2019年安田記念 全頭評価。その1。

過去5年複数回3着以内に来ている種牡馬はディープインパクト3回、ハーツクライ2回、ローエングリ2回(1頭)、スクリーンヒーロー2回(1頭)です。昨年はディープインパクト産駒の連絡みはなく4着が最高でした。あまり種牡馬に拘らなくてもいいのかな~。ペースバランスは平均バランス2回、ややハイ、ハイ、スローバランスが1回ずつでバラバラ、逃げ馬の出方で随分と変わってきそうですね。今年もアエロリットが行く気を見せなければスローもあるし、アエロリットのペースなら平均でしょう。

リピーターも多いレースでロゴタイプ、モーリス、グランプリボス、ストロングリターン、スマイルジャック、ウォッカなどですね。グランプリボスが面白い実績を残していて、2012年から3年連続出走して2着、10着、2着の成績。2012年は良馬場でハイペースバランス、ストロングリターンが日本レコードを出した時です、2013年は良馬場で平均バランス、2014年は不良馬場でハイペースバランスでした。道中のポジションは同じような位置でしたから、グランプリボスにとってペースバランスがとても重要だったんですね。今年のメンバーでペースバランスに注文の付くのはアエロリット、グァンチャーレ、そしてダノンプレミアムも・・・。

では1頭ずつ見ていきます。

<アーモンドアイ>・心肺機能、トップスピードの質、持続力、瞬発力が高く、パワーはまぁまぁかも。

・疲れやすい体質だが休み明けでも走る。

”シンザン記念”では稍重スローバランスを最後方から、逃げた馬が3着に残る展開をL2から追い込んで圧勝、瞬発力とトップスピードの高さを見せた。”桜花賞”では平均バランスを最後方から、L5,L4の中緩みで取り付いてL2からの追い込みで圧勝、瞬発力とトップスピードの高さを見せた。”オークス”では実質ややスローバランスを離れた追走集団の中段から、L3から11秒台前半に入る流れでL2は自身10.5くらいを出して圧勝、トップスピードの質、持続力、瞬発力を見せる完ぺきな内容だった。”秋華賞”ではややスローバランスを中段の後ろから、後半ロンスパの厳し流れをL2から追い出して圧勝、この時が休み明け。”2018年ジャパンC”ではスローバランスの後半ロンスパ戦を3番手から先行して、L1バテ差す形で圧勝、強烈な持続力を見せた。

「安田記念へ向けて」パワーはまだよく分からないが、それ以外の要素は全て最高レベルで非の打ち所がない。休み明けでも初の海外遠征でも問題なく走るし、この馬に関しては負けるイメージが全く沸きませんね。あえて不安を上げるとしたら最内枠を引いてスタートがイマイチになった時に、周りの騎手に囲まれて抜け出せなくなった時でしょう、それ以外はレース中に故障でもしない限りは負けないと思います。

と言いつつ負ける可能性を探ってみると、周りの馬のレベルアップはあるかもしれませんね、前走ドバイターフでヴィブロスに1・1/4馬身まで詰め寄られた、初の海外遠征で休み明けなので仕方ない面もあるが、やや物足りなかった。これはアーモンドアイの体調というより、周りの馬がアーモンドアイを倒すためにレベルアップしてきた可能性はあると思う、どんな競技でもそうだけど、驚異の新人が出現しても2,3年の内に他の選手も互角に渡り合えるようになる。つまりアーモンドアイを目標にした馬たちの中から、アーモンドアイに近づく馬が出てきたんじゃないかな~。競馬界全体の底上げって意味で、シンボリルドルフやディープインパクトの出現と同じくらいのインパクトを与えていると思う。まぁこれは重箱の隅をつつくような不安材料で、突いたくらいではビクともしないと思うけど。

