2019年チャンピオンズC 回顧。クリソベリルはテーオーエナジーとロンドンタウンに感謝。

走破時計 1:48.5  前半1000m 60.8  上がり3F 35.7

馬場状態は良馬場でした、前残りの多い馬場で前優位、標準やや速いくらいの馬場でしょうかね~。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2019年東海Sのレースラップです。

まず勝ったクリソベリルの勝因です、ラップタイムから勝因を探っていくとテーオーエナジーがインティを突いたことで、L4、L3で12.0のラップを踏んでいることが大きいと思います。東海Sとの比較ではL4、L3がどちらも12.4なので、この0.4の差がインティのL1の粘りに影響したのは明らかですね。もう一点はL2の11.6です、インティがいつものようにL2で出し抜いた部分で、クリソベリルはしっかりと対応してきました、外に居たゴールドドリームも対応しましたが、他の馬は対応できずにL1標識では2馬身程間隔が空きました。クリソベリルがインティの出し抜きに対応できる瞬発力を持っていることがはっきりしたレースでしたね。

インティが3着に垂れてしまった原因はL4、L3の12.0だけでなく、東海Sに比べて1000m通過が0.7秒速いことも原因だと思います。今回は1000m通過が60.8秒、東海Sが61.5秒なので、ここでもテーオーエナジーによるプレッシャーが影響しています。フェブラリーステークスでも速いラップを踏んでしまうと、L1で垂れてしまうことがはっきりしていたので、道中突かれてしまったことが苦しくなってしまった原因でしょう。

逃げたのはインティ、外からテーオーエナジー、クリソベリルがその内から、チュウワウィザードが控えて3列目、その外にゴールドドリー、さらに外にロンドンタウン。サトノティターン、オメガパフューム、タイムフライヤー、ウェスタールンド、ワイドファラオが中団。ミツバ、ワンダーリーデル、、ヴェンジェンス、キングズガード、、モズアトラクションが後方という並びでした。

チュウワウィザードが控えたことでクリソベリルが楽にインティの後ろを取れました、チュウワウィザードが下がったことでタイムフライヤーも下がることになり中段からになってしまいました、マーフィー騎手には大きな誤算だったと思います。オメガパフューム、ウェスタールンドは出たなりの形で中断を確保する、ワイドファラオがスタートが良くなく中断のやや後ろからになり、向こう正面で押し上げて行きます。

フェブラリーSでインティを捉えきれなかったゴールドドリームのルメール騎手が、中段の前をしっかりと確保してきたのはさすがです。外からロンドンタウンが来ても折り合いを欠くことがなく前にテーオーエナジーを置いてインティを射程圏に入れていました。これに対してスタートで控えてしまったチュウワウィザードは、トップスピードの質が高くなく瞬発力も低いのでこの位置では勝負にはならない、乗り替りの福永騎手がチュウワウィザードの特性を掴みきれていなかったためだと思います。

4コーナーから直線入り口です、34コーナーで外からテーオーエナジーにかぶされる形になったインティが、L4、L3で12.0のラップを踏んでいる場面です。向こう正面で三列目まで上がってきたワイドファラオがゴールドドリームの外にいて、オメガパフューム、ウェスタールンドが外に進路を取りに行きます。チュウワウィザードはここでも動かずクリソベリルの後ろから、その後ろにいたタイムフライヤーがチュウワウィザードの外に進路を探しに行きます。後方にいたキングズガード、ベンジェンス、ワンダーリーデルあたりが、コーナーで押し上げて外から末脚にかけます。

インティを目標にしているクリソベリルは動かず、テーオーエナジーがこの辺りで苦しくなってきます、外のロンドンタウンが直線入り口でテーオーエナジーが下がったスペースに入りクリソベリルの外に、前が開く形になるゴールドドリームがさらにその外に進路を取りました。

直線 L1標識付近です、インティが L 2で出し抜くことでチュウワウィザード、オメガパフューム、ウェスタールンドあたりは対応できずに前段との間に2馬身ほど間隔が開きます。インティの出し抜きに反応できたのはクリソベリルとゴールドドリームで、ロンドンタウンは食らいつくのが精一杯でなんとかクリソベリルの後ろゴールドドリームの横に粘っていました。このロンドンタウンの位置がクリソベリルに幸いして、ゴールドドリームに進路を極められることがありませんでした。もしもロンドンタウンがいなければゴールドドリームのルメール騎手は迷わずクリソベリルをインティの後ろに閉じ込める進路取りをしたはずで、この辺りは川田騎手の運だと思います。

