2019年宝塚記念 全頭評価 その1。ディープ産駒牡馬には嫌なデータが。

過去5年複数回3着以内に来た種牡馬はディープインパクト5回、キングカメハメハ3回です。宝塚記念と言えばステイゴールドの印象がありますが、過去5年では2014年のゴールドシップだけで、それ以降は苦戦しています、昨年もパフォーマプロミスが4番人気で9着が最先着でした。最多の5回3着以内に来ているディープインパクト産駒ですが、5頭全てが牝馬です、過去10年に遡ってもディープ産駒の牡馬で3着以何に来たのはダノンバラードだけです。昨年もサトノダイヤモンドが1番人気で6着でした、ディープ産駒の最先着はクビ差4着のヴィブロスです。ディープ産駒を狙うなら牝馬の方が良さそうですが今年は出走なし、牡馬はアルアインとマカヒキが出走予定予定ですが嫌なデータですね。

1番人気は2回、2番人気は1回、3番人気は1回3着以内に来ています、二桁人気の馬も4回3着以内に来ているのでかなり荒れるレースです。昨年が3連単49万円、2017年7万円、2016年2万8千円、2015年52万円、2014年25万円です。脚質は中段からの差しが最も多く、逃げた馬は2回、4コーナー10番手以下からの追い込みも2回です。今年は12頭立てになりそうなので、後方と言っても10番手以内になりそう、脚質による優劣は考えなくて良さそうですね。

では1頭ずつ見ていきます。

<アルアイン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低くバテ差しタイプ。・重でも走る。

”2018年マイルCS”ではスローバランスを先行して粘り込み3着、内枠優位も味方。”2018年天皇賞秋”ではスローバランスを先行、後半ロンスパ戦を直線で溜めてしまい4着、ここではトップスピードの質と瞬発力の低さを見せる。”2018年オールカマー”ではスローバランスを先行、後半11秒台連発のロンスパで2着。”2018年大阪杯”ではスローバランスを中段の前から、後半ロンスパになったがトップスピードの差でペルシアンに差され3着。”2018年京都記念”ではスローバランスを中段から、3コーナーで掛かったレイデオロに前に入られてしまい、L2最速戦に巻き込まれて2着まで、この時が重馬場。”2019年大阪杯”ではスローバランスを最内先行、直線は内が空いて差し切り1着、内優位の馬場で3着以内は全て最内の馬、前日の雨で良馬場だが重い馬場でトップスピードの質が問われなかった。

「宝塚記念へ向けて」まず前走の大阪杯は嵌ったな~というのが感想で、特に馬場のバイアスが内優位だったことがかなり影響したはず。内枠から一番良い位置を追走したし、運が良かっただけでなく、実はキセキと相性が良いのではないかと思う。スローからのロンスパはキセキの得意ペースで、キセキの後ろからレースが出来たことが大きい。この馬はディープ産駒の割にトップスピードと瞬発力が低いタイプで、サトノノブレスを強くしたようなタイプ、なので内枠からすんなり先行出来ればチャンスが広がるんだけど、外枠からだと自分で動かないといけないので騎手を選ぶ。L3から動かして行かないとトップスピードを問われて負けてしまう、稍重だった京都記念がまさにこのパターンで、L3で前のレイデオロに待たされてしまった。2018年マイルCSもL2最速戦に巻き込まれて3着、トップスピードの質でステルヴィオ、ペルシアンナイトに明確に見劣った。

逆に良かったのがオールカマーで後半11秒台連発のロンスパでトップスピードの質が問われず、持続力とパワーを問われたレースだった。この時の1着はレイデオロでクビ差だから高評価、3着のダンビュライトはちぎっているので、このスローからのロンスパが得意パターンだと思う。今回もキセキが出走するので、相手を間違えずにキセキをマークできればチャンスはある。大阪杯で同じ阪神内回りを勝っているのでコース適正も良く、重馬場も問題ないので内枠なら印は回さないといけない。逆に外枠で高速馬場になった時は不安が大きくなるかな~。

<エタリオウ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は高くない。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。・休み明けでも走る。

