2020年京都牝馬S 回顧。マイル適性が問われている。

走破時計 1:23.2  前半600m 36.0  上り3F 34.8

まずは馬場状態ですが日中の雨がかなり強く重馬場まで悪化していました、走破時計が1:23.2とかなり遅く、前半600mも36.0なので騎手も馬場の悪化を相当意識していたと思います。 前後半で比較すると1.2秒のスローバランスなので、実際はそこまで悪化していなかったはずなのですが、逃げてレースを作ったのが四位騎手だったのでここまでスローな展開になってしまいました。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

グラフにある通り非常に大きな中緩みを作った後の3F戦になっていて、これは逃げたメイショウショウブにとって最も苦手なラップ推移です。最後の重賞になる四位騎手に期待しましたが、やはりハイペースバランスにはできませんでした。前半600m36.0は今年の京都金杯よりも遅く、1着サウンドキアラには楽なペースで追走ができました。上位3頭はマイルでも好走歴のある馬で、1400mらしいスピードを試されずに、マイル戦の距離適正が問われたレースになっています。

このグラフからも分かる通り今回は心肺機能は問われていません、サウンドキアラはヴィクトリアMでも7着になっていますが、この時は中段やや後ろから追走していたのであまり心肺機能は問われませんでした、 パンパンの良馬場で前半から流れるような展開になった時は、まだまだ不安のある馬だと思います。今回のレースは前半の心肺機能も問われず、後半のトップスピードの質も問われないと言うレベルとしてはあまり高くないレースになってしまいました。なので今回の結果が今後の牝馬重賞の参考になるかと言われると疑問があります。

逃げたのはメイショウショウブ、外からモアナが2番手、3番手にアマルフィコースト。中段の前からプールヴィル、サウンドキアラ、中段のやや前からリナーテ、ディアンドル、中段からメイショウグロッケ、ディメンシオン。中段やや後ろからメイショウケイメイ、シゲルピンクダイヤ、中段の後ろからアルーシャ、リバティハイツ、ドナウデルタ。後方からノーワン、ビーチサンバ、プリディカメントという並びでいた。

メイショウショウブが逃げましたがラップグラフでも書いた通り、重馬場にビビったのかスローバランスにしてしまいました、モアナもシュタルケ騎手なので当然ハイペースバランスになるよう突いたりはしませんでした。メイショウショウブにとっては最も苦手な展開になってしまったので、四位騎手に期待したのは大きな間違いでした。

アマルフィコーストを挟んで2着のプールヴィルが中段の前から進め、その外に1着サウンドキアラが居ました。リナーテがスタートが良くて中段よりも前でレースを進め、メイショウグロッケとメイショウケイメイが最内の中段を続きます。中段の外にいたのがディアンドルとディメンシオンでシゲルピンクダイヤがその後ろにいました。シゲルピンクダイヤの位置取りはやや中途半端だったのではないかと思います。スタートが良くなかったアル―シャが中段の後ろから、ドナウデルタ、ビーチサンバもスタートが良くなく後方からになってしまいました。ノーワンとプリディカメントはスタート自体は五分でしたが、二の足が遅く後方からでした。

前半600mが36.0なので中段よりも後ろに居た馬には厳しい展開になってしまいました、 重馬場でしたが前半が遅すぎて前が全くバテない流れでしたし、重馬場でなおかつ馬場も荒れていたので、後方からではトップスピードの質を生かせる状況ではありませんでした。

4コーナーから直線入り口です、メイショウショウブが内を空けて直線に入ってくるところ、外からプールヴィルがさらに3頭分ぐらい空けて直線に入ってきます。プールヴィルの後ろからリナーテ、その外にメイショウグロッケが早くも上がっていました。アルーシャは内目を回し距離ロスを抑えて、中断の前に取り付いてきましたがここからの伸びがありません、外ではモアナが下がるところアマルフィコーストが並びかけ、さらにその外からサウンドギアラが上がってきます。後方にいたビーチサンバが中目を回して中段に取りつき、外ではシゲルピンクダイヤ、ノーワン、ドナウデルタが追い込みを開始します。

