<種牡馬研究>ダイワメジャー その1

・仕上がりが早い反面、高齢になると蓄積疲労でパフォーマンスダウン、若いうちが狙い目。

・ギヤチェンジ性能が低く一本調子なペースで好走。

・リーダー気質で先頭に立てばペースをコントロールするのは容易。

・休み明け3走目以降では疲労によりパフォーマンスダウンに注意。
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現役時代

3歳時から皐月賞を勝つなど豊かなスピードとパワーで大活躍、マイルから2500mの有馬記念まで活躍できる距離適性の広さも驚きました。産駒とは違ってこの馬自身はギヤチェンジを苦手としていませんでした、この辺りはサンデーサイレンス直子らしい部分ですね。



種牡馬としての特徴

GⅠ馬は5頭だけですが種牡馬ランキングは毎年トップ10に名を連ねているように、安定していい子を出しています。ダートよりもスピードを生かせる芝で活躍する馬が多い。まず目につくのが2,3歳時の活躍、仕上がりが速い馬が多いですね。一本調子のペースで押し切る展開と前半からハイペースで飛ばす消耗戦が最も得意で、反面スローからのL3、L2でギヤチェンジが問われる展開では大敗してしまう、展開が嵌るかどうかで成績に大きなムラがある馬です。気性的に掛かる馬が多いのも特徴ですが、この勝気な性格が馬群を怖がらない勇敢さにもつながっています。重馬場をものともしない豊富なパワーも特徴の一つで、掛かりやすい性格を馬場の悪化で気が逸れることでフォローしている面もあります。休み明けでも走る馬が多い反面、休み明け3走目以降ではややパフォーマンスが落ちる傾向です。

仕上がりが速く2,3歳時から活躍。

メジャーエンブレムを見てください、2歳の6月でデビューしていきなり連勝、初重賞のアルテミスSで2着に敗れましたが、これは展開による負けでした。その後阪神JFであっさりG1勝ち、しかも後続に0.3もの差をつける圧勝、桜花賞で再度展開負けした後のNHKマイルCで牡馬相手にG1制覇と、とにかく仕上がりが速かったですね。カレンブラックヒルも見てみましょう、この馬は3歳の1月デビューでしたがそこから連戦連勝で初古馬戦のスーパー重賞、毎日王冠も勝ち切ってしまいました。レーヌミノルアドマイヤマーズソルヴェイグのように2,3歳時の早い時期に活躍する馬が非常に多いですね。2,3歳の重賞では過小評価せずに狙っていきたいですね。

一本調子のペースや消耗戦が得意だがギヤチェンジは苦手。

メジャーエンブレムを見てください、単勝1.5倍の圧倒的1番人気で迎えた桜花賞でまさかの4着と、生涯唯一の馬券外に沈んでいます。理由はL3での0.6秒のペースアップです、ここでギヤチェンジを強制されたことで踏ん張り切れませんでした。このレースは前半が47.1と過去の桜花賞と比べてもかなりのスローで進んだことも、掛かりやすいダイワメジャー産駒には厳しい展開でした。この結果の伏線は前走のクイーンSです、休み明けでフレッシュな状態で挑んだ前哨戦ということで、馬も気分良く前半からハイペースで飛ばします、前半800mを46.1です。そのまま後続をブッチギリ圧勝してしまいます、まさに影さえ踏ませない程でしたね。この前半から速いペースに気分よく走る経験が、桜花賞で人馬の思惑にズレを生み出します。ルメール騎手は逃げて勝つのは難しいと考えた節があります、その原因はアルテミスSでデンコウアンジュに差されたことです、前半47.3とスローで入りながら掛かることもなく、ルメール騎手には理想的な展開、後半のL4からL3で0.7、L3からL2で0.8のペースアップをしながらデンコウアンジュに差された経験から、逃げ切りに一抹の不安を感じたのではないでしょうか。その結果桜花賞ではそれまで逃げていたメジャーエンブレムを中段のやや前で走らせます、しかし前走よりもペースが遅く、掛かりやすいダイワメジャー産駒は折り合いを欠いて4着に沈んでしまったという結果でした。

次はNHKマイルCです、桜花賞で人気を裏切ってしまい単勝は2.3倍でした。このレースは一度も12秒台に入れない厳しい流れで前半800mは46.0です、クイーンSとほぼ同じタイムです、後半も緩めることなく押し切ってしまいました。馬場差はありますがクイーンSよりも走破時計が良くないのは疲労が原因でしょう、これについては後程。このようにメジャーエンブレムは12秒台に緩めるラップを踏んでしまうと負けてしまう馬だったんです、緩めるということは、再度加速しなくてはいけないということ、ダイワメジャー産駒はこれが苦手なんです。

