2019年ステイヤーズS 回顧。今年は1800mのレースになった。

走破時計 3:46.1   上がり3F 36.4

馬場状態は良馬場、9Rの葉牡丹賞が2歳500万条件2000mで1:58.9、日曜の9R南総Sが3勝クラス1200mで1:07.7なので、やや高速と見ていいかと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2018年、緑は2017年、黒は2016年のレースラップです。

赤く丸で囲った地点が2016年、17年、18年の後半戦のスタートラインです、三本のグラフがちょうど交差している点が残り1100mぐらいの地点で、ここから12秒台の前半から11秒台後半ににペースが上がります。ところが今年は1800mを過ぎた地点から急激にペースが上がり後半一度も13秒台に入らず、12秒台の半ばから12秒台の前半のラップを淡々と刻んでいきました、 後半1800mの走破時計は1:49.3でした。

例年このレースは前半の2600mまでスローペースで進み、そこから後半の1000mが異様に速くなるレースでした。リッジマンは適性の幅が狭い馬で、今年の京都大賞典でも12秒台前半のラップを連発されて、心肺機能が苦しくなって凡走しています。距離は違いますが同じような展開にています。

人気薄で3着に粘ったエイシンクリックは昨年2000mのレースで1:59.7を記録しています、 この時は一度も12秒台後半のラップを踏まずに淡々とした流れでした、これを後方で脚を溜めてバテ差す形で3着まで持ってきました。 つまり前半12秒台の後半のラップを踏み続け後半は11秒台を連発してもバテない心肺機能を持っていたことになります。この心肺機能の高さが今回の3着に繋がりました。

この前後2レースに別れる展開を作ったのは横山典騎手で、横山騎手がやりたかったのは前半1000mを逃げて1000m過ぎから2600mあたりまでを13秒台のラップを踏みながら息を入れ、後半の1000mでもう一度勝負するというレースをしたかったはずです。1周目の正面スタンド前で13秒台のラップを踏んでいる中、ネイチャーレッドが後方から上がってきたことでスイッチが入ってしまい、残り1800mのレースになってしまったのは大きな誤算だったはずです。

勝ったモンドインテロは2年前のチャレンジCで1:58.7、4着と中距離戦でもまずまずの成績を出していたので、今回の1800mのレースにも対応できたのだと思います。 2着のアルバートは元々幅の広い適性を持っていたのでしっかりと対応してきました、昨年の京都大賞典でも3着がある馬なので 心肺機能に不安はなく速い上がりも使えました。

逃げたのはレイホーロマンス、5馬身程離れてオジュウチョウサンが2番手からモンドインテロがその外に付けています、2馬身ほど離れて内からヴァントシルム、チェスナットコート、サンシロー、ベイビーステップ、リッジマン。メイショウテンゲン、アルバート、エイシンクリック、ララエクラテール、最後方からネイチャーレットという展開でした

レイホーロマンスは前半淡々としたペースで逃げを打ち後続に5、6馬身の差をつけます。2番手にはオジュウチョウサンがすんなり収まり、その外のモンドインテロは最近は中段の後ろからになっていましたが、主張する馬も少なかったためにすんなりと3番手が取れました、昨年もビュイック騎手で中団やや前から進めていたので非常に手が合うのだと思います、ヴァントシルムは2馬身ほど間隔をあけて中段からになり、その外にチェスナットコート、サンシロー、ベイビーステップ、リッジマン、メイショウテンゲン、アルバートまでが中段で一塊でした。この中段を見る形でエイシンクリック、ララエクラテー、大きく離れてネイチャーレッドが続きまし。

2周目のホームストレッチです、一周目の3、4コーナーから横山典騎手が13秒台に落としたために馬群が一気に凝縮しています。ここでも13秒台のラップを踏んでいるところを、最後方にいたネイチャーレッドが一気に先頭に立ち、これにエイシンクリックが続き2周目の1コーナーまでにエイシンクリックが先頭に立ちます。ネイチャーレッドの動きに反応したのがオジュウチョウサンでモンドインテロがそれに続きます、レイホーロマンスは内の中段やや前に位置、ヴァントシルムやチェスナットコート、リッジマンもじわっとポジションを上げます。