”菊花賞”ではスローバランスを出遅れ後方から中緩みで押し上げ、4コーナー外から早目に追い出して抜け出したがフィエールマンに瞬発力で見劣り2着。”神戸新聞杯”ではスローバランスを後方から、エンジンの掛かりが遅く2着まで、トップスピードと持続力は見せる。”2019年日経賞”ではスローバランスを中段から、向正面で押し上げて2番手へ上がり直線はそのまま。スローから勝ちに行く展開で価値のある2着、後半のロンスパには目途を立てた。”2019年天皇賞(春)”ではスローからのL2 最速戦、最後方から上がりの競馬になり出番なし。

「宝塚記念へ向けて」前走天皇賞(春)はミルコの失策だと思う、失策と言うかミルコの予想が外れたんだと思う。まぁ私もミルコと同じように消耗戦になると予想していたが、ミルコも消耗戦になると考えた節がある。この頃のミルコは何をやっても裏目裏目で本当にリズムが悪かった、だからこそ一か八かの後方待機策だったんだろう、結果的には大外れだった訳だけど、その後はGⅠを2つ勝っているし最近は良くなってきたと思ったら乗り替わり。

2走前の日経賞が好内容で、豊騎手のペースに嵌りながらも2着まで持ってきたのは、ミルコの判断とこの馬の持続力の高さだと思う。後方で溜めれば高いトップスピードを発揮できるし、持続力はどんなペースでも高い、なので前半のポジションが最大の問題。横山典騎手は積極的にポジションを取るよりも、出たなりでレースをするタイプなので軸にするのは怖いですね。

トップスピードの質と持続力はダービーや神戸新聞杯で見せていて、後方から溜めに溜めて爆発させてきた、ただこのポジションでは届かなかったので、やはり位置取りがネックになる。ステゴ産駒はこのレースと相性が良いし、ノーザンFの馬なので間隔空けても問題ない。ミルコがなぜこの馬から、右回りがはっきり不安なスワ―ヴリチャードを選んだのか、そこが引っかかりますね、エプソムCでルメール騎手が一旦手放したレイエンダに再度乗って勝ち切るところを見ると、邪推とはいえこの乗り替りにはいいイメージが無いです。

<キセキ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は化け物レベル。

・休み明けはやや良くなく、使い減りしない。

”2018年毎日王冠”ではスローバランスを先行、L3最速戦を粘るも3着、この時が休み明け。”2018年天皇賞秋”ではスローバランスを逃げてL3最速戦で3着。”2018年ジャパンC”ではスローバランスを逃げてL3最速戦、中緩みを作らない厳しいペースにして2着、1着はアーモンドアイ、3着以下は圧倒している、この時が休み明け3走目。”2018年有馬記念”では平均バランスを逃げて5着、休み明け4走目になり出脚が悪く逃げ体勢を築くのに手間取っていた。”2019年大阪杯”ではスローバランスを2番手先行、直線で大きく外に寄れた分ロスになり2着まで、この時が休み明け。

「宝塚記念へ向けて」大阪杯から3カ月弱の間隔開けになる、前走も休み明けで2着、毎日王冠も3カ月の休み明けで3着とイマイチピリッとしない。前走も直線で大きく外に寄れたのが休み明けの影響なのか、それ以外の影響なのかははっきりしないが、天皇賞(秋)やジャパンCでは見られなかったことなので、休み明けの可能性が高いと思う。この馬はノーザンF生産馬ではないので、外厩はどうしても弱い。なのでいきなり不安材料からだけど、3カ月弱の休み明けは良くないと思う。

この馬のいい面は持続力の異常さでこれはアーモンドアイを凌ぐほど、トップスピードも低くはないので、天皇賞(秋)でアルアインを圧倒したのはこのため。前走で体調万全なら負けないはずのアルアインに負けてしまったのは、休み明けの影響でしょうね。ジャパンCでもアーモンドアイには完敗したが、スワ―ヴリチャード以下はには完勝して持続力の高さを見せつけたし、トップスピードも十分の高さを見せた。高速馬場適正も見せているし、先行してしまえば持続力を発揮して安定した成績を残す。川田君もこの馬の特徴を完全に掴んでいるので、不安は休み明けだけでしょう。