2020年秋華賞 回顧。祝!無敗の牝馬3冠

走破時計2:00.6  前半1000m59.4  上り3F36.4  59.4-61.2ハイペース

稍重  含水率 ゴール前 13.1%  4コーナー 11.8%(5:30)

クッション値 8.2 標準(7:00)

まずは馬場状態ですが稍重でした、日中は晴れ間も見えていたので朝の計測時よりもかなり乾いていたはずです。10R大原Sが3勝クラスの1800mで1:46.3、47.7‐46.7のややスローバランスだったので上がり3Fはサトノウィザードとクラヴェルが34.4でした。なので軽めの稍重でしょうね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2020年ローズSのグラフです。

ローズSとの比較ではまず前半が速い、その上で中緩みと言うかガタガタラップになっていて、L2最速戦になっています。これに対応出来なかったのがリアアメリアでした。リアアメリアはオークスが良かったのですが、ややスローバランスを中段のやや後ろからで、自身はかなりのスローバランスでした。ところが今回は先行勢のすぐ後ろで自身もハイペースバランスに入っていました。これで4コーナーから早くも手応えが悪くなっていたので、心肺機能が低いのでしょう。同厩舎のダノンファンタジーみたいなタイプですね。

このガタガタラップの犠牲者その2はミヤマザクラですね、心肺機能は問題なかったはずですが、瞬発力がないのでL3で減速したのが痛かったし、4コーナーから直線入り口で馬場の良い外に出せなかったことも良くなかったはず。もちろん休み明けでプラス20㎏も影響があったのでしょうね。逆にこのガタガタラップの恩恵を受けたのが、3,4着に好走したソフトフルートとパラスアテナでした、この2頭は後方から進めて前が減速するまで動きませんでしたね。無駄足を使わずにL5の12.7の地点でジワっと差を詰め、更にL3の12.4で中段の外までスムースに上がって、勢いを殺さずに直線に入ってきました。

実はデアリングタクトは5F目で上がって行きました、これはローズSのリアアメリアが動かしたと思います。あのレースを見てデアリングタクト陣営は相当プレッシャーを受けたはずで、ここで動いたことは正直褒められませんね。まぁ12.3から12.7に落とした区間だったことが幸運でした。オーマイダーリンも後方からでしたが、無駄に動いた分だけ直線で一杯になりました。

逃げたのはマルターズディオサ、ホウオウピースフルが2番手、外からウィンマリリンが3番手で内にミヤマザクラ、ここまでが先行勢。これを見る形で中段の前からリアアメリア、やや離れてサンクテュエール、フィオリキアリ。更にやや離れてミスニューヨーク、クラヴァシュドールとアブレイズが中段から。ウィンマイティ―とマジックキャッスルが中段のやや後ろ、中段の後ろからムジカとデアリングタクト。後方からダンツエリーゼ、パラスアテナ、オーマイダーリン、ソフトフルートという並びでした。

逃げたのはマルターズディオサ、稍重で前半59.4はかなり速かったですね。昨年のビーチサンバも速かったのですが、2年連続とは思いませんでした。マルターズディオサは阪神JFで先行していますが、稍重で59.4ではさすがに速過ぎ、これで勝負になるなら阪神JFでももっと着差は詰っていたはずです。ホウオウピースフルが掛かりながら2番手、後方からでは勝負にならないと考えたのでしょう、ここまでかかるとは想定外だったはずで乗り難しさが出てしまいましたね。

かなりのハイペースバランスですから縦長の展開になり、マジックキャッスル、デアリングタクトにはありがたい展開でした。そのデアリングタクトですが、向正面で中段まで上がって行きます、この動きは縦の位置関係を松山君が気にし過ぎたからでしょうね、この動きを含めてデアリングタクトは平均くらいに入っていたと思います。オーマイダーリンも上がって行きましたが、この動きが影響して直線で失速しましたね。パラスアテナとソフトフルートは動かずでした。

