった。”2019年秋華賞”では稍重でハイペースバランスを逃げ争い気味に先行、L2で一杯になり凡走、L2標識までは踏ん張っていたので距離の可能性が高い。”2019年ターコイズS”ではハイペースバランスを逃げて圧勝、L2最速戦に持ち込みまぁまぁの瞬発力と高い心肺機能を見せた。”2020年中山牝馬S”では不良馬場で平均バランスを中段のやや前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:クラス負けの危険。

サフラン賞ではスローバランスを2番手から、L2最速戦に対応はしたがレッドアネモスを捉えきれずにトップスピードで見劣り、終始インコースで楽をしていた割にはL1での減速が大きかった。良かったのが菜の花賞で前後半1.6秒のハイペースバランスを逃げて圧勝している、相手が弱いので高評価は出来ないが、L2で出し抜き決定的な差をつけている。この感じからも現状では、トップスピードの質はまぁまぁ、持続力もまぁまぁという結構中途半端な感じ。瞬発力も中山の坂で加速しているため低いはずで、未勝利戦の札幌がL2で0.9加速しているが、前半が遅過ぎて瞬発力として評価するのは無理がある。

フラワーCもスローバランスからのL2最速戦で新しい面を見せたわけではない、翌日のスプリングSでも1:47.8が出ている馬場だし、2着のエールヴォアもオークスで11着だったのであまり評価はできないかな。秋華賞で距離適正を見せてしまった感じ、稍重でかなりのハイペースバランスを逃げ争い気味に先行して、L2標識で一杯になってしまった。2F長い感じの止まり方でマイルがベストで、高速馬場なら1800mでも勝負できると思う。2019年ターコイズSではハイペースバランスを逃げて圧勝、マイルで距離適正の高さを見せ高い心肺機能と持続力、L2で11.8から11.1へのまぁまぁの瞬発力を見せた。

2020年中山牝馬Sは不良馬場で平均バランスを中段やや前から、自身はややスローバランスに入っていた可能性があった。それ以上に積もってはいなかったが大雪で視界は非常に悪かった。L2過ぎには一杯なっているので距離の可能性も高い、これは秋華賞でも見せているので距離適性は高速馬場なら1800mまでだと思う。

血統的には母系にサドラーズウェルズの全兄弟フェアリーキングが居るので、トップスピードの質は高くはないはず。その代わり持続力の高さは期待できるので、差しに回るよりも逃げてしまった方が良いはず。

好材料は距離適性でマイルは3戦2勝2着1回と好相性、逃げてしまえば止まらないのはターコイズSで見せているので、府中マイルは初めてだが前半怖がらずにハイペースで逃げればチャンスはある。悪材料はクラス負けの危険で古馬GⅠは初めてで、ターコイズSと中山牝馬Sでは1線級とやっていないので未知数な部分は有る。2カ月の間隔空けはノーザンF生産馬なので問題ないし、ターコイズSが2カ月の間隔開けで圧勝している。前走の馬場状態を考えても間隔が空いたことは好材料と考えた方が良いと思う。今回は豊騎手に乗り替わり、ルメール騎手からだが脚質を考えるとマイナス材料ではなく、むしろプラスに捉えたい。

<サウンドキアラ>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、心肺機能はまぁまぁ。

”2019年六波羅S”ではスローバランスを中段から、終始外を回して直線外からスムースに差し切り、トップスピードの質と持続力の高さを見せた。”2019年ヴィクトリアM”ではややハイペースバランスをやや離れた追走集団の中段やや後ろから、外枠から終始外を回して直線スムースだったが7着まで。”2019年長岡京S”ではスローバランスを2番手先行、終始内目を回して直線スムースに抜け出し1着。”2019年リゲルS”ではややハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線外からスムースに抜け出したが、ゴール前差されて3着。”2020年京都金杯”では平均バランスを中段やや前から、終始内目を回して直線スムースに中目に出し押し切り、この時53㎏。”2020年京都牝馬S”では重馬場でスローバランスを中段やや前から、終始外を回して直線外からスムースに伸びて差し切り。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを中段のやや前から、3,4コーナー最内を回して直線スムースに抜け出し1着。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:特になし。

2019年六波羅Sではスローバランスを中段から、終始外を回したが折り合いは付いている、L4で11.4を踏む2段階加速の展開になったが、L2で自身10.8くらいを踏んで圧勝した。2019年ヴィクトリアMではややハイペースバランスを中段の後ろから、超高速馬場で前半800m44.8だったがこれでもやや掛かっているので、持っているスピード能力の高さは相当なものがある。直線はさすがに伸びなかったので、このクラスになるとトップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い、心肺機能はまぁまぁだと思う。道中掛かり気味であったことから1400mの方が合うかもしれない。

マイルでやや長い可能性を見せたのが2019年リゲルSで、ややハイペースバランスを中段の後ろからで終始外から、直線一旦先頭に立ったがゴール前で差されて3着だった。この時はかなり重い馬場だったので余計に距離適正が目立って出た可能性が高く、L1で12.4はこの馬のラップなのでさすがに落とし過ぎの感がある。ただこの時は2カ月の間隔空けであることも一因の可能性があり、これら複数の要因が差された原因だと思う。

逆にマイルで強かったのが2020年京都金杯で平均バランスを中段やや目から進め押し切り、終始スムースだったことと、この時は53㎏だったことは大きい、2着のダイアトニックが57㎏なので恵まれた感はある。それでもマイルでしっかりと距離をこなせたことは、前走からの間隔が1カ月だったことが大きいのだと思う。この感じから間隔空けると心肺機能が低下する傾向なのだと思う、その結果マイルではラスト1Fで甘くなっているのではないか。2019年の天神橋特別では直線L2で詰まって大きくブレーキ、その後前の馬を交わしているので坂が苦手ではないと思う、パワーも十分あるのは2019年ヴィクトリアMでもL2シッカリしていたので問題はないはず。ただコースが空いてからの伸びは鋭くなかったので、瞬発力は高くないと思う。2020年京都牝馬Sでは終始馬場の良い外を回して直線も外から差し切り、道悪適性と持続力の高さを見せた。2020年阪神牝馬Sでは平均バランスをスタート良かったが、ジワジワと下げて行って中段のやや前から、3,4コーナーも最内でロスなく進め、直線もスムースに抜け出す完璧な騎乗だった。特に前半速いと見るや中段のやや前まで下げたペース認識は高評価。

この馬は社台F生産馬で休み明けがピリッとしない、2019年長岡京Sは勝ち切っているが物足りない内容だったし、2019年リゲルSは牡馬混合のOPだったが、一旦抜け出しながらゴール前でかわされてしまった。逆に使い減りの心配は無く、条件戦だが2019年1月からコンスタントに使われて好走を続け、5走目で勝ち切っているし続くヴィクトリアMも7着と大きく負けていない。これは母系にアグネスデジタルの血が入っているためだと思う。

好材料は距離適性でマイルは好相性、昨年のこのレースは0.7差7着だったが、この時は中段の後ろからというふざけた位置取りだった、その後は先行して好結果を出しているし、鞍上は引き続き今期絶好調の松山君の予定なので、先行が想定できることも好材料。悪材料は特になく、今年4走目になるが適度に間隔を空けながら使っているし、母系にアグネスデジタルが入っているので、使い減りの不安は少ない。