2019年菊花賞 回顧。長距離戦らしいペースだった。


走破時計 3:06.6  前―中―後 62.4-62.9-60.7  上り3F 36.2

馬場状態は良馬場まで回復していました、ただ高速馬場でなくやや重目の良馬場ですね。9R北野特別2勝クラス2000mで2:01.4、上がり3F34.9でした。良馬場の割にコース全周にわたってやや時計が掛かってた感じでした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2018年菊花賞のグラフです。

2019年菊花賞 走破時計 3:06.6  前―中―後 62.4-62.9-60.7

2018年菊花賞 走破時計 3:06.1  前―中―後 62.7-64.2-59.2

昨年よりも時計の掛かる馬場でしたから、これを一定に近いペースで淡々と刻んでは消耗戦になりますね。肝心のシフルマンがまさかの出遅れで逃げ馬不在に、この影響がモロに出たのが前半でしたね、最初の2F目が12.4も掛かっています、これは昨年よりも0.5も遅いラップでした。この遅い2F目のおかげでメイショウテンゲンやホウオウサーベルが前に付けられましたね。

中盤で大きく緩んだ昨年と違い、今年はミルコが一定のペースを刻んだことで、中段までの馬には結構心肺機能の内、ステイヤーとしての能力をモロに問われた感じがしました。中緩みが無いので息を入れられなかったはずですし、終始まぁまぁのペースをこの馬場で刻まれて、馬群も一段でしたからね。だからこそL1で12.4までラップが落ちるんでしょうね。メロディーレーンが5着に来ているし、ディバインフォースもトップスピードの質で勝負するタイプではないので、長距離戦らしいレースだったなという印象です。

逃げたのは押し出されるようにカウディーリョ、ヴァンケドミンゴが2番手でナイママが3番手まで上がってきました。ユニコーンライオン、ヴェロックス、メイショウテンゲン、中段最内からワールドプレミア、レッドジェニアル、ホウオウサーベル、ザダル。中段のやや後ろになったのがサトノルークス、ヒシゲッコウが少しポジションを上げてこの位置、ニシノデイジーは最内で動かず。タガノディアマンテ、ディバインフォース、メロディーレーン、後方からカリボール、出遅れたシフルマンという隊列でした。

スタートでシフルマンが出遅れてしまいました、奇数馬番で先入れだったことが災いしてゲートで暴れていましたね、この辺りゲートで大人しく待てることも競争馬の能力なので、今後改善しないとダメですね。出遅れてしまったことでペースもやや遅い感じもしますが、後方から何も工夫のない騎乗をしてしまいましたね。京都大賞典でもパリンジェネシスで出遅れて、何もしない競馬になってしまいましたから、松山騎手の性格的な物もあるのかもしれませんね。非常に淡泊な競馬というか、スタートで諦めてしまったような競馬でした。もちろん一定のペースで流れていたので動きにくかったのはあるんですよね、それでも最初の2F目は緩んでいるわけですから、そこでリカバリーして欲しかった、ここでリカバリーすると最初の3,4コーナーで大外を回す羽目になるので動くに動けなかったのかな~。いずれにしても奇数馬番のシフルマンは要注意ですね。

スタート後に先行争いが無くペースが上がらなかったことで、ナイママ、メイショウテンゲン、ホウオウサーベルが楽に前、中段のポジションを取れましたね。特にメイショウテンゲンのポジションには驚きました、この馬が中段の前を取れるほど2F目までが遅いんですよね。ワールドプレミアは自力で中段のポジションを取ってきましたね、今まで見せたことのないスタートを決めてきました、この大舞台でこのスタートを決めてくるのが豊騎手ですね。

ザダルがスタート良かったわりに行き脚が鈍く、最初の正面スタンド前の時点では中段まで下げていました。輸送でマイナス12㎏と体調がイマイチだった感じですね。ニシノデイジーも中段やや後ろから、ヒシゲッコウも最少はルメール騎手の後ろに居ましたが、向正面でややポジションを上げて行きました。

