2020年クイーンS 回顧。速過ぎる。


今回の反省点はルメール騎手のペース認識の正確さを過信してしまい、展開を一方的に決めつけ過ぎたことが良くなかったと思います。逃げ馬が揃っていることでハイペースバランスになる可能性はありましたが、ルメール騎手がそれに付き合わないと勝手に思ってしまい、自分に都合のよい展開予想をしてしまったことが悔やまれます。展開予想をやっているとこのように一方的に決めつけてしまうことが多々あり、特にペースに関してはレースが始まってみないとわからないということを肝に銘じておかなければいけないと、今更ながら痛感しています。ルメール騎手騎乗のコントラチェックを本命にしているために、軸馬を1頭に絞ってしまったことも反省点で、展開の幅を持たせるためにも、軸馬は2頭にした方が良いと思いました。もちろんその場合はタガノアスワドやカリビアンゴールドを第2本命には出来ませんから、 スタートに不安はありましたがビーチサンバを対抗に指名したと思います。レッドアネモスに印を回せていないので的中は出来なかったと思いますが、展開を決めつけてしまうことが良くないことだということを今回の反省材料にしたいと思います。

走破時計 1:45.9  前半800m 46.3  上り3F 36.0

含水率 ゴール前 13.5%  4コーナー 12.7%

まずは馬場状態ですが良馬場で行われました、前半がかなり速かったこともありますが、走破時計が示すように高速馬場まで入っていたと思います。札幌は洋芝なので1:45.9はかなり優秀なタイムで、2018年にアエロリットが逃げ切った時が1:45.7ですから、それに匹敵する好タイムが出たと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2017年クイーンSのグラフです。

2017年にアエロリットが勝った時のラップ推移をのせました、非常によく似たグラフになっていますが、今回は逃げ・先行の馬は全滅していますから、アエロリットと比べ心肺機能が数段落ちるという評価になります。勝ったレッドアネモスは中段の最内をロスなく進ましたし、最後の直線でもコースがぽっかりと空いたのでかなり恵まれた印象があります。

L3から12.0を3連発しているように、前に行った組はかなり心肺機能が苦しくなっていますが、中段以降に居た組はかなり余力のあるベースになっています。加えて直線が追い風だったこともありハイペースバランスにもかかわらず、L1でも減速せずに走りきっています。 

逃げたのはナルハヤ、2番手にタガノアスワドが続きやや離れてコントラチェック、追走集団の前からになったのがモルフェオルフェで、アロハリリー、カリビアンゴールドが中段の前、レッドアネモス、フェアリーポルカ、オールフォーラブが中段。中段のやや後ろからビーチサンバ、リープフラウミルヒ、中段の後ろからになったのがシャドウディーヴァ。後方からスカーレットカラー、サムシングジャストという並びでした。

逃げたのはナルハヤ、タガノアスワドが並びかけるように先頭集団を形成して、ここからコントラチェックはやや間隔を空けました、ルメール騎手が”速い”と判断したのだと思いますが、ルメール騎手の感覚以上にペースは上がっています。この辺りのルメール騎手の感覚のズレが、夏になってルメール騎手の調子が上がって来ない理由のような気がします。モルフェオルフェが控えたことでペースは遅くなるかと思いましたが、タガノアスワドに並ばれたことで藤田菜々子騎手は緩めることなく前半800m46.3というハイペースで飛ばしました。このタイムはアエロリットが勝った2017年、キャトルフィーユが勝った2014年にレコードタイムが出た時、この時の前半800mよりも速いタイムです。改めて藤田菜七子騎手のペース認識の悪さを確認することになりました。

レッドアネモスは中段の最内、外にフェアリーポルカが居ました。ビーチサンバがレッドアネモスのすぐ後ろから進めます、ビーチサンバはスタートは出たのですが2の足が遅く、中段よりもやや後ろというポジションになってしまいました。スカーレットカラーもスタートから行き足がつかずいつも通り後方から、サムシングジャストは陣営のコメントとは裏腹に豊騎手が意図的に下げて行きました。

 スタートで気になったのはビーチサンバとコントラチェックです。まずビーチサンバですがゲートの中で少し暴れていたために福永騎手がバランスを取るのに苦労していました、内枠だと係りの人の声に反応してゲートの中で暴れるという話でしたが、今回は真ん中の枠なのであまり影響がないと思いましたが、係りの人の声にかかわらずゲートを嫌がるようになったのかもしれません。この傾向では今後もスタートで遅れることがありそうで、この馬の良さが出ない可能性があります。もう一頭のコントラチェックはスタート自体はタイミングよく出ていますが、2歩目3歩目が遅くそこから加速してようやく前の2頭に追いついていくという形でした。今回は外から絞られるようなことがなかったので前に行けましたが、内目の枠で外から絞られるようだと前に行けずに、馬群の中で揉まれるようなこともありそうです。

4コーナーから直線入り口です、ナルハヤが先頭で4コーナーを回ってくるところ、タガノアスワドも譲らずにすぐ外に張り付きます、さらに外からコントラチェックが並びかけカリビアンゴールド 、フェアリーポルカも先頭列に並ぼうとします。中段のの後ろから早目に追い上げたシャドウディーヴァは、大外回してオールフォーラブの外でした。アロハリリーと下がってきたモルフェオルフェの間を、上手く捌いたレッドアネモスがスムースに直線に入れました。

