2020年ヴィクトリアM 全頭評価。その5。

<プリモシーン>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ持続力も高い。・休み明けでも走る。

”フェアリーS”ではスローバランスを中段から、4F戦になる展開を外から押し切って1着、L4から11.6に入る持続力を問われた。”NHKマイルC”では平均バランスを後方から、直線は詰って外に出す大きなロスで5着まで、スタートが悪く後方からになってしまうのは治らないかも。”2018年関屋記念”では平均バランスをスタート決めて中段から、直線は外目からスムースに加速して押し切った、51㎏の軽ハンデだったが前に居たロードクエストをあっさり交わした高いトップスピードと、早目に抜け出してからの持続力見せた。”秋華賞”ではややスローバランスを出遅れ後方から、直線は高いトップスピードの質で良く伸びたがエンジンの掛かりが遅く、瞬発力の無さを見せた。この時の1着がアーモンドアイで上がり3Fは0.2秒遅かっただけなのでトップスピードの質は高い。”2018年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段から、直線は狭くなって追い出せず8着、コースが空いてからのバテ差しもイマイチで坂の途中からの反応は良くなかった。”2019年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを中段から、4コーナースムースに外を回してから追い出しがやや遅く、坂ではややスピードが鈍った感じ、それでもクビ差の2着までジリジリ伸びた、この時の1着がフィアーノロマーノで斤量が同じ55㎏だったことを考えれば高評価。2019年ヴィクトリアMではハイペースバランスを中段やや後ろから、直線はスムースに中目に出してしっかり伸びて2着、ハイペースバランスの消耗戦で持続力を発揮。”2019年中京記念”では稍重でほぼ平均バランスを中段やや前から、直線は外からスムースに加速して3着、軽ハンデの3歳馬に差される。”2019年府中牝馬S”ではほぼ平均バランスをスタートがやや悪くリカバリーもしないまま中段の後ろから掛かり気味、直線外からスムースだったが全く伸びずに凡走、稍重だが超高速馬場を読み切れないしペースも遅かったので、持続力を生かせる展開ではなかった、負け過ぎは他に原因があるかもしれない。”2019年マイルCS”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線ややスムースさを欠いたが、伸びずに凡走。”2020年東京新聞杯”では平均バランスをやや離れた追走集団の中段やや前から、3,4コーナー最内を回して直線スムースに外に出し差し切り。”2020年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが5着まで。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:レース適性。 悪材料:特になし。

近走スタートが安定してきたことで中段が取れている、トップスピードの質、持続力は2歳時から高い物を見せている。ターコイズSこそ直線狭くなって8着だが、着以上にレースは出来ていたし、心肺機能の高さを見せた。ダービー卿CTでも福永騎手らしく直線まで溜めてしまったために坂への勢いが足りない感じで、伸びはジリジリも斤量を考えれば高評価、そしてヴィクトリアMでも持続力を発揮して2着に好走した。いわゆる出し切って良さが出るタイプで、心肺機能、トップスピードの質、そして持続力を高いレベルで出せる展開なら、牡馬混合の重賞でも十分好走できるだけの能力はある。

瞬発力の無さは再三見せていて、桜花賞では直線内に詰まって凡走しているし、秋華賞でもすぐ前に居たアーモンドアイに4コーナーで置き去りにされてしまい7着、内枠を引いてコースロスなく乗ろうとすると、詰まって再加速に手間取り凡走してしまう危険はあると思う。2019年府中牝馬Sは稍重でも超高速馬場だったが、スタートがイマイチでリカバリーもせず中段の後ろから、直線は全く伸びなかった、休み明けは原因ではないはずだがプラス12㎏だったので、前哨戦で太目残しだった可能性が高い。これは厩舎の方針だとすれば今後も前哨戦では、馬体重次第で割り引かなくてはならない。2019年マイルCSでは中段から進めたが直線伸びなかった、前走からマイナス10㎏と仕上がっていたはずだが伸びなかったのは輸送が原因かもしれない。桜花賞でも凡走しているので輸送は苦手かも。2020年東京新聞杯では中段やや前から、終始最内を回して直線スムースに外に出し差し切り1着、調教は良く見えなかったしタイムも良くなかったので調教は無視して良さそう。2020年ダービー卿CTはハイペースバランスを中段から外を回して5着、上位の馬は内を回していたので、56㎏も含めて苦しいレースだった。