<アエロリット>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。

・休み明けでも走る、輸送はダメ。

”クイーンC”ではややスローバランスを出負けして中段から、4コーナーで押し上げて直線はトップスピードの差でアドマイヤミヤビに見劣り2着。”桜花賞”では稍重でハイペースバランス、スタートで大きく後れて5着まで、この時が関西輸送。”NHKマイルC”ではハイペースバランスを4番手で先行、直線はやや外目から抜け出し1着。”クイーンS”ではハイペースバランスを逃げて1着、古馬相手に斤量の恩恵はあったが圧勝、この時は滞在競馬。”秋華賞”ではハイペースバランスを2番手から、直線失速して7着、この時も輸送。”2018年中山記念”ではマルターズアポジーの⒉馬身後ろで先行、後続を大きく離して直線粘り込み2着、この時は休み明けで1着がウィンブライト。”2018年ヴィクトリアM”ではスローバランスを2番手から、直線はトップスピードの質で見劣り4着、直前の雨で稍重表記になったが実質良馬場、戸崎騎手が馬場を読めずにスローバランスで折り合ったことで、負けるはずのないレースを落とした。”2018年安田記念”では平均バランスを⒉馬身後ろから先行、直線は粘って2着、この時も戸崎騎手で前半がやや遅い。”2018年毎日王冠”ではスローバランスを逃げ切り、L3で10.9に入れる瞬発力を見せたのは驚き、かなりの高速馬場と2着ステルヴィオ、3着キセキが休み明けだったことも逃げ切れた要因。”2018年マイルCS”ではスローバランスを逃げて凡走、苦手なL2最速戦になっただけでなく、輸送の影響が大きい。”2019年ヴィクトリアM”ではハイペースバランスを逃げ、L1まで粘ったが前半速過ぎて5着まで、スタートがイマイチで出して行ったところスピードに乗り過ぎた感じ。

「安田記念へ向けて」まず前走は海外帰りの休み明けの影響なのか、スタートでやや出負けしてしまった、ここで押して押してハナを叩いたことで、スピードが付きすぎた感じでオーバーペースになってしまった。それでもスーパーレコードのレースで差のない5着に粘ったのは評価すべきで、スタートさえ普通に出ればペースも落ち着くはずで好走期待が高まる。

昨年のこのレースは2着で前半800m45.5のほぼ平均バランスを先行して2着、この時の1着が絶好調時のモズアスコット、3着がスワ―ヴリチャードだったことを考えても、このコースでは性別など関係ない。鞍上は昨年と同じ戸崎騎手、ただ今年は逃げ馬が他に居ないのでこの馬がレースを作ることになると、横山騎手よりは不安が増すと思います。戸崎騎手は他力本願なレースをする騎手ですからね~。それが顕著に出たのが昨年のヴィクトリアMで直前の雨で稍重表記、ただ終わってみれば走破時計1:32.3、勝ったジュールポレールの上がり3Fが33.3なので高速馬場だった。これを前半46.8のペースに付き合ってしまい4着、安田記念と大きな違いは前半のペースですね。繰り返しになるけど、今年は逃げ馬が居ない、前走逃げたグァンチャーレかロジクライだけど、グァンチャーレは前走同様ドスローからの粘り込みに持ち込みたいはずだし、ロジクライの豊騎手もハイペースで飛ばすわけはないので、戸崎騎手がアエロリットのペースで逃げられるのかどうか。内枠を引いて頭をグァンチャーレに抑えられてしまうと、動くに動けなくなり、グァンチャーレや豊騎手のペースに付き合うようだと着外まであると思う。

もう一つの不安材料は前走の反動で、勝ったノームコアが骨折、好走したプリモシーン、クロコスミア、ラッキーライラックは放牧に出されています。ローテーションで最初からヴィクトリアM後は放牧の予定だった可能性もあるが、さすがにあのスーパーレコードは心配になりますね。

<インディチャンプ>・ステゴ産駒で掛かりやす。・休み明けでも走る。・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は少ない。・下り坂で加速できれば瞬発力は補えるが、L3が平坦だと加速に手間取る。・トップスピードの質はまぁまぁ持続力は高い。

”有松特別”では内枠から掛かり気味に中段まで下げ直線はスムースに外に、坂で一気に前を捉えて1着。”元町S”でも内枠からドスローで掛かりながら中段の後ろに、直線はスムースに外に出し坂で周りが苦しくなったところを纏めて面倒見た。目視でL3から11.0,11.0,11.2位で長くいい脚を使ってきた。”東京新聞杯”では実質ややスローバランスを出遅れたが中段にリカバリー、直線はバテ差しの形で1着。”2019年マイラーズC”ではスローバランスを4番手で掛かり気味に追走、10秒台のラップに心肺機能が持たずにゴール前差し返されて4着。

「安田記念へ向けて」前走は4着、超高速馬場の中でスローバランス、それもかなりのスローバランスでかなり掛かっていた、これで後半の持続力が削がれてしまった感じ。東京新聞杯では出負けしてからリカバリーしたので掛かることもなかったし、しっかり持続力を発揮してきた。有松特別では稍重の中平均バランスを中段から圧勝しているので、心肺機能は問題ないと思う。疲労に関しても間隔空けて使われているし、不安材料にはならない。

