2019年有馬記念 全頭評価。その4。

<スカーレットカラー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまあまあ、持続力はある。

”未勝利戦”では平均バランスを中段の後ろから、L4から押し上げて直線外から差し切り、パワーと持続力を見せた、2着はシャルルマーニュなのでまぁまぁの評価。”アルテミスS”では平均バランスを掛かり気味に中段のやや前から、直線L2ですぐ前に居たラッキーライラックに引き離されたまま流れ込んで5着、トップスピードの低さを見せた。”フェアリーS”ではスローバランスを中段から、L4過ぎから大外を回すロスの大きいコース取で2着まで、すぐ前に居たプリモシーンにはL1まで先頭列で並んでいたので、持続力勝負なら互角の印象。”チューリップ賞”ではスローバランスを離れた追走集団の最後方から、トップスピードの質で見劣り凡走。”桜花賞”では平均バランスを中段から、終始馬群に包まれてしまい凡走、瞬発力低さを見せた。”ローズS”ではスローバランスを中段の後ろから、L2で前が壁になり挟まれる不利を受けて凡走。”2018年逆瀬川S”ではスローバランスを中段やや後ろから、L2まで追い出さず狭くもなって4着まで。”2019年愛知杯”ではスローバランスを中段から、直線はやや挟まれてスムースさを欠き凡走。”2019年関門橋S”ではスローバランスを中段の後ろから、向正面で2,3番手に上がり直線粘ったが4着まで、L3まで12秒台のラップを踏む展開を待ってしまった。”2019年パールS”ではスローバランスをやや離れた2,3番手追走から、L4から11秒台に入るロンスパで1着。”2019年マーメイドS”ではハイペースバランスを中段のやや後ろから、L2で前が壁になりトップスピードまで乗らなかった感じで3着まで、まぁまぁの心肺機能は見せた。”2019年クイーンS”ではスローバランスを中段やや後ろから、終始最内を回してL2過ぎからまぁまぁの瞬発力とトップスピードの質を見せて2着まで、L2ですぐ後ろに居たサトノガーネットには瞬発力が上回っていた。”2019年府中牝馬”では稍重表記だが高速馬場、ややスローバランスを後方から、直線スムースに伸びて差し切り、まぁまぁのトップスピードの質と高い持続力を見せた。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを中段やや前から、直線は外から出伸びなかった、プラス14㎏で仕上げ切れなかった感じ。

「有馬記念へ向けて」好材料:コース適正。悪材料:使い詰めの疲労、距離適正。

心肺機能、持続力、パワーは高いのでパールSみたいな展開がベストだと思う。この時はスローバランスをやや離れた2,3番手からで、L4から11秒台のラップだった。やや離れて追走していたのでL4は11秒台の前半に入っていた可能性はある、これをL1でも11.6までしか落としていないし、2着のクィーンズベスト、4着のゴージャスランチを相手にもしなかったから展開が合えば重賞でも通用するはず。実際2歳時だけどフェアリーSでプリモシーンの2着がある馬で、この時も3,4コーナーで大外を回すコースロスがあったからね。

その後もトップスピードがまぁまぁレベル馬(スカーレットカラーのことね)を後方からレースをさせて凡走の山を築き、ローズS、逆瀬川S、愛知杯と不利を受ける。関門橋Sでは前半のドスローを生かして2番手まで上がるが、なぜかL2最速戦に付き合い4着とチグハグな競馬だった。パールSでは良い競馬をしたと思ったら、マーメイドSでは中段から直線も前が壁になり3着まで、L1が12.8まで落としているので直線入り口で前が壁にならなければ、勝っていた可能性は高いと思う。継続騎乗の岩田騎手だっただけにパールSが偶々だったと思うとガッカリな結果。意外なトップスピードの質と瞬発力見せたのが2019年クイーンSで、中段から鋭い末脚で2着まで持ってきた、ただスローバランスを終始最内を通して、直線も馬群が開いてスムースだったことが大きいので、馬群を割って伸びるほどの闘志はないと思う。

