2019年日本ダービー 回顧。ロジャーバローズは馬場に勝たせてもらった。


走破時計2:22.6 1000m57.8 上り3F35.9

まず馬場状態ですが超高速馬場で、先週のオークスのタイムよりも0.2秒速い2:22.6のレースレコード。かなり軽い高速馬場でしたね。12Rの目黒記念も2500mのレコードでした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

1200m付近のタイム差を計ってみました。ラップはリオンリオンのもので意味が無いですからね~。

まずリオンリオンと2番手のロジャーバローズが約1.5秒、ロジャーバローズとサトノルークスが約1秒でした。これのタイム差を元に補正すると、リオンリオンはハイペースバランスです。ロジャーバローズは71.3-71.3で全くの平均バランスになります。サトノルークスが離れた追走集団の先頭に居て、こちらは前半1200を72.3で通過しているので、この集団は後半を70.3秒以下で走っているはずです、つまりスローバランス。上のグラフの3F目から6F目は11.4-11.4-11.6になっていてこれはリオンリオンのラップ、ロジャーバローズはここで前と間隔を空けているので推定12.0を踏み続けていますね。L3標識でもリオンリオンとロジャーバローズの差は1秒程、ロジャーバローズとダノンキングリーの差も1秒程あったので、ダノンキングリーがロジャーバローズを交わすには33秒台半ばの脚を求められました。

ロジャーバローズのL3からのラップは推定、11.2-11.9-12.0くらい。ダノンキングリーのラップは11.0-11.7-11.8くらいですね、L1で全然落としていないんですね、苦しくなっているはずなのにラップが落ちないくらい馬場が軽いんでしょうね。

先頭のリオンリオンは離して逃げました、ロジャーバローズもやや離れた2番手、メイン集団の先頭がサトノルークスでした。エメラルファイトの後ろにダノンキングリーその外にクラージュゲリエ。中段からマイネルサーパス、ヴェロックスが良い位置を取れました、ランフォザローゼス、シュヴァルツリーゼの後ろに出遅れたサートゥルナーリアとその内にニシノデイジー。後方からレッドジェニアル、ナイママ、タガノディアマンテ、ヴィント、メイショウテンゲン、アドマイヤジャスタという並びでした。

前半1000m57.8と超高速馬場にしても速過ぎるペースで逃げたリオンリオン、これを1.5秒ほど離れて平均バランスで淡々と走ったのがロジャーバーローズ、3F目以降L4まで12秒前半のラップを淡々と踏み続けたんですね、オークスではL4で11.7に入っているのでオークスよりも楽なラップだったはずです。

ヴェロックスは2F目でリオンリオンが無理やりハナを叩いた10.9のラップで、内の各馬がバラケタ隙に中段が取れましたね、ただ内には入れられずに1頭分外でした。サートゥルナーリアはスタート失敗、タイミングが合わなかっただけでなく、出てからも狭くなりました。内からサトノルークスが外に寄れ、外からはニシノデイジーが内に寄れたことでメイショウテンゲンと一緒にコースが無くなってしまいました。間に居たダノンキングリーはスタート抜群でこの混乱を上手く回避しています。

直線入り口です、ここでもリオンリオンとロジャーバローズの間に1秒程、ロジャーバローズとダノンキングリーの間に1秒程の間隔があります、馬群が凝縮したのは前が引き上げないから、戸崎騎手は勝負所を間違えたと思います。実際届いていませんからね、オークスのカレンブーケドールのような感じでL4から流れてくれれば届いたのではないでしょうか。

ここで大外を回す羽目になったのがヴェロックスとサートゥルナーリアで、3,4コーナーで流れないためにどうしても馬群が詰まって外を回すことになりました。もちろんこれで前を射程に入れられましたが、如何せん前が止まらない馬場ではどうしようもないですね。内からいいレース展開になったのがニシノデイジーで、予想の段階で「折り合い折り合い」と言ったのが届いたのか、中段でしっかり折り合っていました。

L2標識付近です、ここでリオンリオンが一杯になりロジャーバローズが抜き去ります、ダノンキングリーはまだ3馬身位離されていてここからジリジリ詰め寄ります。で、大きく外に進路を取ったのがヴェロックスとサートゥルナーリアですね、今回のレースでサートゥルナーリアの持続力がやや低い(対ヴェロックスで見て)と言って良いのかもしれませんね、逆にここまで大きくコースロスをしても伸びてきたヴェロックスは持続力が高いですね。ニシノデイジーは内のコースが空いてスムースなのでしっかり伸びましたが、2000mまでの方が良いかもしれませんね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はロジャーバローズ、自身平均バランスを押し切ったのは立派ですが、やはり馬場の恩恵を考える必要はあると思います。それとメイ集団の先頭に居たサトノルークス池添、ダノンキングリー戸崎両騎手の判断ミスもあったのではないでしょうか、ちょっと楽をさせ過ぎですよね。トップスピードの質は低いと思いますが今回はそれが問われなかったし、L3で自身11.2くらいの瞬発力にも対応しているのは意外な点でした。ダービー馬にはなりましたが、まだ高い評価が出来ない馬なので、秋の結果をしっかり見たいと思います。

2着はダノンキングリー、結局ロジャーバローズに楽をさせ過ぎたんですよね、馬場、ペース、他馬の能力を見切って動き出さないといけないところで、動けませんでした。元々持続力は共同通信杯で見せているし、L3で11.0くらいのラップを踏む瞬発力も持っているので、もう少し速く動いていればね。これが運なんでしょうね。

3着はヴェロックス、上手く中段が取れたな~と思いましたが、3,4コーナーでかなり外を回されてしまったのがね。トップスピードの質が問われなかったので、直線は持続力を生かしてましたが前も止まらないし良く走った方でしょうね。サートゥルナーリアに対して持続力で上回っていると思うので、もう少し前で競馬をした方が良いでしょうね。全頭評価でキセキみたいな展開を作れればと書きましたが、枠も良くなかったし3歳のこの時期に出来る競馬ではないですよね。秋以降の成長次第では世代最強馬になりそうな素質を感じました。

4着はサートゥルナーリア、珍しく入れ込んでいましたね。ゲート裏ではかなり煩いところを見せていて案の定出遅れてしまいました。この馬最大の武器である瞬発力を生かす展開にはならなかったし、その割には直線良く伸びましたね。皐月賞でも外から勝ちに行って持続力を見せていたし、2400mでこのくらいの持続力を持っていれば今後は楽しみですね。

5着はニシノデイジー、上手く中段の最内に入れられたのが良かったですね、スタートで他馬に迷惑をかけてしまいましたが。これでしっかり折り合いに専念出来て最後まで良く走ったと思います、この馬もサートゥルナーリアと同じでスローバランスから瞬発力を生かしたいタイプ、持続力勝負でここまでやれれば大健闘でしょう。

馬券の方はロジャーバローズが買えずでした。