休み明けでも走るのはノーザンF生産馬ならではで、2019年ダービー卿CTを好走している。上記したように2019年府中牝馬Sがプラス12㎏で凡走、前哨戦は注意が必要だと思う。

好材料はレース適性で、昨年のこのレースでタイム差無しの2着だし、前々走の東京新聞杯も同じコースで1着と距離適性とコース適性は共に高い。もちろんレーン騎手への乗り替りも好材料。悪材料は特になく稍重位なら中京記念で55.5㎏を背負って3着があるので、不安材料はあまりないかな~。

<メジェールスー>・心肺機能は高く、パワーは高い、瞬発力はやや低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力はまぁまぁ。

”2019年別府特別”ではハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線前に詰まるところもあり3着まで。”東京2勝クラス”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸びきれずに凡走。”2019年壬生特別”では平均バランスを2,3番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースに抜け出し押し切り。”2020年アクアマリンS”では重馬場でややハイペースバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースに粘って押し切り。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが早々に一杯になり凡走。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:無し。 悪材料:距離適性。

<心肺機能について>1200のハイペースバランスを先行して良さが出ている、2020年アクアマリンSでは重馬場を2番手先行で押し切っているし、2019年別府特別でもハイペースバランスを3着している、この時は直線でややスムースさを欠いていたので、高評価で良いと思う。

<パワーについて>中山のアクアマリンSで先行して押し切っている、ゴール前の坂でもしっかりしていたので、パワーは十分あると思う。

<瞬発力について>2020年アクアマリンSのL2で0.3の加速をしている、さすがにこの加速では後続を出し抜くことはできず、武器になる程ではない。

<トップスピードの質について>東京2勝クラスではスローバランスを中段から進め、直線スムースだったが7着だった、この時は後ろから差されているのでトップスピードの質は武器にならない。

<持続力について>平均やハイペースバランスを先行して押し切って強い競馬をしている、2019年壬生特別、2020年アクアマリンSではL1で12秒台迄落しているので、高い持続力を持っているとは言えないと思う。

<その他について>この馬は非ノーザンF生産馬だが休み明けでも走ることがある、2020年アクアマリンSが4カ月強の休み明けで1着、逆に良くなかったのが2019年RKB賞で2カ月強の休み明けで凡走している。2020年阪神牝馬Sでは中段の前から進めたが、直線入り口で一杯になり凡走、マイルは長い。

好材料はなし、悪材料は前走見せたようにマイルはハッキリと長い距離適性で、東京の3歳上2勝クラスでも52㎏で7着と良くなかった。騎手は岡田?・・・正直誰って感じで調べたら、2008年デビューで通算42勝という騎手だった。厩舎も全く勝負する気がないみたいだし、ここは買えない。

<ラブズオンリーユー>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。

・スタートが悪く、掛かることがある。

”白菊賞”では平均バランスを中段の後ろから、4コーナー出口で外に出して直線はバテ差し、コーナーで加速しながらスムースに外に出せる操縦性の高さ、コーナーで11秒前半の脚を使える器用さ、L1も11.7で纏める持続力を見せた。”忘れな草賞”ではスローバランスを掛かりながら中段の後ろから、向正面で緩んだところを中段の前まで上がって、4コーナーから流れる展開を外からじわっと進出してL2で前を捉えて押し切り、L3から目視で11.4-11.2-12.0とここでも持続力を発揮、瞬発力についてはL3、L2が下りの為評価できず。”オークス”では平均バランスを中段から、4F戦になりバテ差し1着、心肺機能と持続力を見せた。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを2番手先行から、3,4コーナーで先頭にクロコスミアを楽に逃がし過ぎて3着まで、この時が休み明けで中間に骨折も。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:・・・。 悪材料:・・・。