2019年府中牝馬Sが稍重表記だが実は高速馬場といういつもの府中で、スローバランスを最後方から溜めに溜めて直線勝負で爆発させてきた。ヴィクトワールピサの産駒らしい伸びで、同じ産駒のジュエラーみたいな感じですね。この感じからもとにかく溜めて直線スムースにコースを取れば、トップスピードを持続する能力が非常に高いと思う。2019年エリザベス女王杯はドスローを中段やや前からとポジションは良かったが、プラス14㎏と仕上げ切れなかった感じ。

好材料はコース適正で3歳時になるがフェアリーSを2着に好走している、この時は1着がプリモシーンなので高評価。 悪材料は使い詰めの疲労で、府中牝馬Sから3走目になるので使い詰めの不安はあるが、クイーンSが休み明け3走目で2着に好走しているので大きな不安ではない。それ以上に不安なのが厩舎力で前走エリザベス女王杯ではプラス14 kgと走れる体ではなかった、GⅠでしっかり仕上げなければならない時に最高の状態に持ってこれないのは厩舎の能力が低いと言わざるを得ない。2500mは初めてで距離適正の不安は当然ある。

<スティッフェリオ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力はまぁまぁ。

”2018年札幌記念”ではハイペースバランスを中段やや前からトップスピードの質で見劣り5着、休み明け4走目の疲労。”2018年オクトーバーS”ではスローバランスを中段から、トップスピードの質で見劣り4着。”2018年福島記念”ではハイペースバランスを先行してバテ差し1着。”2019年小倉大賞典”では平均バランスを中段やや前からバテ差し1着。”2019年大阪杯”ではスローバランスを3番手先行、4コーナーで外目を回らされて直線も伸びない外目からになり7着まで、外枠で内のポジションを取れなかったのはハンデになった。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを中段やや前から、直線は伸びずに7着、スタートで出遅れたキセキを待ってしまい、トップスピードの質で明確に見劣った。”2019年オールカマー”ではスローバランスを逃げ切り、L4から11秒台に入れる4F戦でトップスピードの質を問われない展開に持ち込んだ。”2019年天皇賞(秋)”ではスローバランスを2番手先行、直線ではトップスピードの質で見劣り凡走。 

「有馬記念へ向けて」好材料:コース適正。悪材料:クラス負けの危険。

福島記念、小倉記念とGⅢを連勝した時は、ハイペースバランスと平均バランスで心肺機能と持続力が生きたレースだった。オクトーバーSでトップスピードの質が低いのははっきりしているので、中段より後ろ、スローバランスでは苦しくなると思う。

GⅢを連勝と言っても福島記念の2着がマイスタイル、3着が57㎏のエアアンセム相手にこちらは55㎏だったし、小倉大賞典でも2着はタニノフランケルで、タニノフランケルが鳴尾記念でボロ負けしている、3着はサイモンラムセスだったからレースレベルは低い。

正直言うと大阪杯の7着はかなり驚いた、内外で1頭分の違いはあるけどキセキに0.5秒離されたのは事実だし、GⅠレベルになると持続力もまぁまぁのレベルで武器にはならなかった。社台Fの生産馬の割に休み明けでも走るのは意外な点で、小倉大賞典が3カ月強の休み明けで勝ち切っている。ステイゴールド産駒らしく疲労には弱く、休み明け4走目になった札幌記念では5着に負けている。セントライト記念や菊花賞の凡走も使い詰めの疲労だと思う。2019年オールカマーでスローバランスからの4F戦を逃げ切った、後半6Fを12秒台前半で緩めなかったことで、後続にも足を使わせる展開になった、これで改めて持続力の高さを見せたことと、他馬のトップスピードの質をいかに封じるかがこの馬の課題。

2019年天皇賞(秋)ではスローバランスを2番て先行したが、直線では早々にトップスピードの質で見劣り凡走している、このレースは終始11秒台を連発するラップ推移で完全にスピード負けした感じ。このラップ推移がオールカマーとの違いで、オールカマーは12秒台のラップ推移で進めたことで好走できたのだろう。

