2020年京王杯SC 全頭評価。その5。

<ビリーバー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”フィリーズレビュー”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー中目を回して直線前が壁になり凡走。”2019年大日岳特別”では平均バランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースに差し切り。”2020年豊明特別”では平均バランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースに追い込み3着。”2020年船橋S”では稍重でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線外から2着。”2020年晩春S”では平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが3着まで。

「京王杯SCへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:クラス負けの危険。

<心肺機能について>フィリーズレビューがハイペースバランスで中段やや後ろから、自身もややハイペースバランスに入っていたはずで、これを直線ジリジリと差を詰めてきた。前が壁になって追えないシーンもあったが、L1まで差を詰めていたので心肺機能はまぁまぁのはず。

<パワーについて>船橋SでL1の坂をものともせず追い込んできたので、パワーは十分あると思う。

<瞬発力について>フィリーズレビューでは直線詰まってからの再加速が鈍かった、あまり高くないと思う。

<トップスピードの質について>晩春Sでも上り33.3で追い込んできたが、後ろからミュージアムヒルに差されているので、トップスピードの質はまぁまぁのレベル。

<持続力について>豊明特別の上り3Fが32.8なので、10秒台を使っていながらL1でも11秒前半を出している、晩春Sでも33.3と高い持続力を見せた。

<その他について>スタートは遅くはないが、どうしても後ろからになり届かないレースが続いている。馬場に関係なく好走すれども差し切れずの成績で、OP以上では着が悪くなる可能性が高い。

好材料は前走同じコースで3着なので、コース適性は高いと思う。悪材料はクラス負けの危険で、この馬は3勝クラスを勝ていない、上り3Fも33秒台では届かないので後方からでは苦しいはず。

<ライラックカラー>・心肺機能はやや低く、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

“2018年中山1000万条件”ややハイペースバランスをスタートで遅れ後方から、4コーナー外を回して直線外からスムースに伸びてバテ差し1着。”2019年新春S”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー外を回して直線一瞬狭くなって4着まで。”2019年武庫川S”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが流れ込むだけ。”2019年晩春S”ではややハイペースバランスを後方から、直線スムースだったが伸びずに凡走。”2019年フリーウェイS”ではスローバランスを中段やや前から、終始最内を回して直線スムースだったが伸びずに4着。”2019年奥多摩S”ではスローバランスを中段やや前から、終始外を回して直線スムースに伸びて差し切り。”2020年カーバンクルS”ではややハイペースバランスを後方から、終始外を回して直線外からスムースに伸びてバテ差し1着。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線トップスピードの質で見劣り凡走。

「京王杯SCへ向けて」好材料:コース適性、距離適性。 悪材料:クラス負けの危険。

キレッキレのトップスピードの質があるわけではないので、府中では切れ負けして届かないことがあったが、奥多摩Sでスローバランスを差し切っている、この時も超高速馬場で上がり1番時計ではないので相手に恵まれた感はある。もちろん持続力の高さは見せていて、これは中山でのバテ差しでもいかんなく発揮されている。特性的にも中山は合っているようで、トップスピードの質よりも持続力とパワーでねじ伏せるようなレースで勝ち切っている。

2019年新春Sではハイペースバランスを中段から進めて、直線一瞬狭くなって4着までだった、ここで瞬発力の低さを見せた。2020年カーバンクルSでは後方から進めてバテ差し、外から力でねじ伏せるレースで勝ち切っている。この馬は非ノーザンF生産馬だが休み明けでも走る、2019年奥多摩Sで勝ち切っているし、2018年千歳特別でも1着。ただいずれも条件戦なのでOP以上でも通用するほど仕上げられるかは未知数。2020年阪急杯ではややハイペースバランスを後方から、直線は同じ位置にいたスマートオーディンにトップスピードの質で明確に見劣った。

好材料は奥多摩Sを勝ち切っている距離適性とコース適性。悪材料はクラス負けの危険で、2走前OPのカーバンクルSを勝ち切っているが、相手も重賞では足りないペイシャフェリシタとレジーナフォルテだったし、前走の阪急杯では全く勝負にならなかった。奥多摩Sは1400mでは珍しい程のスローバランスだったので、上り32秒台だが好評価はできない。