コパノリチャードが勝った2014年高松宮記念も見てみましょう、このレースは不良馬場にもかかわらず前半3F34.5とハイペースでした、後半の3Fは37.7と消耗戦になり3馬身差圧勝でした。ところが不良馬場で行われた2015年阪急杯は6着でした、ラップ推移を見てもらえれば分かりますが、L4で12.1に緩んでいます。これメジャーエンブレムの項目でも書きましたが、12秒台に入れてしまうと良くない面が出てしまう典型的なパターンです。もちろん9番枠だったことで終始掛かり気味だったことも敗因の一つです、掛かり気味に進めながら更にL4で12秒台にペースダウンを強いられたことで、更に折り合いを欠き直線で粘り込めませんでした。2014年の阪急杯は良馬場で1着、この時は自ら逃げて前半3F33.8から一度も12秒台に入らないラップを刻んで、消耗戦に持ち込み逃げ切りでした。

2015年の高松宮記念ではコパノリチャードとダイワマッジョーレがそれぞれ5,6着でした。稍重馬場でしたがかなり荒れていて直線では多くの馬が内を大きく空けて走ったレースです。前半3Fは34.0と稍重馬場では平均的なペース、問題は後半3Fの内枠で11.6-11.3-11.6という推移です。この11.3への0.3の加速がコパノリチャードに重くのしかかりました、ダイワマッジョーレも上がり最速にはなっていますが、馬場の良い大外を伸びたものなので参考外でしょう。たったの0.3のギヤチェンジがそれほど影響するのか疑問ですよね、これは中京のコース形態に理由があります。中京のL2は強烈な上り坂になっています、ただでさえ苦しい上り坂で加速を強いられては、元々加速が苦手なダイワメジャー産駒には相当堪えたはずです。

カレンブラックヒル3歳時の天皇賞秋も見てください、ラップはシルポートが単騎逃げで刻んだもので当てにはなりません、手動で計測した推定ラップはL4から12.0-11.5-11.5-11.5でした。L4の12.0が致命的でここで後続にリードを築くことが出来れば、もっと接戦、もしくは勝ち負けまであったかと思います。たかだか0.5秒の加速ギヤチェンジですが、東京競馬場のL3は平坦なので惰性が付かずにモロに脚に来る感じなのでしょう。もちろんここでも外枠からやや掛かっていたことも敗因の一つでしょう。実はカレンブラックヒルはNHKマイルCでL4からL3で1秒のペースアップをする本来は苦手な展開で圧勝しています。これは相手が弱かったからというのが結論、6着にジャスタウェイが居ますがまだ覚醒前ですし、他の馬は古馬になってもG1で活躍していた馬はクラレントくらいです。つまり完成度の差で勝ってしまったんですね。こういう展開で勝ってしまうと騎手はこれでいいと思ってしまうのでしょう、続く毎日王冠でも逃げたシルポートを掴まえに行くタイミングが遅く、ゴール前でジャスタウェイに際どく迫られます、しかしここでも勝ってしまうんですね。これが天皇賞秋でL4を待ってしまった原因です。

その後古馬になったカレンブラックヒルは大敗が続きますがダービー卿チャレンジGⅢで久々の1着、このレースは稍重馬場で内枠と掛かりやすいカレンブラックヒルにはうってつけ、トリップが早目に仕掛けてくれたことで、前半46.1と稍重馬場ではかなりのハイペースからの減速戦という得意パターンで前走11着から巻き返しに成功しています。そこから勝ち星に恵まれずに迎えた小倉大賞典ではダービー卿と同じような展開で1着となります。前半からハイペースで飛ばして後続の脚を削いだうえで粘り込む消耗戦も、ダイワメジャー産駒の得意パターンです。

一本調子のペースや消耗戦が得意という特性は、ダイワメジャー産駒の際立ったスピードを長時間持続する心肺機能があればこそです。L4で12秒台に入れてしまったりL4、L3、L2での加速を強いられると凡走する理由はここにあるんですね。際立ったスピードと書きましたがそれは前半からハイペースで走れるということで、上がり3Fを33秒台前半で纏められるという事ではありません。上がり勝負に持ち込むタイプではなくレース全体で勝負するタイプということですね。

今回はここまでです、次回は気性面と疲労について書いていきたいと思います。

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