4コーナーから直線入り口です、ここで先頭列がズラッと横に広がります、タガノディアマンテが3コーナー過ぎから上がって行きますが、12.0の地点を大外からになりますからさすがに苦しいですね。これを捲くり切って勝ったら馬ではなく違う生き物です。ここで好判断をしたのが福永騎手ですね、3コーナー過ぎに外から上がって行ったタガノディアマンテに付いて行かずに待ったんですね、付いて行っていれば当然大外を回すので大きなロスになったはずです。4コーナー出口で後肢が滑っていた分だけ届きませんでしたね、

勝ったワールドプレミアは終始最内を回していて、ここでもカウディーリョの2,3馬身後ろからでしっかりスペースを確保していました。ここで前と左右にスペースを確保した分だけ、直線のコース取りが楽になりましたね。さすが豊騎手ですね、京都外回りのお手本のような乗り方でした。期待したザダルはこの辺りで一杯、ニシノデイジーもいつもの伸びが無かったですね、この2頭は輸送が原因かな~。

直線L2標識付近です、ここでヴァンケドミンゴが一杯になり後退したスペースを、ワールドプレミアがスムースに抜けてきます。この時点でヴェロックスよりもスピードが上回ていましたね。やはりヴェロックスはトップスピードの質がイマイチですね~、外からサトノルークスもスムースでしたが首差届かず、4コーナーでのめった分だけですね。ディバインフォース、メロディーレーンはバテ差しで良く伸びてきました。この辺りではすでに一杯になる馬も多く、馬群もばらけて狭くなったり壁になったりということもなかったですね。

着順は8着でしたが改めて能力を見せたのがミルコですね、シフルマンの出遅れで思いがけず逃げる形になりましたが、長距離戦らしい締まったペースに持ち込んで、長距離適正の無い馬をふるいにかける、素晴らしい騎乗でした。昨年の田辺騎手のペースを見ているだけに、改めてミルコの能力を見せつけられましたね。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はワールドプレミア、スタート決めて中段を取れた時点で8割がた好走するなと思いました、つばき賞で心肺機能の高さを見せているので、前半から流れる中でバテ差すという競馬は得意です。今回は上がり35.8とトップスピードの質ではなく持続力を求められているので、パンパンの高速馬場でスローバランスの時には、神戸新聞杯のように届かない危険が増しますね。

2着はサトノルークス、この馬も前走平均バランスを中段からのバテ差しで好走しましたから、一番いい展開でしたね。輸送の不安もなく地元でリラックスして走れたことも、好走要因だと思うので、関東圏ではやや疑ってかかりたいですね。この馬もパンパンの良馬場で、トップスピードの質を問われてしまうと凡走の危険が増すと思います、ワールドプレミアはトップスピードの質は高い物を持っていますが、恐らく前半が緩くないと出せないはず。この馬は前半が緩くても高いトップスピードを発揮できないのかなと。2000m以下では道悪にならないと好走できないかも。

3着はヴェロックス、トップスピードの質が問われない展開になりましたが、本質的なスピードがやや足りなかったかな~という印象でした。直線入り口でワールドプレミアにあっさり交わされたので、現時点でのスピード能力はワールドプレミアに軍配が上がりますね。ただこの馬はジャスタウェイ産駒なので、今後の成長力では大いに期待できます。

4着はディバインフォース、後方から全く違うレースをしているので、高くは評価できませんね。それでもバテ差しになれば4着にまではくる能力を見せましたし、長い距離で心肺機能を問われて、トップスピードの質を問われない時はバテ差しが決まると思います。2勝クラスを5着という戦績でしたから印は回しませんでした、乱暴な騎乗でしたが勝ちに行ったタガノディアマンテに比べれば、着順は上でも評価は上に出来ませんね。

5着はメロディーレーン、この馬もディバインフォースと同じ評価ですね。最後方近くからの競馬で4コーナーまで楽をしているので、高い評価はできません。それでも小柄な馬体を生かして長距離適正を見せたので、先行出来るようになってほしいですね。

馬券の方は外れでした、2頭軸から縦目を喰らい大ショック。2頭軸でも変に絞らず欲を書かずに3連複ですね~。それにしても8番人気のサトノルークスが入って3連複3070円ですか~、意外に安いですね~。