<ラヴィングアンサー>・心肺機能はやや低く、パワーはある、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”2019年阪神1000万条件”では平均バランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線中目からスムースに伸びて1着。”2019年晩春S”ではややハイペースバランスを離れた追走集団の中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて差し切り。”2019年安土城S”では平均バランスをスタートで立ち上がり出遅れ後方から、3,4コーナー中目を回して直線馬群を割って伸びたが4着まで。”2019年オーロC”では平均バランスを中段の前から、3,4コーナー内目を回して直線L1で一杯になり凡走、この時が休み明け。”2019年ラピスラズリS”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線詰まって凡走。”2020年シルクロードS”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線中目からスムースだったが伸びずに6着。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線馬群の中から伸びずに凡走。”2020年春雷S”では稍重でハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線外からバテ差し1着。

「京王杯SCへ向けて」好材料:なし。 悪材料:クラス負けの危険。

OP入りして最初の2019年安土城Sが結構大味なレースで、スタートで立ち上がり大きく出遅れてしまった、これで後方から進めて直線入り口で馬群を割って伸び4着まで持ってきた。この時の1着がダイアトニックで0.5差、3着のリライアブルエースとは0.2差だったので、スタート決めて中段から進めていれば2着はあったかもしれない。平均バランスで流れていて11秒台前半のラップを連発する流れだったことから、レースレベルはかなり高いし1着ダイアトニックのその後の活躍を考えれば高評価。L1で若干引き離されてしまった感じだったが、L3は11.0くらいは出しているはずだし、L2でも11.1くらいで持続力の高さはかなり高い、ダイアトニックはL2で10秒台に入っている可能性が高いので、この馬の場合キレッキレのトップスピードの質とまでは言えないが、まぁまぁの評価はできる。

2019年ラピスラズリSは直線で前が壁になり追えなかった、この辺りからも直線スムースな方が良く、瞬発力の低さを感じる。2020年阪急杯では直線馬群の中からになりやや狭かった、ただし同じ位置にいたスト―ミーシーにも見劣ったので、トップスピードの質には期待できない。2020年春雷Sは勝ってはいるが、ハイペースバランスを稍重でバテ差しと、トップスピードの質は問われていない。

2019年オーロCが凡走していてこの時は休み明け、この馬は非ノーザンF生産馬なので休み明けは良くない。2020年シルクロードSでも2カ月の間隔開けで6着に凡走した。

好材料はなし、悪材料はクラス負けの危険で重賞では結果が出ていない。1400mは安土城Sで4着があるが、54㎏だったし1着ダイアトニックから0.5も離されている。晩春Sを勝っているが離れた追走集団の中段からで、自身はややスローまで入っていたはず、なので上り3F32.7も評価するわけにはいかない。

<レッドアンシェル>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高くはないが持続力はある。

・外から直線スムースに加速すること、直線進路変更しないことが好走条件。

”アーリントンC”ではほぼ平均バランスを後方から、直線は外からスムースの加速したが、L1でペルシアンナイトの持続力に見劣り2着。”NHKマイルC”では平均バランスを中段のやや後ろから、直線は外からスムースだったがL1で伸びきれずに4着まで。”2017年富士S”ではスローバランスを逃げて4着、L1で明確に落として差される。”2017年リゲルS”ではややスローバランスを内枠から先行して、直線は上手く中目に出してスムースに加速。L3から11.1に入る3F戦を圧勝。”2018年京都金杯”ではハイペースバランスを中段から、L1標識までは伸びが良かったがそこから垂れて3着。”2018年ダービー卿CT”では中段の最内から、直線は狭くなって7着。”2018年垂水S”重馬場ではスローバランスを中段の外から、直線はL1標識まで先頭だったが垂れて3着。”2018年仲秋S”では平均バランスを中段の外から、直線良く伸びたが3着、この時は58㎏だった。”2018年石清水S”ではハイペースバランスを中段から、直線は外からスムースだったが外からタイムトリップに差され2着、この時が4カ月の休み明け。”2019年斑鳩S”ではスローバランスを後方から、L2最速戦の瞬発力勝負にトップスピードの質で見劣り3着、直線の進路変更も良くなかった。”2019年彦根”ではスローバランスを3番手の最内先行、直線は内目からスムースに伸びて圧勝、1200で運動時間が短かったことと、最内からスムースだったことが良かった。”2019年CBC賞”では不良馬場で平均バランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースに差し切り。”2020年シルクロードS”ではハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー最内を回して直線スムースだったがL1で一杯になり凡走。