好材料はオールカマーを勝ち切っているコース適正で、過去にはマツリダゴッホがオールカマー勝ちの実績を活かして有馬記念を勝っている。悪材料はクラス負けの危険でGⅠでは結果が出ていないし、GⅡでもオールカマーでは相手がやや弱かった印象があるのでこのクラスで通用するかどうかは未知数というより不安。

<スワーヴリチャード>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は高くない。

・直線で進路変更すると再加速に手間取る。

・休み明けでも走る、出遅れることがある。

・右回りは直線で右に刺さる。

”2017年有馬記念”ではスローバランスを中段やや後ろから、4コーナーで押し上げたが捲り切れずに直線右に寄れて4着、ミルコに制裁。”2018年大阪杯”ではスローバランスを直線までにに捲り切って、直線は内ラチ沿いにトップスピードを持続して1着。”2018年安田記念”では平均バランスのハイペースを先行して、直線でレーヌミノルに寄られて進路変更を強いられ3着。”2018年天皇賞秋”では出遅れ全くレースにならず、この時が休み明け。”2019年中山記念”ではやや離れた中段からで実質平均バランス、最内に入れてラチ沿いを進め直線も最内からジリジリ伸びたが4着まで、右回りの影響。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを4番手で先行、4コーナーから右ムチで体勢を整え直線で手前を替える時にややバランスを崩しながら3着、何とか右回りを克服した感じ。”2019年天皇賞(秋)”ではスローバランスを中段最内から、直線スムースだったが7着まで。”2019年ジャパンC”では重馬場でややハイペースバランスを中段から、終始最内を回して直線内から差し込んで1着。

「有馬記念へ向けて」好材料:コース適正。悪材料:右回りの不安。

まず右回りの不安は消えていない、2018年大阪杯こそスローペースを早目に捲り切って、直線最内を進めたことで影響は最少だったが、それでも直線はバランスが悪かった。2019年中山記念でもミルコが恐る恐る乗っている感じで、早目に最内に入れてラチ沿いを進めて流れ込むだけだった。距離適正の幅が広く1600mから2400mまで好走している、特に2018年安田記念では平均バランスを先行して3着、直線で寄られる不利があったので高評価、心肺機能と持続力を見せてきたし、トップスピードの質もまぁまぁ。2018年天皇賞(秋)はスタートで大きな不利を受けてしまいレースにならなかった。2018年ジャパンCが非常に良い内容で、中段やや前から持続力の高さを見せた、さすがにトップスピードの質ではアーモンドアイに見劣ったが、シュヴァルグランは押さえ切ったし、ミッキスワロー以下は相手にしなかった。2019年の天皇賞(秋)でもアーモンドアイのすぐ後ろからで、直線スムースだったがアーモンドアイから0.9差の7着まで、この0.9差は2018年ジャパンCと同じ。

ノーザンF生産馬で休み明けでも走るのは、2019年宝塚記念で見せている。ハーツクライ産駒らしさを見せたのが2018年安田記念で、直線でレーヌミノルに寄られてしまい一瞬狭くなった、当然再加速には手間取って3着だった。ハーツクライ産駒の特徴通り直線スムースに加速すれば、どこまでも伸びる持続力を持っている。2019年ジャパンCではスタートでやや遅れたが内にリカバリーしてカレンブーケドールのすぐ後ろ、直線最内からしっかり伸びて1着、重馬場でトップスピードの質を問われない持続力勝負と、得意の左回りとマーフィー君の好判断で。

