2020年セントライト記念 回顧。馬場状態とペースを味方にスイスイ。

走破時計 2:15.0  前半1000m 62.6  上り3F 37.0

含水率 ゴール前 11.4%  4コーナー 10.8%

クッション値 9.7 標準

まずは馬場状態ですが良馬場でした、昨夜パラっと降りましたが左程悪化せず、多少重くなったかなという感じでした。ゴール前の含水率が日曜の9.0から11.4に悪化していたので、直線は時計が掛かっていました。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

逃げたバビットのラップですが前半が遅かったですね、バビットについてはL5から11秒台に入れるロンスパ戦に持ち込みました、これでL2、L1が12.4と12.7ですから5F戦は若干長い感じですね。それでもサトノフラッグを振り切っているので、このパターンに持ち込んだ時の持続力は驚異的です。ジェネラーレウーノのような特性ですね。

サトノフラッグはこういう展開は得意、自身の上り3F36.5ですから、馬場状態とロンスパで速い上がりを要求されなかったことが好走要因でしょうね。サトノフラッグが上がって行ったのはL3標識付近ですから、既に前が減速ラップに入っていた地点でした。自身のラップでも1度も11秒台の前半には入っていませんね、パワーと持続力の馬という評価で良いと思います。

問題はヴァルコスとフィリオアレグロですね、ヴァルコスは休み明けのスタートがイマイチ、セントポーリア賞でも遅れています。今回は3F目4F目で極端にペースが落ちましたが、ここで動きませんでした。ここまでペースが落ちてしまうと、中段やや後ろからでは勝負になりませんでした。3馬身程前に居たサトノフラッグが2着ですから、前半の位置取りの差がモロに出ています。このクラスで12.8、12.9と言うのはあまりにも遅過ぎで、この遅さに気付けず動けないというのは・・・。これはミルコにも言えることで、良い頃のミルコなら前半の内に前段に取り付いたはず、2017年宝塚記念をサトノクラウンで勝った時がそのパターンで、前半13.1に緩んだところですかさず上がって追い出しを掛けました。ミルコの復活は遠い感じ、三浦騎手に至っては・・・。

逃げたのはバビットでした、2番手にココロノトウダイ、ガロアクリーク、サペラヴィ、リスペクトまでが先団。やや間隔が空いてラインハイトが中段の前、中段からサトノフラッグ、ダノンファスト、ヴァルコス。中段の後ろからフィリオアレグロ、後方からピースディオン、マイネルソラスという並びでした。

バビットが逃げ態勢、誰も競りに行かないので楽な逃げになりました。前半1000m62.6と馬場を考えても遅すぎ、前に行った組は当然”しめしめ”という心境だったでしょうね。バビットは前走平均バランスでもやれているので、サラ足で逃がしてしまうと厄介な馬ですね。ガロアクリークは昨日のリアアメリアのような騎乗、権利を持っていますし本番は次ですから、川田騎手も気楽に乗った感じでした。リスペクトの位置取りはルメール騎手らしかったですね、前走のような位置取りでは勝負にならないという心境が現れた位置取りだったと思います。

サトノフラッグがスタート出ましたね、中段を確保できたのは今後に繋がると思います。ダノンファストは想定よりもやや前でしたが、末脚に賭ける位置取りでした。ヴァルコスについては休み明けで出足がイマイチ、緩んだところで押し上げませんでした。意外だったのはフィリオアレグロ、前走は中段のやや後ろ辺りでしたが、ミルコが乗った2戦は中段の前に居ましたから、意図的にこの位置だったのか?

