2021年日本ダービー 回顧。陣営の英断に拍手。

走破時計2:22.5    前半1000m60.3     上り3F33.9

  

まずは馬場状態ですが良馬場でした、土曜日に散水をしましたがクッション値は若干上がり、含水率も下がりました。10Rのむらさき賞が3勝クラスの1800mで1:44.3、上り最速は2着のサトノフウジンで33.6でした。昨日からの傾向を引き継ぎ高速馬場で、外の方が伸びる馬場でした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。

馬場状態を考えると前半が遅かったですね、2019年オークスでラヴズオンリーユーが勝った時の走破時計が近く2:22.8、この時は前半1000m通過が59.1ですから今回は遅過ぎ。バスラットレオンは距離不安があったからでしょう、2F目こそ10.6を出していますが、隊列が決まってからは一気に減速しています。1,2コーナーで12.2,13.0迄落として、向正面でも12.3~12.8でした。これに反応したのが豊騎手でしたね、更に合わせるようにミルコが動き、2人が上がってきたのを見てサトノレイナスのルメール騎手が先頭に並びかけました。

3コーナーからペースが上がり5F戦になってます、L2最速10.8ですがエフフォーリアは10.7くらい、シャフリヤールは10.5くらいですね。L1で11.6まで落していますが、シャフリヤールはL1だけで3馬身位を逆転しているので、自身は11.2くらいのはず。持続力の高さを見せました。

逃げたのはバスラットレオン、2番手にグラティアス、タイトルホルダーまでが先行勢。中段の前からエフフォーリア、ヴィクティファルス、サトノレイナス、中段のやや前からバジオウ、シャフリヤール、ワンダフルタウン、中段からヨーホーレイク。中段やや後ろからタイムトゥヘヴン、ラーゴム、グレートマジシャン、中段の後ろからディープモンスター、ステラヴェローチェ、アドマイヤハダル、後方ポツンだったのがレッドジェネシスでした。

逃げたのはバスラットレオン、想定通りの逃げでしたが3F目からかなりペースを落としました。2番手も想定通りでグラティアスとタイトルホルダーでした、この2頭は前を取ったので、バスラットレオンがペースを落としても動くわけにはいきませんよね、本来は動いても良いと思いますが。スローからの5F戦というかなりイレギュラーな展開になったのは、逃げ馬がバスラットレオン1頭だったことと、バスラットレオンに距離不安があったためでしょうね。

エフフォーリアとシャフリヤールの位置取りは興味深いですね、まずエフフォーリアはスタートが良く出して行って中段の前、1コーナーの入りで若干行きたがりましたが、前にタイトルホルダーが入って折り合いが付きましたね。そしてシャフリヤールですが、福永騎手らしいレース振りでエフフォーリアをマークしました。これは最初から狙っていたでしょうね、オークスでもアカイトリノムスメをマークしていましたからね。これはレッドジェネシスの横山典騎手がレースに参加しなかったことで、シャフリヤールの位置取りが自由になったことが大きかった思います。レッドジェネシスはスタートの瞬間は五分に出ています、しかしそこから全く出して行かずに、それどころか手綱を押さえてしまっていますから、最初からポジションを取る気はなかったのでしょう。

意外な位置取りだったのはサトノレイナス、後方からの一発狙いを予想していましたが、スタート五分に出てポジションを取りに行きました。初手では中段辺りを狙う動きでしたが、1,2コーナーから向正面入り口で中段の前まで上がりました。この辺りのペース認識はさすがですね。ヴィクティファルスもスタートを決めて中段の前、池添騎手が前走届かなかったことを考えての位置取りでしょうね。ヨーホーレイクもスタート五分に出ましたね、川田騎手は中段を確保しました。

向正面で動いた馬が居ました、ディープモンスターです。豊騎手はペースが遅いと判断して、内から外へ大きく進路変更して上がって行きました。これに併せたのがアドマイヤハダルのミルコでした、豊騎手にしてみればここで併されたのは嫌だったでしょうね、アドマイヤハダルに併されたことで、3,4コーナーでかなり外を回されてしまいました。そしてここで動かなかったのがステラヴェローチェでした。

4コーナーです、バスラットレオンが先頭ですが、3コーナーからグラティアスとサトノレイナスが先頭に並びかけます。3コーナーと4コーナーの中間地点辺りで、前との間隔が詰まり馬群が凝縮しています。内に居たエフフォーリアは動けませんから、必然的に中段辺りになりました。シャフリヤールはここで外へ行くんですね、前がズラッと並んで壁に見えたのでしょう、ここから外の進路を探したんでしょうね。

タイトルホルダーは内からスムース、ヴィクティファルス、ワンダフルタウンもスムースでした。アドマイヤハダル、ディープモンスターは外からかなり距離ロスをしましたね。グレートマジシャンとステラヴェローチェはこの手前で外に出しているので、距離ロスは最小限でした。レッドジェネシスは最内を回して、馬群に取り付いてきました。