好材料はコース適正で2017年有馬記念では4着になっている、この時は直線大きく右に寄れてしまいミルコが制裁を食らってしまった。2018年大阪杯で1着2019年宝塚記念でも3着と阪神内回りコースで好走しているので、中山と阪神内回りとの関連を考えるとコース適正は非常に良いと思う。悪材料は右回りになることでこの馬は右回りと左回りで走りが激変してしまう、いろいろと工夫はしていると思うが全く治る気配がないので右回りの不安は拭えない。特に内枠に入れない時は内ラチを頼れないので、 直線で内に寄れる不安が増す。左回りの大阪杯を勝ち切った時も早めに捲り切って直線では内ラチに近いところを通っていた、3着だった宝塚記念の時は終始右ムチしか使っていなかったし、寄れるのを手綱で相当修正していた。 

<フィエールマン>ディープ産駒、・心肺機能は高く、パワーはまぁまぁ、瞬発力は高い。

・トップスピードの質は高く、持続力はまぁまぁ。

・休み明けでも走る、疲労はディープ産駒通りと予想。

”ラジオ日経賞”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー大外を回してL1だけで2着まで、強烈な瞬発力を見せた。”菊花賞”では超スローペースを中段から、L2で自身10.5くらいのトップスピードの質と瞬発力を見せて、エタリオウを振り切り1着。”2019年AJCC”ではスローバランスを中段から、加速自体は良かったが坂で鈍って2着まで。”2019年天皇賞(春)”ではスローからのL2 最速戦、瞬発力とトップスピードの質で勝ち切る。”2019年札幌記念”では平均バランスを中段やや後ろから、4コーナー外を回して直線外からスムースだったが3着まで、この時が休み明け。 

「有馬記念へ向けて」好材料:・・・。悪材料:海外帰りの休み明け、騎手弱化、コース適正。

ルメール騎手に変わってスタートは改善。ラジニケ賞、菊花賞、天皇賞(春)で強烈なトップスピードの質と高い瞬発力を見せている、ラジニケ賞ではL1、菊花賞と天皇賞(春)ではL2で10秒台のラップを踏んでいるはずで、ここで勝負を決められるほどの武器になってる。反面持続力にやや難があり、アメリカJCCではL4から11秒台に入る流れでL1で伸びを欠いて、シャケトラを捉えきれなかった、L2の10.9には反応できたがL1でやや鈍ったのは、トップスピードを維持する持続力がやや低いためだと思う、これは菊花賞や天皇賞(春)でも見せていて、菊花賞では先に抜け出したエタリオウをL2だけで一旦交わしたが、L1で再度並び返されてしまい僅差の辛勝だった。天皇賞(春)でもL4から11秒台に入る流れを1頭分外を回したグローリーヴェイズにL2で反応されてしまい、なんとか押し切った感じで、決して持続力は高くないと思う、高くないと言っても並の馬ではないので、最高レベルからはやや落ちるという程度。元々疲れやすいディープ産駒で、ノーザンファーム生産馬なので最高の外厩施設を使って、休み休み使われていながらしっかり結果も出している。

2019年札幌記念では平均バランスを中断やや後ろからすすめ、4コーナーで外を回して直線外からスムーズだったが3着まで、この時の1着がブラストワンピースでブラストワンピースとは4コーナーのコース取りが違った。かなり外を回してしまったので距離ロスがあったのは確かだし、次の凱旋門賞へ向けて叩き台だったので3着でも悪くはないと思う。

好材料はなく悪材料がたくさんある、まず凱旋門賞から海外帰りの休み明けになる点、凱旋門賞が重馬場で59.5キロを背負うかなりタフなレースだった。この疲労が2ヶ月強の間隔で取れるのかどうかは未知数だし、 単にタフなレースをした後というだけでなくヨーロッパからの輸送なので相当な負担がかかっているはず。今回は池添騎手に乗り替わる、ルメール騎手からの乗り替わりなので評価を下げざるを得ない。ただ池添騎手は過去に有馬記念を複数回勝っているので、このレースとは相性が良いはず。コース適正にも不安がありAJCCで2着と好走しているが、L1の坂で明確に失速しているので坂が苦手の可能性が拭えない、1着のシャケトラはいいとして3着のメートルダールとは3/4馬身差と僅差だったので印象が良くない。