2021年府中牝馬S 回顧。輸送さへなければ勝って当然。

走破時計1:45.6    前半800m47.3     上り3F34.4
まずは馬場状態ですが良馬場でした、金曜日に散水していましたが、大きく悪化しませんでしたね。シャドウディーヴァの上り3Fが33.1なので、パンパンの良馬場ではなく標準的な良馬場と考えて良いと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2021年クイーンC、緑は2021年福島牝馬Sのグラフです。

今回はドナアトラエンテについて見ていきます、今回はスローバランスを中段やや後ろからで4着、クイーンSは平均バランスを2番手先行で11着、福島牝馬Sではスローバランスを中段から2着でした。グラフからも中緩みがあった方が良いこと、平均バランスで先行してしまうと、心肺機能で一杯になり凡走することが分かりますね。今回は中段のやや後ろから届かず、福島牝馬Sでも中段から届かなかったので、トップスピードの質も高いとは言えないので、スローバランスを先行することが好走条件でしょうね。

もう一点この馬で気になったのはルメール騎手の位置取り、前走の敗因を雨に求める声もありましたが、中段やや後ろからの位置取りを考えると、ルメール騎手はこの馬の心肺機能を見抜いていたのではないでしょうか。思ったほど流れなかったことが誤算でしたが、馬を分析して乗っている感じで、流石ナンバーワンジョッキーというところを見せたともいます。

逃げたのはローザノワール、2番手にアンドラステ、中段の前からスマートリアンとデゼル。中段のやや前からシゲルピンクダイヤ、サトノダムゼル、中段からミスニューヨーク、アブレイズ、サンクテュエール。中段のやや後ろからマジックキャッスル、ドナアトラエンテ、中段の後ろからフィリアプーラ、シャドウディーヴァ、マルターズディオサ、セラピア。後方からアカイイト、レッドベルディエス、リアアメリアという並びでした。

ローザノワールは逃げましたが中緩みを作ってのスローバランス、直線の長い府中ということで落してしまったのかもしれませんね。ただローザノワールはトップスピードの質で勝負できる馬ではないので、この辺りが国分恭騎手らしい部分でしょうか。アンドラステがスタート決めて2番手、川田騎手が乗った中京記念で前から押し切ったので、陣営から指示が出ていたのでしょうね。デゼルが中段の前でした、ヴィクトリアMで全く届かなかったので、それを考えての位置取りでしょうね。

ドナアトラエンテはグラフのところで書いた通り中段のやや後ろから、その内にマジックキャッスルが居ました、スタートは五分に出ましたが二の足が遅くポジションが取れませんでしたね。ゲート裏では汗が目立っていてプラス10㎏、最終追い切りも普段のウッドではなく坂路でしたから、エリザベス女王杯へ向けて太目残しだったと思います。シャドウディーヴァはスタート五分から、全く出して行きませんでした。福永騎手は返し馬で調子の良さを感じたんでしょう。

ミルコに乗り替わったミスニューヨークはスタート五分に出て中段でした。スタート五分に出たサンクテュエールは二の足も良かったのですが、なぜか中段まで下げてしまいました。フィリアプーラ、レッドベルディエス、アカイトリ、リアアメリアはスタートが悪かったですね。

4コーナーです、ローザノワールが先頭ですが、ペースを引き上げないのでアンドラステが並びかけました。セラピアが上がったことで、その後ろからマルターズディオサがドナアトラエンテの外に並びかけます。この地点でもシャドウディーヴァはステイ、前のマジックキャッスル、ドナアトラエンテをじっと見ていましたね。この辺りからも福永騎手が自信満々で、落ち着いて乗っているのが分かりますね。

直線L2標識付近です、マジックキャッスルとドナアトラエンテが内へ行きました、マルターズディオサは動き出しが若干遅れましたね。シャドウディーヴァはこの地点でまだコースが空いていません、マジックキャッスルとドナアトラエンテが内に行くのを見て、外への進路を取りましたね。L3区間では11.0のレースラップだったので、待たされて進路変更したわけではなく、流れた中で外へ出して行けましたね。アンドラステはこの地点ではローザノワールに並ぶまで、デゼルは早くも手応えが悪くなって伸びませんでした。

直線L1標識付近です、アンドラステが抜け出し、スマートリアンは追走まで。サトノダムゼルがジリジリ伸びましたが、差を詰めるまでは至らず。マジックキャッスルはL2区間で一杯になり後退、ドナアトラエンテはジリジリ伸びましたが、前を捕まえることはできませんでしたね。外からスムースだったマルターズディオサが伸びて3着、その外からシャドウディーヴァがっ突き抜けましたね、マルターズディオサに対してはL2区間で並んでいたので、トップスピードの質で下し、アンドラステに対してはトップスピードの質と持続力で勝りました。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はシャドウディーヴァ、最大の勝因は輸送がなかったことでしょうね、新潟含めて輸送があると全く力が出せないので、今後も輸送があるかどうかで馬券に入れるかどうかを決めて良さそうですね。福永騎手の乗り方を見ても、自信満々で乗っていたので、いかに体調が良かったかというのが推察できます。マーメイドSでも同斤量のアンドラステに先着していますから、結局力通りの決着と言って良いと思いますし、阪神内回りで0.1差3着、上位2頭は軽ハンデだったのでコース不問と考えて良いと思います。

2着はアンドラステ、前走の関屋記念では中段から凡走、岩田望騎手の継続騎乗で大いに不安でしたが、陣営から先行の指示が出ていたのでしょうね。先行してしまえば持続力を生かして粘りましたね。トップスピードの質では見劣りましたが、これは府中であることを考えれば仕方ないですね。

3着はマルターズディオサ、前走は大きく出遅れてしまったので度外視して良いと思いますが、今回はスタート五分に出て中段の後ろから、セラピアが上がってくれたので目標に出来たことが良かったですね。直線スムースだったので3着まで持ってきました。ただ阪神Cでは先行して2着なので、前に行く気を見せなかったことは気になりましたね。

4着はドナアトラエンテ、ルメール騎手の好騎乗と考えて良いと思います。血統から人気先行の馬で、実績としてはローカル重賞の福島牝馬S2着があるだけですから、これが本来の力でしょうね。グラフのところで書いた通り、心肺機能が低く、トップスピードの質も高くないので、スローバランスを先行しないと苦しいでしょうね。

5着はサトノダムゼル、初手の位置取りがもう少し前なら3着はあったでしょうね、この馬のトップスピードの質では府中で差しに回ると分が悪い、アンドラステの競馬が出来ていればという内容でした。やはりこの馬は休み明けが良いですね。

マジックキャッスルは15着、プラス10kgでゲート裏では汗が目立っていましたし、最終追い切りもいつものウッドではなく坂路と、完全に前哨戦の太目残しでした。ここを見抜けなかったのが悔しいですね。デゼルは16着、この凡走で斤量負けという結論を出して良いと思います、54㎏以下で買いましょう。まぁ斤量に関してはダノンキングリーで見立て違いをやっているので、自信はあまりないのですが、他に凡走理由を見つけられないので。

馬券の方は軸にしたマジックキャッスルが凡走した上に、休み明け2走目を嫌ったマルタージディオサと、騎手で嫌ったアンドラステに好走されてしまい撃沈でした。