2020年エプソムC 回顧。騎手の意識が変わったかも。


走破時計 1:47.7  前半800m 47.2  上り3F 36.5

含水率 ゴール前 19.2%  4コーナー 19.9%

まずは馬場状態ですが不良馬場で行われました、10R芦ノ湖特別が2勝クラスのマイル戦で1:36.7、勝ったサトノフウジンの上り3Fが35.1なので、不良馬場のタイムではないですね。 8Rの3歳以上1勝クラスもマイル戦で1:36.1、2着のジーナスイートの上り3Fが36.4でした。含水率は午前5時測定ですが上記の通りで、先週の安田記念の日がゴール前20.3%、4コーナー20.1%なので、朝の段階ではさほど差は有りません。今日は12~14時にトータル2.5㎜程降りましたが、馬場状態に影響を与えるほどではなく、この不良馬場という表記には些か疑問がわきますね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

昨日の芝のレースから気になっていたのがペースです、ハイペースバランスになるレースが随分とありました。 土曜7R、9Rがハイペースバランス、8Rは2000mでもややスローでした。日曜2R、4R、8Rがハイペースバランス、10Rがややスローでした。もしかして騎手が府中道悪の傾向を掴んだ可能性があり、今後も道悪だからと言ってスローと決めつけるのは危険かもしれません。

馬場の内外では明らかに内の方が良く、1着ダイワキャグニーが内から2頭目あたり、2着ソーグリッタリングが最内、3着トーラスジェミニが逃げて最内を回していました。アンドラステとアトミックフォースは内から3,4頭目あたりを回していたので、よく頑張った印象です。終始馬群の外目に居たサラキアが早々に一杯になっているので、やはり内から乾く傾向があるようです。

逃げたのはトーラスジェミニ2番手にダイワキャグニー、アトミックフォースが続きその外にサラキア、ここでやや間隔が開き中段の前からソーグリッタリング、外にマイネルハニー、中段のやや前になったのがギベオンで、その外にアンドラステ、中段のやや後ろからサトノアーサーが続きました。中段の後ろからになったのが内からピースワンパラディ、マイネルファンロン、インビシブルレイズ。 後方からエメラルファイト、シャドウディーヴァ、サトノガーネット、レイエンダ、アイスストーム、ゴーフォーザサミットという並びでした。

スタートして木幡育騎手がかなりのオーバーアクションで先手を主張しました、これでダイワキャグニーの内田騎手はハイペースを察知してやや間隔を空けた2番手、それでもダイワキャグニーの位置でもハイペースバランスに入っていたはずです。 ソーグリッタリングの位置で平均バランスくらいで、サラキアからソーグリッタリングまで2馬身ぐらい馬群が空いていました。ソーグリッタリングの脚質を考えると先団に取り付いていれば、ダイワキャグニーと一着を争うまでになっていたのではないかと思います。

マイネルハニーの野中騎手は先団を追わずに中段を選択、ギベオンとサトノアーサーも中段からでした。トップスピードの質が高くないピースワンパラディは中段の後ろからになり、この辺り津村騎手の馬への理解力が低いことを表す位置取りかと思います。後方からになったのがレイエンダとゴーフォザサミットの2頭で、さすがにこの位置では苦しくなりました。

4コーナーから直線入り口です、ハイペースバランスのためかなり馬群が縦長になりました。 このあたりはL4でラップは12.1です、後方からを押し上げてくる馬もなく、馬群は縦長のままでした。逃げたトーラスジェミニが最内、ダイワキャグニーが内から2頭目、ソーグリッタリングが最内と上位の馬は皆内目をスムースに回しています。ピースワンパラディは最内でしたが、ここから直線入り口で前が壁になってしまいます。 

直線L2標識付近です、トーラスジェミニが頑張っているところダイワキャグニーが追いかけます、内でソーグリッタリングが壁になりピースワンパラディは抜け出せません。サトノアーサーとアトミックフォースは瞬発力とトップスピードの質で見劣り、サラキア、マイネルハニーはこの辺りで一杯、外からスムースなのがアンドラス。 サトノガーネットは内目を選択、ゴーフォザサミットも最内を回して中段に取り付きました。

