2020年ホープフルS 回顧。重い馬場の適性が出たレース。


走破時計2:02.8    前半1000m61.9  61.9-60.9スローバランス

良馬場  含水率 ゴール前 10.0%  4コーナー 9.8%(5:00)

クッション値 10.5 やや硬め(7:00)

まずは馬場状態ですが良馬場でした。走破時計が2:02.8、前後半61.9-60.9、勝ったダノンザキッドの上り3Fが36.4で最速タイですから、全体的にかなり重い馬場になっていますね。上位に来た馬はキレで勝負するタイプではなく、パワーと持続力で勝負するタイプでした。ダノンザキッドはジャスタウェイ産駒で、ジャスタウェイは不良馬場の安田記念を勝っているし、稍重の中山記念を圧勝しています。2着のオーソクレースはエピファネイアにマリアライト、Sadler’s Wellsのクロスが入っています。Sadler’s Wellsを持っているのは4着のタイトルホルダーも一緒。ヨーホーレイクもお父さんディープインパクトですが、お兄ちゃんたちはパワー型のディープ産駒で、中山でも好走歴のある馬ですからね。来年以降もこの傾向は変わらないと思うので、覚えておきたいですね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は今年の芙蓉Sのラップです。

ランドオブリバティが4コーナー出口で逸走してしまいました、新馬戦、芙蓉Sでは見られなかった動きなので、精神的な物と肉体的なもの両方かな。グラフを見ると2F目でかなり速いラップを踏んでいます、馬場を考えるとここでかなり苦しくなったか?スローバランスなんですが、実は後半は消耗戦になっていてジワっと減速しながらゴールへ向かっています。減速を始めた部分で苦しくなって精神的に嫌になってしまった、でも内目の先頭ですから後ろから来られているわけで、怖くなって外に大きくはらんでしまった。そんな感じでしょうか。

馬場状態のところでも書いた通りかなり重い馬場、パワーと持続力に秀でた馬が上位を独占、特にダノンザキッドはL1標識までで内のオーソクレースの前に出ましたが、再度並ばれたんですよね。そこから坂区間で1馬身4分の1突き放していますから、苦しくなってからの踏ん張りが上回ったということですね。いわゆる出し切って良いタイプだと思うので、スローからの3F戦みたいな低レベルなレースで取りこぼすかもしれませんね。

逃げたのはランドオブリバティ、外からバニシングポイントが2番手に上がったのが向正面、中段の前からオーソクレース、タイトルホルダー、ダノンザキッド。中段のやや前からヴィゴーレ、ホールシバン、アドマイヤザーゲ、中段からヨーホーレイク、シュヴァリエローズ。中段の後ろからテンカハル、アオイショー、後方からマカオンドール、セイハロートゥユー、モリデンアローという並びでした。

まず逃げたのは、と言うか押し出されるように逃がされてしまったのがランドオブリバティ、スタートでも2度内のヨーホーレイクにぶっつけていますし、2か月半休んでプラス14㎏と仕上がっていなかったのかもしれませんね。そのヨーホーレイクが遅れてしまい、2コーナーまでは中段の後ろ辺りでした。予想通りのスタートだったのがオーソクレース、ここ一番でルメール騎手は決めてきましたね。

タイトルホルダーは逃げても良いと思いましたが、戸崎騎手の選択は控える競馬、手綱をがっちり抑えていましたね。バニシングポイントは五分には出ましたが、ミルコが出して行きませんでしたね。外からダノンザキッドとタイトルホルダーにカットされたし、アドマイヤザーゲとシュヴァリエローズにも来られて、一旦下げてしまいました。マカオンドールはスタートで立ち上がり気味、タイミングが合わず出遅れてしまいましたね。

