<種牡馬研究>ハーツクライ その1

有馬記念、ドバイシーマクラシックを勝ったハーツクライ。とくに有馬記念ではディープインパクトに先着した唯一の日本馬でした。

ハーツクライの現役時代

最もインパクトがあったのはディープインパクトを破った有馬記念でしたね。それまで後方からの追い込み一辺倒だったハーツを、先行させて折り合わせ早目に抜け出して押し切り。実は前走から大きくポジションを変えることで成績がアップする特徴は産駒に色濃く受け継がれています。後方から長くいい脚を使う反面、エンジンの掛かりが遅く差し切れないというのがこの馬の特徴でした。高い心肺機能をどう使うのか、そこがこの馬の良さを引き出す鍵でしたね。
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種牡馬としての特徴

ハーツ自身の身体的特徴は心肺機能とパワーの両立型、この傾向は産駒に色濃く受け継がれています。高い心肺機能は上がり3Fだけで発揮されるのもではなく、道中のハイペースにも存分に発揮され、追い込みだけでなく、逃げ・先行にも対応可能。瞬発力が乏しい反面パワーは豊富です。疲労には非常に弱く、気性的にはややうるさい程度、前走のポジションから大きく変えた時は好走することが多い。

心肺機能

ハーツクライ産駒最大の特徴が高い心肺機能です、長距離戦ではシュヴァルグラン、ウィンバリアシオン、フェイムゲーム、カレンミロテックなどが活躍していますね。シュヴァルグランを見てください、天皇賞春では3,2,2着と勝ち切れてはいませんが好成績。高い心肺機能をフルに発揮して長距離では終いまでしっかり足を使えるんですよね~。2018年京都大賞典4着は完全に騎乗ミスでのもの、2018京都大賞典回顧に詳しく書きましたが、高い心肺機能を騎手が削ってしまうような騎乗でした。2017年のジャパンCではキタサンブラックがL1で垂れたところでトップスピードを維持して差し切りました。一見シュヴァルが加速してキタサンを刺しているように見えますが、実はキタサンが垂れたところを自身はスピードを維持して交わしたんですね。これが高い心肺機能をどこで使うかということ。

ジャスタウェイも見てみましょう、安田記念優勝だけでなくジャパンC2着など距離に融通が利くように見えて、実は高い心肺機能を生かして2000m以上が適距離。安田記念は不良馬場でした、これもL1で他の馬がが苦しくなってペースが落ちたところを、この馬だけペースを維持できたことが勝因。この馬は道中足を溜めると、3Fで10秒台を連発することも出来ました、これも3Fを全力で動ける心肺機能故。天皇賞秋も見ましょう、この時はトウケイヘイローがハイペースで飛ばす流れ、2番手にジェンティルドンナが追いかけました、1000m通過58.4なので心肺機能がもろに問われたレース。結果的に3着までは力のある馬で占められ、4着のアンコイルドも上がり勝負には向かないタイプ。こういうレースでみんなが苦しくなると待ってましたとばかりにえげつない末脚を発揮してしまうんですよね~。

パワー

中山2500m、東京2500m、阪神3000m、2200mなどパワーの要るコースで好走する産駒が多いのも特徴。ウインバリアシオンを見てみましょう、日経賞は3回走って1着1回2着2回と得意コース、有馬記念も2着がありますね。シュヴァルは阪神大賞典で好走、ジャスタウェイも有馬記念での4着は上がり最速でした。中山や阪神内回りで好走する産駒も多いので、これらのコースでは軽視禁物です。

今回はここまで、次回は気性的な特徴と弱点である疲労と瞬発力について書きます。

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