サンプル数が少なく厄介な馬ではあるんだけど、ハッキリしているのは持続力が高いこと、トップスピードの質はまぁまぁ、コーナーでも加速できる器用さです。白菊賞が結構いい内容で平均バランスから上り33.9とまぁまぁのトップスピードを見せている、前日の12Rが古馬1000万条件で1:33.5の時計で、この時の1着がエントシャイデンなので時計は評価していいと思う、もちろん最内をロスなく回って4コーナー出口でスムースに直線に入れた点は恵まれている、平均バランスで流れたため掛かることもなかったなど全てが上手く運んだ感じだった。忘れな草賞が勝ったとはいえやや物足りない内容で、桜花賞当日の馬場はかなり軽かったにもかかわらず、スローバランスで2:00.6と平凡だった、後半1000mも59.6、上がり3Fも34.6も掛かっていてやや遅い印象。休み明けだったこともあるが前半のスローペースでかなり掛かっていたことは確かで、それを差し引いても後半のタイムは物足りない。

オークスは平均バランスを中段からしっかり伸びて勝ち切った、勝負根性はかなり物を見せたし持続力の高さはかなり高い。このレースはL3最速のバテ差しのレースになっていて、前はかなり苦しいレースになっているので中段で足を溜められたのは大きい。そういう意味では前で粘ったカレンブーケドールはかなり強いと思う。この馬はL3からゴーサインを出している割に加速は鈍かったので、瞬発力は低いと思うのでコースや展開には注文が付くかもしれない。2019年エリザベス女王杯は意表を突く2番手先行だったが、3,4コーナーで先頭のクロコスミアを楽に行かせすぎて届かず3着と、ミルコのリズムの悪さを見せた感じだった。前半1000m62.8では前が止まらない、元々トップスピードの質に関してはまぁまぁなので後ろからも差されてしまった。

好材料も悪材料もあると言えばあるし、無いと言えばない。何にしろオークス馬なのでコース適性は問題ないはずだし、マイルも白菊賞で勝っている。もちろん2,3歳時のことなので古馬になって対応できるかどうか未知数。半年の休養明けもエリ女で3着しているので不安が無いと言えばないが、今回はドバイへ行ってからなので、海外帰りの休み明けになる。血統的にはお兄ちゃんがリアルスティールとプロディガルサンなので、マイルが合うとは思えないが・・・。

<アルーシャ >・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。。

・3歳時は掛かることもあった。    

”2018年豊栄特別”では強烈な前傾ラップを2番手追走から直線ではさすがにやや落としたが後続の強襲をしのいで1着。東京500万条件ではスタートイマイチで出遅れたが、3コーナーまでに外からリカバリーして2番手、直線では馬なりで先頭からL2で追い出し圧勝。”2018年ユートピアS”では3,4番手追走から直線やや壁になったが抜け出してからシッカリとトップスピードに乗せてL1もさほど落とさずしのぎ切った。この時の2着がリカビトスでトップスピードの質は高いので高評価。”2019年京都牝馬S”では平均バランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線L2過ぎまで前が壁になり、追い出しが遅れて3着まで。”2019年谷川岳S”ではスローバランスを中段から、終始外目を回して直線伸びずに凡走。”2019年信越S”ではハイペースバランスを中段の後ろから、4コーナーから外に出し直線外からスムースに差し切り1着。”2020年ニューイヤーS”では稍重でややハイペースバランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが3着まで。”2020年京都牝馬S”では重馬場でスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー内目を回して直線も伸びないうちに入り凡走。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:なし。 悪材料:クラス負けの危険、騎手弱化。

2018年ユートピアSで古馬相手に54㎏で勝ち切ったのは高評価、中段の前で最内から進めてロスがなかったが、併せて伸びてきたのがリカビトスだからトップスピードの質も見せた。L2まで前が壁になって詰まったように見えるが、L3は11.8から11.5に加速ラップを踏んでいるので詰ったわけではない、なので瞬発力自体は評価するほど高くはないと思う。その瞬発力で届かなかったのが2019年京都牝馬Sで、L2過ぎまで前が壁になり待たされてしまった、コースが空いてからジリジリ伸びたが4着と届かず、このレースはL2最速戦で11.0のラップになっているが、外から伸びたリナーテはL2で10.5くらいは踏んでいるはず。この遅れが決定的になったので直線はスムースな方が良いはず。