4コーナーです、L3で0.3秒減速しているのでこの地点で馬群が凝縮、内のミヤマザクラ、クラヴァシュドールが減速。ホウオウピースフルが一杯になってしまいサンクテュエールも減速、ウィンマリリンとリアアメリアもマルタージディオサに付き合ってしまいました。更にムジカも前に詰まってしまい、直線入り口でアブレイズを外に弾き飛ばしていました。

逆に勢いを付けてスムースだったのが、デアリングタクトとその後ろからだったマジックキャッスル、オーマイダーリン、パラスアテナ、ソフトフルートでした。この5頭は前が減速した中で外から勢いを殺さずスムースに中段まで上がり、ここから直線も馬場の良い外へスムースに進路を取れました。

直線L1標識付近です、マルターズディオサが自分のタイミングでスパートしますがここまで。ここで瞬発力が見劣ったのがミヤマザクラ、リアアメリア、ウィンマリリン、ウィンマイティ―、フィオリキアリでした。クラヴァシュドールはミヤマザクラの横迄進出しましたが、ここでガクッとバランスを崩してしまい、ミルコが追うのを止めていたのでアクシデントかもしれませんね。

外からスムースだったデアリングタクト、マジックキャッスル、ソフトフルート、パラスアテナが伸びてきます。オーマイダーリンは向正面で動いた影響で、L1失速してしまいました。直線入り口で大きなロスがあったムジカが遅れて伸びてきますが、全く届きませんでした。マジックキャッスルは4コーナーからデアリングタクトの直後を取れたことが大きかったですね、最短コースをロスなく取れて、デアリングタクトを目標に伸びてきました、トップスピードの質と持続力は再三見せていましたから、スムースならこれくらいやれて当然ですね。

では1頭づつ見て行きます。

1着はデアリングタクト、松山君も相当プレッシャーを感じていたのでしょう、それが見られたのが向正面での動きで、前との位置関係を気にして上がって行きましたね。ここで脚を使っているにもかかわらず圧勝ですから、力の違いを見せつけました。道中動いたことでトップスピードの質がやや鈍った感もあるので、中距離で直線の長いコースが合っている感じですね。このトップスピードの質を古馬になっても維持できるかどうか、ここが今後の課題ですよね。ジェンティルドンナやブエナビスタも、古馬になって脚質転換していますから、古馬になって取りこぼすレースがあるかもしれませんね。次はジャパンCでしょうから、斤量含めてコントレイルを上回って欲しいです。

2着はマジックキャッスル、大野騎手ですから大きな不安材料でしたが、今回はスムースでしたね。4コーナーでデアリングタクトの直後を取れたことで、2着は当然の流れでした。騎手的には偶々でしょう、意図的な位置取りだったらもっと活躍しているはずですからね。紫苑Sを見てもスムースなら突き抜けてもおかしくなかったですし、ようやく本領発揮という感じでしょうか。

3着はソフトフルート、スタートで大きく後れて道中は最後方でした、これが幸いしてハイペースバランスに巻き込まれず、道中も動かなかったことで脚が溜まりましたね。トップスピードの質はまぁまぁの部類ですが、今日は稍重だったこともありトップスピードの質は問われず、持続力の勝負で馬場の良い外をスムースに通したことも良かった。全てが上手く行っての3着という感じで、どれか一つでも噛み合わなければ大敗していたでしょうね、それがオーマイダーリンなわけですが。

4着はパラスアテナ、このハナ差が豊騎手と坂井騎手の差なのかな~。この馬も最高に噛み合っての4着でしたから、乗り方は全く問題が無かったですね。ソフトフルート、パラスアテナ、オーマイダーリンは能力的には同格、この世代の2番手グループという感じでしょうね。

5着はミスニューヨーク、直線馬場の良い外に出して流れ込むだけで、見どころはなかったですね。6着のオーマイダーリンは向正面で無駄に動いた分のL1失速、7着マルターズディオサは心肺機能が持ちませんでした。

馬券の方は馬連だけ、リアアメリアがああいう形で失速しましたからね~。トントンで良しとします。来週は富士Sと菊花賞の予定です。