特に高評価は東京新聞杯で 前半45.7で2018年安田記念と大差ないし、馬場を考えれば走破時計も優秀だと思う。相手もサトノアレスが3着に来ているので、結構レベルが高い1戦、これを出負けしながらリカバリーして、中段から直線は馬群を割って伸びた闘志は多頭数でこそ生きる。

不安材料としては前走のようなスローバランスになった時に掛かるリスクや、内枠を引ければいいんだけど包まれて抜け出せないこと、このくらいかな~。レコード決着になった時に持っているスピードの限界を超えてしまう可能性はあると思う。後気になるのは58㎏はおろか57㎏さえも背負ったことが無いので、斤量負けしないかどうかですね。

<エントシャイデン>・心肺機能がやや低いがパワーはある。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。前半が速くなると後半息切れする。

”2019年節分賞”ではスローバランスを中段から、長くいい脚を使ってリカビトスを振り切った。”2018年京都1000万条件”ではスローバランスを中段のインで折り合い、上手く捌いて1着。”2018年東京1000万条件”ではスローバランスを後方から、直線空いた内を突いて1着。”2018年NZT”では平均バランスを先行して直線失速。”2019年阪急杯”では平均バランスを後方から、酷い騎乗で4コーナー出口から馬群に詰まってしまい5着、詰まった割にL1のバテ差しは良かったのでスムースなら3着はあったはず。

「安田記念へ向けて」まず前走京王杯SCは11着だった、この時は休み明けの影響だと思う。この馬はノースヒルズの生産馬で、外厩はノーザンFと比べてしまうとどうしても弱い、2019年節分賞では2カ月強の間隔開けで勝ち切ってるんだけど、未だに条件馬のリカビトス相手にハナ差の辛勝だったからね、やはり休み明け、間隔空けは良くないんだと思う。今回は間隔が1カ月弱なので、仕上がりに問題はないと思う。

阪急杯を見ても平均バランスまでなら後半も持続力を生かせるところを見せた、もちろん酷い騎乗で直線馬群に突っ込んで詰まって5着だったので、コース取りには注文が付く。このコース取りに関しては騎手不安が大いにあって、今回も引き続き田辺騎手、以前のインタビューでも基本的にインコース狙いを公言していたので、今回もインコースを突くと詰まる可能性はある。昨年11月の東京マイルで上がり32.3を出しているので、トップスピードの質と持続力では一線級に負けないはずで(アーモンドアイは超級です)、直線スムースなら怖い1頭だと思う。

<グァンチャーレ>・心肺機能はやや低くパワーはある、瞬発力は低目。・トップスピードの質は低く持続力は高い。スクリーンヒーロ産駒でギヤチェンジは苦手、一本調子に3F戦以上に持ち込むか、前半からハイペースの消耗戦で台頭する。トップクラスの心肺機能は持ち合わせていないため、相手次第だがGⅡ以上では苦戦傾向。

”2019年洛陽S”ではスローバランスを中段の前から、L2最速戦に反応して1着。”2018年キャピタルS”ではスローバランスを中段から、L3最速10秒台に入る流れを押し切り、この時に2着がタワーオブロンドン。”2019年マイラーズC”ではスローバランスを逃げ切り、スローからの後半ハイペースの持続力勝負で良さが出た。

「安田記念へ向けて」まず前走大金星の2着、ダノンプレミアムには交わされたが、重賞馬のパクスアメリカーナ、インディチャンプは押さえたし、本調子ではなかたっとは思うがケイアイノーテックとモズアスコットはGⅠ馬だからね、この2頭は離している。もちろん高速馬場でとんでもないスローペースだったことが勝因だけど、同じ展開になればこういったメンバー相手にも勝負できることは証明した。

この傾向はOPだが2018年キャピタルSでも見せていて、スローバランスを中段から上り32.9で持続力を見せて1着、もちろん直線大きく外に寄れて他馬に迷惑をかけてしまったのは褒められない。この時の2着が外からスムースに走ったタワーオブロンドン、タワーは直線スムースならかなり強いことは京王杯SCで見せたから、スローバランスになれば一線級相手にも勝負になることはここで見せていたんだよね。

松岡騎手に乗り替わりだがキャピタルSの時がその松岡騎手だったので、乗り替りの不安はないと思う。この馬の得意パターンはスローバランスなのは明確なので、展開に大きく左右される1頭、なので内枠からすんなり逃げたら怖い。なにしろアエロリットが戸崎騎手なのでペースが読めない、松岡騎手がスタートに集中してハナを切ってしまえば、波乱を演出する可能性は十分あると思う。