心肺機能と持続力の高さを見せたのが2019年信越Sで、この時は1400mでハイペースバランスを中段の後ろから、4コーナーから外に出して差し切った、相手も2着プールビル、3着デアレガーロなので高評価。ユートピアSでもほぼ平均バランスだったしバテ差しで良さが出そう。パワーの高さを見せたのが2020年ニューイヤーSで稍重でややハイペースバランスを終始外目を回して3着、坂でもしっかりと走れていたのでパワーは十分にある。この時は後ろからシャイニービームに差されているので、トップスピードの質が高くはない事は見せたし、稍重もあまり良くないのかもしれない。2020年京都牝馬Sでは重馬場でスローバランスを中段の後ろから、終始馬場の悪い内を走らされて伸びなかった。

好材料はなし、悪材料はクラス負けの危険で重賞では結果が出ていない。マイルもユートピアSは良い内容だったが、前半46.5を先行してのものなので、良馬場なら軽く45秒台に入るレースでどこまで対応できるかどうか。ルメール騎手から北村宏騎手への乗り替りは大幅な騎手弱化。先行した方が良いタイプだがスタートイマイチで、北村宏騎手が工夫をしてくるとも思えないので、なかなか厳しいと思う。

<トロワゼトワル>・心肺機能は高く、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力は高い。

”2019年京都1000万条件”では平均バランスを中段から、直線スムースだったがトップスピードの質で見劣り4着。”2019年賢島特別”では稍重で平均バランスを中段の前から、直線スムースに伸びて持続力を生かして差し切り。”2019年春興S”ではスローバランスを3,4番手先行、終始最内から直線は差し損ねて2着。”2019年豊明S”では稍重でハイペースバランスを中段から、直線は中目からバテ差し1着。”2019年京成杯AH”ではハイペースバランスを離して逃げて圧勝、日本レコードのタイムで心肺機能と持続力の高さを見せた。”2019年ターコイズS”ではハイペースバランスを2番手先行、、4コーナーで一杯になり凡走。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを逃げて凡走。

「ヴィクトリアMへ向けて」好材料:休み明け2走目、距離適性。 悪材料:クラス負けの危険。

豊明Sで稍重のハイペースバランスを中段から進めてバテ差し、このレースで心肺機能の高さ、持続力の高さを見せつけた。春興Sでは先行して差し損ねているし、京都1000万条件でも平均バランスで差し損ねているので、トップスピードの質が低い。圧巻だったのが京成杯AHでマイルの日本レコードを叩き出す逃げ切り、しかも3馬身半差の圧勝だった。これは過去に2度の騎乗機会があった横山典騎手の好判断もあったと思うが、超高速馬場で心肺機能と持続力の高さを生かしたレースだった。馬場読みと馬の能力を正確に理解して、怖がらずにハイペースバランスで逃げた素晴らしい騎乗だったと思う。

2019年ターコイズSではハイペースバランスを2番手先行で凡走、社台F生産馬なので休み明けで仕上げ切れなかった可能性があるし、前走から斤量3㎏増も影響した可能性がある。2020年阪神牝馬Sでは平均バランスを逃げたが凡走、この時も休み明け。

社台F生産馬の割に仕上がりが早く休み明けでも走るのは豊明Sや京成杯AHで見せている、むしろロードカナロア産駒なので激走後に間隔詰めて走った時の反動が不安。

好材料は休み明け2走目になる点、この馬は社台F生産馬で休み明けは仕上がり切らない感じ。条件戦では間隔空けても走っているが、OP以上では誤魔化しが効かなかったのか、近2走で凡走を繰り返している。今回は中1か月強なので、これは好材料。距離適性は京成杯AHを1:30.3で勝ち切っているので、斤量は軽かったが好材料で良いと思う。悪材料はクラス負けの危険で、GⅠは初めてなのでこのクラスで勝負できるかは未知数。休み明けとは言え近走負け過ぎなのが気になる、京成杯AHで走り過ぎた感もあるので、ココが正念場かな~。ロードカナロア産駒の5歳なので、この馬にも蓄積疲労の懸念は有る。