ここで前が壁になってしまったのがスカーレットカラーとビーチサンバです。スカーレットカラーはアロハリリーを上手く交わせずかなりブレーキしていました、ビーチサンバの方は直線入り口で前が壁になってしまい、オールフォーラブの後ろに下げて外へ出しました。この2頭はかなり大きなロスがあったので、スムースならばこの2頭の1,2着だった可能性も十分にあると思います。

直線L1標識付近です、ナルハヤとコントラチェックが並んでいますが、ここでコントラチェックが力尽きます。替わってレッドアネモスがスムースに抜け出すところ、外からはビーチサンバと内からスカーレットカラーが伸びてきます。外から先に仕掛けていたシャドウディーヴァですが、L1で失速してしまいビーチサンバに交わされてしまいました、外枠で中段の後ろからになってしまったために、仕掛けが早くなった上に大外を回す距離ロスもあり、最後に力尽きてしまった感じです。5着に粘ったカリビアンゴールドは前半の位置取りがやや前だったために、心肺機能が保たなかった感じです。 

では一頭ずつ見ていきます。

1着はレッドアネモスでした、 非常に良いスタートを切ったために外から来る馬を行かせて、自分の取りたいポジションを楽に取ることができました、ハイペースバランスを中段の最内からという絶好のポジションが取れ、4コーナーから直線にかけても全くロスのない競馬をすることができました。この馬自身は平均バランスかややスローバランスで入っているため、心肺機能は求められていないと思います。 トップスピードの質が高くないために差し切れずに、”大敗せずとも好走せず” のもどかしいレースが続いていましたが、展開も味方してしっかりと勝ち切れました。勝ったことで馬が変わることがあるので、この1勝で一皮むけるのか、それとも今後も展開に助けられた時の好走待ちになるのか、現時点では評価を上げるのは難しいと思います。

2着がビーチサンバ、この馬もトップスピードの質では勝負できないので、今回のようにハイペースバランスになってくれた方が持続力が生きるタイプです。できれば逃げか先行で心肺機能と持続力を活かしたいはずですが、ゲートで暴れるようになってしまいスタートのタイミングが合わなくなってしまいました。今後を考えるとスタートが遅いというのは致命的な弱点で、改善の兆しがないので重い印は打ちにくくなってしまいました。直線で時計のかかる馬場状態の方がパワーと持続力を生かせるはずですし、ハイペースバランスになればスタートの悪さを誤魔化せるので、この馬も展開待ちになると思います。

3着がスカーレットカラーでした、昨年と似たような展開になり後方から直線伸びてきたのですが、直線入り口で大きくブレーキを踏んでいるために3着まででした。岩田騎手らしいインコースを狙ったコース取りですが、前が壁になるというリスクは非常に大きく、直線も短いために昨年よりもひとつ順位が下がってしまいました。前が空いてからのトップスピードの質は良かったので、ヴィクトワールピサの産駒らしく、前半脚を溜められたことが好走の要因だと思います。

4着はシャドウディーヴァでした、近走スタートが遅く今回はさらに外枠ということもあり、前半のポジションが悪くなってしまいました、結果的に3コーナーから早目に仕掛けなければならず、 L1で失速してしまいました。右回りを不安視していましたが、コーナーではスムーズだったので今後は右回りを不安視する必要はないと思います。

5着はカリビアンゴールド、昨年は3着でしたがその時はスローバランスからの4F戦でした、今回はハイペースバランスを中段のやや前から進めているので、この馬自身も平均バランスには入っていたはずです。これで5着に粘れたのは立派です、すぐ後ろに居たフェアリーポルカを抑えていますから、平均バランスぐらいならばまずまずの結果を残せるということでしょう。展開と使い詰めの疲労もあり昨年よりも着順は落としましたが、内容を考えれば悪くない結果ですし、引き続き洋芝では評価を上げるべき馬だと思います。

2番人気のフェアリーポルカは6着でした、+18kgの馬体重からも本気で取りに来ている気配はありません、ノーザンF生産のルーラーシップ産駒なのでひと叩きされて更に良くなると思います。サムシングジャストは9着でした、長い休み明けだったので最後伸びを欠いたた印象で、 この馬もひと叩きされて良くなりそうな気配がありました。コントラチェックは10着でした、ナルハヤから2馬身ほど間隔を空けましたが、1800mで前半800m46.5くらいですから、さすがに速かった印象です。中緩みもできなかったのでヴィクトリアMと同じように、息が入らずに心肺機能で一杯になってしまった感じです。やや心配なのはコントラチェック自身ではなくルメール騎手の調子です、藤田菜七子騎手のペースは明らかに速過ぎたにもかかわらず、1コーナーで馬群の外から先頭に取り付く勢いで上がって行きました、良い時のルメール騎手ならあのような無理はしないと思うので、夏競馬が始まってからイマイチ調子が上がらない現状を表しているのかもしれません。

馬券の方はコントラチェックからだったので外れてしまいました、次は関屋記念の予定です。