2019年クイーンS 回顧。三浦騎手は動く意識が甘過ぎる。

走破時計 1:47.0  前半800m 48.4  上り3F34.5

馬場状態は良馬場、軽くはないやや高速馬場くらいでしょうか。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤はミッキーチャームが勝った2019年阪神牝馬Sのものです。

見比べると非常によく似ていますね、このグラフがミッキーチャームにとってはベストなペース配分だと思います。L1での減速が大きいのは2か月半ぶりで+10㎏の影響もあったのかもしれません。問題はフロンティアクイーンでスローバランスで勝負にならない馬ではない、にもかかわらずここまで負けてしまったのは4コーナーから直線で追い出しを待たされた分でしょうね。これに関しては隊列を図にしておきますね。2017年のターコイズS、2018年の中山牝馬Sではスローバランスから2着に好走していますから、ペースの問題で凡走したわけではないんですね~。

逃げたのはリリックドラマでした、エイシンティンクルがスタートイマイチで二の足も付かずに中段からになってしまいました、これでリリックドラマ菱田騎手は予想通りスローに落としてしまいましたね。2番手にウインファビラス、3番手にメイショウショウブが先団を形成しました。4番手に外からミッキーチャームで馬群のやや外を回していつでも動ける位置を確保、内からフロンティアクイーン、リンディーホップ、カリビアンゴールドがミッキーチャームを見る位置でした。ダノングレースがフロンティアクイーンをマークする形で、エイシンティンクルは中段のやや後ろから、スカーレットカラーはダノングレースを見る位置でした。フィニフティ、ウラヌスチャーム、サトノガーネット、シャンティローザが後方からという隊列。

リリックドラマはエイシンティンクルが来ないことをいいことに、予想通りスローに落としてしまいましたね。これでミッキーチャームは楽になりました、まぁ前の3頭が飛ばしたとしても川田君は追わなかったはずで、かえって外枠で前を見やすい位置を確保できて良かったのではないでしょうか。メイショウショウブは積極的に行きましたが、距離を考えると最後方で足を溜めた方が良かったかも。

L3を過ぎたあたりです、ここが問題の地点です。ミッキーチャーム川田君は外からメイショウショウブに並びかけてペースを引き上げます、ここでフロンティアクイーンは動かないんですよね。予想でミッキーチャームやエイシンティンクルが仕掛けることを、三浦騎手が予想して乗らないと付いて行けなくなると書きましたが、想定しているとかそういうレベルではないですね、恐らく初手で最内を取れた段階で、コーナーは最内を回してコースロスを防ぐことしか頭になかったのでは。フロンティアクイーンの前に居る3頭は全て不安の有る馬ですから、この3頭の後ろで動かないというのは、責任を問われても仕方ないでしょう。フロンティアクイーンはトップスピードの質と持続力は高いのですが、瞬発力は低いタイプです、直線が266mしかないコースで直線入り口まで前が壁になっていては、外から勢いを付けてくる組には対応できませんね。

直線入り口付近です、外からミッキーチャームとカリビアンゴールドが勢いを付けて直線に入ってきます、反対に待たされているのがフロンティアクイーンとダノングレースですね。スカーレットカラーがダノングレースの後ろからですが、ここから外目にスムースに誘導するんですね。この辺りは岩田騎手と蛯名騎手の差かな~。エイシンティンクルとウラヌスチャームが一緒に外から勢いを付けてきます。

直線L1標識付近です、ここでミッキーチャームが抜け出して押し切ります。メイショウショウブはこの辺りまで頑張っていましたが、一杯になり後退しました、スローバランスでL1失速という事ですから1F長いのだと思います。フロンティアクイーンがトップスピードに乗せられないうちに、外からカリビアンゴールドがミッキーチャームを追いかけます。ここで馬群の間から伸びたのがスカーレットカラーで上がり1番時計の33.4でした。全頭評価の段階でトップスピードの質が低いと書いてしまいましたが、訂正します。トップスピード高いじゃん!もちろん前半がスローで最内をロスなく回せたことが大きいと思うので、いつでもこのスピードが出せるほどハイレベルな馬ではないと思いますが、条件がかみ合えばこのくらいのトップスピードを出してくるんですね。元々持続力は高いのでL1で減速したミッキーチャームに迫りましたが、あの差は埋まらないんですよね。

エイシンティンクルは外から伸びてはきましたが、元々トップスピードの質で勝負するタイプではないし、調教も緩かったようで絶好調からは程遠い感じでしたね。同じくウラヌスチャームも伸びはイマイチでした、この馬も休み明けで+10㎏と本番は次でしょうね。2番人気のサトノガーネットはルメール騎手が直線で諦めてしまった感じでした、展開的に後方からでは苦しかったので仕方ないですね。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はミッキーチャームでした、スローバランスの3F戦は阪神牝馬Sと同じ展開でこの馬にはベストでしたね。秋華賞の時もややスローバランスからL3最速戦で粘り込んだので、このラップ推移が良いんでしょう、前走のヴィクトリアMは前半が速過ぎましたからね。今回は仕掛けのタイミングも完璧で、さすが川田騎手というレースでした。

2着がスカーレットカラー、L3から11.5-11.1という流れで、直線入り口から瞬発力も見せましたね。前走のマーメイドSは阪神内回りでL4から下り坂なので、先頭列迄並んできた瞬発力を過小評価してしまいました、「スカーレットカラーさんご免なさい」。改めてトップスピードの質、持続力、瞬発力とバランス良く備えているなと思いました、ただどれもまぁまぁのレベルで高いレベルで備えている感じではないですね。

3着はカリビアンゴールド、予想の段階で想定した位置取りでしたが、L3でミッキーチャームの動きについて行きましたね、やや離されましたが付いて行って持続力を発揮しましたね、柴山騎手はミッキーチャームマークと決めていたような感じでした。トップスピードで切れ負けする危険がありましたが、フロンティアクイーンは自滅したし、後ろからきたエイシンティンクルとウラヌスチャームは体調イマイチで、ちょっと恵まれた感じもありますね。でも勝負に行くならこの騎乗しかないので、いい作戦だったと思います。

4着がウラヌスチャーム、絶好調時なら3着まで来たと思いますが、+10㎏でしたからここは4着でも良く走ったと思います。前回藤岡佑騎手が乗ったローズS後に「もう一列前で」という発言があったので、もう少し前からになるかと思いましたが何の工夫もない騎乗でしたね。

5着がエイシンティンクル、スタートイマイチでしたし二の足も遅いとなると難しいですね。京都牝馬Sでもスタート良くなかったし、出る時と出ない時があるようですね。調教も緩かったようで、+6㎏ですから仕上げには不安のある厩舎ですね。

14着がダノングレースでした、L3からフロンティアクイーンと一緒に待たされた挙句に、L1でリリックドラマと内ラチに挟まれる格好で殿負け、これが蛯名騎手ですよね~。

アイビスサマーダッシュの方はオールポッシブルが3着に来てくれて、複勝、3連複的中でした。3連複を55点も買うという暴挙に出ましたが、なんとかトリガミにならずに済みました。