2週目のバックストレッチです、エイシンクリックがネイチャーレッドを5馬身ほど引き離して先頭に立ち、そこから2馬身ほど差があっておじゅうちょうさんとレイホーロマンスが並びすぐ後ろにモンドインテロが控えます。その後ろからヴァントシルムチェスナットコート、リッジマンが続きサンシロー、アルバートはやや離れた位置から追走しています。この地点では12秒台の前半に入っているので、リッチマンはこれを外から追走したことで一杯になってしまいました。

最終4コーナーから直線入り口です、逃げていたエイシンクリックにオジュウチョウサンが並びかけます、モンドインテロがやや遅れて直線に入り後ろからヴァントシルムが続きます。下がったネイチャーレッドの外にレイホーロマンスが出し、さらにその外にサンシロー、アルバートがさらに外を回して直線に入ってきます。メイショウテンゲンは4コーナーでさらに外を回して直線にスムースに入ってきました。

直線 L 1標識付近です、エイシンクリックが粘るところをオジュウチョウサンが捕まえに行ったのですが、捕まえに行ったオジュウチョウサンの方が垂れてしまいエイシンクリックが抜け出します。外からモンドインテロがスムーズに上がりエイシンクリックを捕まえて先頭に立って押し切ります、モンドインテロを目標に外からアルバートが追い詰めて2着まで上がり、粘り切ったエイシンクリックが3着でした。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はモンドインテロ、後半1800mのレースをしっかりと勝ち切ったように適正の幅が広いことを改めて見せました。2017年のチャレンジCで2000mを1:58.7でそ走破しているので、1800mのレースにもしっかりと対応できたのだと思います。休み明けの実績がなかったので不安視したのですが、ビュイック騎手を配してきたこともあってしっかりと仕上げてきました、2400mくらいではどうしてもスピード負けしてしまうのが最近の傾向でしたので、今回のレースで展開の幅が広がったことは今後に向けて好材料になると思います。

2着はアルバート、昨年は跛行で出走取り消しになりましたか、このレースは2015年から3年連続で1着と好相性でした、今回は過去3年とは全く異なる展開になりましたが、それでも2着に好走できたので改めて適正の幅の広さを見せたと思います。昨年の京都大賞典や2017年アルゼンチン共和国杯でも好走しているように中距離でも活躍できる馬なので、今回の1800mのレースでもしっかりと対応ができたのだと思います。転厩2戦目で結果を出せたので今後は転厩を心配する必要はないし、8歳での衰えも不安視されましたがこの結果からまだまだ衰えは感じられません。

3着がエイシンクリック、2周目のホームストレートで後方から一気に先頭に立ったことで、1800mのレースに持ち込めたことが好走の要因だと思います。2000mを1分59秒台で走る脚力があるので今回の展開でもしっかりと粘り切れたのだと思います。一点だけ問題があるとすれば長距離で後半1000mの勝負になった時に対応できるのかどうかが未知数な点で、この3着を持って長距離戦で目処が立ったと考えるのは早計だと思います

4着がメイショウテンゲン、後半12秒台前半のラップを踏んだことで追走いっぱいになりましたが最後までよく粘り切りました、この馬は12秒台前半や11秒台のラップにはなかなか対応できないので、どうしても届かないレースが続いていますが、弥生賞のように13秒台のラップを連発する消耗戦でありなおかつパワーが問われる展開であれば再び好走する可能性が高いと思います。

5着はサンシロー、 終始中段を回ってロスなく運んでいましたが、後半1800mのレースには対応しきれなかったようで5着まででした。距離自体には 目途を立てたので例年通り後半1000mの勝負になれば、さらに着が良かったかもしれません。

今回は凡走してしまったリッジマンですが、例年とは全く違う展開になったので今回は度外視してもいいと思います、昨年は例年通りの展開で一着になっていますので、 今後も長距離戦においては好走できる力は持っていると思います 。万葉ステークスやダイヤモンドステークスで嫌う必要はないと思いますし、 今回の結果から人気が下がるようなら積極的に買いたいと思います。

馬券の方はハズレでした、展開が全く噛み合わなかったですし、休み明けを不安視して無印にしたモンドインテロに勝たれてしまってはお手上げです。