チュウワウィザードはL2の出し抜きに対応できず、直線入り口でも前に詰まり外目に進路を取ったこで、スピードに乗るのが遅れて届かずの4着まででした。タイムフライヤーもチュウワウィザードと同様に、直線進路を確保するのに手間取った感じで伸びを欠いてしまいました。キングズガードが後方で脚を溜めて5着まで伸びてきます、前半脚を溜めた分伸びてきましたが、前優位の馬場もあり届きませんでした。 オメガパフュームは左回りの影響が出たのか思ったほど伸びず、ウェスタールンドは前半ポジションを取り過ぎた感じで自慢の末脚が発揮できませんでした。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はクリソベリル、スタート五分に出て内のチュウワウィザードが控えたことで、すんなりとインティの後ろを取ることができました。このポジショニングが勝因の1点目、2点目はテーオーエナジーがインティを執拗に突いたことで、ベースがやや速くなりました。特にL4、L3で12.0のラップを踏んだことでインティのL1の粘りに大きな影響を与えたこと。3点目はこの馬自身がインティの出し抜きに対応してきたことです、L3で12.0からなので東海Sほど急激な瞬発力を問われてはいませんが、上り坂で0.4の加速に対応できたことは今後に向けて大きな武器になると思います。予想の段階では砂を被って嫌がる素振りを見せていたことから、この枠が災いするかと思いましたが、今回は砂を被っても嫌がる素振りを見せず集中して走れていたので、経験を積んで砂を被っても嫌がらなくなったのかもしれません。

2着はゴールドドリーム、フェブラリーSでインティを捉えきれなかった反省をしっかりと活かして、中団やや前を確保してきたルメール騎手の手腕は流石です、休み明け2走目で上積みもありインティを捉えることはできましたが、 さらにもう一頭強い馬がいたということですね。予想の段階でも書いた通りこの馬は海外や休み明け以外では非常に安定した成績なので、6歳になり衰えが心配されましたが今日のレースが出来れば今後も安定した成績を残すと思います。

3着はインティ、すんなりと逃げ体勢を築けましたが、外からテーオーエナジーに絡まれてしまいややペースが速くなってしまったことが大きな誤算でした、特にL4、L3で12.0のラップを踏まされたことがL1での粘りに大きく影響したはずです。自分が先頭を走っていれば折り合いはつくし、L2で出し抜いてしまう瞬発力も健在なのですんなり逃げられるメンバー構成ならば今後も期待できると思います。

4着はチュウワウィザード、まずスタートでクリソベリルに前を譲ってしまったことが大きなミス、4コーナーから直線入り口でも前が壁になってしまい瞬発力の低いこの馬には非常に苦しいレースになってしまいました。福永騎手への乗り替りが悪い方に出る典型的な例で、やはり内枠では割引したい騎手です。それでもL1ではジリジリと差を詰めてきているので持続力の高さは見せているし、このクラスでも十分好走できることは証明しました。

5着はキングズガード、 前半は後方で脚を溜めてコーナーで馬群に取りつき直線馬群の中からスムーズに伸びてきました、先行した馬や中段にいた馬がインティの出し抜きに対応できなかった時に、後ろから勢いをつけてきたこの馬だけがトップスピードに乗った感じで、5着を確保しました。前半のポジションが後ろだったことが好結果を生みましたが、馬券内には届かないことは明らかでこのクラスでは、前に行っても後方からでも勝負にはならないということがはっきりしてしまいました。

6着がオメガパフュームでしたが左回りだったことが影響したのか思ったほど伸びませんでした、7着のヴェンジェンスは後方からになりキングズガードと同じように伸びてきましたが届かず、8着のタイムフライヤーは直線スムーズに進めませんでした。ウェスタールンドは中団からの競馬になり脚がたまらなかった感じで、2走続けてスミヨン騎手が乗りましたがどうもこの馬の特性を掴みきれなかったようです。外国人騎手はどうしても好位置からの差しをやりたがるので、この手の馬とは手が合わないようです。

馬券の方は三連複が的中しちょうど±0ででした。