2019年有馬記念 全頭評価。その3。

<クロコスミア>・パワーと瞬発力の両立型で心肺機能も高い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

・スローからのL2最速戦が好走条件だがハイペースの消耗戦でも持続力で粘る。

・休み明け良くない。

”2017年エリ女”ではスローバランスを2番手からL2最速戦に持ち込み粘って2着。”2018年府中牝馬S”では実質スローバランスを離れた第二先行で4F戦になり凡走。”2018年エリ女”ではスローバランスを逃げてL2最速戦に持ち込み粘り込み2着。”2019年中山牝馬S”ではほぼ平均バランスを中段の内から、L2最速戦で一瞬反応したがL1で息切れ、休み明けの影響。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを3,4番手のインから、3F戦になり直線で伸びきれず。”2019年ヴィクトリアM”ではハイペースバランスを最内から先行、直線は内目からバテ差して3着、ハイペースバランスの消耗戦で持続力を発揮した。2017年オールスタージョッキー札幌では平均バランスを逃げて圧勝、この時に持続力を見せていた。”2019年札幌記念”では平均バランスを離れた追走集団の前から、L3出前を捕まえたがL2で一杯になり流れ込んで6着。”2019年府中牝馬S”ではややスローバランスを2,3番手先行、直線スムースだったがトップスピードの質で見劣り5着、この時が外枠で2か月ぶり。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを逃げて2着、超スローペースから自身4F戦に持ち込んで粘った持続力の高さは高評価。

「有馬記念へ向けて」好材料: 一か月半の間隔。悪材料:初距離。

エリザベス女王杯を3年連続で2着しているように、スローバランスからのL2最速戦を最も得意としているが、2019年のエリザベス女王杯では超スローペースの逃げから、4F戦の持続力勝負に持ち込み2着に粘り込んだ。2019年ヴィクトリアMでも見せた消耗戦での持続力はかなり物で、条件戦だが2017年オールスタージョッキー札幌2000mにおいて、逃げてゲッカコウを相手にしない程の圧勝だった、この時が平均バランスからの4F戦で、タイムも遅かったし参考外だろうと思っていたら、ヴィクトリアMで隠れていた能力を発揮してきた。それまでもハイペースバランスや平均バランスがあったが、休み明けで下位に沈んでいたので、心肺機能と持続力の高さは隠されてしまっていた。

トップスピードの質はまぁまぁでステゴ産駒らしく力の要る馬場の方が適正的には合っている、ヴィクトリアMも上り33.5だが2着のプリモシーンは33.0だからね。2019年府中牝馬Sでも直線入り口でラッキーライラックにあっさり交わされてしまった。ローズSが重馬場でシンハライトの2着があるように、重馬場も苦にしないタイプ。最大の欠点は休み明けが良くないこと。ローズSの2着と2017年阪神牝馬Sの4着は共に重馬場だった、ただし2018年京都記念では重馬場で8着だったので、重馬場なら休み明けも克服できるとは言えない。

好材料は一ヶ月半の間隔で出走できることでこの馬は非ノーザンF生産馬なので間隔を空けてしまうと良くない。 2017年府中牝馬Sを勝った時が一か月半の間隔で、2018年2019年の府中牝馬Sを5着に負けた時が、共に札幌記念から2ヶ月弱の間隔を空けていた。ステイゴールドの産駒とこのコースの相性の良さ、牝馬でも好走できるレースであることは証明済み。2019年ヴィクトリアMで消耗戦を好走しているし2017年2018年のエリザベス女王杯ではスローからの瞬発力勝負で好走しているので適正の幅が広いことを見せている、すんなりと先行してしまえば幅広い展開に適応できる能力を持っている。

悪材料は2500mが初めてなので距離適性は未知数、苦手かどうかは不明で積極的に嫌うことはできないが実績がないので大きな期待もできない。 中山コースは2回走って凡走しているが共に休み明けだったので度外視して良いと思う。 

<サートゥルナーリア>・心肺機能は高い、パワーは有る。

・瞬発力とトップスピードの質は高いが持続力はまぁまぁ。

”新馬戦”ではスローバランスを先行、直線では前が壁になりながら強烈な瞬発力で圧勝。”萩S”ではスローバランスを中段から、直線では1F半位を持ったまま圧勝。”ホープフルS”ではスローバランスを先行、直線前が壁になり残り150m位で瞬発力を生かして圧勝。”皐月賞”では平均バランスを中段から、3F戦で1着、瞬発力は見せられず、直線で苦しくなったのか内にもたれて制裁対象に。”ダービー”では離れた追走集団の中段外から、スタートで出遅れて3,4コーナーも外を回して直線伸びきれず4着。”2019年神戸新聞杯”ではスローバランスを2番手先行、3F戦になり瞬発力とトップスピードの質を見せつけて圧勝。”2019年天皇賞(秋)”ではスローバランスを3番手先行、直線L1で一杯になり6着、この時が休み明け2走目。