前半は大きくラップが落ちたのにもかかわらず、中段以降が縦長になるという不思議な展開でした。

4コーナーから直線入り口です、サトノフラッグが先頭列に並びかけてきます、サトノフラッグが上がって行ったのはバビットが減速し始めてからですから、L4辺りで11秒台の前半を使えてはいません。この馬は弥生賞を見ても早いラップは踏めない代わりに、11秒台の後半をどこまでも連発する能力に長けたタイプですね、今回もL5、L4で無理に上がって行かなかったことが2着に繋がりましたね、あそこで無理に11秒台の前半を使ってしまうと失速していたと思います。

ガロアクリークとラインハイトが内からスムースにバビットを追走、リスペクトはココロノトウダイを外から交わしに行きました、内から交わせたとしても苦しかったと思います。

ヴァルコスはL4標識の手前から盛んに促していますが進んでいかず、この地点は前が加速しているので11.8‐11.6ですから、ここで上がって行けということは11秒台の前半のラップを馬に求めている、馬場状態を考えてもさすがに虐待レベルの要求ですね。ミルコはL3でヴァルコスに取り付いてきましたから、この辺りは流れの中で自然にそうなった感じ。決してミルコの良い頃の騎乗ではないですね。

直線L1標識付近です、バビットがスムースに直線に入ってきたところ、ガロアクロークとサトノフラッグがスムースに追走しました。内を回したラインハイトもスムースでしたが、ガロアクリークと0.2差でした。ガロアクリークとラインハイトは休み明けだったので、この0.2差は逆転不可能な能力差と考えています。

ヴァルコスはバテずにジリジリ伸びてきていますが、既に勝負権が無かった。フィリオアレグロはミルコが諦めているので、この着差も仕方ないですね。これはダノンファストも一緒です。

直線部分は明らかに時計が掛かっていて、含水率も4コーナーに比べて高かったので、かなり重いパワーの要る馬場でしたね。上位3頭は位置取りだけでなく、稍重以上の道悪での好走歴もあったので、良馬場ですが道悪適性も求められた感じですね。サトノフラッグが2着にきているくらいなので、パンパンの良馬場になったらこのレースは参考外でしょう。ミルコの調子の悪さ、三浦騎手の進歩の無さを改めて見せつけられたレースでした。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はバビット、楽に逃げたな~というのと、後半のロンスパに持ち込んだ内田騎手の仕掛は見事でしたね。誰かが来てのペースアップではなく、自分でレースを作っていますからね。直線かなり重い馬場状態を踏ん張った辺りに、ステゴ系ナカヤマフェスタ産駒の特徴が出ていました、この特徴を持っていて逃げられるというのは大きいですね。この感じからもパンパンの良馬場でも、ロンスパに持ち込んで後続の末脚を削いでしまえば、十分に勝負になると思います。ナカヤマフェスタがジャパンCで3F戦を切れ負けして凡走なので、脚質が決まった感のあるこの馬の場合は、上のクラスでも安定した成績を残せそうですね。

2着はサトノフラッグ、良馬場発表でしたが直線部分はかなり重かったですね。コース全周にわたってかなり力の要る状態だったはずで、トップスピードの質では勝負にならないこの馬に向きました。欲を言えばもう少し前でレースが出来れば、差し切れたと思いますが前哨戦ですしこれで十分でしょう。この馬自身の上り3Fが36.5なので、今後も馬場状態とにらめっこしながらのレースになると思います。

3着はガロアクリーク、休み明けはピリッとしませんからね、3着確保で十分とい感じです。皐月賞で稍重を好走しているので、この馬も馬場がマッチしましたね、あとは力でラインハイトを寄せ付けなかった、そんな感じのレースでした。次走は上積みが期待できますが、どこを目指すか・・・。

4着はラインハイト、北村友騎手がそつなく乗ったなと言う印象、同じく休み明けのガロアクリークと0.2差ですから、簡単には逆転できない差ですね。この馬はハーツクライ産駒なので、古馬になって覚醒する可能性は残しています。

5着はヴァルコス、この馬場で前半あれだけ遅く入った前団との差を詰めるには11秒台の前半が必要で、それは無理ですね。10RのテイエムオペラオーCで前に行った2頭が4,5着に残っていますから、あれを見ていればありえない位置取りでした。直線でもバテた様子はなかったので、距離延長は問題ないと思いますし、次走に期待ですね。

フィリオアレグロも三浦騎手と一緒で今日はレースにならず、ダノンファストも一発に賭けるレースですから、今日の展開ではどうしようもなかったですね。芝で見限る必要なはいと思います。

馬券の方は軸にしたヴァルコスとフィリオアレグロが後ろからではどうにもなりませんね、縦目ですが全く惜しくない縦目でした。