2021年中山記念 回顧。松山騎手の神騎乗でした。

走破時計1:44.9    前半800m46.3  46.3-47.1ややハイペースバランス

まずは馬場状態ですが良馬場でした、クッション値が更に上がり”硬め”の表記に入りましたね。6R3歳1勝クラスがマイル戦で1:33.4、スタート以外はしべて11秒台ですから、クラスを考えるとかなり速いタイムですし、馬場は超高速馬場ですね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2020年ラジオNIKKEI賞、緑は2019年オールスターJ第2戦のラップです。

バビットは殿負けでしたね、L2標識ではすでに一杯になっていました。逃げたのはバビットだけでなく、ピッタリ離れずウインイクシードも逃げているようなもので、ウインイクシードが小差の3着であることを考えると、ラップ推移や馬場状態に関係なく、バビットの力負けということでしょうね。

ウインイクシードは2019年オールスターJ第2戦で平均バランスを押し切っています、この時は58㎏を背負っていて、中緩みの無い消耗戦を押し切っているので、心肺機能と持続力を見せていました。今回も中緩みの無いラップ推移で、心肺機能と持続力で粘り3着に好走しました。

グラフには出来ませんでしたが、ヒシイグアスについてもここで触れておきます、ヒシイグアスは追走集団の前からで、1000m通過がバビットよりも約1.4秒遅い59.2でした、ここから計算すると後半の4Fは45.7ですから、ヒシイグアス得意の展開、スローからの4F戦になっていました。

逃げたのはバビットとウインイクシード、離れた3番手にトーセンスーリヤ。更に離れてメイン集団の前からヒシイグアス、中段の前からケイデンスコール、ゴーフォザサミット、ショウナンライズ。中段からノーブルマーズ、クラージュゲリエ、パンサラッサ、中段の後ろからコスモカレンドゥラ、マイネルハニー。後方からサンアップルトン、フランツという並びでした。

予想通り逃げたのはバビットでした、中緩みの無いペースにしましたね。外枠からどこまで前に行けるか不安でしたが、ウインイクシードが押して押して2番手に、横山武騎手の好判断でしたね。この2頭が後続を引き離して、トーセンスーリヤが3馬身程離れて単騎3番手でした。

予想外の動きを見せたのがヒシイグアス、というより松山騎手ですね。向正面でバビットから1.5秒程離れたメイン集団の前、集団をしっかりコントロールして自身はスローバランスに持ち込みましたね。ヒシイグアスの特徴を完全に把握しているのでしょう、その上で馬場状態とペースを考えてギリギリ届く位置、今のJRA騎手の中でこれが出来る騎手はほとんど居ないはずです。それに比べてパンサラッサ三浦騎手・・・。

クラージュゲリエはスタート五分に出ましたが、前に行く気を見せずに中段からでした、ルメール騎手が調教で乗っていたので、掴んでいるのかと思いましたが、このポジションでは苦しいですね。ケイデンスコールは前走同様最内の中段、岩田騎手はヒシイグアスをマークする感じでした。

4コーナーです、L2標識付近でバビットが一杯になり、代わってウインイクシードが先頭に立ちます、外からトーセンスーリヤが上がり、ケイデンスコールとヒシイグアスが一気に間隔を詰めてきます。ケイデンスコールとヒシイグアスは、トーセンスーリヤよりも内を通していました、ここでの距離ロスはトーセンスーリヤにとって大きかった感じですね。ゴーフォザサミットがヒシイグアスを追いかけ、これより後ろは勝負権がありませんでした。

直線L1標識付近です、ウインイクシードが抜け出したところを、ケイデンスコールとヒシイグアスが追いかけ、ゴール前で差し切りました。トーセンスーリヤがゴーフォザサミットに差されたのは休み明けの分でしょうね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はヒシイグアス、馬も強いのですが松山君の神騎乗ですね。まずヒシイグアスの特徴を完璧に掴んだうえで、それを引き出すために離れたメイン集団を前でコントロール、松山騎手のペース認識と馬場読み、ヒシイグアスの特徴を最大限引き出す最高の騎乗ですね。ヒシイグアスはコース適性も良く、得意の形に持ち込んで快勝、ケイデンスコールを競り落とした勝負根性も、今後に期待を抱かせる部分ですね。

2着はケイデンスコール、右回りに不安がありましたが、全く問題なし。前走も持続力を生かす展開になって勝ち切っていますから、ここでも4F戦になったことで良さが出ましたね。上位2頭はL3から11秒台の前半に入っていたはずで、L2も11秒台前半のはずですから、持続力を見せてきました。岩田騎手が中段のポジションを取れるようにしたことで、成績が安定してきましたね。

3着はウインイクシード、バビットと共に逃げて粘りましたね、バビットが殿負けしていますから、この3着は高評価ですね。心肺機能とパワー、持続力を見せたレースでした。横山武騎手が怖がらずに出して行ったことが、この3着に繋がりましたね。

4着はゴーフォザサミット、道中はヒシイグアスの後ろでケイデンスコールの横に居ました、直線入り口ではヒシイグアスのすぐ後ろでしたが、直線で引き離されたのが、今のこの馬の力なんでしょうね。位置取りと止まらない馬場に助けられた4着だと思います。

5着はトーセンスーリヤ、6カ月の休み明けで最後に一杯になってしまいましたね。直線入り口までは良い感じだったので、一叩きされて上積みがあるでしょう、次走に期待ってことで。

パンサラッサは7着、前に行く気も見せなかったので、この馬のトップスピードの質では当然の結果ですね。同じくクラージュゲリエも中途半端なレースでした、コーナー4つで期待しましたが、高速馬場は合わないかもしれませんね。バビットが殿負けでした、同じ位置で逃げたウインイクシードが3着ですから、完全に力負け。浜田厩舎は1流厩舎ではないし非ノーザンF生産馬ではないので、3歳秋以降に成長させられなかった可能性が出てきました。

馬券の方はクラージュゲリエが凡走した上、バビットが殿負けと軸2頭が飛んでは・・・。予想の段階でバビットとヒシイグアスは一緒に来ないと書いたので、この2頭を軸にすれば、どちらの展開にも対応できた。はい、後の祭りです。しかし今後に生かしますよ~~~。次回はオーシャンSの予定です。