スタートで後ろからになったヨーホーレイクは、向正面までにリカバリーして中段に取り付きました、内から2頭目あたりで馬場の良いところを通していましたね。

4コーナーです、ランドオブリバティが外に逸走しました、他の馬には大きな影響はなかったと思いますが、ルメール騎手が「驚いてブレーキした」と言っていたので、パトロールビデオを見ましたが、ランドオブリバティに釣られるように外に行きそうになっていました。これを立て直すのにルメール騎手は「ブレーキ」という言葉を使ったんでしょうね。タイトルホルダーも2頭分くらい外に行きましたね、当然その外に居たダノンザキッドも外に膨れて、この2頭は結構な距離ロスがありました。ヨーホーレイクはスムースでしたね。マカオンドールが最内を突いて中段に取り付きました。

直線L1標識付近です、この地点では一旦前に出たダノンザキッドに、内のオーソクレースが再度並びかけます。ここから坂では並んでいて、坂上でダノンザキッドは0.2秒引き離してゴールしました。パワーは互角、持続力でわずかにダノンザキッドが上回ったという印象です。ヨーホーレイクは直線入り口でダノンザキッドのすぐ後ろに居ましたが、L1標識付近では2馬身位引き離されていました。ここから引き離されずに追いすがっていましたし、タイトルホルダーを捉えているので持続力は高いですね。L1標識では先頭列に取り付いていたマカオンドールですが、ここから一気に失速して8着でした、9月からコンスタントに使われて4戦目、今年6戦目ですから疲労があったのかもしれません。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はダノンザキッド、スタートも良く中段の前をキープ、折り合いも付いてスムースでしたが、4コーナーから直線入り口でランドオブリバティが逸走、この影響でタイトルホルダーが外に膨れて、この馬も2頭分くらい外に張られました。それでも直線ジリジリ伸びて、というか減速率が他馬よりも低く踏ん張って押し切りました。スパッと切れる感じではなく、パワーで押し切った感じですね。今後は軽い高速馬場でどこまでやれるか、ここが課題でしょうか。

2着はオーソクレース、スタートですべて決まりましたね。予想で書いた通りここ一発スタートを決めてきました、さすがルメール騎手です。スタートさえ決めれば末脚はしっかりしているのは見せていましたから、あとはスムースに直線を迎えるだけ、ここでランドオブリバティの逸走に影響されました、直接馬体が接したわけではないのですが、前の馬が急に外に逸走して、驚いたように外へ行きたがりました。これを修正するのにルメール騎手が一瞬減速させていますね。この影響が無くても1着は難しかったと思います、ダノンザキッドも影響を受けていますからね。この馬もこういう馬場が合いそうで、軽い高速馬場はどうでしょうか。

3着はヨーホーレイク、スタートで2度ランドオブリバティにぶつけられて、1コーナーでは中段の後ろから、馬場の良いところをリカバリーして、4コーナーでのアクシデントには影響されずにスムースでした。直線入り口でダノンザキッドに引き離されてしまったのは不思議、この地点は減速に入っている地点ですから、瞬発力は問われていませんし、トップスピードの質も問われていません。ズブイのかな?この馬も今後は高速馬場への適性が課題ですね。

4着はタイトルホルダー、1F目が遅かったし戸崎騎手も行く気を見せなかったので、若干掛かり気味でしたね。更に4コーナーでランドオブリバティの影響を受けたことで、最後にヨーホーレイクに交わされてしまった感じですね。東スポ杯の感じからもダノンザキッドとは勝負付けが済んでしまった感じで、逆転するには相当な展開の助けが必要でしょう。

5着はシュヴァリエローズ、ヨーホーレイクの後ろから直線に入りましたが、そこから前を捉えられませんでしたね。5月生まれで444㎏と小柄ですから、まだ成長途上でしょうね。来年に期待です。

8着がマカオンドール、使い詰めの疲労が最後に出たかなという感じ、4コーナーで最内を突いて先頭列に届きそうなところまで上がりましたが、これはコースロスが最小だから、ここから一気に減速ですから疲労でしょうね。血統的に坂を苦にする馬ではないし、前走も直線詰まっていますが坂を苦にしてのものではないので、フレッシュな状態で見てみたいですね。ランドオブリバティは競走中止、4月生まれで478㎏ですからまだまだ成長途上だと思います、精神的にもまだまだ幼かったんでしょうね。

馬券の方は馬連、3連単ともに的中、トリガミは回避できたので良かったです。