2020年皐月賞 回顧。着差以上に強かったコントレイル。


走破時計 2:00.7  前半1000m 59.8  上り3F 35.8

含水率 ゴール前 15.1%  4コーナー 14.2%

まずは馬場状態ですがレーススタート時点では稍重まで回復していました、それも良馬場よりの稍重という感じでかなり乾いていたと思います。9R鹿野山特別が2勝クラス2000mで2:03.3でした、前半1000mは63.3なので後半を59.7で走ったことになります。勝ったゴールドスミスは中段から進めているので、ゴールドスミス自身の後半1000mはさらに速かったはずです。昨日かなり雨が降りましたが、2014年の改修工事で暗渠管を大量に入れたことで、馬場の回復スピードがかなり早くなったと思います。特に3、4コーナーから直線は外が早く乾いたようで、9Rのゴールドスミスも外目を回してよく伸びていました。コントレイルも同じようなコースを通っていたので、一番伸びるコースを通せたのだと思います。 


上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2020年若葉Sのグラフです。

逃げたキメラヴェリテのペースは馬場を考えるとかなり速かったと思います、前走の若葉ステークスでは高速馬場で前半1000m59.9、今回は稍重で59.8ですから、直線入り口で一杯になってしまうのも不思議ではありません。4着に粘ったウインカーネリアンの位置でおそらく平均バランスぐらい、2着のサリオスも平均バランスぐらいには入っていたはずです。コントレイルの場合はスタートからジリジリとポジションを下げて行ったので、ややスローバランスのレースになったと思います。後半L3辺りから外目を回して長くいい脚を使ってきました、コントレイル自身はL3,L2と11秒台前半を連発したはずで、馬場の良い外を回したとはいえ一頭だけ全く次元の違うスピードをを見せました。

逃げたのはキメラヴェリテ、やや間隔を空けてウインカーネリアンが追走集団の先頭でした、ディープボンド、ビターエンダーが続き中段の前からサリオスが続きました。 内にテンピンが居てラインベックが外、サリオスのすぐ後ろからヴェルトライゼンデ。その後ろからサトノフラッグが続き内にコルテシア、コントレイルが徐々にポジションを下げながらガロアクリークとマイラプソディの後ろから外に出します。レクセランス、ダーリントンホールが中段の後ろ、アメリカンシード、クリスタルブラック、ブラックホールが後方からという隊列でした。 

キメラヴェリテは外枠だったこともあり逃げ体制を築くのに随分と苦労していました、結果的に2F目で11.3を出さなければ先頭に立てなかったことで、必然的に前半のペースが上がってしまい苦しくなりました。やや離れてウインカーネリアンが追走します、キメラヴェリテのペースが速いという読みは田辺騎手が正解でした。これに続いたのがビターエンダーとディープボンドで、その後ろからサリオスが中段のやや前に居ました。

サトノフラッグは中段から進め、コントレイルは徐々にポジションを下げてマイラプソディの後ろから外に出しました。よほど自信がなければこのような騎乗はできないと思うので、福永騎手は相当な自信でレースに挑んだようです。ダーリントンホールはミルコが位置を取りに行かなかったことで、中段の後ろになってしまいました。 3着に突っ込んだガロアクリークはサトノフラッグの後ろに位置して前半は脚を溜めていました。

4コーナーから直線入り口です、800mを過ぎたあたりでペースが落ち始め、1200m付近で12.9迄落ちたことで馬群が一気に凝縮しました、コントレイルはこれで馬群に楽に取り付けて外から上がって行きます。コントレイルに続いたのがダーリントンホールで非常にスムースに上がってきました。内ではウインカーネリアンがキメラヴェリテに並びかけ、その外にビターエンダーが続きます。 サンリオスはウインカーネリアンの後ろから、ラインベックがビターエンダーの外でややロスが大きかったと思います。この外になってしまったのがサトノフラッグで、この時点ですでに手応えが怪しくなっていました。同じようにサトノフラッグの外から上がってきて手応えが怪しくなっていたのがマイラプソディで、豊騎手は9Rで勝った時と全く同じコース取りをしてきました。

3着のガロアクリークはサトノフラッグの後ろからで仕掛けはやや遅かった感じ、もちろんこの仕掛けの遅さが3着に好走できた大きな要因だと思います。内からコルテジアがサリオスのすぐ後ろ、さらにその後ろにレクセランスが居ました、この2頭はスムースに直線に入ってきますが直線入り口でサリオスに一気に引き離されます。

直線L1標識付近です、内でキメラヴェリテが粘っていますがディープボンド、コルテジア、ヴェルトライゼンデが並びかけます。 先に抜け出したのがサリオスでウインカーネリアンの内からスムーズに直線に入りました、外から捲り追い込みでサリオスに並びかけてきたのがコントレイルで、この2頭はゴール前まで馬体を接して追い比べになりました。

外からスムースだったサトノフラッグですがこの辺りで一杯になり、ガロアクリークが差してきて3着でした。ガロアクリークの場合は仕掛けがやや遅かったこと、前の2頭には明確に見劣っているので、ヒューイットソン騎手の仕掛けのタイミングとコース取りがかなり良かったのだと思います。外を回して伸びなかったブラックホール、クリスタルブラックについては地力の差が出た感じがします。マイラプソディは予想の段階で懸念した通り期待先行だった可能性が高くなりました、4コーナーでコントレイルに並ぶ間もなく交わされてしまったので、完全に力負けです。ウインカーネリアンの4着にはかなり驚きましたが、上り3F36.5なので後ろから差されなかったことが不思議な感じです。 