「京王杯SCへ向けて」好材料:コース適性、距離適性。 悪材料:前走凡走から巻き返せるか。

血統的な背景もありずっとマイル前後を使われてきて成績がイマイチだったが、彦根S1200で圧勝してきた。マイル戦では差しに回っても逃・先行でもL1で垂れてしまっていたが、1400m以下ではL1までシッカリ伸びている、このことから高い強度では運動時間が限られるタイプだと思う。1400m以下では3-1-2-1と、骨折休養明けのシルクロードS以外は3着以内を外していない。

トップスピードの質と持続力は高いが瞬発力は低いと思う、これはマンハッタンカフェの産駒によく見られる特徴で、直線は外目からスムースに加速して長くいい脚を使えば非常に強いレースをする、反面直線で前に詰まって進路変更や再加速を問われると厳しくなる、ルージュバックがこのタイプでしたね。

2019年CBC賞では不良馬場で平均バランスを中段から、3,4コーナー外目を回して差し切り、揉まれなかったことで高い持続力を発揮してきた。2020年シルクロードSは骨折休養明けで凡走、先行したがL1で失速しているので心肺機能が戻ていなかった可能性が高い。

好材料はコース適性でNHKマイルC、2017年富士Sで4着と悪くない。距離適性も高く1400mは1-1-2-0と好相性。悪材料は前走殿負けしたことで、この馬はCBC賞1着後に骨折休養、7カ月ぶりのレースだったし心肺機能が戻っていなかった感じ。これがどこまで戻るかは未知数。

<エントシャイデン>・心肺機能がやや低いがパワーはある。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。前半が速くなると後半息切れする。

”2018年NZT”では平均バランスを先行して直線失速。”2018年東京1000万条件”ではスローバランスを後方から、直線空いた内を突いて1着。”2018年京都1000万条件”ではスローバランスを中段のインで折り合い、上手く捌いて1着。”2019年節分賞”ではスローバランスを中段から、長くいい脚を使ってリカビトスを振り切った。”2019年阪急杯”では平均バランスを後方から、酷い騎乗で4コーナー出口から馬群に詰まってしまい5着、詰まった割にL1のバテ差しは良かったのでスムースなら3着はあったはず。”2019年安田記念”ではスローバランスを中段から、直線は外を回してしまい伸びず。”2019年中京記念では稍重でほぼ平均バランスを中段の後ろから、直線は外目に出してスムースだったが伸びず、稍重で平均バランスではトップスピードの質が生きない。”2019年関屋記念”ではややスローバランスを中段のやや前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2019年信越S”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線外からスムースだったが5着まで。”2019年オーロC”では平均バランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースだったが伸びずに凡走。”2020年京都金杯”では平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年六甲S”では稍重で平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースに伸びて3着。”2020年谷川岳S”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線やや狭くなった部分もあったが良く伸びて2着。

「京王杯SCへ向けて」好材料:なし。 悪材料:連闘、距離適性。

安田記念は前半45秒台を中段から進めてしまい、直線では完全に息切れしてしまった。中京記念でも稍重で平均バランスでトップスピードの質を引き出せなかった。元々心肺機能は低く、条件戦でも前半が速くなると凡走していた、2018年東京1000万条件を快勝するんだけど、この時が超が付くスローバランスでトップスピードの質と持続力を見せつけたレースだった。このトップスピードと持続力を引き出すには、前半ゆったり入って足を溜める必要がある。休み明けだった京王杯SCで後方から進めて、上がり2番時計33.0を叩き出した、この時は前が止まらなかったので大敗している。結局安田記念ではこの大敗を受けて田辺騎手が後方からでは届かないと判断したんだと思う、自分が乗った1戦だけで判断してしまったことで、心肺機能に難のあるこの馬に中段からレースをさせてしまった。これでは凡走も仕方ないと思う。もちろん初めての58㎏もこたえた可能性はあるが、心肺機能の低さは間違いないはずなので、前半をいかにゆったり入るかがカギになる。

2020年谷川岳Sがこの馬の好走条件にマッチしたレースで、この時はスローバランスを中段から、心肺機能に余裕のあるペースを中段で追走できたことで、直線やや狭くなるシーンもあったが良く伸びて2着だった。キレッキレのトップスピードを持っているわけではないので、後方からでは届かないし、中段を取りに行って速くなってしまうと息切れしてしまう。

好材料はなし、悪材料はまず連闘になること、ディープ産駒だし使い減りの不安は大いにある。5歳で27戦もしているし、ちょっと使い過ぎの感がある。1400mは展開的に合わない可能性がある、普通なら平均バランスくらいで流れるし、後方からでは届かない可能性が高く中段からだと心肺機能で見劣る可能性が高い。道悪になってスローならチャンスはあると思うが。