「有馬記念へ向けて」好材料:2ヶ月弱の間隔空け、前走凡走したことでストレスが抜けていること、 コース適正。悪材料:特になし。 

兄弟に比べて気性が大人しく、レース中に掛かることが無いのは距離適正の幅を広げる、トップスピードの質と瞬発力はこの世代どころか現役でもトップクラス、アーモンドアイはこれに加えて持続力もトップクラスなので比較してしまうと可哀想だが。お母さんのシーザリオから瞬発力を受け継いだ感じで、オークスのL2で見せた強烈な瞬発力には驚きを通り越して、恐ろしさを感じるほどだった。何しろレースのL2が10.9、これを後方から5,6馬身は詰めているので自身は10.5以下のはず、当時の東京馬場は今ほど高速ではなかったので驚異的だった。

やや足りないのが持続力、皐月賞では3F戦を馬群の外を回して、直線で苦しくなったのか内にもたれて制裁対象に。実は皐月賞はL1最速という通常あり得ないラップ推移になっていて、L3から11.7-11.6-11.4とラップごとに加速していく、中山コースはL1が強烈な上り坂なので、これで加速ラップのままゴールするということは、上位の馬は心肺機能に相当余裕があったということ。心肺機能には余裕がありトップスピードは馬場状態の限界まで出ていた状態で、寄れたことをどう評価するかだと思う、ミヤヤは持続力がやや足りないと思う。何しろホープフルSまでは2Fはおろか1F半くらいしかトップスピードで走っていない、それでも圧勝する瞬発力は素晴らしいと思う。ダービーでも残り100mまでヴェロックスよりも前に居たが、そこから逆転されてしまった。ヴェロックスよりも後ろから直線に入って一旦前に出ているので、トップスピードの質はヴェロックスよりも明らかに高い、しかし持続力に関してはゴール前で逆転を許しているので、展開を考えてもヴェロックスよりも上とは言えないと思う。その展開はかなり苦しい物だったので、決して評価を下げる必要なはい。

強烈なトップスピードの質と瞬発力を改めて見せたのが神戸新聞杯で、この時はL4まで超スローのラップを踏んでいてL3で急加速、もちろんこの地点は下り坂だが一気に1秒も上げている、L2が圧巻で10.2というとんでもないラップを踏んできた。今後の課題と言うか不安材料は、前半から厳しいペースで流れた時に、この強烈なトップスピードの質と瞬発力を見せられるかどうか。皐月賞では平均バランスだったがL1最速になっているように、上位の馬には厳しいペースでなかった。なので本当にGⅠらしい厳しい流れは未経験。2019年天皇賞(秋)秋でもスローバランスから4F戦になった、この時は前走の神戸新聞杯で圧勝してしまった半蔵が出て6着に負けてしまったが、L2標識付近までは頑張っていたので前半から11秒台を連発するようなラップになっても対応できると思う。 

ロードカナロアの産駒らしく激走した後は反動が出やすく2019年ダービー、2019年天皇賞(秋)で人気を裏切る形で負けてしまった。他のロードカナロア産駒も休み明けで激走したり、使い詰めになると投げ出すように負けてしまうので、サートゥルナーリアも同じ特徴を持っているのだと思う。ファンタジストの戦績を見ると凡走してからあっさりと巻き返すので、肉体的な疲労というよりは精神的な疲労からくるストレスで凡走している可能性が高いと思う。 もちろん肉体的にも疲労には弱く使い詰めは良くないが、休み明け2走目辺りならば肉体的な疲労はほぼないと思う。これはファンタジストが休み明けの北九州記念を出遅れ凡走した後に、1ヶ月弱の間隔でセントウルステークスを2着に好走していることからも肉体的な疲労よりも精神的疲労が成績に大きく影響するのだと思う。 ファンタジストの場合は休み明け3走目のスプリンターズステークスでは再び16着に凡走しているように使い詰め、休み明け3走目などは危険が増す。ダイアトニックも休み明けのスワンSを快勝した後マイルチャンピオンシップで反動が出て凡走している。