直線L1標識付近です、ここでダイワキャグニーがトーラスジェミニを捕らえます、交わされたトーラスジェミニはここで一杯になるのではなく、ここから意外な粘りを発揮して3着を確保しました。中山の2勝クラスをハイペースバランスで勝っているように、心肺機能を生かして粘り込んだ感じです。終始スムーズだったダイワキャグニー、ソーグリッタリングがスムーズに抜け出し1,2着、 ピースワンパラディはハイペースバランスでL2で前が壁になる不運もあり、L1では伸びがイマイチでした。 L 2で一旦前に追いついてから再加速を強いられているので、瞬発力の低さを見せてしまった感じです。

外からスムーズに伸びてきたのがアンドラステで、この馬はオルフェーヴルの産駒らしい粘りを見せました。ただし伸びてきたのはゴール前100m位なので、この地点は12.8のラップですから、伸びてきたというよりはバテ差しで前が止まったところで詰めてきたという感じでした。 

では一頭ずつ見ていきます。

一着はダイワキャグニー、今回は怖がらずに出して行った内田騎手の好判断だと思います、セイウンコウセイでスローバランスを容認する騎手ですが、今回は先行することができました。終始内目を走れたことで直線も余力十分な抜け出しで完勝でした。この馬はキンカメ産駒なので6歳になり蓄積疲労を懸念しましたが、馬場状態と先行できた展開がドンピシャにハマり、相手関係も一線級がいなかったこともあり、勝ち切ってしまったというのが見立てです。コース適性を考えると毎日王冠で穴人気しそうですが、相手は大幅に強化されるはずなので好走の期待はできません。ダービー卿CTのクルーガーがハイペースバランスを先行して押し切る内容だったので、蓄積疲労により低下するのはトップスピードの質や瞬発力なのではないかと改めて考えています。

2着はソーグリッタリング、先団からやや離れて中段の先頭から、トップスピードの質で勝負するタイプではないので、このような馬場状態は歓迎でした。もう少し前から競馬をしていれば1着の可能性もあったと思います。改めて心肺機能と持続力、パワーの高さを見せました。

3着はトーラスジェミニ、非ノーザンF生産馬なので休み明けを不安視しましたが、得意のハイペースバランスに持ち込み3着に逃げ残ったのは立派です。全頭評価でも書いた通りめちゃくちゃな使い方をされているので、まともな厩舎で大事に使われていれば、今後も強くなるような気がするのですが・・・。夏のローカル開催で使い倒されるような気がしますね。

4着がアンドラステ、オルフェーヴルの産駒ということで馬場状態がマッチした感じがします、終始馬群の外を回していましたし、バテ差しとはいえ差の無い4着はよく頑張ったと思います。岩田望騎手が前走差し切っていることから、同じように中段から進めました、今回はトップスピードの質が問われない展開だったので4着まで来ましたが、良馬場でトップスピードの質が問われる展開では、中段からでは届かない可能性が高くなると思います。

5着はアトミックフォース、この馬が5着に粘ったのが非常に驚きました、セントライト記念、ウェルカムSと重馬場で平均バランスやハイペースバランスになった時に凡走しているので、ハイペースバランスも含めてよくないのかと思いましたが、おそらく距離適性の問題なのではないかと思います。新潟大賞典で2着しているように、良馬場ならば2000mまで、道悪なら1800mまでと考えて良そうそうです。

6着のサトノアーサーはレーン騎手が中段に控えて差しに回ったため届きませんでした、7着のピースワンパラディはL2で詰まって再加速に手間取り届かず。8着のゴーフォザサミットは何を思ったのか後方からの競馬でした、今年の白富士Sで先行して4着だっただけに、スタートから全くポジションを取りに行かない姿勢は、理解することができません。終始最内を回しましたがL2ではピースワンパラディに詰まる場面もあり8着でした、改めて距離適性の高さを示したと思います。ここまでが先頭から0.6秒差のグループで、9着のサトノガーネット以下は大きく引き離されてゴールしました。前半47秒台ではサトノガーネットの良さは出ませんでした、後方からになったレイエンダもキンカメ産駒で5歳ということで、トップスピードの質が下がり届きません。 中段に居たギベオン、サラキアは直線入り口で早々に一杯になっているので、かなり力が落ちている感じです。アイスストームとシャドウディーヴァはこの馬場では良くなかったようで、直線入り口で両騎手が諦めていました。

馬券の方はダイワキャグニー、トーラスジェミニが無印で外れてしまいました。ダイワキャグニーはともかくトーラスジェミニ印を回すことは100回やっても無理です。馬場状態とメンバー構成を考えると大波乱の予感はしていたのですが、展開が全く想定とは違っていたのでどうにもなりませんでした。