直線L2標識付近です、直線入り口でサトノレイナスとヴィクティファルスが外に膨れました、今日も外の方が伸びていたので、ルメール騎手は意図的に外に出した感じでした。これでエフフォーリアの前にスペースが出来て、スムースに先頭に並びかけます。エフフォーリアに若干遅れてタイトルホルダーも、このスペースに入ってきてスムース。シャフリヤールは下がってきたアドマイヤハダルを押しのけるようにワンダフルタウンの外に出します。

ここでエフフォーリアとシャフリヤールの位置を見てください、ここではエフフォーリアの方が内に居ます。

直線L1標識付近です、L2最速10.8をエフフォーリアは抜け出し自身10.7くらいでしょうか、シャフリヤールがスムースに伸びて自身10.5くらい。エフフォーリアは直線入り口で外に出してからのスパートなので、やや高い瞬発力を見せましたね、対してシャフリヤールはL3からスパートしているので、あまり瞬発力を要求されていない感じ。むしろ勢いでL2を乗り切った感じですね。ここでエフフォーリアとシャフリヤールの位置を見てください、縦に並んでいます。エフフォーリアはL1で先頭に並んでから外に外に寄れて行きます、これは横山武史騎手が意図的に外に誘導したわけではありません。横山武騎手は右ムチでしたから、これは馬が外へ寄れたんでしょうね。対してシャフリヤールはまっすぐ走っていました、斜めに走った分だけゴール前でシャフリヤールに差されてしまった感じです。

粘るサトノレイナスにグレートマジシャンが迫り、その外からステラヴェローチェが伸びてきます。ゴール前でサトノレイナスとグレートマジシャンの間から、ステラヴェローチェが差して3着でした。グラティアスとタイトルホルダーはL1で減速が大きくなりました、この地点のラップが11.6なのでさすがにスピード負けですね。ヨーホーレイクはL1でバテ差す形で伸びてきました、トップスピードの質では完全に見劣りましたが、持続力の高さを見せましたね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はシャフリヤール、共同通信杯ではエフフォーリアに完敗でしたが、毎日杯で権利を取り皐月賞をパス、2か月間で成長を促しての逆転ですから、陣営としてはシテヤッタリですね。もちろん福永騎手の無駄のないレースで、終始エフフォーリアをマークしたレース振りも完璧でした。展開の助けではなく、力で差し切ったと思います。

2着はエフフォーリア、こちらもロスなく乗っていたのでハナ差は運の差でしょうか。強いてあげれば仕掛が若干早かった感じはありましたね、直線入り口で前が空いてしまったので、瞬間的に反応してしまったのでしょう。あそこで”待て”というのは22歳の騎手には酷ですね、しかも圧倒的な1番人気の皐月賞馬ですから、これは責められません。

3着はステラヴェローチェ、初手は中段の後ろからで、ディープモンスターが向正面で上がって行っても動きませんでした。勝つ気があるならディープモンスターと一緒にポジションを上げたはずです、ということはやはり着狙いだったのでしょう。これで良いと思います、ヴィクトリアMでも同じように乗っていましたし、こういう考えで乗る騎手だということがはっきりしました。

4着はグレートマジシャン、ゴール前で差されてしまったので持続力で見劣りましたね。5F戦になって4コーナー外からですから距離ロスもあり、後ろからステラヴェローチェに目標にされたので、これは仕方ないですね。前走の毎日杯でもこちらはスムースな中、シャフリヤールは直線入り口で一瞬待たされましたから、シャフリヤールよりはやや劣るというのが現状の評価です。

5着がサトノレイナス、牝馬でよく頑張りましたね。ルメール騎手が一か八かではなく確実に勝ちに行きましたね。初手の位置取りも中段狙いで、ペースが遅いと見るやすかさず前へ。さすがに3,4コーナー内から3頭目を回していたので、距離ロスもあったはずでL1わずかに見劣りました。直線も外へ外へ斜めに走っているので、この分も距離ロスをしています。5F戦になってしまったことと、距離ロスもあって5着は立派だと思います。

6着のタイトルホルダーと8着グラティアスは、L4から11秒台の前半に入るラップですからさすがにスピード負け、時計が掛かる時や中山の方が合うでしょうね。間に入った7着のヨーホーレイクはバテ差しでした、持続力の高さは相当なもので菊花賞が楽しみ。

馬券の方は馬連だけ的中でした、ハナ差で3連単を逃すのは精神的に来ますね。来週は鳴尾記念と安田記念の予定です。恒例のGⅠ本命予定馬ですが、良馬場ならばグランアレグリアを考えています。重馬場以上に悪化するようならば他の馬から入りたいと思います。