今日のメンバーの中では勝ったコントレイルと2着のサリオスが、この世代では抜けている感じで、3着以下の馬たちはレース毎に順位が入れ替わりそうです。 

では一頭ずつ見ていきます。

一着はコントレイル、スタートは5分に出ましたがそこからジリジリとポジションを下げ外に出せる位置まで下がってきました、福永騎手もかなり自信があったようで、とにかく内で詰らないことだけを考えて乗っていたようです。3コーナーから大外を回して上がっていき、サリオス以外の馬を力でねじ伏せてしまいました、さらに直線でもサリオスとの叩き合いを制し、半馬身先着して勝ち切った持続力の高さは素晴らしいと思います。自身の後半1000は59秒台のはずで高い持続力と心肺機能も見せてきました、距離が延びてさらに良さが出そうな感じがします。

2着がサリオス、コントレイルよりも前で競馬をしているので、前半からかなり心肺機能の問われる展開だったはずです、朝日杯FSでもハイペースバランスを押し切っているように高い心肺機能はここでも十分に発揮されました。直線でコントレイルに並ばれてもずるずると下がることなく食い下がり、半馬身差で2着を確保したのは立派だと思います。 さらに距離が伸びた時に対応できるかは未知数ですが、軽い高速馬場であればトップスピードの質だけでなく、前半から速いラップを連発できる心肺機能の高さを生かして、コントレイルを逆転する可能性は十分に秘めていると思います。

3着がガロアクリーク、 前半は中段で構えて無駄な動きを全くしませんでした、3コーナーでもまだ我慢していて仕掛けていません、3コーナー手前で前が緩めたことで自然と馬群が凝縮し、サトノフラッグのすぐ後ろまで進出できました、この時も自分から動いて上がって行ったのではなく、前が減速する形でポジションが取れたことで足が溜まったのだと思います。前走のスプリングSがフロックでなかったことを証明しました、ホープフルSでは3コーナーでコントレイルが動いたところを追いかけてしまい、早々に脱落しています。 今回は直線入り口まで仕掛けを遅らせたことで前には届きませんが、しっかりと3着には持ってきました。ヒューイットソン騎手が勝に行っていたのか、それとも一つでも良い着順を取るために考えて乗っていたのか分かりませんが、後者のような気がします。

4着がウインカーネリアン、弥生賞では重馬場でハイペースバランスを先行して凡走しましたが、前走はスローバランスで勝ち切ったことで心肺機能の高さを不安視しました。今日の結果を見ると自身平均バランスで進めての4着粘り込みなので、心肺機能の高さを評価しないといけないと思います。1着コントレイルと2着サリオスとはかなり力の差があるようなので、今回はかなり展開と馬場が味方したのではないかと思います。

5着がサトノフラッグ、最終追い切りが非常に良かったので期待していたのですが、4コーナーでは一杯になり掲示板を確保するのが精一杯でした。1線級との対戦は今回が初めてで、前走の弥生賞も外から力でねじ伏せる強い勝ち方でしたが、重馬場だったことで評価のしづらいレースでした。今回のレースでこの世代の中でのサトノフラッグのポジションが分かってきた感じで、トップクラスのコントレイル、サリオスからやや離された二番手グループとういう位置づけです。

6着ダーリントンホールは前半前に行けませんでした、3、4コーナーでコントレイルにあっさりと引き離されているので、この馬も離れた2番手グループという感じです。共同通信杯の感じからも先行した方が結果が良さそうなので、内枠ですんなり先行できそうなメンバー構成の時に買いたいですね。7着がコルテジアでした、初輸送だったことを考えれば悪くない結果で、ダービーに出てくるならば穴で狙ってみてもいいかなと思います。期待先行の感があったマイラプソディは13着、4コーナーではコントレイルに一気に引き離されてしまったので、 ダービーに出てきても苦しいレースになりそうです。これで豊騎手は心置きなくアドマイヤビルゴを選べるのではないでしょうか。

馬券の方は馬連だけ的中、当然とトリガミでした。

コメント

  1. まんぐ~す より:

    レース回顧ありがとうございます&馬連的中おめでとうございます。
    私はサリオス本命の三連単・複にガロアクリークを買ってなかったので外しましたが見ごたえのあるレースでした。
    コントレイルは3~4コーナーで外に出せたのが勝因でしたね。逆にサリオスはレース後のレーン騎手のコメントにあるようにもう少し早く外に出せれば半馬身差ならあるいは・・・ですが「たられば」は禁物なので次走に期待したいと思います。

    ここで気になったのが福永騎手のレース後のインタビュー。
    「思っていたレースとは違いましたが・・・・(略)」
    どっかで見た事のあるコメントだなぁ・・・ってクイーンカップのミヤマザクラの時と同じような内容。
    福永騎手は思い通りにならなかった方が勝てるのでは(笑)
    とこれは冗談ですが福永騎手の世代限定JRA:GI完全制覇おめでとうございます。

    • みやや より:

      まんぐ~すさん、コメントありがとうございます。ガロアクリークは難しいですね、ホープフルSでボロ負けしてなければもう少し評価したと思いますが、大敗してますからね~。
      思うんですが、福永語録は常人には理解できないのだと思うのですよ、これからも福永ワールド全開で突き進んで欲しいですね。