直線L1標識付近です、メイショウショウブが粘るところプールヴィルが並びかけます、リナーテ、メイショウグロッケ、サウンドキアラが横に並んでこれを追いかけます。アマルフィコーストはメイショウグロッケとサウンドキアラの後ろから、ビーチサンバはこの時点でもまだ中段の後ろにいました、中段の外にはディメンシオン、リバティハイツ、ディアンドルが居ますが、この3頭は徐々に後退してしまいました。外からノーワン、ドナウデルタ、中目からシゲルピンクダイヤが全く伸びずに凡走してしまいます。

メイショウショウブとプールヴィルを追いかける位置にいたリナーテはここから伸びがありません、メイショウグロッケとサウンドキアラがここから持続力を発揮します。リナーテとメイショウグロッケ、サウンドキアラの違いはマイルでの好走歴だと思います。 重馬場になり距離適性が1F長くなったために、リナーテはL1で苦しくなったのだと思います。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はサウンドキアラ、終始中段のやや前外目をまわして非常にスムーズな競馬ができました、前半600mが36.0とかなりゆったり入れたことで、心肺機能を問われなかったのでマイルの適性が生きたのだと思います。昨年のヴィクトリアMで7着がありますが、超高速馬場で前半からハイペースになった時に、中段からやや前で競馬をして心肺機能が持つのかどうかはまだ分かりません。力をつけていることは確かだと思いますが、今年のヴィクトリアマイルで期待ができるかどうかと言われると、現時点ではまだ太鼓判は押せません。

2着はプールヴィル、 昨年の京成杯AH、NHKマイルCは大敗していますが、桜花賞では6着ですし阪神JFでも5着に入っているのでマイル適性は見せています。今回は前半600m36.0で後半もトップスピードの質を問われないという展開だったので、先行して持続力を生かすこの馬の競馬が嵌ったという印象です。重馬場になったことで距離適性が1F長く求められ、生粋の1400m巧者が苦戦していたので、この結果を額面通りに受け取るのは危険だと思いますが、道悪適性を見せたのは収穫です。今回は休み明けになり予想の段階で割引ましたが、重馬場になったことでトップスピードの質が問われなかったことが好走できた要因だと思います、なのでこの馬は休み明けになるとトップスピードの質が落ちてしまうという事だと思います。さらに今回は馬体重がプラス24kgとかなり重目でしたが、まだ4歳なのでこのくらいの馬体重が適正なのかもしれません。

3着がメイショウグロッケ、1600~1800mで好走している馬なので、今回の展開はかなりハマったと言って良いと思います。この馬も2ヶ月強の休み明けでしたが、 距離適性がぴったりとはまったことトップスピードの質を問われなかったことで3着に好走しました。 

4着はアマルフィコースト、前半600m36.0とゆったり入ったことで4着と好走しました、この馬は前半速くなると後半失速してしまうので、重馬場になったことが好走要因になります。予想の段階では道悪は苦手なのかと思いましたが、前半のペースがこの馬の成績を大きく左右するのだと思います。距離適性もマイルまで持つことはポートアイランドSで見せているので、ハイペースバランスにならなければ1400~1600mでまた活躍できそうです。

5着がビーチサンバ、スタートが良くなく後方からになってしまい、直線でもコースは空いていましたが馬場が悪く届きませんでした。ここに来てスタートの不安が出てしまったのは今後に向けて嫌な材料です、1400mの距離はクロフネ産駒なので問題はないと思いますが、良馬場のマイル戦こそこの馬の適性ど真ん中なのではないかと思います。

リナーテは12着でした、内枠を引いてしまったために直線でも中目を通したことでコース取りには不満があります、ただこのレースはマイル適性を問われていると思うので、1200~1400mが守備範囲のこの馬には苦しいレースになってしまいました。アルーシャは17着でした、内枠からスタートも良くなく中段の後ろから進め、直線も内目を通してしまったので伸びませんでした、昨年は4着でしたが関西圏でのレースではこれで2戦2敗です、 輸送に問題があるのかもしれないので今後も関西圏のレースでは注意が必要かもしれません。 ドナウデルタは13着でした、前走は条件戦でしたが勝ち切ってしまったことでロードカナロア産駒特有の反動が出た可能性があります、なのでここで凡走したことで次は期待できると思います。

馬券の方は波乱を期待して手広く買いましたがハズレでした、重馬場になってしまったことで事前の予想が崩れてしまったことは確かですが、最初から重馬場を想定していたとしてもメイショウグロッケを買うことは多分できなかったと思います。