2020年スワンS 回顧。岩田騎手に指を差されて笑われた。


走破時計1:21.2    上り3F34.2  35.5-34.2スローバランス

良馬場  含水率 ゴール前 9.8%  4コーナー 9.6%(5:30)

クッション値 9.5 標準(7:00)

まずは馬場状態ですが良馬場でした、7Rの1勝クラス1400mで1:22.3、9R萩S1800mが1:48.1なので結構かかっていましたね。この2レースだけでなく10R古都Sも含めて、上がり33秒台は出ていないので、良馬場とは言えかなり重い馬場でした。さすがにスワンSでは上がり33秒台が出ていますが、前半がかなり遅かったので上がり3F33秒台でも勝負にはなりませんでした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2020年京王杯SCのグラフです。

まずグラフから分かるのはステルヴィオの展開ですね、京王杯SCと似たラップ推移になっていて、スローからの3F戦ですからステルヴィオにはドンピシャ、逆にこれで勝ち切れなかったことは、かなり印象が悪くマイルCSへ行くようだと不安が増しますね。正直この2レースはかなりレースレベルが低いと思います。

問題は川田騎手と松山騎手がなぜこのスローペースを容認したか、恐らくスローを見て自らハナを叩いてしまうと、次の本番マイルCSで行きたがってしまうから、そこを懸念して分かっていながらスローペースを容認したのかも。逆に岩田騎手は2人の心理を逆手に取ってスローに落とした?しかも逃げそうなロケットは酒井騎手、プロディガルサンは行き脚付かず、ボンセルヴィーソも木幡巧騎手ですから、相当舐めていたのかも。

逃げたのはカツジ、並ぶようにロケットが前から、アドマイヤマーズが中目に出しながら3番手でその外にボンセルヴィーソ。サウンドキアラ、ベステンダンク、ステルヴィオが中段の前からで、プロディガルサンがリカバリーして中段の前に上がり、キングハート、アル―シャが中段から。中段の後ろからメイショウオーパス、レインボーフラッグ、カテドラル。後方からシヴァージ、スマートオーディン、タイムトリップという並び。

スタートは五分でしたが周りが遅かったことを見て岩田騎手は出して行きました、ロケットの酒井騎手が競り合わなかったこともあり、前半3F35.5という1400mのGⅡとは思えない遅さでした。松山君も川田君も分かっていてもこのペースを容認しなければなりませんでしたね。ここまで岩田騎手が2人の心理を読み切っていたとしたら恐ろしい、偶々なのかどうかは岩田騎手にしか分かりませんが、どちらにしても引退まで真相は喋らないでしょう。

前半が遅かったのはアル―シャのポジションでも分かりますね、普段は後方からの馬がなんと中段、馬群は凝縮したままでしたから岩田騎手にしてみればシテヤッタリ。

4コーナーです、カツジはかなり内目を回していて、これは意外なコース取りでした。もう少し外へ出すかと思いましたが、馬場が悪いギリギリのラインを通したのでしょう。プロディガルサンが外から捲り気味に上がって行きますが、かなり外を回しているので伸びません。アドマイヤマーズもこの地点では待っていました、これが前哨戦のジレンマなのでしょう。これはサウンドキアラも一緒。

アル―シャも前を射程圏に入れるポジションで、その後ろにはスマートオーディンが続いています。この2頭はここからが第2のスタートラインですから、悪くないポジションです。

直線L2標識付近です、ここからカツジが一気にスパート、ラップタイムは0.1しか上がっていませんが、外を回した組に対してカツジは距離ロスが最小限ですから、L2で3馬身位は抜け出していました。内からだとメイショウオーパスも一気に差を詰めてきました。外からステルヴィオ、アル―シャ、カテドラル、スマートオーディンが追い込みますが、結局前が止まらないラップですからこの馬場ではどうにもなりませんでした。

直線L1標識付近です、カツジが抜け出し最内の馬場の悪いところを通したメイショウオーパスがここで一杯。サウンドキアラもやや内目で伸びがイマイチ、ボンセルヴィーソは斤量とトップスピードの質で見劣り、プロディガルサンも外からの捲りで脚を使い果たしてここまで。アドマイヤマーズ、ステルヴィオ、が伸びてきますが、カツジには届かず。まぁ当然の話でアドマイヤマーズもトップスピードの質で勝負するタイプではないし、ステルヴィオもキレッキレのトップスピードの質を持っているわけではありません。

アル―シャ、カテドラルもキレッキレのトップスピードの質はないし、このペースでは届くはずもなく、それはシヴァージも一緒でしたね。

では1頭づつ見て行きます。

1着はカツジでした、ここで逃げるとは思いもしませんでした。岩田騎手に展開予想を破壊されたというか、将棋盤の上で駒を動かしていたら、将棋盤ごとひっくり返された感じですね。横山典騎手にやられるなら、なんとなく納得できるのですが、岩田騎手にこれをやられるとどうも釈然としませんね。レッツゴードンキで勝った桜花賞を思い出しました。

カツジについては心肺機能が低いので平均やハイペースバランスでは凡走していたはず、今回の1着を評価して次も印を回すと痛い目に遭いそうですね。トップスピードの質はやや高いものを持ている馬なので、前に行ってのスローバランスなら、周りの馬よりも速い上がりを使える分だけ優位。この展開はハーツクライがディープインパクトをやっつけた有馬記念や、カンパニーが活躍し始めたころと一緒ですね。いずれにしても狐につままれたようなレースだったので、この1着を今後の評価に組み込むのは危険だと思います。

2着はステルヴィオ、京王杯SCと同じようにスローからの3F戦ですから、おあつらえ向きの展開になりましたね。終始馬場の良い外目を走れたし、終いもしっかり反応していました。上りは34.3なので褒められたものではありませんが、アドマイヤマーズを下しましたし、アル―シャも退けたのは地力の証でしょう。ただこの展開にならないと、好走は難しいかもしれませんね。

3着はアドマイヤマーズ、前半がスローになってしまうと自慢の持続力ではなく、トップスピードの質が問われてしまいますから、この着順も仕方ないですね。58㎏を考えれば合わない展開でよく頑張ったと思います、本番のマイルCSではさすがに流れると思うので、休み明け2走目での上積みも期待できるはず。

4着はアル―シャ、この馬には展開が合いませんでしたね。スローだからと言って捲りに行く程の持続力はないですし、ここまでスローだと捲りに行っても併されてしまいますからね。54㎏で外枠と条件は揃ったと思いましたが、なんとも運が無かったと思います。

5着はシヴァージ、いつも通り後方からでしたがこの展開では5着で精一杯、上り33.4ですから展開次第ではまだまだやれますね。今回は展開合わずですから次走は期待して良いと思いますが、今後も展開待ちでしょうね。

サウンドキアラは10着でした、ちょっと負け過ぎですね。春は使い詰めの勢いでヴィクトリアM2着まで来ましたが、夏休みを挟んでいったんリセットされているので、春の調子まで戻るのか不安が出てきました。安達厩舎は1流厩舎ではないので、ここから立て直せるかどうか。

馬券の方はカツジ無印でどうにもなりませんでした。