好材料は2ヶ月弱の間隔を空けて出走できることで、前走の凡走で精神的なストレスも解消しているとすれば好走の期待が持てる。前走の天皇賞(秋)でもL2までは十分勝負になっていたので、古馬の一線級を相手にしてもクラス負けをする危険はないと思う。皐月賞、ホープフルSを勝っているコースなので当然コース適正は高く、お母さんがシーザリオなので距離適正にも不安はない、お兄ちゃんにエピファネイアがいて菊花賞を勝ち有馬記念でも5着に入っている。悪材料は特になく前走に引き続きスミヨン騎手が騎乗してくれるのは、この馬の特性を考えるとプラス材料だと思う。すんなり先行して好位から差すというレースはヨーロッパを主戦とする騎手には得意の戦法だし、エリザベス女王杯をラッキーライラックで勝っているので実力も証明済み。 

<シュヴァルグラン>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

・休み明けは良くない。

”2017年京都大賞典”ではスローバランスをスタートで寄られて出遅れ後方から、3,4コーナー外から捲り追い込みで3着まで、かなりロスの有る競馬だったことと休み明け。”2017年ジャパンC”ではスローバランスを中段のやや前から、終始最内を回して直線スムースに伸びて圧勝。”2017年有馬記念”では中段から、直線外からスワ―ヴリチャードに大きく寄られて不利を受けたが、立て直して3着まで。”2018年大阪杯”ではスローバランスを中段やや前から、4コーナーで一杯になり凡走、この時が休み明け。”2018年天皇賞(春)”ではほぼ平均バランスを先行、3,4コーナーで外から早目に先頭に立ったがレインボーラインに差し切られて2着。”2018年京都大賞典”ではスローバランスを大きく離れた追走集団の中段から、3コーナーで早目の捲りに行って直線入り口でスピードが鈍り4着、この時が休み明け。”2018年ジャパンC”ではスローバランスを中段から、直線スムースに伸びたが4着まで。”2018年有馬記念”では平均バランスをやや離れた追走集団の中段の後ろから、4コーナー馬群の中でやや狭くなったが直線はスムースに伸びてバテ差し3着、稍重でトップスピードの質を問われなかった。”2019年ジャパンC”では重馬場でややハイペースバランスを中段から、直線は一杯になり凡走、この時が海外帰りの休み明け。

「有馬記念へ向けて」好材料:レース適正、休み明け2走目。悪材料:騎手弱化 。

ハーツクライ産駒らしい部分としてはとにかく持続力が高い点、2017年のジャパンC1着もL4から11秒台に入る4F戦を中段のやや前から押し切った、この時の2着が55㎏のレイデオロなので高評価。トップスピードの質に関してはまぁまぁの評価で、キレッキレの末脚は出せていない。なのでスタートで出遅れた2017年の京都大賞典で取りこぼしたように、前半のポジションで結構着順に影響がある。パワーは非常に高く、2017、2018年の有馬記念でバテ差す形で3着と、中山の急坂を苦にしないどころかむしろ得意にしている。成績は安定してる馬だが外国人騎手との相性が非常に良い、恐らくズブイんだと思う。

大きな弱点が休み明けでピリッとしない点で海外を除いて1-2-1-4、1,2着は条件戦、アルゼンチン共和国杯と阪神大賞典。大阪杯でも13着に大敗しているし、京都大賞典では3,4着と2年連続で1番人気を裏切ってしまった。この辺りはノーザンF生産馬の割に意外な点なんだけど、どうしても次を見据えての叩き台になるし、ハーツ産駒は疲れやすいので休み明けの前哨戦で仕上げ過ぎることを嫌ったんだと思う。2019年ジャパンCでも海外帰りの休み明けで凡走。

好材料はレース適正で2年連続有馬記念3着という実績を残していること、特に昨年は不利な大外枠に入ってしまい4コーナーでやや狭くなるなど難しいレースになったが、直線で前があくとスムーズに伸びて3着を確保したのは高評価。 2017年の有馬記念は6着だったが直線でスワーヴリチャードに寄られてしまう大きな不利があったので度外視して良い。今回は休み明け2走目の上積みが期待できる、この馬はノーザンファーム生産馬だが休み明けが良くなく前走も海外帰りの休み明けで凡走している。2018年の大阪杯を13着に凡走した後休み明け2走目の天皇賞(春)であっさりと2着に好走しているので、休み明け2走目の上積みは十分期待できる。悪材料はスミヨン騎手から福永騎手へ乗り変わることで、以前乗っていたが成績はイマイチパッとしなかった。 このレースが引退レースで7歳なので大きな上積みは当然期待できないが、ハーツクライ産駒は高齢でも活躍する馬がいるので、7歳を理由に評価を下げる必要はないと思う。